2018年12月09日

●東京大学生産技術研究所70周年記念展示「もしかする未来 工学×デザイン」

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 東京大学生産技術研究所70周年記念展示「もしかする未来 工学×デザイン」
 長距離でもホットなカーボンプレートによるランニングアシスト、チタンの特性を活かしたアートワーク、呼吸するように収縮する空間オブジェ。おじさんも楽しめましたが、会場の子供達が目を輝かせていたのが何より印象的。

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2018年12月04日

●聴講メモ [EaR Talk SCRAMBLE] 「設計」と「施工」の現在 NY/Boston 調査報告会

 [EaR Talk SCRAMBLE] 「設計」と「施工」の現在 NY/Boston 調査報告会の聴講メモです。
 「設計者主導のデザインビルド」という小笠原 正豊さん (@masatoyo_san) のツイートを見て興味が湧いた。
 日本は施工者主導のDBが伸びていると言われているので、そのカウンターのような視点が新鮮。話を聞いてみたいと思ったときに、報告会があったので参加。
 私はアトリエ事務所に勤めて、今は施工会社にいるので、「設計」と「施工」の話はとても興味深い。更に舞台がNew York とBoston とのことで、最先端の話が聴けそうで興味津々。

■小笠原さんの経歴紹介
 「アメリカが分業がしっかりできている、日本は施工者と一緒に造っていく」という話はよく聞く。
 「Decision Maker がいて、設計者がいる。設計者にはArchitect やEngineerや情報、専門家が含まれる」。このくだりは、とても好奇心が湧いた。「えっ、Architectって全てを統べるんじゃないの?」とか、「AI化が進んだらDecision Maker しか必要ないのでは?」とか。
 「設計者」を英語で言うとどんなイメージですかと質問。設計と施工が分離する前とか、Designerとか。そんな回答で、Designerってそんなに偉いイメージなんだ!と思ったり。Architectって昔からある職能だと思っていたので、かなり意外。
 「役割・責任の明確化が成功する協働へと繋がる」は同意。
 「アメリカのBIMは標準化が進んでいる、日本はこの点で遅れている」というのは、なるほど。「日本はゴムの反発力」は上手い言い方だと思う。

■報告編
 SITUがNavy Yard に工房を構えているというのは、90年代にPratt に通って、閉鎖されたNavy Yard 周辺をウロウロ歩いた身には、隔世の感。ついでにPratt が進出するそうで、さらにびっくり。時代が変化するって面白い。
 NADAA。工事入札価格を抑えるために、波打つ天井のモックアップを設計事務所が作るという話は、その行動力と資金力にビックリ。その分設計料も高いと聞いて、設計事務所の職能の定義が既に少し違う気もする。どのフェーズで作るのかと質問した人がいて、専門的な視点と思った。
 Gluck+。「Architects led design build」。「設計者主導と施工者主導の概念的な違いは?」と聞いてみて、「似てる」と言われて、「でもArchitects led なんでしょ」と更に聞いた気がする。「どちらが契約主体か」といった人がいて、なるほどと思う。
 Kalin Associates。LEED project 等のSpec writing を手掛ける。Spec writer が減少しているというのが意外。実施図と仕様書をBIMでIntegrate というのは図式的なイメージは湧くけれども、実際は波のように押し寄せる変化みたいなものかしらと思う。
 Autodesk BUILD Space。デザインとモノがシームレスにつながる感じ。溶ける感じ?日本にもできるかもとのことで楽しみ。RevitとInsightによるEcotect Analysis を初期に使うという話は、フロントエンド化が進む時勢にのってる。
 MASS Design。リーマンショック後で仕事もないし、設計事務所ってもうからないから、NPOでもやっていける。ルワンダに施工会社を設立するとか、いきなりBIMとか。

 見聞記も、設計者の職能の話も、とても興味深かったです。やはり、実際に体験したこと、ヒアリングしたことを聞くのは、単にネットで情報を得る以上に色々と感じるところがあります。どうもありがとうございました。

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2018年11月24日

●TSUYOSHI TANE | Archaeology of the Future, Digging & Building@Art Gallery, Tokyo Opera City

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 東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「田根 剛 | 未来の記憶」展を観ました。
 TOTOギャラリー・間の展示が「実際の検討プロセス・素材を見せること」が主体だったのに対して、こちらは「成果物のプレゼンテーション」が主体。

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 場所の記憶を発掘する
 テーマ分けされ、床壁を埋め尽くすリサーチ&スタディスケッチ等。調査、分類、ピンナップ表示等は古典的な手法だけれども、それらをArchaeological Research という考え方の下、徹底的に実践し、展示区間として再構成する。ペーパーの一つ一つ、それらの位置関係が建築家の思考軌跡を表すようで、田根ワールドに引き込まれます。

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 代表作7つの空間展示
 〈エストニア国立博物館〉の特徴的は超巨大キャノピー越しに、〈新国立競技場案 古墳スタジアム〉〈A House for Oiso〉等が並ぶ。

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 〈A House for Oiso〉。Archaeological アプローチの実践版住宅。竣工写真を見る限り、塗り壁の箱に木の小屋を載せる構成は、意外と周囲に馴染んでいるように見えます。住む人は縄文から今に続く時間の流れに想いを馳せながら日常を過ごすのだろうか。実物を観てみたい。

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 〈A House for Oiso〉の周辺模型。周りの建物を土っぽく表現しているので、本作の土と木の構成の馴染みが良い。周りがハウスメーカーの人工建材ばかりのときは、どういったアプローチをとるのだろうか。

■感想
 考古学的なアプローチという独創的な視点から話題作を提示し続ける活動と、元々サッカー選手を目指していたというタフさを感じさせるプロフィール。話題の建築家の展覧会。アイデアを抽出・定着するスタディ・プロセス(の見せ方)、高度なプレゼンテーションスキルは素晴らしい。
 とはいえ、大型海外コンペの勝利&完成というコアコンテンツがあるにしても、それ自体は共同設計なので、主実作が住宅2軒という段階で、都内2会場での同時展覧会開催というのは異様な注目度と感じます。
 スター建築家の作品完成前夜祭特番を見るよう。

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●TSUYOSHI TANE | Archaeology of the Future, Search & Research@GALLERY MA

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Introduction of the new Japanese star architect's design theme and process including Estonian National Museum. Floor is filled with lots of study models, and walls are covered by research pictures. He starts design from historical research, does lots of study, the starts space design. We seem to be invited to his office storage.

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2018年09月24日

●「西葛西APARTMENTS-2」オープンハウス

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 「西葛西APARTMENTS-2」のオープンハウスにお邪魔しました。設計は駒田建築設計事務所、施工は山庄建設株式会社
 偶々ネットでオープンハウスの案内を見て、2棟の集合住宅の間のオープンスペース「7丁目PLACE」をイベント活用することと、1階にベーカリー、2階にコワーキングスペースが入るという構成に惹かれました。

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 オープンスペース「7丁目PLACE」ではマルシェ「パンのある食卓と、日々。」が開催中で、1階のベーカリーの客席も併せて満席状態。

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 2階のコワーキングスペースは一部をワークショップで使用しながら、基本的にはオープンハウスに開放。門型フレームによる合理的な構造が分かり易い。
 魅力的なスペースと思うけれども、一部を設計事務所として使いながら、このスペースをどう活用するのか今一つ分からない。商業面は弱そうなエリアに思えるし、ワークショップがない日は何に使うのだろう。近所の井戸端会議的な場所?

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 3階、4階に計6戸の住戸。ファミリー向けからワンルームまでバリエーション豊か。ローコスト化を図るため相当に思い切った造り。基本的に扉付きの収納がない。ハンガーパイプ、キッチンカウンター、洗濯機置場(扉付!)と最低限は準備されていて、あとは入居者が必要に応じて用意するという考え方。明快なスケルトン・インフィル思考。
 ワンルーム型は玄関がガラスの引き違い戸+広めの土間になっていて、カーテンを開けると明るい。けど、廊下から丸見え。お向かいさんからも丸見え。この距離感が下町らしい?

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 バルコニー側はもう一棟の集合住宅の壁で視線が遮られるが、光は入る。トイレと浴槽が細長いボリュームに超コンパクトにまとめられている。洗い場がないのにビックリ。基本的にお湯は張らずに、浴槽でシャワーを使うのか?

 最近流行りの「コミュニティを形成する」建築のスキームモデルをそのまま実体化したような構成、アクティビティが建物の外側にしみ出す感じが、魅力的かつ少々過激に感じられる。2棟の建物の配置とソフトの練り込みで、こんなことができるとは驚き。

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2018年09月15日

●建築の日本展@森美術館 3回目

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 森美術館で開催中の「建築の日本展」を会期終盤。もう一度観ておこうと3度目の鑑賞。
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 04建築としての工芸
 《待庵》原寸再現。実物は外からしか観られないので、非常に再現度の高い内部を、茶室の中から観られるのはとても貴重な体験。会期初期は内部の写真撮影禁止だったのが、解禁になっているのも嬉しい。

 05連なる空間
 《パワー・オブ・スケール》。前回観た時は、ステージの上まで自由に上がれて作品との一体感が凄かったけれども、今回はステージに上がれなくなって、普通のインスタレーションになった感じ。作品の保守との兼ね合い?

 06開かれた折衷
 伊藤忠太 野帳。法隆寺の建築史上の位置付けや、桂離宮の間取り、丁寧に彩色されたスケッチ。建築に対する情熱が伝わってくる。

 09共生する自然
 藤井厚二のスケッチブック。棚の重なり、幾何学的構成等。聴竹居では観られなかった、推敲の軌跡が観られて良かった。
 A House for Oiso。土壁に木箱を載せた住宅。縄文後期から昭和までの民家の形式を考察して、一つの「家」にするという驚きの発想と実現。
 House&Restaurant。建築主の生活パターンの分析から得たボリュームを「穴を掘る」ことで創り出し、コンクリート充填した上で揚重する住宅+レストラン。
 今、最も注目を集める建築家の最近作かつ、土の手触りを連想させる手法を織り込んだ作品で締めるところが、縄文から続く日本建築の遺伝子の現代への継承を問う本展らしい。

 大胆な新旧並置と、模型と大きな文字が目立つ大味な構成は、図らずも建築の置かれる現状を体現しているようにも観える。その価値判断は分からないけれども、観ておくべき展示と思います。

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2018年07月02日

●Himeji Castle

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Himeji Castle, which was painted with white plaster, is beautiful like computer graphic.

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2018年04月30日

●聴講メモ:シンポジウム「今、日本の建築を考える」(前半)

 森美術館で開催中の「建築の日本展」。その関連プログラム、シンポジウム「今、日本の建築を考える」の聴講メモです。開講10分前に会場到着、ほぼ満席。満席の旨、アナウンスあり。

■モデレーター:南條史生(森美術館館長)
 森美術館では、3~4年に1回建築展を開催してきた。アーキラボ、ル・コルビュジェ、メタボリズム展。少し間が空いて本展。
 日本の現代文化で一番勢いのある建築を通して、日本の文化のアイデンティティを見直す。
 「建築で知られる日本」の意味を込めて、「建築の日本展」としている。
 「日本の建築の含まれている遺伝子が、現代に受け継がれているのではないか」という仮定に基づく、ブロックバスター型の展覧会。

■講演:藤森照信(建築家、建築史家、東京大学名誉教授)
 日本建築の流れ、影響をもたらしたものは分かり難い。ヨーロッパはルネサンス、バロック、モダニズムというふうに、時代と共に様式も変わるので分かりやすい。
 縄文時代の竪穴式は、茅葺民家として、そのまま現代の伝統的建築につながる。
 弥生時代の高床式から、平安時代に寝殿造が生まれ、さらに室町時代に書院造が生まれる。さらに安土桃山時代に茶室、江戸時代に数寄屋造が派生する。この流れはヨーロッパっぽい。
 その一方で、高床式から、古墳時代に神社建築が派生する。また、飛鳥時代に渡来した寺院建築から、(教会の影響を受けて?)、安土桃山時代に城郭建築が派生する。神社と寺院はお互いに影響を及ぼし合い、現代の伝統的建築につながる。
 用途別に様式が持続しており、どう伝統を引き継いできたかが分かり難い。
 箱木千年家。庇がおでこに当たる。竪穴が持ち上がったもの。土壁はヨーロッパの民家と同じ。
 芝棟。屋根の上に草花。雪国の日本海側にはない。防寒のために土を載せのが、上だけに残った。
 縄文の影響を受けた建築家が白井晟一。
 自作紹介。ラ コリーナ近江八幡。芝棟の屋根。モザイクタイルミュージアム。土壁に奥まった小さな入口。自分で言うのも何だけれども、明らかに縄文の影響が感じられる。
 京都御所。高床式から寝殿造に。配置は南向きかつ横長、個として左右対称、全体として非対称。身舎(もや)を中心に、その外側に庇があり、さらに外側に軒がある。柱で囲われている部分が庇で、柱から外に張り出す部分が軒。間仕切りがなく、内部は必要の応じて几帳を立て区切り、内と外は蔀戸(しとみど)を下ろして仕切る。家の中でキャンプをしているような状態。蔀戸を全て上げると吹きさらし。天井を張ることで、内外の連続した開放的な空間に。
 丹下健三は日本建築を本気で学んだ。大東亜コンペ案は伊勢神宮、日タイコンペ案はサンピエトロ。時代の流れを泳ぎながら学んだ。
 清家清 斎藤助教授の家。天井を張ることで内外が連続する、寝殿造の伝統。
 フランク・ロイド・ライト。シカゴ万博鳳凰殿を観て、部屋の中からそのまま外に出られる、日本建築の空間連続性、流動性を知る。
 伊藤豊雄 仙台メディアテーク。水平層を昇っていくときに感じる、絶対的な水平感。
 日本建築はなぜ軒をあんなに伸ばせるのか。桔木(はねぎ)を入れて、テコの原理で張り出している。日本建築で屋根が一番重要な表現。
 書院造と非対称性。ヨーロッパは軸、中国は南北軸+南入り。寝殿造は南に庭を設け、人は東もしくは西から入る。建築は南北軸、人の動きは東西軸なので、全体配置においては非対称性を生じる。書院造における書院は、付書院、床の間、違棚で構成。

■講演:妹島和世(建築家、SANAA事務所代表取締役)
 この展覧会は面白い。9つのテーマから自作を振り返ると。
 PLATFORM Ⅱ。どうやって場所を組み立てるか。少しずつ場所と外がつながっていく。
 直島フェリーターミナル。いかに大きな屋根を架けるか。
 北方団地。縁側(庇)。
 S House。軒のない庇。
 金沢21世紀美術館。ギャラリー廻りをフワフワ歩く。どうしてもガラスはあるけれども、日比野克彦さんの明後日朝顔プロジェクト21開催時に中から見ると、まるでないみたいに見える。
 スタッドシアター・アルメラ。コンペ案パースと洛中洛外図の相似性。全く意識していなかった。
 トレド美術館ガラス館。ガラスの間仕切り。
 梅林の住宅。立体的につながる。5人で住むので小さい部屋をたくさん作る。薄い壁で開口部がスクリーンのよう。
 EPFLラーニングセンター。コンペ審査員から日本的とのコメント。
 ルーブルランス。雁行配置。
 屋根。PLATFORM Ⅰ、ⅡからGrace Farms。NISHINOYAMA HOUSEは10軒の集合。
 荘銀タクト鶴岡ではスケールを落としていく。
 ニューサウスウェールズミュージアムエクステンションとブダペスト・リゲット新国立美術館。展示室に屋根、公園から入っていく。
 無意識に影響を受けているのかな。

■講演:原研哉(デザイナー)
 House VISION 2013、2016世話人。
 HOUSE VISION 2018 を今年9月に北京で開催。

■講演:斎藤精一(ライゾマティクス クリエイティブ&テクニカル・ディレクター)
 建築に対して思っていること。
 Power of Scale。人のスケール。人をセンターに置く、街の在り方、空間の在り方を忘れていないか。人が人のスケールを忘れすぎていないか。
 東京理科大学工学部からコロンビア大学に進んで、911で落胆。次に誰が建てるか?終わってる。広告代理店に転職して、アーティスト活動を経て、ライゾマティクスを設立。
 当時のコロンビア大学建築学部長バーナード・チュミのラ・ヴィレット公園、アーキグラム、スーパースタジオ、バックミンスター・フラー、ニール・ディナーリ等、思想的な建築、実作少ない、CGのが好き。911で辞めて、2006年からライゾマティクスでメディアアートから派生した表現・作品を制作。
 2013年からライゾマティクスアーキテクチャー。建築思考は何にでも使える。理論的に構築して最終的に出口。
 Not Architecture, But Architecture展。建築で学んだことをロジカルに展開。
 今、建築を考える。建築の威厳、人を操作できるものを哲学を以って作る。神の視点を持つだけの責任感が自分にはない。
 虎ノ門、渋谷等で大規模再開発の低層部ファサード等携わる機会が増える。
 建築の在り方自体を忘れている人が多い。
 建築を中心に、場所、文化、人、商業主義のバランスをとることが求められている?
 行政・デベロッパー等は空からヘリに乗って開発パースを見ている。地上からのデザインは誰が見る?建築家・デザイナーは最後に決まる。ライゾマティクスアーキテクチャーが、建築家・デザイナーに最初から入ってもらう等の翻訳・通訳を行う。
 建築だけでなく、車、ネットワーク、エネルギー等他産業と合わせて考える必要。
 建築にIoTを取り入れられないか?
 第3次(4次?)産業革命に建築は入っているか?

■感想
 藤森さんは日本建築系統樹(A4×1)を配布して、日本建築進化の流れを概説。前半は去年読んだ「日本建築集中講義」と内容は同じなので分かりやすい。頭の柔らかい藤森史観を織り込んだ建築展覧会が開催されるとは嬉しいかぎり。ただ、「建築家」になると一気に語りが堅く感じられる。山口晃画伯のツッコミと挿絵のある本で読む方が親しみが湧く。後半は伝統建築と近代・現代建築家との比較を少し交えて終了。ご本人の作品も展示する羽目になるくだりが、ライブ感があって良かった。
 妹島さんはとても手際よく、本展のポイントを絡めて自作を紹介。特に目新しい点はないけれども、本展を面白がっている感じが伝わってきて良かった。
 原さんは「なぜデザイナーの方が建築展に?」という当方の疑問が先に立ってしまい、あまり話に入っていけなかった(なのでメモも全然とっていない)。
 斎藤さんは「人の在り方」と「建築という思考方法」の二つの視点からの話。技術の最先端に立って活動してるいる人が、とてもオーソドックスな視点から話すことで、とても説得力があった。
 藤森さん40分、妹島さん・原さん・斎藤さん各20分の計100分の講演は、あっという間に終了。4者4様でとても面白かったです。いつも思うけれども、森美術館の講演会は人選が上手い。

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2018年03月04日

●Kengo Kuma: a LAB for materials@Tokyo Station Gallery

Kengo Kuma: a LAB for materials@Tokyo Station Gallery. Architect Kengo Kuma's exhibition, categorised based on materials, telling story following their adaptation to architectural role. The stories are filled with inventions and lead us to the joy of "thinking, trying, and continueing" !

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2018年02月18日

●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その10 5日目 Louvre Abu Dhabi by Jean Nouvel

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●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その9 5日目 Louvre Abu Dhabi: humanity in a new light

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 Taxi でLouvre Abu Dhabi へ。Dh44くらい。10時の開館少し前に到着。ParkingからMuseumへは、白いファイバーグレーチング材で屋根と片側の壁を囲った通路で繋いでいる。今は冬なので屋外も快適だけれども、夏は暑くて日除けが必須なのだろう。既に少し列ができている。入館料はDh63、日本からオンラインで日付指定チケットを購入済み。

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 Ticketing Hall でオンラインチケットをiPhone上に表示して、Museum Galleriesへ。
 A Journey from prehistory to contemporary art を観る。
 Introduction:Grand Vestibule。各国語で書いた地名を線でつなぐ。相互関係や線の意味は読み取れないけれども、とても魅力的な導入部。

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 Motherhood。1つのテーマに対して、3つの文明の遺品を展示。それらに相違と共通点が浮かび上がる。

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 1 The First Villages。四周石貼り+内部フローリングの床、白基調の壁、長方形に区切り波板ガラスを嵌め込んだシステム天井。全12室で構成される主展示空間。

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 主展示室に付随するように設けられる、黒基調のサブ展示室。開放的な主展示に対して、ケースに入れた小さな展示が中心。巨大な石に嵌め込むように設けられたガラスケースが美しい。

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 青いファラオ像等、観たことのないモノが並ぶ。

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 2 The First Great Powers、3 Civilisations and Empires。2つの展示室が見通せる空間に、大きな石像が並ぶ、ダイナミックな展示。観光客の大撮影スポットでもある。そのエンドに建つ、Male torso: athlete(?)、Nymph with a shell、Athena, protective deity of Athens。

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 右に90°折れて、展示室が続く。

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 展示室間の移動の合間に、半屋外空間に射す光が垣間見える。

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 6 From the Mediterranean to the Atlantic。可愛らしいライオン像と巨大なタペストリー。

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 Intersecion Cosmography を経て、7 The World in Perspective。舞台は中世ヨーロッパへ。

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 "Portrait of a Woman, called La Belle Ferronniere" Leorarde da Vinci。話題作の一つ、レオナルド・ダ・ヴィンチ「ミラノの貴婦人の肖像」。いつ「救世主(Salvator Mundi)」と並んでの展示が始まるのか、とても楽しみ。このあたりからルーブル及びフランス名画展示が始まる。

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 9 A New Art of Living 附室。Pair of "Whose Sleeves"folding screens。誰が袖図屏風、掛け軸、浮世絵等、日本美術が並ぶ。

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 9 A New Art of Living。"Napoleon Crossing the Alps"Jacques-Louis David。3つ続く展示室の最後を飾る、ルーブルらしい大作。

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 ガラス超しに、印象的な光に満ちる半屋外空間を垣間見て、10 A Modern World ?。"Le Joueur de fifre"Édouard Manet。プリミティブな彫刻等に交じって、かの有名な少年も登場。

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 "Portrait de I'artiste" Vincent Van Gogh 、"Arrangement in Grey and Black: Portrait of the Painter's Mother" James Abbott McNeill Whistler。ルーブル、オルセーの名画が少々唐突に壁面を飾る。

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 12 A Global Stage。"The Fountain of Light, 2007" Ai Weiwei。タトリンの第三インターナショナル記念塔を模した、ステンレスとガラスの高さ7mの塔。美しく繊細で脆いオブジェ。先史時代から現代へと続くアートの旅の終わり。

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 そして、8層多孔屋根から射す光が印象的な半屋外空間へ。

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●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その8 5日目朝 The Ritz-Carlton Abu Dhabi, Grand Canal

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 滞在しているVenatian Village からGrand Canal へ向けて、朝の散歩。昇る朝陽と、反射する水面が美しい。水辺に沿って散策した後、高層棟の方へ折り返す。

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 高層棟外側の庭園に沿って歩くと、まだピンクかかった朝陽に照らされて、Sheikh Zayed Grand Mosque が浮かび上がる。

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 高層棟に囲まれた、噴水とプールのエリアへ。自動でスプリンクラーが散水し、小鳥のさえずりが聴こえる。砂漠とは思えない、緑豊かな人口のオアシス。

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 パラソルを立てた屋外ビュッフェ会場。屋内スペースもありますが、気持ちが良いので屋外席で食べることに。

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 All Day Dining "Giornotte" のmorning buffet 。ビュッフェ好きなので、どれも美味しそうで目移りしてしまう。

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 Salmon、Chiciken、Beef。宿泊客向けなのでPork も置いてあったと思うけれど、場所は別。

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 各種チーズ。オムレツは具を指定して焼いてもらう。目玉焼きも指定可。

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 サラダ、オムレツ、パン、ヨーグルト、フルーツ、オレンジジュース、コーヒーの朝食。アラビア料理もありますが、好きなものを集めると、結局いつもの内容に。まだ7時前なので、涼しくて気持ち良い。

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 朝食後、レセプション棟のConcierge DeskでTaxi の拾い方について確認。今日はNational Theater という観光的にはちょっとマイナーなスポットに出かけるので、帰りのTaxi をどうやって拾えば良いかを確認。携帯電話でTaxi アプリを使えば簡単だけれども、ローミングサービスは高そうなので、とりあえずは使わずに済まそうという考え。回答は「National Theater のはコンシェルジュコーナーがあるので、そこで頼めば大丈夫」とのこと。実際に行くとないこともよくあるので、念のため明るいうちに行って、いざとなったら街中で拾おうと内心考える。Reception でTaxi 用に紙幣を両替えしてもらう。Dh100だと高額すぎるので、Dh50, Dh20, Dh10, DH5 の組合せにしておく。
 大きな吹抜けと見栄えするシャンデリアの造りは、地域的な特別感はないけれども、汎的な高級感があって、ホテルのコンセプトにマッチしている。

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 部屋に戻って、着替えて、荷物を整理して、今日も一日が始まる。

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2018年02月17日

●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その7 4日目後半 Sheikh Zayed bin Sultan al Nahyan Grand Mosque

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 再びTaxi で移動して、Sheikh Zayed bin Sultan al Nahyan Grand Mosque へ。費用はEmirates Palace Hotel からDh40 くらい。Abu Dhabi はTaxi が安いのは良いけれども、Taxi だと点と点を移動するだけになってしまい、自分のペースで都市を楽しむ余裕を持てないのが難。やはり、Metro の存在は大きい。
 4本の尖塔と白い回廊で囲まれたモスクの巨大さに驚きつつ、駐車場でTaxi を降りて、入場口へ。男女別に分かれたゲートを潜って、手荷物検査を受けてモスクの構内へ。WiFi は持ち込めないので預かってもらう。

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 右手に回ると、正門前は記念撮影をする観光客で大賑わい。下駄箱に靴を置いて、正門から中へ。アラビア独特の玉ねぎ型アーチ越しに眺める礼拝堂が神々しい。日本だと四角い額縁で切り取るところを、玉ねぎ型アーチで型抜きするように見えるところが面白い。

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 白い回廊を歩いて礼拝堂へと進む。白地に金色のアクセントをつけた空間が美しい。観光客の大撮影大会が開催中。

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 装飾模様は全て色付き石の象嵌で表現されていて、建物全体が巨大な工芸品のような造り。とても美しい。どれほどの手間とお金がかかっているのか、ちょっと想像がつかない。

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 回廊から中庭を眺める。広大な中庭にも、装飾模様が描かれている。回廊で警備員が見張っていて、中庭は立ち入り禁止。

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 礼拝堂前で列が分かれて、礼拝者はより奥へ、観光客は外巻きに内部を見学。白壁に装飾、玉ねぎ型アーチの開口、巨大なシャンデリアの組合せが美しい。

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 内部床には世界一大きなペルシャ絨毯が敷いていあり、柔らかい。絨毯の装飾、柱、ドーム天井、壁面から射す光を創り出す空間が美しい。観光客はかなり遠巻きに設けられた見学ルートに沿って移動。礼拝者だけが礼拝スペースに立ち入れる。信仰と観光を両立するための、最小限の線引き。

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 礼拝堂内の巨大なシャンデリアはスワロフスキー製だそうで、観光客が何かに憑かれたように写真を撮りまくる。

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 ちょうど夕暮れ時で、白いモスクが赤く染まる様は、とても神秘的。ちょっとこの世のものとは思えないくらいに美しい。

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 Taxi でThe Ritz-Carlton Abu Dhabi, Grand Canal に戻る。費用はDh12 (Taxi の最低料金)。少し館内を散歩してから、プールに面した屋外スペースでビュッフェスタイルの夕食をとる。Dh245。さすがリッツカールトン、ビュッフェでもかなりお高い。

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 Villa に戻る途中、ライトアップされたモスクの夜景が見える。

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●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その6 4日目前半 Abu Dhabi Emirates Palace Hotel

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 Sofitel Dubai Downtown 2日目の朝食ビュッフェ。Metro Station 至近の快適な都市型滞在に別れを告げて、今日はAbu Dhabi へ移動。2時間程度の乗車となる長距離バスにはトイレがないとのことなので、朝食は軽めにすませる。

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 Sofitel Dubai Downtown 客室からの眺め。右手の新築超高層ビルに遮られて、Burj Kharifa への眺望は7割方失われた感じ。地上面に浮いているチューブがMetro Station からDubai Mall へと続く空中歩廊、画面中央の超高層がThe Address。その左下手のコの字型配置の中層ビル群がEmaar Square とBoulevard Plaza。右奥がDubai Mall。夏は50℃を超すこともあり、地上は人が歩くようには計画されておらず、主要歩行路は全て屋内。砂漠に広がる不思議な都市の光景。
 チェックアウトが行列で意外と時間がかかったので、Abu Dhabi 行きの最短経路をGoogle Map で検索。前日に下見したAl Ghubaiba Station からバスに乗るよりも、Ibn Battuta Station から乗った方が早いと出たので、経路変更。ところが、いざ向かってみるとJumeirah Lake Towers Station とIbn Battuta Station 間が工事中で、Metro は不通。両駅間を結ぶ無料シャトルバルが出ているものの、時間的な優位性はかなり損なわれる。そういえば、空港でそんな張り紙があったなあと思い至るも、その時はまさかこんなにMetro を活用するとは思わず、他人事と見流しておりました。Google は便利だけれども、万能じゃない。

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 Dubai-Abu Dhabi 間の直通バスはDh25 (約750円)、タクシーがDh200~ (約6,000円)なので、移動はやはりバス。Ibn Battuta からだと1時間半程度でAl Wahda Bus Station に到着。正面にAl Wahda Mall があるので、お土産用のアラブ産日用品を調達。
 Abu Dhabi はMetro がないので、ここから先の移動は全てTaxi を使う。バスもあるけれども、時間が惜しいのと、自分の位置を常に確認する必要があるので、WiFi環境の弱いアラブではパスすることに。また、基本的に歩きでの移動は考えない。 治安は良いけれども、何が起こるか分からないので、リスクは最小限に。

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 まずはTaxi で今夜の宿泊地The Ritz-Carlton Abu Dhabi, Grand Canal に移動してチェックイン。Sheikh Zayed Bin Sultan Al Nahyan Mosque に近いので便利かと思い、予約してみたけれども、実際には道路がグルグル蛇行するので意外と距離がある。 ちょっと思惑とはずれる。
 広い敷地内には、プールを取り囲むように高層棟が建ち、その中央棟にレセプションとロビーがある。それらの外周にVenetian Villa が配され、プールはCanal に面したビーチへと連続する。豊かな緑に囲まれ、砂漠であることを全く感じさせない、人工のサンクチュアリ。

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 Reception でチェックインした後、滞在先のVilla まで、スーツケースと一緒にカートで運んでもらう。直線距離は短いけれども高低差があるので、大きく迂回しながらゆっくりと進む。プールやビーチで寛いでいる人もけっこういて、ホテルでゆっくり過ごす日を入れておけば良かったかなと思う。
 Villa の内部は広々としていて、写真左手にソファと書斎デスクがある。簡単なダイニングテーブルもあり、リゾートステイ用にゆったりとした作り。

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 ホテルからTaxi で30分ほどで、Emirates Palace Hotel に到着。費用はDh50くらい。建物には宿泊か飲食の予約がないと入れないらしいので、Dubai 到着後にLe Cafe に予約メールを送った。返事は「当日はLe Cafe は予約でいっぱいだけれども、噴水そばに屋外カフェをオープンしてるから、そちらは先着順で受付しています。」という返事だった。予約の有無を聞かれたら、「屋外カフェに行きます」と答えようと思っていたけれども、実際にはゲートで特に何も聞かれずに通過。春節前で中国人が多いので、アジア系の人はいちいち確認しないのだろうか。

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 振り返ると、Jumeirah At Ethihad Towers が建ち並ぶ。建物形状は独特で存在感があるけれども、棟同士が有機的に連結して、人が活動する面的な広がりを生む都市空間としての魅力は感じられない。この点はDubai の方が一歩先んじている。

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 ロビーの5層吹抜空間を見上げる。金色の空間に、中国の春節を祝う赤いインスタレーション。ロビーで寛ぐ人たちも中国系の人が多い。中国の勢いを感じる。

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 奥に進んでLe Cafe の様子を見てみる。やはり満席。

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 地階の中華レストランも春節モード。

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 屋外に戻って、Le Cafe By The Fountain で休憩。Emirates Palace Cappuccino とBlueberry Cheese Cake をオーダー。Dh44+Dh76で合計Dh120。ここまで来たら、当然頼むよねという感じ。噴水で空気が冷やされて、意外と涼しくて快適。冬の季節は屋外も気持ち良い。

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 金粉カプチーノ。ああ、Abu Dhabi に来たなと思うひととき。

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2018年02月16日

●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その5 3日目 Old Dubai

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 Sofitel Dubai Downtown の朝食ビュッフェ。会場のLes Cuisines はカジュアルな内装造作ながら、メニューは充実。客層はアジア5:欧米2.5:アラブ2.5といった感じ。旧正月が近いせいか、中国系の方がとても多い。お隣のテーブルは中国系の親子連れでとても賑やか。とても美味しいので、お腹いっぱい食べます。フルーツは別皿。

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 昨日はDowntown、Marina Area とNew Dubai を見て回ったので、今日はOld Dubai の観光に出かける。今日は金曜日なのでDubai の週末にあたり、特に午前中は閉まっている店が多いことに留意。幸いMetro は午前中から動いている。Al Jafiliya Station あたりからDubai Frame が見える。展望台+文化施設の入った建物を「世界最大の額縁」に仕立てるところがDubai らしい。思わず記念撮影。Jumeirah Emirates Tower Station 付近では、Museum Of The Future の建設現場が見える。Dubai の発展は現在進行形。

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 Al Ghubaiba Station で降りて、まずは明日Abu Dhabi 移動に備えて、Abu Dhabi 行きのバス乗り場を確認。Old Dubai はCreek を挟んで南側のBur Dubai、北側のDeira から成るので、まずは歩いてBur Dubai のDubai Old Souq (Textile Souq) へ。それほど広くない路地状の空間に、観光客と呼び込みの商人がひしめき、声かけ・腕組み・スカーフ投げかけと、隙あらば引き留めようとあの手この手。比較的人出の少ない午前中でこれだと、夕方は身動きもできない感じか。

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 Dubai Museum は14時からの開館なので後回しにして、Ruler's Court の横を抜けて、Al Fahidi Historical District (Bastakiya) へ。Wind Tower が特徴的な歴史的建造物が並ぶ街並みに、内部を改装したカフェ・レストラン・ギャラリー等が点在するエリア。なのだけれども、休日なので7割方閉まっている感じ。空いていて散策するには良いけれども、直射光にさらされるので休憩できるところを探して彷徨う。

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 Alserkal Cultural Foundation か運営するMAKE ART CAFE で一休み。中庭に半透明のスクリーンを架けて日射しを緩和。中庭を囲む小部屋はギャラリーになっていて様々な現代アートを展示。

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 階段を上がって屋上の上がると、ソファ席、ブックセンター、ワークショップスペースが並ぶアートコンプレックス。歴史保存地区の眺めつつ、ゆっくりした時間を過ごせる。立地、プログラムとも非常に現代的で心地良い、オアシス的空間。

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 Old Soaq まで戻ってCreek 岸に出て、Arab に乗り、対岸のDeira 地区へ。渡し賃はDh1(約30円)、とてもリーズナブルな庶民の足。指定されたゲートに着船している船に腰掛け、10人ちょっとの定員になるとアナウンスもなく発船する、とてもシンプルなシステム。屋根裏に掛けてある救命胴衣の説明もなし。波に揺られ、対岸からくる船とすれ違い、緩やかに時間が過ぎる感じがとても気持ち良い。

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 数分で対岸について下船。Baniyas Square 目指して歩く。Deira Tower を含めて古びた感じ。やはり今のDubai の魅力は、新しい部分にあると感じる。Baniyas Square で折り返して、Gold Souq へ。人出はまだまだという感じだけれど、ショーウィンドウが派手にキラキラしていて楽しい。

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 次いでDeira Old Souq (Spice Souq) へ。こちらは路地が狭い分、観光客密度が高く感じられる。再びArab に乗ってOld Dubai 側に戻る。

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 Dubai Museum 前は観光バスが列をなし、そこから降りる観光客の大群で入口は大行列。Dubai に来て初めて、典型的な観光地の眺めを観る。入館料はDh3と良心的。地上の展示物は古い家屋と船の屋外展示と、小さく細長い屋内展示室。それほど広くない館内はどこも混んでいて、ただ列に沿って流れていく感じ。夏と冬で寝室の位置を変えるという暮らし方と、Wind Tower を中から見ると布が吊ってあって、タテの通風換気が体感できるのが良い。
 展示はスロープを降りて地下へと続く。映像とパネルによるDubai 発展の歴史は、小村が世界湯最先端の観光地へと発展する過程を時系列順に解説。原寸人形による様々な商売の再現は、江戸東京博物館の常設のよう。船の歴史を示す展示は建造中の船の骨格を原寸で示す。どれもちょっと地味な印象。

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 展示の最後、半円形のスロープとその内側に物販コーナーを設ける配置が、スロープを昇るにつれて様々なグッズが角度を変えながら見えてきてよく出来ている。

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2018年02月15日

●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その4 2日目後半 Atlantis The Palm

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 お昼を食べたらDowntown を離れて、Dubai Metro Red Line でMarina Area へ。ひとまず超高層ビルの並ぶ都市を離れて、郊外的な眺めが続きます。Metro沿いも、あちらこちらで建設工事が進行中。遠方にはBurj Al Arab が見える。アフタヌーンティーに寄りたかったけれども、今回はパス。

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 Marena Area が近づくと再び超高層ビルが林立する都市が現れて、Dubai が既にDisney Land 的なアトラクションパークから、面的な広がりを持つ都市へと移行しつつあると感じる。矩形平面と円形平面、2つの棟を合わせたような外観が特徴的なAlmas Tower は大成建設の施工。Jumeieah Lakes Towers 駅でDubai Tram に乗り換えてPalm Jumeirah 駅へ。

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 駐車場を徒歩で通り抜け、Palm Gateway 駅から Palm Jumeirah Monorail に乗ってAtlantis Adventure 駅に向かう。沿道の建物もだいぶ完成していて人が住んでおり、一時の停滞を乗り越えて再び開発が進んでいるように見える。超高級住宅地らしいけれども、どういった人たちが住んでいるのだろう。そのうちAtlantis The Palm が見えてくる。巨大建築がドンドン迫ってくるシークエンスは、まるで冒険映画のワンシーンのよう。

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 中央にイスラム風アーチの大開口を穿ち、大きく翼を広げるように左右に客室棟を並べる外観、その手前に広がるプライベートビーチ。砂漠に突如出現した古代アトランティス幻影。その異世界感は、やっぱりスーパーアトラクションパークに見える。

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 せっかく来たので、ロビーエリアを散策。ショップもあるけれども、観光客が歩ける部分は結構狭くて、早々に退散。

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 再びPalm Jumeirah Monorail でPalm Gateway 駅に戻る。椰子の樹影の根本、One&Only Royal Mirage Dubai のプライベートビーチ。その手前では新たな工事(Gateway Towers の一部?)が進行中。Palm Jumeirah の開発を手掛けたNakheel 社はDubai Shock で経営が行き詰まったけれども、新たな海岸線を創り出す壮大な計画は今も続く。

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●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その3 2日目 Dubai Mall

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 Sofitel Dubai Downtown を出ると、目の前に建設中のThe Address Residence Sky View が聳え建つ。METRO駅直結の超高級レジデンス。他にもEMAAR社の超高層ビルが何本も建設中で、いったいどんな人が住むのか不思議になるほど。
 まずはDubai Mall とBurj Kharifa を観に行くことに。METRO駅から空中歩廊で直結されているけれども、地上を歩くとどんな感じか興味がわいたので、道路を歩いて行ってみる。すぐに分かるのは、道路は人の移動用には造られていないこと。大通りで細かく分断されていて、目的地が見えていてもなかなか近づけないし、車の通行量も多いので危ない。夏は50℃を超す地域なので、歩行者が地上を歩いて移動するという発想自体がないと感じられる。

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 なんとかDubai Mall に到着。巨大なショッピングモールの中を歩いていくと、ブランドショップが連なり、さらに水族館の巨大水槽が見えてくる。砂漠に水族館!というだけでも驚きだけれども、それを歩行経路に露出させるところがサービス精神満点。観光客にも大人気。

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 砂漠の街に3層吹抜けのスケートリンク。巨大なスクリーンに映像が流れる。非日常感が楽しい。

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 政府系開発デベロッパーEMAAR社のレジデンス等販売ブース。Dubai Creek Harbour の模型。中央の青い塔が、2020年完成予定の世界で一番高いタワー(になる予定の) Dubai Creek Tower。設計はSantiago Calatrava。

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 中東のドバイでも、中国の旧正月を祝うパビリオンが設けられている。本当に、世界中どこでも中国の存在感がすごい。

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 全面開放建具の先にはApple Store。その先のバルコニーからは、Dubai Fountain とBurj Kharifa が良く見える。

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 Dubai Mall からDubai Fountain の前を通りSoaq Al Bahar へと移動して、Burj Kharifaを見上げる。金属パネルの外壁が陽光に輝く。

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 Dubai Mall に戻って、Dubai Fountain の見えるテラスでランチ。

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 13時になると、音楽に合わせてDubai Fountain の水が上がる。ショーは5分に満たないが、音楽に合わせて水が動くのが面白い。

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●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その2 1-2日目 成田-ドバイ

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 2018/2/14(水) 21:20。Emirates EK318便で成田空港を出発。座席は避難ハッチ横の窓際席。前が通路になっているので、窓際でも出入りしやすく足を伸ばせて快適。その反面、前席下の収納がないので、手荷物の置場がなく不便。

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 ディナー:照り焼きチキンサラダ、ハンバーグ、マンゴーチーズケーキ。
 朝食:季節のフレッシュフルーツ、フルーツヨーグルト、ほうれんそうとチーズのオムレツ、ブレックファストロール。
 2018/02/15(木) 04:25。Dubai International Airport 着。早朝すぎて外は真っ暗。まずはホテルに荷物を置こうと、Noll Cardのシルバー チャージ式乗車券) を買ってMetroに乗る。Metro内は建設労働者っぽい人が多く乗っていて、庶民の足という感じ。

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 Dubai Metro Red Line でBurj Kharifa/Dubai Mall 駅で下車。駅を出ると、左手にBurj Kharifa が見える。Dubai に来たことを実感。

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 駅を出て徒歩1分のSofitel Dubai Downtown にチェックイン。本来は15時以降だけれども、準備の出来ている部屋があったので、7時前にチェックインさせてもらえてラッキー。

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 シャワーを浴びて、一休みして、Dubai Downtown へ。

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2018年02月13日

●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その1 概要編

 2018/02/14(水)~02/20(火)まで、Dubai - Abu Dhabi と旅行してきました。その覚書です。
■きっかけ:
 「そうだ、建築を観よう」と思い立ちました。期間は1ヶ月。1週目は中国で王澍建築、2週目は京都で普段は観られない要予約建築、4週目は記録整理等に。残る3週目は、「今一番訪れたい建築」を観に行こうと考えた。思い浮かんだのは、「Louvre Abu Dhabi」。8重の網目構造の屋根から光の降り注ぐ半屋外空間を中心とする空間経験、同一テーマ×異文化の遺物を並列展示する展示構成も観てみたい。レオナルド・ダ・ヴィンチ「サルバドール・ムンディ」の展示が発表される等、話題性も抜群。
 Abu Dhabiに行くのであれば、その隣国Dubaiにある世界で一番高い建物「Burj Khalifa」とその周辺ダウンタウンも体験したい。2008年のファンドバブル時はその発展スピードと規模から「世界最先端の都市」と思えたけれども、リーマン・ショックを経てどうなっているのだろう。
 日本からは飛行機で半日ほど、両国間の移動はバスで2時間程度らしいので、両国とも2泊の4泊+飛行機往復の旅程で計画することに。
 まずは飛行機。DubaiのEmiratesとAbu DhabiのEtihad Airwaysの直行便を比較すると、Emiratesの方が数万円安いので、Emiratesに決定。行きは21:20成田発、帰りは02:55Dubai発の深夜便を利用、出発10日前の予約で\94,250円(運賃、サーチャージ、税金等込)。JALとのコードシェア便だけれども、JALだと3万円位高い感じ。

■旅程:
 2/14(水) 21:20 成田⇒2/15(木) 04:25 Dubai (2泊)⇒2/17(土) Abu Dhabi (2泊)⇒Dubai 2/20(火) 02:55⇒成田 17:20 計6泊7日 (往復とも深夜便なので、空港・機中泊×2の実質4泊5日)の旅でした。

■お金:
 前回中国元を良レートで両替してくれた両替屋さんではUAEディルハムの取り扱いがなかったことと、他の両替屋さんではレートがかなり悪い(Dh1=34円くらい)こと、現地ではクレジットカードが問題なく使えそうなこととから、両替は最小限にしてホテル代等はカードで支払うことに。成田空港で2万円弱をDh600に両替。円はDhに対してレートが悪い印象。
 傷害保険は何かあった時の対応力に期待して、今回もAIUのゴールドコース(8,740円)を申込みました。

■インターネット:
 WiFiは前回同様Global WiFiを申込み。UAEは旅行者が少ないせいか、価格コム経由で申し込んでも特に割引なしかつ空港・機中泊×2の分、前回に比べてやや割高な感じ。しかも大容量プランがないので、GPS代わりに使うと通信料制限をすぐに超えそう。とはいえ現地受取・返却で手間取ると時間がもったいないので、14,070円(7日間レンタル、補償付)で決定。

■交通:
 Dubaiはメトロを主手段にして、必要に応じてトラム、モノレール、渡し船を利用。
 Abu Dhabiはタクシー。
 真冬でも平均気温は25℃くらいあるので、日中は暑く、徒歩での移動は基本的に避けます。

■宿:
 今回は宿選びが一番迷った。今回の目的は、「砂漠の中に突然現れた超近代都市を楽しもう!お金をかければこんな楽しい時空間体験が作れちゃうんだ、すごいなー」という実体験をすることです。「でもそれって、カップルや親子連れが最大限楽しめる、ディズニーリゾートのような場所だよね?お一人様で出かけてどうするの?」という根本的な疑問があります。また、歴史ある都市であれば散策する楽しみもあるだろうけれども、急造都市にそれはなさそう。砂漠でウロウロ歩いてたら熱射病で倒れそうだし。自分がどう時間を過ごしたいのか、イメージが湧かない。
 実際の予約は毎度おなじみbooking.comを使うことに。Dubai、Abu Dhabiで検索するとズラリとホテルが出てくるけれども、なんかピンと来ない。生活的にも気候的にもあまりに馴染みがないので、今回は観光と割り切って、「五つ星」かつ「口コミ評価8以上」という条件で絞り込むことに。下は1.5万円/泊くらいから、上は100万円/泊に迫るところまで、相当な幅あり。(金額は部屋単位。基本的に一人用の部屋はない)
 DubaiはBurj Kharifa中心に回りたいので、Downtownエリアかつメトロ駅近くという立地で絞り込み。ちょっと高めだけれども駅隣接のSofitel Dubai Downtownを約Dh1,000/泊(朝食込)で予約。税等を含めると1.25倍くらいになるので、2泊でDh2,500=7万5千円くらい?朝4:25空港着なので、「できれば朝に荷物を預けて、午後なるべく早い時間にチェックインしたい」旨をリクエストしておく。定時だとチェックインは15時から。
 Abu DhabiはDubaiに比べると安め。Sheikh Zayed Bin Sultan Al Nahyan Mosque近くのThe Ritz-Carlton Abu Dhabi, Grand Canalが約Dh750/泊であったので、予約してみる。税等を含めると2泊でDh2,000=6万円くらい?こちらも「お昼に荷物を預けて、一度出かけて、夕方に戻ってチェックインしたい」旨をリクエスト。

■建築:
 Dubai Mall, Burj Khalifa, Dubai Fountain が作り出す都市体験は、そのスケール、設備、デザインともとても水準が高く、世界一を標榜するだけのことはある素晴らしいモノでした。
 Dubai Downtownに立つと、まずBurj Kharifaを探す。天を突く剣のような外観は、「世界で一番高い建築」というイメージととてもマッチする。
 Dubai Mallは巨大なショッピングモール。内部は空調が効いて快適で、広い広い館内も、いくつかある「広場」と「通り」の組合せが構成されていて、意外と歩きやすい。歩いていると水族館の巨大な水槽、氷を張ったスケートリンク等が現れて楽しい。日本の店だと紀ノ国屋書店、ダイソー、無印良品等が出店。価格的にはどの店も日本の二倍くらいの感じで高級路線。Dubai Fountainに面した立地にApple Store。テラスはDubai FountainとBurj Kharifaを眺める特等席。夕暮れ時からはテラスに出る人が規制される。
 Dubai Fountainの噴水ショーは13:00、13:30、18:00以降30分毎。1回3分くらい。音楽に合わせた水の動きが楽しい。Souk Al Baharへと渡る橋の上は凄い人出になるけれども、観る分には困らない。
 クライマックスはBurj Kharifa。124、125階の展望台、At The Topは必見。夕暮れ時はDh215(その他はDh135)とお値段もすごい。設計コンセプトでは「砂漠の花:スパイダー・リリーに基づく設計」を謳ってはいるものの、実際には地域性を全く感じさせない作りは、「それが都市と言えるのか?むしろテーマパークに近いのではないか」という疑問が浮かぶけれども、時間消費型アミューズメント空間として快適で楽しいことは間違いない。
 中でも、中国の旧正月を祝うプロジェクションマッピングがすごかった。塔が光り輝き、黄金の龍が天へと昇り、再び地へと降り、水中に潜ると同時に噴水の水が立ち上がり、最後は赤い幕が天より降りて旧正月を祝う。まさに圧巻。わざわざ旧正月を避けて上海旅行に行ったのに、まさか中東で旧正月の盛大なお祝いに遭遇するとは。世界どこでも中国。

 Louvre Abu Dhabi。アプローチから期待は高まり、GrandVestibuteの整形の外形に、各国都市名を線で結ぶ謎めいた床パターンを敷き、鋭角的な展示ケースを並べる。ケースの中には同一テーマで三つの文明の遺品を展示。静的な箱の中に動的なピースを配するとてもダイナミックな鑑賞体験。展示への期待を高めます。その先に展示室。整形の外形、床外周を石張り、その内は幅広フローリング。壁は白基調の塗り壁、天井は壁と連続する塗り壁に細い波状パターンのある板ガラスを吊ったシステム照明。白基調の主室に対して、所々不整形かつ黒基調の附室を設ける。展示室と展示室の移動の際に中庭等の景色が垣間見つつ、12の展示室を移動する。室自体は整形で非常にオーソドックスかつ展示が非常に映える。建築と展示が創り出すシークエンスは千変万化でとても見応えがある。そして中庭へ。8層ネットの屋根から降る光が本当に美しい。四方を海に囲まれ、建築と水との織り合いも見どころ。水面の上のステージでモデルのようにポーズを決めて記念撮影する人、水辺へと降りる大階段で寛ぐ人々。太陽の動きに合わせて降る光の向き、床に映る光のパターンも変化するので、いつまで経っても飽きない。展示と中庭で4時間過ごした。本当に観に来て良かった。引き続き2つの美術館とアートセンターも計画中(建設中?)らしいので、また完成したら観に行きたい。

■観光:
 Downtownを一回りしたら、メトロでマリーナ地区へ。超高層ビルを眺めつつ、20分ちょっとでJumeirah Lakes Towers Station着。トラム、モノレールと乗り継いで、Palm Jumeirahを横断し、沿道の高級住宅街を眺めつつ、Atlantis, The Palmへ。カフェで一休みしようとロビーを一周するも、どこも結構な混雑で結局元来た道を戻る。モノレールからの眺めがまさにディズニーリゾートで面白い。
 Old Dubaiでは渡し舟(Abra)が面白かった。運賃Dh1で乗船人数が揃ったら出発して、対岸まで数分。本当に地元の人たちの足という感じ。3つあるSouk(Gold, Textile, Old)は観光記念という感じ。Dubai Museumは昔のDubaiの暮らしを知ることができる。風の塔はその涼しさを感じることができて良かった。でも、ひっきりなしに観光バスで押し掛ける観光客の大群に辟易。地下の展示も照明が変に色が付いていて見難い。最後に地上へと戻る螺旋状スロープを上手く活かしたギフトショップの作りが良かった。Bastaikiya歴史保存地区は歴史的建築物を保存しつつカフェやギャラリーに改装していて散策して楽しい。でも金曜日(Dubaiの休日)だったのでほとんど閉まっていて残念。Old Dubaiはどこもゴミゴミした日常感があり、観光としては今一つ楽しめない。
 Abu DhabiではEmirates Palace Hotelで金粉カプチーノとブルーベリーケーキをオーダー。2日前にLe Cafeを予約しようとメールしたら、満席との返事だったけれども、代わりに噴水そばで屋外カフェを営業しているとのこと。ゲートを入る際に予約の有無をチェックされると聞いていたけれども、実際にはタクシーで素通り。旧正月で中国人の人たちが大量に訪れているので特にチェックもしなかったのだろうか。まずは建物ロビー階を歩き回って、噂の金ピカ内装を観て回る。大きな吹抜け部には旧正月を祝うパビリオンが設けてある。本当に中国の存在感はすごい。噴水のそばは意外と涼しくて気持ち良かった。
 Sheikh Zayed Grand Mosque。一番美しいと言われる、日没の頃に合わせて訪問。外観はとても大きく、白く、美しい。そして山ほどの観光客。荷物検査でWiFiは持ち込み不可と言われて預ける。尖塔シルエットが図として地としてとても美しい。大撮影会場と化している長い回廊をノンビリと進む。柱の植物パターンも全て石の組合せで表現してあって、その手間に気が遠くなる。途中で通路がお祈り用と観光用に分かれる。信仰の施設であり、観光地でもある。その寛大さに感謝。内部に入ると、噂のスワロフスキー製のシャンデリアが吊り下がり、世界一大きなペルシャ絨毯が敷いてある。その美しいこと!イスラム建築独特の面と光の美しさに見惚れる。堂内の人々はみんな上を見上げて写真を撮るのに大忙し。外に出るとちょうど夕暮れ時で、白い外観がオレンジ色に包まれて、柔らか味を感じさせる美しさ。これも絶景。

■まとめ
 観たいと思ったものは観ることができました。それを自分の持つ「建築・都市」という尺度で捉えることが適切なのか、それともアミューズメント空間的な捉え方をする方が実態に沿うのか、整理しきれていません。一人で体験する場合と、複数で体験する場合も異なってくるのでしょう。
 Abu Dhabiは全てタクシーでの移動だったので、どれも点としての捉え方しかできず、線的・面的には体験できませんでした。メトロがあり、景色を自分のペースで眺めることができるDubaiの方が都市的と言えるかもしれません。
 ここで観た現在進行形未来と、自分が携わる現実とその延長が、どこかで交差することがあるのだろうか。全く別モノだろうか。建築・都市をつくる際に使う技術系は接点があるはずですが、求めるビジョン、アウトプットは全然違うのかもしれません。とりあえず記録を残して、自分なりの理解は後の課題に先送りします。

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2018年02月05日

●京都-鞆の浦旅行記 その1 概要編

 2018/02/06(水)~02/11(日)まで、京都-鞆の浦と旅行してきました。その覚書です。
■きっかけ:
 去年読んだ「日本建築集中講義」で、聴竹居、待庵、修学院離宮、西本願寺書院といった、観るのに予約が必要な建築を観る旅がしたいが熱が高まった。どうせ行くなら、人気の高い桂離宮も観たい。どれも京都にあるので、行くなら人の少ない=予約が取りやすい冬が良かろうと思っていたら、2月に時間が取れそうになった。そこで去年の12月に予約状況を調べてみた。まだ2ヶ月以上あるのでどこも余裕だろうと思ったら、桂離宮はすでに半数以上埋まっている。聴竹居は見学曜日が決まっており、待庵はハガキでの申し込みなので見学日の確定に時間がかかる。思う以上に見学日時の調整が難しいことが分かった。取り急ぎ一番埋まっている桂離宮の申し込みから始めて、桂離宮、修学院離宮は同じ日の午前、午後になるよう申込み。一応第三希望まで出すけれども、第一希望で決まるよう一番空きの多い日を第一希望にする。翌日日時確定の返信メールが来て、2/8(木)で確定。次に聴竹居。見学日は水・金・日。ご近所の待庵の見学日が火・木・金・土・日の午前中なので、金曜日の午前に待庵、午後に聴竹居という狙いで申し込み。聴竹居は2/9(金)で決まったけれども、待庵は後日2/10(土)の旨返信ハガキがきた。聴竹居のホームページを見ていたら、藤井厚二の住宅が他にも二つ公開されていることを知る。八木邸は大阪なので近くていいなと思うも2/11(日)の見学会はすでに締め切り。後山山荘は鞆の浦なのでちょっと離れるけれども、第二日曜日のみの公開がちょうど2/11(日)にあたるので、こちらを申し込むことに。残る西本願寺は2/7(水)で調整がついて、旅程完了。

■旅程:
 2/6(火)移動、京都泊⇒2/7(水)西本願寺書院・能舞台、龍谷ミュージアム、京都国立美術館⇒2/8(木)桂離宮、修学院離宮⇒2/9(金)大山崎山荘美術館、聴竹居、国立国際美術館⇒2/10(土)待庵-鞆の浦に移動、泊⇒2/11(日)後山山荘の5泊6日。

■交通:
 地元最寄駅-福山の往復乗車券+新幹線特急券(東京‐京都、京都-福山、福山-東京)。京都・大阪の移動はJR、地下鉄、バス。鞆の浦へは福山からバス。

■宿:
 始めは楽天トラベルで探したけれども、ビジネスホテルはどうも面白くないし、一人旅で高価格帯のホテルに泊まるのも今一つ興味がわかない。booking.com だとどうかなと思って検索すると、共用部が充実したドミトリー型ホステルがとても口コミ評価が高い。しかもオフシーズンのせいか、3,000円/泊を切る価格設定。立地がとても良い案件が複数ある。いつの間にこんなに充実したんだろうか。面白そうなので、前半2泊を京都御苑近くと交通アクセスはちょっと劣るけれども評価がやたら良い京都モーリスホステル、後半2泊を京都駅至近のピースホステル京都に泊まることに。鞆の浦は楽天トラベルで検索して、「崖の上のポニョ」制作時に宮崎駿監督が気に入ったという御舟宿いろはを予約。NPOによる運営で評判はいま一つだけれども風情はありそう。

■建築:
 西本願寺。書院、能舞台を案内いただく。ほとんどが国宝にも関わらず、対面所(鴻の間)を座敷にして南能舞台の能を観るという話にビックリ。雨のさいは鴻の間の縁側寄りを舞台に使うという話も面白い。随分と気前の良い話。白書院と鴻の間の間にある武者隠しの間も秀吉らしいと思わせる。

■観光:
 

■まとめ
 

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2018年02月03日

●上海-杭州-寧波 旅行記 その6 西湖、新天地

 5日目。杭州最後の日なので西湖へ散歩。雪の西湖は珍しいらしいけれども、寒いし滑る。結局ランニングもできず。それでも記念写真を撮る人で朝から結構な賑わい。古建築と湖の組合せは写真映えするけれども、振り返ると大観光地の建物群がビッシリ建っているので、映画のセットみたい。杭州東駅から上海虹橋駅へ。さらに10号線で新天地へ。いったん荷物を置かせてもらおうと、本日の宿へ。
 高徳地図は里弄建築の門内側近くを示す。住所もあってる。でも、それらしいものがない。門の警備員さんに予約メールを見せると、斜め上を指さす。?。受付なり管理人さんスペースなりがあったりしないの?。もちろん、言葉は全く通じない。そのうち女の人が来て、建物の中に入って行く。警備員はその女性を指指す。?。よく分からないけれどもついていく。古い木製階段を上って2階へ。そして扉を2枚開くと、写真で見た部屋が出てくる。女性はこちらに目もくれず、部屋の掃除を始める。話しかけてもやはり言葉が通じない。しばらくボーッと眺めていて、ようやく事態を理解。
 つまり、今夜の宿は他の人が住んでる里弄建築の中の1室だけを貸す。それが2階にあるので、警備員は斜め上を指さした。部屋は小ぎれいだけど建物自体は古いので、共用部と室内のギャップがすごい。多分今掃除している部屋が今夜の宿だけど、今掃除をしている人には私の情報が行ってない。メールを見せて、事態を説明。掃除中の部屋はRoom 4らしいけれども、残念ながらメールにその記載はない。そのうち、何やらアイフォンでLineのようなアプリをいじり始めた。これが微信?旅行者も使えると良いのにね。何往復かした後に、やっと私の名前が出た。コロッと態度も変わる。今夜の宿泊者が私であることは理解してもらえたけれども、「荷物を預けて外出したい」という内容が伝わる気がしないので、そのまま掃除の完了を待つ。カギを受け取って一難完了。オーナーさんが来るかと思ってしばらく待つもその気配がないので、外出することに。宿泊費はいつ渡すの?
 改めて考えてみると、新天地に隣接した里弄建築内に泊まれるのはとても魅力的。自分もそこで暮らしている感じがする。抜群の立地のわりにとてもお値頃(315元/泊)だったのは、こういう事だったのね。アイフォンにオーナーから英文メッセージが来て、一件落着。言葉が通じるって素晴らしい。

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●上海-杭州-寧波 旅行記 その5 4日目 寧波博物館

 4日目。杭州東駅から高鉄で寧波へ。チケットは翌日の上海戻り分と合わせて、昨日のうちに買っておいた。驚くほど英語が通じないのと、全席指定で当日だと売り切れも多いので、事前の段取りと高徳地図が頼みの綱。さらに1時間半前には待合スペースで待機。やはり、鉄路を走る飛行機。
 1時間弱で寧波到着。帰りの切符を買って、高徳地図で寧波博物館を検索。633路で40分弱、25分くらいに1本と出る。とりあえずバス停に向かうと、ちょうどバスが来た。着いた先は、鄭州区庁舎と文化センターと寧波博物館が向かい合う、巨大な広場。どの建物も、あきれるほど大きい。王澍の設計は前衛的と思っていたので、こんな巨大な政府プロジェクトに関与しているとはビックリ。
 レンガ、瓦、様々な仕上げのコンクリート。これら素材が壁面を鋭角的に、まるで屋根の稜線のように分割する。この切り替えが上手い。こんなに巨大なのに、威圧感よりも「動き」を感じる。建物は単純な箱型ではなく、上層部が分割され、外壁の角度にも変化をつけている。物質感豊かな素材と、変化に富んだ面・形の組み合わせが「動き」を生む。重さと動き、相反しそうな組み合わせで成功しているところがすごい。緑が見えるので、屋上庭園もあるのだろう。一周してから中へ。
 入館料は無料。入ると4層の吹抜け。吹抜けに面した手摺立ち上がりと壁面は荒いRC仕上、一面のみ白塗り壁。右手の光沢メタルパネル仕上げのエスカレーターと射す光が、上方運動を劇的に演出する。正面には大階段。
 1階では特別展「CHINA 与 世界」を開催中。冒頭に遣唐使船と鑑真和上紹介。
 白い壁の向こうに、プロフィリットガラスの中庭。
 3階はウッドデッキ張りの屋上テラスを出入りする構成。平面、立面とも斜め線を多用。モノとモノ、中と外が激しくぶつかり合う。瓦や石積み、コンクリートの外壁構成と相まってとても迫力がある。ところどころ外へと抜ける視線が効果的。
 3階展示室では「金玉大明」展を開催中。明王朝の金装飾・宝石がキラキラ輝いて綺麗。カフェもあって、まるで王澍世界の都市に迷い込んだような内外回遊が楽しい。屋外大階段を降りて、出口へと至る経路もダイナミック。やはりこの人のデザインは、動線と外部造形がとても良い。
 カフェで抹茶ケーキとカフェラテを頼んでまったり。味はそれほどでもないけれども、満足度は高い。出口から建物を見返して、遺跡のような重厚感と、ランダムな幾何的構成の融合に、凄い建物だなと改めて思う。633路で駅に戻る。今回も10分ほどでバスが来た。高徳地図とバスは相性抜群。
 寧波駅で高鉄の乗車改札開始まで待機。高鉄改札前には、大きなペイント缶?を抱えた一群が陣取っていた。春節前の里帰りなのだろうか。乗客層がこれまでと明らかに違う。

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●上海-杭州-寧波 旅行記 その4 3日目 中国美術学院象山キャンパス

 3日目。7:30に朝ごはん。先客は祖父母、若夫婦に女の子の、昨夜の賑やか御一行様。若夫婦一行は嵐の如く出発し、老夫婦と一緒に朝ごはん。お粥、卵焼き、薄いパン生地?に豆乳の中国風朝ごはん。美味しい。相変わらず、言葉は全く通じない。
 素敵なホームステイにお別れして、杭州東駅へ。初めての高鉄なので、2時間前から待機。なぜか高徳地図の時刻表に予約した列車番号がなく、イヤーな予感。そして、天候の為、欠便の表示。高徳地図で座席の空きを見て、メモ帳にメモって、チケットオフィスへ。列の短い列に並んだら、refund(返金)の列と言われて並び直し。振替はchange。Dナンバーの電車を書いたら、それは立ち席と言われてGナンバーの電車に変更してくれた。予定より少し繰り上がって無事出発。
 高鉄はまるっきり新幹線。と思ったら、「完全に中国で作った」という放送が流れる。ターミナルの仕組みは出発と到着を階で分ける形式なので、その巨大さとあいまって、空港に近い。鉄路の港。そう考えると、確かにmade in China か。
 1時間弱で杭州東駅に到着。1号線でホテルへGo !杭州では移動が多いので、地下鉄駅からの近さと値頃感でホテルを決定。ロビーが暗く、ああ…と思ったけれども、部屋は綺麗。299元/泊で2泊。
 荷物を置いて、いよいよ中国美術学院象山キャンパスへ。高徳地図で調べると、ホテルのすぐ近くから4路のバスに乗れと出る。10分に1本くらい。果たして、地図通りの場所にバス停があり、4路のバスが停まってる。高徳地図を運転手に見せて、停まることを確認。2元払って乗車。移動中も高徳地図でどこを走ってるか分かるので安心。50分弱で最寄駅で下車。すごい精度。正門?が閉まってて焦ったけれども、回り込むと開門してる。見学客がゾロゾロいて安心。流れに沿って建築学科の建物群を目指す。
 最初に見えてくるのは隈さんの民芸博物館。背景の山に溶け込むような在り方がカッコいい。その向こうに、ラーメン造の積層に木造トラスの屋根を架けたような建物。王澍設計のホテルに思われるけれども確証はなし。さらに進むと、いよいよ象山キャンパスが見えてくる。あの特徴ある山形屋根と素材の積層が特徴的な14号棟を水面越しに眺めたところで、時間配分上、先に民芸博物館を見ることに。丘を登っていくと、ワイヤーで瓦を吊った壁面が見えて来る。黒い被覆で目立たないが、鉄骨フレームが露出。展示替期で中は観られないので、建物の奥の斜面を登る。民芸博物館の屋根越しに、11号棟の緩やかにうねる屋根、14号棟のリズミカルな曲線屋根。雪化粧と相まって、大地と一体のランドスケープに見える。その向こうに直線的な都市。さらに向こうに山並み。なんとも印象深い眺め。回遊路を降りて、キャンパスへ。
 オフィス機能を持つ17号棟から。木とガラス、二つの中庭。木の方が抜群の存在感。白塗、レンガ、コンクリート。素材と光の静かな構成。窓・屋根形状も控えめ。
 続いて美術館の15号棟。中庭にbauhausの立体ロゴ。外部空間は立体幾何的で変化に富む。
 反りのある山形屋根の双棟、14号棟。外周にレンガとコンクリートの縦長スリット+ガラスの組み合わせ。中に入ると白壁を不整形に切り欠いた開口を抜けて廊下側へ。中庭に面する外壁は木。
 W字型の18号棟へ。建物から片持ち梁で持ち出した長大なスロープ型外廊下がダイナミックにうねる。「動き」を先にデザインして、それに合わせて諸室を配置したように見える。建物もスロープと呼応するように持ち上げる、傾ける。歩いてみると、視線変化が多彩で楽しい。縦に集約した動線もあり、慣れれば普通に使えるのだろう。外壁が向かい合う面を閉鎖的、外向く面を開放的に作る。
 民芸博物館のさざ波のような外観が山と一体化するようだと眺めながら、11号館へ移動。こちらもW字型。外壁は全面塗り仕上。棟番号的にこちらが先か。スロープ床にカラフルなテープが貼ってあって、各行き先が書いてある。使用上の苦情があった?たっぷり歩いたので、切り上げて戻る。

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●上海-杭州-寧波 旅行記 その3 2日目 上海

 2日目。7:30に朝ごはん。トーストと目玉焼きと豆乳?美味しい。相変わらず言葉は通じないけれど。明日の高鉄チケットを予約しに上海虹橋駅へ。1階のチケットオフィスが閉まっていてウロウロ。高鉄の待合フロアにチケットオフィスもあるとのこと。メモ帳に希望チケットを書いて列に並ぶ。チケットゲット。トイレの空き/使用中が分かる電光掲示板を眺めて、次の目的地へ。
 隣接する上海虹橋空港まで歩いて10号線→12号線と乗り継ぐ。巨大ショッピングセンター&高層住棟群を横目に龍美術館西岸館へ。工場の遺構を残しつつ、アールを付けた巨大なボリュームを2棟並列するダイナミックな構成。展示は4つ、入館料はレンブラント展込みで250元、なしだと50元。4千円を超える価格にちょっとビックリしつつも、全部込みを選択。荷物は基本的に持ち込み不可、ただし携帯くらいは可。当然、大撮影大会。主展示のXing Jing展が面白い。グラスファイバー製の巨大像が大量に並ぶ。ロン・ミュエクを思わせるけれども、そこまで精緻ではない。物凄い物量は圧倒的。RC打放しの神殿のような巨大空間に物凄くフィットする。地階で「レンブラントとオランダ絵画の黄金期、ライデンコレクション名品展」。日本からの巡回展?前半のレンブラントが充実、ダビンチは素描一枚。フェルメールも一枚。価格のせいか、とても空いてる。流石に撮影不可。マスターピースと1対1で向き合える貴重な機会。照明は反射があって今一つ。再び主展示へ。空間に呑まれるようなスケール感が面白いけれども、美術館として優れているかは疑問。でも、Xiang Jing との相性は抜群。反対側の建物には、カフェとギャラリー。カフェはちょっと暗くてパス。ギャラリーを上がってテラスに出られるけれども、雪で外部は閉鎖。離れのような建物も空のまま放置。ガラスも汚れ気味で、ちょっと管理が行き届いていない感じ?
 西岸沿いを散歩。雪が残る遊歩道を走るランナー。ランニングセットは持ってきたけれども、寒さと大気汚染に怯んでいます。
 余德耀美術館。工場のリノベーションに1面だけガラスのカバーをかけた空間。段状ロビーの空間構成はダイナミックだけれども、詳細デザインが伴わない感じ。主展示、Shanghai Galaxy 2 のブランコが撮影会状態。
 田子坊へ。ここもストック活用型観光地化の例。観光客で大混雑。原宿という感じ。一周して宿に戻る。静かだった昨夜から一変して、賑やか。

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●上海-杭州-寧波 旅行記 その2 1日目 上海

 浦東空港でWi-Fiオン。接続OK。マグレブ片道+メトロ一日券を購入して、市内へ。マグレブは7分でおしまい。メトロに乗り換えて南京西路下車。外は雪。WEB版百度地図や高徳地図をにらみながら、宿を目指す。大まかな位置は推測してあるけれども、やっぱり現在位置の表示が欲しい。
 初日の宿、シーロンホームステイに到着。住所は里弄路地の特に何の表示もない一角。呼び鈴を押すと、門が開く。小さな前庭の奥に、ガラス張りのリビング。玄関がない。管理人らしき女の人が何か言っているが分からない。呼び鈴の警報を解除するためにカードキーを当てろとのことだった。
 リビングに上がって、宿泊手続き。こちらは片言の英語くらいは通じるだろう、相手は片言の中国語くらい通じるだろうと思いつつ、全く通じない。見かねた宿泊客のトーマスさんが通訳してくれて、無事パスポートチェック、宿泊費支払い、部屋の案内、Wi-Fi、水廻りの説明を受ける。
 部屋は思った以上に素敵。水廻りは共用だけれども、洗面、トイレ、風呂だけを一室に分離した形で、とても綺麗。一泊425元で2泊。上海にしてはお得な気がする。外は寒いけれども、エアコンは29℃に設定してあって暖かい。朝食が選べるので、翌朝は西洋風、翌翌朝は中華風をリクエスト。
 街中へ。南京西路に戻る。雪の中、巨大スタバのものすごい行列を脇目に13号線で新天地へ。古い里弄建築を活かして観光名所化したという、ストック活用型再開発の例。でも、雪は降るし人は多いわでよく分からない。感じとしては、同潤会アパートを活用した表参道?ここでもスタバ。南京西路に戻って、ファミマで買い物して、宿へ。
 やっぱり、地図がなければ!というわけで、オフライン版の高徳地図をインストール。VNPが頻繁に切断されつつ、なんとか完了。現在位置が分かる!目的地までの行き方も分かる!高鉄の時刻表も出る!チケットの残り枚数も出る!すごい!

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●上海-杭州-寧波 旅行記 その1 概要編

 2018/01/27(土)~02/2(金)まで、上海-杭州-寧波と旅行してきました。その覚書です。
■きっかけ:
 去年のGWに突如ザイカ先生が上海旅行記をつぶやき始めた。マシンガンのようなスピード、臨場感たっぷりな実況に、すっかり「そうだ、中国行こう」に。とはいえ、ザイカ先生のようなハプニング体質ではないので、旅の主軸が要るよなーと思案。やっぱりここは、現代建築だろう。
 中国の現代建築というと?王澍かな。というわけで、中国美術学院象山キャンパスと、寧波博物館が主訪問地に。それと、日本の十倍以上の人と土地があるのだから、ほんとに経済発展しちゃったら、そのスケールは想像を絶するのでは?という興味から、スケール感のある開発とかも観たい。
 またまたザイカ先生の旅行記から、上海西岸の巨大私設美術館に興味が。というわけで、龍美術館西岸館と、余徳耀美術館がリスト入り。初中国だから、観光は?と思いつつも今ひとつ興味が湧かない。年が明けて、とある事情で旅行をする時間ができた。よし、ここだ!
 はじめは2月中旬を考えたけれども、旧正月と当たって大変そうなので、繰り上げ。期間は一週間くらい。まずは飛行機。中国東方航空が安いけれども、遅れたりするらしい。初中国には厳しいかなというわけで、ANA。往復7万ちょっとだったので決定。上海から他所へ飛ぶのは時間的に却下。

■旅程:
 上海2泊⇒杭州2泊(2日目は日帰りで寧波に移動)⇒上海1泊の、計5泊7日 (帰りの飛行機が1:45発の深夜便なので、2/2は移動のみ)の旅でした。

■お金:
 中国は携帯電話での決済が普及しているそうですが、外国人旅行者が使うのは相当にハードルが高そうかつ、日本のクレジットカードは使える場所がとても狭そう。なので、とても両替レートの良い両替屋さんが秋葉原にあるとのことなので、日本で人民元に両替して行くことにしました。相場感が分からないので、とりあえず一日1,000元と考えて、6,000元両替して行きました。傷害保険は何かあった時の対応力に期待して、AIUを申込みました。

■インターネット:
 中国では金盾というネット規制(?)があるらしいので、日本でVPN付のWi-Fi (大容量バッテリー型) をレンタルしていきました。VPNをオンにすると日本と変わりなくネットにつながりますが、VPNは結構ひんぱんに切られるので、その度に再度オンにする必要があります。
 地図アプリは高徳地図というアプリが物凄く役に立ちました。目的地を入力すると、現在地からの経路を公共(電車+バス+徒歩)、徒歩等に切り替えて表示してくれて、さらに高鉄は時刻表、バスは運行間隔まで表示してくれます。また、アイフォンの中国語入力をオンにしておくと、日本の漢字で入力しても簡体字に置き換えて検索してくれます。高徳地図は中国のアプリなので、VPNがなくてもつながります。

■交通:
 上海虹橋⇔杭州東、杭州東⇔寧波のそれぞれ往復は高鉄を使いました。
象山キャンパスと寧波博物館は高徳地図で検索してバスで行きました。ルート表示上にバス停名も表示されるので、中国語が聞き取れなくても現在地が分かって、降車駅を間違える心配もありません。

■宿:
 booking.com で予約していきました。
 上海では現地の生活感を感じたかったので、ホームステイ型の宿を予約しました。特に最後の1泊は新天地に隣接した古い里弄建築 (1926年築らしい) の中の1室で、共用部は物凄く古いですが室内は小ぎれいにリフォームしてあり、価格も手ごろ(315元/泊)でとても良かったです。ただし、英語が全然通じないので、鍵の受け取りとかで苦労しました。
 杭州では立地と価格重視で、ちょっと古めのホテルに泊まりました。

■建築:
 上海では龍美術館西岸館(大舎建築)、余德耀美術館(藤本壮介(方案のみ?))、Water House(neri&hu)、Light Place (安藤忠雄)、ヒマラヤセンター (磯崎新) 等を観ました。Light Place はAegean Shanghai という去年末にオープンしたばかりの超巨大商業コンプレックスの 7-8階にある本屋+多目的スペースですが、8階にある Pearl Art Museum と繋がっています。開館記念に安藤忠雄展(新美術館の安藤忠雄展の巡回)をやっていたのですが、光の教会の原寸再現の代わりに Light Place を見せるようにしているのが上手かったです。Water House はちょっとカッコつけすぎで周りから浮いてる (沈んでる?) 気がしました。
 杭州では中国美術学院象山キャンパスと民芸博物館(外部のみ)を観ました。キャンパスの向かいに建っているリゾートホテルも王澍の設計みたいです。ラーメンの積層の上に木トラスの屋根を架けたようなボリュームが連続する外観の建物群です。象山キャンパスのスロープ外部動線が面白かったです。民芸博物館もカッコいい。
 寧波では当然、寧波博物館を観ました。あんなに大きいとは思いませんでした。また州政府の建物と向かい合ってるのも意外。王澍って前衛的な建築家という印象ですが、意外と政府との付き合いも上手いのでしょうか(そうじゃないと中国美術学院の建築学部長にはなれないでしょうが。。。)。博物館は外壁と3階の屋外デザインが素晴らしかったです。カフェがあるのも良かった。

■観光:
 外灘からの浦東の夜景は絵葉書のようですね。
 南京東路は六本木な感じですかね。
 新天地は里弄建築が面白かったです。同潤会アパートメントがあった頃の表参道という感じ。
 田子坊は原宿。
 水郷は日程の都合上あきらめました。
 杭州では西湖の雪景色を観ましたが、振り返ると大観光地の建物がズラリと並んでいるので、映画のセットのようでした。

■まとめ
 新天地の里弄建築の泊まったことで、里弄内部の生活を身近に観ることができたのがとても良かったです。
 建物では寧波博物館の遺跡のような存在感+動きを感じさせる外壁・外部空間構成の融合が素晴らしかったです。

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2017年03月03日

●竹中大工道具館

 前々から気になっていた竹中大工道具館を初訪問しました。日本で唯一の大工道具の博物館であり、かつ、日本最初の工務店、竹中工務店の博物館です。

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 新神戸駅から徒歩3分。のはずが、駅を出ても影も形も見えずにキョロキョロ。Google Map 片手にウロウロしてようやく到着。

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 門を潜ると、奥の深い庇とガラス面が水平に長く連続。一見伝統的に見えて、実は大スパンの鉄骨アーチ型架構だそうです。
 閉館(16時30分)まで1時間半しかないので、1階の特別展をささっと観て、目当ての常設展目指して地下1階へ。中庭をぐるりと回るあたりで急に階段の揺れが大きくなったので、「構造が変わったのかな」と思いました。
 
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 歴史の旅へ
 『釿(ちょうな)と槍鉋(やりがんな)で法隆寺を建てた』というのは、図解本で読んだことはあるけれども、実際に観ると、その凄さ、大変さが伝わってきます。鋸がまだないので、大木に楔を打ち込んで割り、あとはひたすら斫って削る。屋根の垂木等もひたすら削る。槍鉋を使っている動画を観ても、本当に大変な仕事。よくもあんなに立派な建物が建ち、1,300年を経て現役なものだと感動することしきり。また法隆寺に行きたくなりました。
 サブテキストには「ほぼ日刊イトイ新聞 法隆寺へ行こう!」が最適。

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 右手にあるのは二人用の大鋸。葛飾北斎『富嶽三十六景 遠江山中』でお馴染みの木挽きの場面。やはり、鋸は木造作になくてはならない道具だと感じます。

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 棟梁に学ぶ
 「最後の宮大工」西岡常一の材料見積資料。これは図版でも見たことなかったので、こうやって部材拾いをしたのかとびっくり。観られて良かったです。

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 唐招提寺金堂の屋根・升斗栱の原寸再現模型。その加工はもちろん槍鉋。淡く波打つ表面を観ながら、その削り出しの手間を想う。大屋根から柱へと伝わる力の流れが美しい。

 道具と手仕事
 原寸継手を分解、組み立てることで、その複雑かつ精度の高い仕組みにびっくり。

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 和の伝統美
 地下2階に降りる。茶室のスケルトン模型。原寸教科書的な分かり易さと、繊細さ。中に入れるのが嬉しい。

 後半駆け足で回るも、あっという間に時間切れ。上階に戻ると、ミュージアムショップも閉まっていました。次回はたっぷり時間をとって来よう。

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2015年02月09日

●熱海ツアーその2 MOA美術館

 12時前に熱海駅に戻って昼ごはん。と思ったものの、どこも人でいっぱい。観光地熱海をなめていました。一番回転の速そうなマクドナルドで手早くお昼を済ませて、タクシーで次の目的地「MOA美術館」へ。

 エスカレーター:エントランスから美術館本館までは約60mの高低差があり、7基のエスカレーターを乗り継ぎます。エスカレーターの壁面や天井は照明が刻々と変化します。 工事に際しては、自然環境をそこなわないよう、山の斜面を上から掘り下げて通路を設置し、完成後、元通りの山に復元したそうです。設計施工は鹿島建設。(参照:ウィキペディア/MOA美術館)
 一度切り開かれた山面もすっかり緑に覆われ、山中をくり抜いて作ったかのような斜行アプローチは、自然と人工との強烈な対比もあってとても印象的です。
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 本館:3階建てで、1・2階に計10室の展示室があり、他に能楽堂、「黄金の茶室」(復元)、レストランなどがあります。外壁はインド岩砂岩の割肌仕上げ。メインロビーは、1階、2階吹抜けの大展望室となっており、前面のガラスは幅32m、高さ8m。設計施工は竹中工務店。(参照:ウィキペディア/MOA美術館)
 1982年の開館以来33年を経た外壁は今も美しく、素材の選択とメンテナンスの良さの賜物だと思います。
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 本日のメインイベント「光琳アート」展へ。MOA美術館「紅白梅図屏風」と、根津美術館「燕子花図屏風」尾形光琳の2大国宝がここに出会う!そして光琳が後世に与えた影響をたどり、現代へと至ります。

 「光琳屋敷」(復元):江戸時代、尾形光琳が自ら設計し、生活した晩年の京都における屋敷を史料に基づき復元したもの。復元設計早川正夫。(参照:ウィキペディア/MOA美術館)
 展示を2順して満喫したのち、屋外を散策。当然、光琳屋敷へも足を延ばします。でも、外から土間をのぞく程度で、内部空間はあまり分かりません。せっかく再現してあるのにもったいない気もします。
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 閉館近づく16時半少し前。再び本館に戻って、2階のメインロビーからムーア広場越しに海を臨みます。天気も回復して青空が広がり、素晴らしい眺望!
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 タクシーで再び熱海駅に戻り、反省会の会場探し。駅周辺はまだ人出で賑わっているものの、少し離れた「囲炉裏茶屋」で無事席を確保。とある理由で金目鯛でお祝い。おめでとー!
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 19:41熱海発の東海道線に乗るべく駅方向に戻ると、お土産を買おうにも店はことごとく閉まり、あんなにいた人影もなし。温泉街の日曜の夜は早い。コンビニでおやつを買って、グリーン車で帰路。熱海を満喫した1日でした。

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2015年02月08日

●熱海ツアーその1 「旧日向家熱海別邸地下室」と「水/ガラス」

□熱海へ行こう!
 観梅には少し早い2月の第2日曜日に、熱海に出かけました。もともとはMOA美術館で開催中の「光琳アート」を観に行こうというところから始まって、せっかく行くならブルーノ・タウト設計の「旧日向家熱海別邸地下室」も観たい、さらに隣接する隈研吾設計の「水/ガラス(海峯楼)」も予約すれば観られるらしいと話が広がって、総勢12人の濃密な日帰り熱海ツアーと相成りました。下調べ、コース設定、見学予約、人数及び時間調整をして下さったKINさんに感謝。

□予習:ブルーノ・タウトと隈研吾
 ブルーノ・タウト(1880-1938)はドイツ表現主義の建築家で、手がけた集合住宅はベルリンのモダニズム集合住宅群の一部として世界遺産に登録されています。1933年に来日し、3年半日本に滞在。桂離宮の美を著作を通じて世界に紹介したことで有名。「旧日向家熱海別邸地下室」は彼が日本滞在中に手掛けた2つの建築のうちの1つで、唯一の現存例。(下記参照のうえ要約:「ウィキペディア / ブルーノ・タウト」「NPO法人日向家熱海別邸保存会 / 建築家・B.タウト」)

 隈研吾(1954-)は自身のHPの「水/ガラス」のテキストにおいて、「この建築の隣地にはブルーノ・タウトが設計した「日向邸」 (1936年) がたっており、タウトはそこで〈建築とは形態ではなく自然との関係性である〉という日本建築の原理を実践しようとした。この建築はタウトへのオマージュでもある。」と述べています。(出典:「隈研吾建築都市設計事務所 / 水/ガラス」)

□旧日向家熱海別邸地下室
 9時15分東京発の快速アクティーのグリーン車で熱海へ。11時熱海駅に集合して、小雨ぱらつく中、歩いて旧日向別邸へ。急坂を登り、海峯楼手前で左に折れて、急坂を降ったところに木造2階建ての上屋が見えます。こちらは東京国立博物館本館や、原邦造邸(現原美術館)の設計で有名な渡辺仁設計。11:30からのガイドツアーを予約してあるので、中に入ってツアー参加者が揃うのを待ちます。見学は完全予約制で、1回10人までとなっています。詳しくはこちら
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 窓の外には庭園越しに、熱海の海の眺望が広がります。この庭園は実は屋上庭園で、その下に旧日向家熱海別邸地下室があります。
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 10分ほどDVDでの解説を聴講した後、いよいよ地下室へ。ボランティアの方が分かりやすくガイドして下さいます。階段を下りていくと、竹格子の向こうに空間が広がります。竹格子は建具枠に直接固定せず、棕櫚縄(に仕込んだ針金)でつなぎ合わせて、浮いてるような細工。少し左に折れて、緩やかにクオーター円弧を描くように社交室へ。手すりも竹細工で、庭園を回遊するよう。

 社交室天井は、長手に2本の見切り材を通して天井面を3分割。室内には卓球台を置いたそうで、見切り材の位置は台の短辺幅と合わせてあるとか。天井両端面は天井中央面高さから少し下げかつ、桐材を斜めに組み合わせた平面パターンて変化をつけています。天井から吊るした竹に裸電球を吊り下げ、竹細工の紐で吊っているような照明造作も凝っています。ただし今は使っておらず、部屋中央に別の吊り照明が設置されています。右手壁面は桐の腰壁とレモンイエローの塗り壁。タウト設計の椅子の高さと腰壁の高さが合わせてあり、デザインの徹底性がうかがえます。床はナラ材(?)。

 振り返るとアルコーブがあり、その壁面には竹を縦に並べた意匠。全く隙間なく並べる素晴らしい精度。天井板は一見長方形に見えるけれども、実は空間の奥行きを感じられるよう、台形型に一枚一枚加工。天井レベルも外壁に向かって下げてあるとのこと。

 社交室の奥に洋間。大きな段状廊下で変化をつけた床レベル、赤く染めた絹布の壁面が、傷みが目立つとはいえ、今も美しい。段状床は3段目と5段目の踏面張り出しをなくして腰掛けやすいよう配慮、また1段目平面は緩やかな円弧を描いて壁面と取り合うことで社交室との角度ある接続を緩和。窓面は折れ戸。当時のままというガラスが美しい。残念ながら今はアルミサッシが嵌められ、折れ戸を開けると完全に自然と一体化するダイナミズムは失われていますが、保存の観点からやむなし。天井はクロス材が貼られ、1端部が剥がれて垂れているのが残念。オリジナルとは異なるとのこと。和室との間の建具は当初は楓の板張りだったけれども、今はクロス材が貼られています。

 さらに奥には日本間。天井材が1000年の埋没材とのことで、そんな材料があるのかとビックリ。すみっこに小さな床の間があり、その柱材は両面柾目。しかもべんがら色の漆で着色。材の選択も贅沢な限り。建具は障子。建設時は障子と雨戸のみだったそうで、開け放てば海へ完全に開放できる構成。夏は涼しくて気持ちよかったかも。今はアルミサッシが嵌めてあります。

 奥のベランダには木製ブラインドを内臓した建具があり、材の細さと保存状態の良さに驚嘆。洋間-和室間の欄間細工もそうですが、80年経っているとは思えない状態の良さ。造作には宮大工が携わったそうで、その高い技術のほどがうかがえます。

 部分的にオリジナルと異なる部分、傷みの目立つ部分もありますが、全体的には保存状態は良好。庭園を歩くような階段周り、洋/和と変化する空間構成、内装及び建具等の凝った設えの数々等を実際に体験できることが何より素晴らしいです。

□水/ガラス
 1時間ほどで見学ツアーを終えて、次は「水/ガラス」へ。もともとは企業のゲストハウスとして建設されましたが、今は高級旅館「海峯楼」とて運営されています。この建物の見どころはなんといっても3階のウォーターバルコニー。縁側に見立てた水の水盤と、深く出されたステンレス製の庇。その間に挿入されたガラスの円形空間が海へと迫り出します。手すり等視界を遮るものはなく、中と外が一体化しています。
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 その両側には洋室が配されており、現在はスウィートルームとして運営されています。プライバシーへの配慮から、ウォーターバルコニーに面した面は半透明フィルムで目隠しされています。当初はウォーターバルコニーを挟み込むように連続した空間を構成していたでしょうから、今とはまた印象が異なったと思われます。今回は右側の部屋「風科」を見学させていただきました。面積90m2、天井高さ7mの室内も広々としていますが、なんといっても水の縁側とステンレス製の庇越しに広がる熱海の眺望が素晴らしいです。
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 洗面、浴室と連続して露天ジャグジーが設けられており、水の縁側と同じレベルで眺望が楽しめるよう計画されています。
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 1995年の竣工時に建築雑誌で見て以来、どんな空間なのだろうと気になっていた実物を体験できて感激です。快く見学を許可下さった旅館スタッフの方々に感謝します。

 実際の空間はちょっと落ち着かないというのが正直なところ。宿泊施設というよりもショールームに近い感じ。ゲストハウスとして運営された頃は、「ガラス張りのショールームで眺望を満喫し、1階の大広間で芸者さんを呼んで宴会」といった接待が夜な夜な繰り広げられたのでしょうか。用途を変えつつ現在も活用されていることに、単なる使い勝手等では測れない、建築としての魅力があると思います。

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2013年03月10日

●HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION

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 青海駅前の特設会場で開催中の「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」を観ました。

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 0 [会場構成] 隈研吾
 木組みによる通路+ベンチ。

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 1 [住の先へ] LIXIL×伊東豊雄
 格子戸を現代風にアレンジした「可変縦型ルーバー」で光と風とプライバシーを調節する半屋外空間。透明カーテンで囲われたトイレ+シャワー、かまどや囲炉裏のあるキッチンテーブル。建材メーカーLIXILの最新パーツを使って、モックアップをそれらしく構成。マンションでも使用可能を謳うのであれば、床防水への対応も示して欲しかった。

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 2 [移動とエネルギーの家] Honda×藤本壮介
 エネルギーを結節点として車と共生する家。三層の入れ子構造の家屋と、段階ごとに変化する乗り物形態が特徴。層間の仕切りは省略して、コンセプトコラージュとして表現。コンパニオンの方がUNI-CABに腰掛けながらキッチンをスイー、スイー、と移動するパフォーマンスと、泡風呂の泡の実演が面白い。白く塗った建屋がCGのよう。

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 3 [地域社会圏] 未来生活研究所×山本理顕、末光弘和、仲俊治
 500人共生コミュニティーを1/5モデルでビジュアル化。東雲キャナルコート1街区の発展形のような感じ。東雲が内部と外部のシャッフルだったのに対して、今回はプライベートとパブリックのシャッフル。スケルトンの巨大さが気になるけれども、立地が良ければ住んでみたいと思う。

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 4 [数寄の家] 住友林業×杉本博司
 ゆったりとした間取りで快適さを演出する「数寄の家」と、古物と技法で価値を作り出す茶室「雨聴天」。先日の狩野先生の「若冲は旦那芸」という発言を思い出して、これも旦那芸だなと思う。

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 5 [家具の家] 無印良品×坂茂
 先日の講演会で話しに出ていた製品版「家具の家」。良品計画の家具で埋め尽くされた内部は、当たり前だけれども良品計画の店舗みたい。坂さんの大胆さが意外と感じられないのは、埋立地のスケールに負けてるからか。ワンルームに洗面・トイレ・浴槽をまとめる間取りは疑問。

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 6 [極上の間] TOTO・YKK AP×成瀬友梨・猪熊純
 外部を白く、内部を緑化の対比を徹底した計画。内部空間に立ち入れないので、緑化したトイレが心地良いか今一つ実感できない。ビジュアル的な面白さを優先した感じ。

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 7 [編集の家] 蔦屋書店×東京R不動産
 マンションリノベーションのIKEA。有料パビリオンとしては空間的な魅力に欠けると思うけれども、来場者の方たちの反応は上々。パーツ一つ一つの値段を吟味しながら作るプロセスが大切。

 パーツの組み方の工夫で、これからの暮らし方を提示する展示会。全く新しいビジョンやツールを目指すのではなく、地に足をつけながら前を向こうという姿勢が現代的。

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2013年02月16日

●隈研吾講演会「新しい歌舞伎座について」@サントリー美術館

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 サントリー美術館で開催中の「歌舞伎座新開場記念展 歌舞伎 ―江戸の芝居小屋―」。その一環として開催された記念講演会「新しい歌舞伎座について」を聴講しました。講師は新しい歌舞伎座の設計者隈研吾氏

 新しい歌舞伎座では春夏秋冬異なった照明を計画している。また、夜中まで照らす予定。建物も見所いっぱい。普通の建物の3倍手間がかかっている。多種の布を使っている。とてもこの時間では説明できない。今回は現場では出来ない話として歴史の話。建物について調べていくと、非常に変わった経緯を経て継承されてきたことが分かり、とても面白い。

 歴史と継承
 3F、4Fの展示でその一端がうかがえます。
 1693年頃。伝菱川師宣「上野花見歌舞伎図屏風」。能の影響。通路が舞台。舞台と観客の間に白洲=間があり、空間全体が舞台。さらに飛躍させたのが歌舞伎。
 1779-94。江戸中期。立体的シューボックス型。
 1850年頃。歌川広重「東都名所 猿若町芝居」。江戸後期。
 1872年。三代歌川広重「東京開華名所図絵之内 新富座戯場の図」。明治初期に江戸三座の移転。後に三座を統合して歌舞伎座が誕生。
 1889年。第一期歌舞伎座。洋館+瓦屋根+円形棟飾、玄関は切妻。演劇改良運動の流れを受けて、パリ・オペラ座をモデルに、欧米人が観ても楽しめることを目指して作られた。
 立地は井上馨が「皇居から海に続く道を作らなければならない」と主張して作られた晴海通りに面しており、オペラ通りの突き当たりにオペラ座があるのに倣っている。天井に求心的なシャンデリアがあり、戦後に舞台と一体的な作りとなるのと対称的。照明はガス灯。それまでは昼間の明るい時に上演していた。ガス灯照明見たさに来る人も。
 パリ・オペラ座は1875年に完成。ナポレオンIII世が25年かけてパリを大改造して大通りを作った。金を使って華やか。内部の吹抜空間を大間と呼ぶが、階段が主役で、劇場に来た人がお互いに主役になれる演劇空間。歌舞伎座の洋館+三角屋根構成、シャンデリア、内部空間はオペラ座に倣っている。
 1911年。第二期歌舞伎座。和風の作り。洋風の帝劇ができた影響?唐破風登場。
 1925年第三期歌舞伎座開館。1921年先代が火事で消失、1923年再建中に関東大震災で被災するも、1年で復旧して開館。第四期は戦後、第五期は東日本大震災後。大きな危機の後に建ち上がる因縁がある?
 1924年。第三期歌舞伎座。設計は岡田信一郎。41歳で設計、49歳没。洋式建築の天才。垂直性の高い二棟を並べて間に唐破風。垂直に伸びる洋風、水平に伸びる和風の良いとこどりミックス。柱の表現が立体的。風呂・ホテル建築に真似された。何故か?目立つ必要があるから。壁は何色だったか?写真で見ると黄色っぽいけれども、顔料をすり潰してみると炭のあとに白がでた。真っ白だったのだろう。コンクリート造。日本の型枠大工は世界一。大工が上手いから。斗供、屋根の反りもコンクリート。唐破風のカーブは途中で勾配が反転するので雨が漏る。贅沢に銅板敷いて瓦を葺いている。何故瓦で葺くか?洋風建築だから。大間のバルコニーは曲線。
 1950年。第四期歌舞伎座。先代が空襲でほとんど消失。設計は吉田五十八。数寄屋造住宅の名手。双翼+切妻屋根のスッキリとした和風建築。
 2013年。第五期歌舞伎座。銀座協議会と協議して設計を進めている。
 大間。赤い漆塗りの柱に提灯の意匠は、今回はウレタン塗装7回塗りで再現。華やかさが重要なので、バルコニーは曲線に戻す。照明は間接照明に。カーペットは残っていたものを調べて平等院鳳凰堂曼荼羅を再現。
 劇場。天井は巨大な竿縁天井+間接照明。壁の業平格子は繊維を固めて作ったので燃えやすいので、今回はガラス繊維を混ぜたセメント板で再現。座席からの舞台への可視線計算を行い、どこからでも花道が見えるように。障害となる柱はなくしている。椅子は大型化して、わずかに金糸を用いて華やかに。全体の空間ボリュームが大きくなって音響も改善。蛍光灯をLEDに変更して色温度の再現性も向上。外壁は微妙にクリームかかった白。木場に原寸を作って確認。
 時代の変化。20世紀は工業、効率。それ以前の祝祭都市の時代に戻る。鉄骨造。棟を下げて広場。柱と壁の間に目地を入れる。分節されて軽快に見える。屋根の垂木の反りは一本一本違うので、垂木はアルミで作る。さらに軽快に。柱型はGRC(ガラス繊維補強セメント)。サッシはスチールだと錆びるので、アルミで作ってスチールの細さに見せる。外壁は粉体塗装で漆喰の質感を再現。
 説明を聞いて実物を観ると良く分かる。新しい歌舞伎座へどうぞ。

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 論点を歌舞伎座の歴史と継承の物語に絞込み、明晰な語りで観客の心を掴んで新しい歌舞伎座へと誘う。見事な講演でした。

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2013年02月09日

●ここに、建築は、可能か@TOTOギャラリー・間

 TOTOギャラリー・間で開催中の「ここに、建築は、可能か」を観ました。
 「第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」出展に際して、コミッショナー伊東豊雄氏が設定したテーマが「ここに、建築は、可能か」。氏の呼びかけにより3人の建築家-乾久美子氏、平田晃久氏、藤本壮介氏-と、一人の写真家-畠山直哉氏-がこの課題に取り組みます。その過程で作られた膨大な数のスタディ模型が本展3Fの主役です。

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 プロセス1 [~2012年1月26日]:初期の建設候補地「大隅仮設団地」に対する提案
 手法的な模索に終始して、きっかけが掴めない感じ。

 プロセス2 [2012年1月27日~2月26日]:2012年1月27日、建設地が「高田町大石」に決定してからの提案。丸太を使った案に収斂していく
 ザックリとした模型でイメージを掴む想像力の豊かさと、色々な可能性を模型によってシュミレーションしてゆく手数の多さが印象的。ラフな杉丸太を何本も建てて屋根をドーンと持ち上げる模型は「一つのイメージを共有した瞬間!」と言う感じが伝わってくる気がします。背景に貼られた畠山さん撮影の現地写真も、構想と実空間をオーバーラップさせる媒体として効果的。

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 プロセス3 [2012年2月27日~]:丸太柱案が決定してからの提案。最終案までさらに議論が続く
 建築と通して一つのストーリーを貫徹しようと、積み上げられる検討の数々。

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 最終案模型[縮尺:1/10]
 素材、デザイン、仕上げ等を直に切ったり貼ったりしながら最終決定。三人の意見集約がスムーズだったのも、ここに至る意見交換の賜物だろうと思わせます。背後に並ぶおよそ120点のスタディ模型と添えられたコメントの数々が雄弁に語ります。

 中庭にある「杉丸太による構築物」を眺めながら4Fへ。
 陸前高田市出身の写真家・畠山直哉氏が撮影した写真による、陸前高田の「みんなの家」のプロセスと、津波被害を受ける前/後の同市の記録展示
 上棟式でテラスから餅を振る舞う建築家たちの晴れ晴れとした笑顔が印象的。

 本展だけを観ると、「「第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」において「金獅子賞」を受賞した展示」の凱旋展示です。コミッショナー伊東豊雄さんの著書「あの日からの建築」においては、「みんなの家」は「つくること」と「住むこと」の境界をなくそうとする試みであること、さらに行動の原点にとして「建築家は本当に必要とされているのか」という問いかけがでてきます。東日本大震災後の建築に位置づけとして、視野広く捉えたいテーマです。

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●坂茂「社会貢献と作品づくりの両立を目指して」@ブリヂストン美術館

 ブリジストン美術館で開催中の土曜講座「21世紀の美術館づくり」。その第2回目「社会貢献と作品づくりの両立を目指して」坂茂氏(建築家)の聴講メモです。

 災害支援
 「建築家はあまり社会の役に立っていないのではないか?」という思いがある。建築家は特権階級の財力、政治力の下でモニュメンタルなものを作ってきた。何か社会的なことができないか?地震で人が亡くなるのではなく、家が倒れて人が亡くなる。被災した方々が、飯場の小屋のような仮設住宅に住む。建築家はそこにはいない。特権階級との仕事で忙しい。

 紙管
 1984年までアメリカ留学、1985年に設計事務所設立。仕事もないのでアクシス・ギャラリーでキュレーターをしていた。アアルト展の展示設計の際に、予算は限られているし木を使って会期後捨てるのはもったいないので、トレーシングペーパーの芯を使ってみた。

 家具の家
 ローコスト住宅の開発。家具は地震があっても壊れない。家具で家を作る。工場で構造家具を作り、敷地で立てて、屋根を架ける。表面は塗装済み、外壁面内側には断熱材付き。アメリカで建てた際はフィンガージョイントを使って更に簡単に。15年経ってようやく、この春から無印良品でお目見え。

 ノマディック・ミュージアム
 グレゴリー・コルベール展用の移動美術館。船積みコンテナを利用。規格が統一されて、世界中どこにでもある。ニューヨーク会場の埠頭が古かった(タイタニック号の係留予定地だった!)ので、市松模様に積んで軽量化。紙管柱+膜屋根。移動、リサイクル化。サンタモニカ会場では、会場長さが足りず二棟に分割。作家からの依頼で建物間にシアタースペースを計画。移動する度に大きくなった。

 カーテンウォールの家
 ミース・ファン・デル・ローエのファンズワース邸は、建物全面が固定透明ガラスで覆われていて、視覚的に透明。日本の伝統家屋は建具を開け放つことでフィジカルに透明。新しい家でもこの良さを残したいと考え、ガラス引戸を開けると全開になる家を計画した。外周部にカーテンを吊っていることと、ミースがカーテンウォールを発明したことを掛けて、カーテンウォールの家と名付けた。

 2/5ハウス
 敷地を短冊状に外-中-外-中-外の5分割したので、2/5だけ中の家。ガラス引戸を全開にすると、大きなワンフロアになる。ミースの透明と日本伝統家屋の透明の両方を使った。

 9スクェア・グリッドの家
 内部空間を縦横3の9分割、水廻りの2ブロックのみ固定。両側に収納兼構造壁を建てて屋根を架ける。可動間仕切りで自由に仕切る。

 ピクチャーウィンドウの家
 20mスパン全てを開放できる。建物丸ごとピクチャーウィンドウ。

 ピクチャーウィンドウの家2
 スマトラ地震の復興支援の際に知り合った、ベルギー人のお金持ちの家。斜面を上がって中心へ向かう。光と風をルーバーでコントロール。

 ガラスシャッターの家
 レストラン+住宅。ガラスシャッターを上げると、中と外が連続。

 ガラスシャッターの家コートハウス型
 中庭を囲んで建つガラスシャッターハウス。シャッターを上げるとリビングとプールが連続。

 ニコラス G ハイエックセンター
 銀座にあるスウォッチ社7ブランドのショールーム。国際コンペ。施主の言うことをきかずに提案して運良くとった。敷地の特徴は間口が狭く、緑がないこと。4つのブランドを独立して通りに面するよう作って欲しいと言う要望だったが、1つのブランドしか面して作れない。そこでビルの中にパッサージを通し、そこに面して各ブランドのショールームを設けた。さらにショールームはエレベーターになっていて、各ブランドのショールーム階に直通している。通りと建物はガラスシャッターで仕切り、天気の良い日はシャッターを上げて外と一体化する。駐車場は地下に設けている。エレベーター屋根は1F床を兼ねており、不使用時は地下に沈んで全く見えない。14階のイベントホールの天井はポンピドーセンター分館の屋根の試作品で、鉄で作った。

 チェルシーのコンドミニアム
 チェルシーは元々倉庫地区であり、シャッター街なので、コンドミニアムの外部開口に鉄製シャッターを使っている。シャッターはルーバー状の半透明で、防犯、防火に加えて、蚊対策の網戸を兼ねている。

 GC 大阪営業所ビル
 歯科医療メーカーの自社ビル。燃えしろ設計の考え方を応用して、木製耐火被覆を実現。鉄の柱に木製の耐火被覆を巻き、そのまま内装としている。

 今井篤記念体育館
 LVL(単板積層材)を用いた架構。曲げられるのが特徴。最小限の木で最大限のスパンを追求。屋根だけ地上に出して、建物は地下に埋めている。

 ポンピドーセンター・メッス
 ポンピドーセンター・メッスを設計するためにパリに事務所を構えたかったが、パリは家賃が高い。ポンピドーセンターのテラスを貸してくれと頼んで、長さ32mの紙管構造の仮設事務所を作った。展示の一部なので、来客はチケットを買って入館する必要があった。
 メッスらしいものを作りたい。当時はビルバオ・エフェクト(グッゲンハイム・ビルバオの奇抜なデザインが話題を呼んで観光客が増えた。その一方で美術館関係者からは不評だった。)が話題になっており、またその反対に古い建物を購入して改装する例(テート・モダン、ディアビーコン等)も多かった。自分から見るとどちらも行きすぎで、使い勝手が良く、建築としても面白いことがテーマ。
 そこで、細長いギャラリーをそれぞれ方向をずらして3層重ねる。展示室の奥はピクチャーウィンドウになっており、それぞれから街のシンボルである大聖堂、中央駅等が見えるように計画。さらに1階はガラスシャッターをつけて、どこからでも入れるようにして、美術館と街の一体化を図る。屋根は中国で見つけた竹編みの帽子にヒントを得て、六角形に編んだ形+断熱材の木構造を考案。六角形はフランス国土の形に似ており、フランスの象徴でもある。ナショナリティをくすぐる提案は国際コンペにおいて重要。屋根は吊構造で、鉄を使わずに実現。

 ナインブリッジズ・ゴルフクラブハウス
 六角形に編んだ屋根を圧縮アーチとして使う。柱に流れる力をそのまま見せる。

 紙の構造http://www.mizdesign.com/mt/mt.cgi?__mode=view&_type=entry&blog_id=1&id=986&saved_changes=1#
 小田原パビリオン。半年間使う仮設建築。紙管を構造材として使う認定をとっていなかったので、鉄骨を主構造として風圧だけを受ける内装材として使う。
 紙の家。自分の別荘。紙を構造材に使う認可をとったがお金がなくて建てられないでいたところ、として実現することが出来た。後に別荘も実現したが、忙しくて全く使っていない。
 ハノーバー国際博覧会日本館。フライ・オットーのグリッドシェル構造を紙で実現。解体時がゴールのリサイクルしやすい建物を目指す。コンクリートの代わりに砂を詰めた袋を使う、屋根のジョイント部は不燃布で留める、屋根は不燃紙の膜を開発して使う。唯一のハイテクは、地組みした屋根材を揚重する際に屋根にアンテナを着けてGPSでレベルをチェックしたこと。

 国連難民高等弁務官事務所用の紙のシェルター
 ルワンダ。粗末な仮設住居があるが、雨季は毛布に包まって耐えている。現地に行って、担当建築家をつかまえて直談判した。難民による森林伐採が問題になっており、また代替材としてアルミを支給しても難民が売ってしまうという課題に直面している時に紙の建築を持っていったので、運良くコンサルタントとして雇ってもらった。ヴィトラ社の協力で仮設住宅を提案。ヴィトラ・デザイン・ミュージアムの有名建築家作品群の中で、一番安価な展示品。居心地が良いと住みついてしまうので、1軒50ドルの最小限の作り。

 紙の教会、紙のログハウス-神戸
 阪神大震災の災害支援。どこに行って良いか分からないので、ベトナム難民の居住区へ。焼けた鷹取教会を紙で建て直そうと提案。神父さんに、焼けたばかりで紙とはアホかといわれた。
 ベトナム難民はこの地区のケミカルシューズ工場でしか仕事がないので、離れた場所の仮設住宅には移らない。近くの公園に仮設住宅を作って住み出したが、近隣住民がずっと住みつくのではないかと心配し始めた。キレイな仮設住宅を作ろうと提案。ビール会社から寄贈してもらったビールケースに砂を詰めて基部とし、紙管建築+テント膜屋根で実現。ビールケース寄贈のさいには中身もついてくるのではと楽しみにしていたら、しっかりケースだけだったのでガッカリしたのを今でも覚えている。
 神父さんの信頼を得て、お金を集めて、学生を集めて紙の教会を建設。10年経って教会は建替え、紙の教会は台湾の被災地に贈られて活用されている。
 紙でもパーマネントな建物になるし、コンクリートでもすぐ取り壊されるものもある。人が建物をどれだけ愛してくれるかが大切。

 紙のログハウス-トルコ、インド
 トルコでは現場養生シートをゼネコンから寄付を募り、屋根材として使用。仮設住宅をボランティアの手で建設。
 インドではテキスタイルを巻く紙管を活用。土地柄ビールケースが入手できなかったので、コカコーラだねといわれたが色が合わないので土間を作って基礎にした。屋根は網代マットを二重にして間にビニールシートを挟んだ。

 津波後のキリンダ村復興プロジェクト
 家具をプラグインして早く作れるよう工夫。居室とキッチン・シャワー・トイレを離して計画。その間のスペース(屋根付屋外スペース)は食事等で有効活用されている。

 成都市華林小学校紙管仮設校舎 - 四川大地震復興プロジェクト
 仮設住宅事業によそ者を入れたくない。小学校を作って欲しいという要望を受けて建設した紙管建築。ボランティアを募って1ヶ月合宿して3棟建て、3年経った今でも活用されている。

 ラクイラ仮設音楽ホール
 音楽で有名な街。仮設の音楽ホールを提案したところ、お金集めも自分でやるなら良いよと許可をもらった。G8サミットが当地で開催された際に麻生元首相とベルルスコーニ首相が仮設音楽ホールの建設を発表。結局日本政府から6千万円寄付してもらった。防音性能が必要なので、壁に砂袋を詰めて赤い布を巻いている。相馬に子供オーケストラの拠点を作ろうとお金集め中。

 ハイチ地震復興支援 緊急シェルター
 無政府状態なのでとなり町で作って週末に現地で組み立て。

 Paper Partition System 4 / 避難所用 紙の簡易間仕切りシステム4
 東日本大震災の避難所として使われている体育館では、全くプライバシーも人権もない状態。紙管+カーテンで間仕切りを作ることをプレゼンして回った。作るのは簡単だが、作らせてもらうのが大変。役人の中には「見えた方が管理しやすい」とはっきり言う人もいた。50ヶ所以上回って、1800ユニット以上建設。夏は蚊が発生するので、蚊帳を配布する活動も行った。

 コンテナ多層仮設住宅 - 宮城県女川町
 政府の建てる仮設住宅は、住棟間隔が狭くてのぞかれやすくプライバシーがない。とても貧しい住環境。提案してもダメで、実力行使あるのみ。プレゼンして回る。政府の仮設住宅と全く同じ費用(建設費+外構費)で3階建ての仮設住宅を実現。積むことで敷地にゆとりが出来て、駐車場、マーケット、図書館を併設。全国からボランティアを募って、造り付け収納家具を設置。コンテナに居室・浴室・トイレを格納して、その間にリビング・キッチンを計画。

 ニュージーランドクライストチャーチ 紙の教会
 紙管+ポリカーボネイトの教会。

 モニュメンタルな建築と災害支援活動を両立していきたい。

 QandA
Q.災害がある度に飛び出していく活動と、建築家としての仕事。どう両立されているのですか?
A.設計料の交渉はパートナー任せ。やりたいことだけをやっている。必要と思ったらやる。女川町の仮設住宅に住む人たちは従来の仮設住宅のくじに外れた人たち。女川一運が悪いと言っていたが、今では女川一運が良いという。やりがいを感じる。

Q.ポンピドーセンター・メッスにおいて運営側と意見の相違がある場合。どう解消?
A.設計中ということですね?キュレーターは設計に参加しない。館長の力が強く、方針を決める。アスペンでも館長と全て打ち合わせ。日本では設計時は館長がおらず、開館前になってから選ぶことが多い。
 意見の相違はあまりない。コンペ時の要求がかなえられているか。方針が書面ではっきりしている。館長の言うとおりにやった。

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2013年02月06日

●西沢立衛「近作について」@ブリヂストン美術館

 ブリジストン美術館で開催中の土曜講座「21世紀の美術館づくり」。その第1回目「近作について」西沢立衛氏(建築家)の聴講メモです。

 金沢21世紀美術館
 美術館の設計に際して、これという方針はない。どんなとこ?どんな人が使う?「環境」と「人」を考えて毎回設計している。共通点は「開かれた建築」、「街の経験につながるもの」。
 美術館と交流施設。現代美術と地元の伝統工芸を扱う。四方八方からアプローチ可能な立地のため、5ヶ所の玄関を設けたウラのない建物。
 コンペ時は別々に建てる要求だったが、一つの建物として提案した。
 円形平面の平屋建。1Fは公共空間、地階に収蔵庫等を納める。屋根のデコボコは、天井高さの違い。
 展示室を分散配置して、通り抜け通路を設ける。外周は無料ゾーン、内側は有料ゾーン。中の様子が外から見えることで、相互交流を深める。離すことで順序を作らない。動線が面的になり、自由に観られる。キュレーター側への提案でもある。平面が大きいので、奥に光庭。屋外展示室も兼ねる。展示室は壁+ガラス天井+トップライトのホワイトキューブ的な空間。
 交流館はガラスのレクチャーホール。美術館の活動を外に伝える。外壁ガラス面に図書館。振り返ると美術館が見える。朝顔プロジェクト等、外壁を利用したワークショップも行われた。

 サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2009(ロンドン)
 ハイドパークに夏の間設置されるパヴィリオン。設計条件は、展示終了後にコレクターに販売するので解体再建築可能なこと、集会場とカフェを設置すること。
 建築が既存樹木を避けてカーブしながら、公園に広がっていく。屋根だけ作る。立地条件に応じて屋根高さを変える。大通りに面したところは高く、一番低いところは60cm程度。雨樋がないので、雨が降ると滝を突き抜けて入る感じ。アルミを磨いた天井面に公園の緑が映り込む。天井を傾斜させて遠くの緑を映し込む。梁のない形状。屋根面も同じ仕上げで、大きな木々、空を映しだす。建築を建てることで、環境の良さを増幅する。

 十和田市現代美術館
 官庁建築に面した立地。歯抜け土地を市が購入してアート施設に。アートによる街再生プロジェクト。
 通りの一部としての美術館。一つの箱に一人のアーティスト。寸法も個別に決める。展示室から展示室へ移動する際に十和田の風景が見える。それぞれの展示室にチケットブース、図書室といった機能を持たせる。向きもバラバラ。屋外も展示空間として活用。街から見たときに境界を感じない空間を作る。天井高さの異なる箱の集合で、山のような外観。

 ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート(ニューヨーク)
 最先端の現代美術のようなものを展示する。元ホイットニー美術館のキュレーターがブロードウェイで建物を借りて運営していたが、自前の建物を持ちたいということでバワリー通りに美術館を建設。観光客が近づきにくい立地に美術館ができるということで話題に。作品かどうかわからないものがこれから計画されていく。
 積層型の高層建築。各階を平面的にずらすことで、中間階でもトップライトを設けられる。板金の店の多いエリアなので、板金を使って外壁を作る。分節することで、周囲にあったスケール感にする。1階を無料スペースに。倉庫みたいに仕上げない展示室。EVによる昇降だけでなく、可能な限り階段も計画。うるさい下層部でなく、静かな上層部に公共空間を設ける。

 豊島美術館
 瀬戸内海の他の島と異なり、水が豊かで緑が多い。始めに福武さんに「環境、建築、芸術、全てが一体となったものを作って欲しい。」と言われた。自分たちが常に考えていることでもある。
 水滴のような自由曲線で出来たワンルーム建築。地形に合わせて作れる。断面も曲線で求心性を持たせる。コンクリートシェル工法で三次曲面を実現。コンクリートを一体で打つ必要があるので、現場発生土を使ってマウンド状の型枠を作り、24時間かけてコンクリートを打った。
 作品と環境の一体化。チケットブースを出ると、海に向かって歩いていく。左手には棚田が広がり、森を抜けて建物にいたる。狭いエントランスを抜けると、内藤さんの展示:水が地面から湧き出て集まっていく様が広がる。水の集まる部分上部に大きく開いた開口部がある。建物は作品のために閉じ、外に開いている。

 軽井沢千住博美術館
 緑を感じる、壁のない美術館。敷地は4mの段差がある斜面。斜面をそのまま床とし、屋根は違うカーブで形成。天井高さも変化。時代ごとにまとめて展示。中庭を通って次の時代へ移動。作品を寛ぎながら感じられるよう、作品を囲うようにソファを配置。外には緑。

 スイス連邦工科大学ローザンヌ校ラーニングセンター
 キャンパスの公共空間(ラーニングセンター)。中心となる施設にしたい。コンペにて大きなワンルームかつジャンプした建築、シンプルな動線計画を提案。1-3階が連続的につながる。3階のカフェから海、キャンパスが見える。建物、環境が相互に影響する建築。

 コネチカット州の地域コミュニティー(現在進行中)
 みんなの場所。放棄された農園を買い取って使う。色々な高さ。礼拝堂、展示室、体育館。外にホッケー場など。人と動物のための建物。建築が全てでないものを作ろう。

 ルーヴル・ランス
 労働者住宅と炭鉱と関連施設が主な町。パリ中央集権改造の一環として計画?環境と巨大建築(4万m2)をどう作るか。分散して高低差にも変化をつける。収蔵庫等は地下に納めて、地上を全て人に開放する。
 ルーブル美術館からいわれたのは、「ルーブルの作品は紀元前4千年前から19世紀に渡っている。終わった歴史にしたくない。今につながっていくことを考えてくれ。」。細長く作って時間軸に沿って展示する。横軸に地域差。床は斜面。最後はガラスギャラリーで19世紀産業の遺産を見せる。常設は時間の流れ、企画はその一部をクローズアップして展示。壁はアルミにして作品を来館者を映す。歴史の時間の大きさを感じる。

 街の経験、環境的な広がりから違うものができてくる。

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2013年02月02日

●手塚建築研究所オープンハウス「高床の家」

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 手塚建築研究所オープンハウス「高床の家」に行ってきました。住宅街の中に建つ、鉄骨造2階建ての個人住宅です。この建物の特徴は、家を半階持ち上げることで近隣との視線をずらして開放的な間取りとすると同時に、地面と切り離すことで湿気面でも非常に快適な住空間を作ること。長手方向に鉄骨大梁を架けて建物を浮かすことで、外観も非常にスッキリとしています。

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 半階分の屋外階段を上がると、1階リビング・ダイニング・キッチン。長手両面に横長連窓が嵌め込まれたワンルーム空間。サッシは非常に堅い南洋材を用いた木枠にペアガラス引戸。まだ家具がないこともあって、非常に開放的な空間です。

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 屋外階段または屋内階段を上がると、2階寝室・納戸・洗面浴室。納戸の収納は可動式で、将来子供部屋が必要になったら収納位置をずらして対応。天井をスッキリと見せるため、空調装置及び吸排気口は床側に設置。床の湿気を取り除けるので、居住性の向上にもつながります。これは1階も共通。

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 1階に戻ってキッチン。非常に火力のあるガスコンロを装備。フードは設けず、外壁面に設けた換気扇で強制排気。大胆な計画ですが、建築家の自邸で実験済みだそうです。

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 リビングに設置された小型薪ストーブ。発熱量はこの建物全体をまかなえるくらいあるそうです。ストーブの大きさは市販の薪の最小寸法が1フィートであることから決まっているそうですが、最近は施主さんが自分で廃材を割って使う場合もあり、その場合はもっと小型化も可能とのこと。

 明快に整理された住環境のルールに基づいて計画された、非常にシンプルな住空間です。

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2013年01月27日

●弥田俊男設計建築事務所オープンハウス「五角形の小さな接骨院」

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 弥田俊男設計建築事務所オープンハウス「五角形の小さな接骨院」に行ってきました。木造2階建ての貸しビルの1階を改装。シンプルのまとめたデザインで、建物が本来持っていた美しさを引き出す。

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 五角形平面のコンパクトな空間に、待合室、治療室、スタッフ諸室を配置。立面はラジアータパイン材の美しい色味と木目パターンを基調に、部分的に間仕切材が斜めに切り上がって五角形プランとの呼応。天井高さを微妙に変えることで、既設建屋のSUS柱、梁をも全体ストーリーに組み込む。木造二階建の改装でも、けっこうできるものだと感銘を受けました。

 ものすごく多忙な中でも、ストーリー性を付与し、アウトプットしていく即興対応力とスピードがすごいなと思います。

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2012年08月05日

●豊島美術館

 夏全開の8月1週の日曜日。念願の豊島美術館に訪れました。2010年10月の開館以来、耳にするのは絶賛のコメントばかり。ずっと気になる存在でしたが、ようやく初訪問です。

 丘に埋め込まれたチケットセンターでチケットを購入して、いよいよ美術館へ!
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 明神山を遊歩道沿いにグルリと周遊します。緩やかに起伏ある地面、木々、青空、海。建築家によるベンチ。
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 そしてアートスペースへ。皮膜を絞るようにして設けられた入口から入ります。中に広がるガランとしたコンクリートシェル構造の空間。心地良さげに寛ぐ観客たち。大きな二つの開口部の向こうに広がる青空。そして床面にフルフルと身を震わせながら動く水滴たち。ときに避けあい、ときに一体化して、徐々に泉へと注ぎます。建築:西沢立衛、アート:内藤礼による詩的空間体験。その場に身を置いて過ごすひと時は、至上の幸せ。
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 カフェでイチゴソーダを飲んで涼み、チケットセンターまで戻ります。
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 向かいの棚田に登って、美術館と海と棚田を眺めます。来て良かったなーと心から思える、素晴らしい体験でした。
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2012年07月28日

●イサムノグチ庭園美術館

 7月最後の週末。思いがけず連休になったので、かねてから行きたかったイサムノグチ庭園美術館へ出かけることを思い立ちました。本来はハガキによる予約が必要ですが、前日の15時以降にまだ空きがあれば電話による予約も可能です。

 最寄駅のことでん八栗駅から徒歩20分。受付棟に到着します。ここで入館料を払い、ツアーの定刻まで待ちます。
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 定刻になると、徒歩数分のアトリエから見学開始。見学時間はアトリエとイサム家+彫刻庭園を30分ずつの、だいたい1時間程度です。
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 以下、鑑賞メモです。

□アトリエ
 作業蔵
 雨の日にここにこもって研磨作業を行うこともあったらしい。
 内部にはグラインダー、サンダー、板ガラスが点在する。
 滑り台の模型も置かれている。

 石壁サークル内屋外展示
 庵治石を積み上げた石壁サークル「まる」に包まれた創作展示空間。
 個々人それぞれに感じ取ってもらえるよう、説明書きは一切ない。
 いつ先生が戻って来ても、すぐに創作活動を再開できるよう配置。
 完成品も未完製品も並列して配置。サインの有無で判別。
 未加工の部分、石を割った面ままの面、円滑に円筒状に刳り貫かれた面など、様々な状態が混在します。

 展示蔵
 大きく開いた開口部が生み出す、光と影のコントラストと奥行き。
 加工面と素のままの肌合いと加工された滑面とのコントラスト。
 内部は2/3ほど2階(天井裏?)あり。
 磨き上げられた作品と土壁、木柱の対比。
 巨大なエナジーヴォイドの存在感。
 石と建築と光と風が一体になった世界。

□イサム家
 玄関及び格子窓から覗いて見学。
 丸亀の豪商の家を移築。
 畳の高さを下げてベンチ状に使う。その下に床暖房。
 土間及び居間中央に置かれた黒テーブルの存在感が美しい。
 と同時に、高さ的に実用面では?マークが浮かぶ。
 居間越しに見える竹林が美しい。
 居心地良さそう。

□彫刻庭園
 階段を登って右手に石舞台。
 山すそを渦巻くように白砂利が敷かれ、導かれて山を廻る。
 山の上に卵形の石。イサムノグチがたいそう気に入っていた。
 屋島と海の眺めが素晴らしい。
 水の流れを表現した石組み。始めは細かく、次第に荒々しくなり、最後は荒々しい大石。

 自然と彫刻と建築が一体化した、環境空間というべき世界を作り出しています。
 とても記憶に残る体験でした。

 イサムノグチといえば、谷口建築。というわけで、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館へと足を延ばします。
 立体的に積み上げたアート関連の諸機能を回遊する楽しさが素晴らしい。
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 カスケードプラザに設置されたイサムノグチ作の彫刻。
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2011年07月24日

●9hours @京都寺町

 7月下旬の金曜日、仕事で京都に出張しました。せっかくの週末なので、高いデザイン性が話題を呼んだカプセルホテル「9hours」に泊まってみました。開業が2009年12月なので、それから1年半。開店景気も落ち着いて、平常営業へと移行した頃でしょう。

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 四条寺町の八坂神社御旅所。囃子の音が流れ、祇園祭の熱気が漂います。

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 その脇を入ってほどなくひっそりと、9hoursはあります。サインはシンプルかつ最小限、ガラス戸の向こうの白空間に下駄箱がズラリと並びます。そしていかにも蛇足っぽい白い自販機。中のラウンジにも自販機が設置され、当初は無料だったミネラルウォーターは100円になっていました。コツコツ稼いで収益性向上という現実との接点なのでしょう。

 下駄箱の奥が受付、さらにその奥がラウンジ。複数の機能を白いアイランド配置でスッキリまとめるデザイン。スタッフがアルバイトの方なのか、応対はマニュアルを空で読んでる感じ。ここから先はフロア単位で男女別に分かれます。エレベーターも別。

 男性は9階まで上がって、ロッカーに荷物を入れて室内着に着替えます。その奥に洗面所、シャワーブース、浴槽。ロッカー通路で誰かが荷物整理を始めると、途端にその一角は通行止め状態。このあたりは従来のカプセルホテルと同じ。でも間仕切りを極力なくし、ガラスを多用して広がりを感じさせます。壁面一面に設えた棚がガランとしていて寂しい。以前はバスタオルやアメニティを並べていたみたいですが、今は一切なし。タオルとアメニティは1回分がロッカーの中に入れてあります。

 シャワーブースの入口は施錠可。脱衣、シャワー、浴槽通路間に二枚のガラス仕切り。少々狭いけれど、機能は満たします。やっぱり浴槽があるのがうれしい。内側からは施錠できないので、ロッカーの鍵を脱衣スペースに置いて行くと少々不安です。普通の腕輪式にしてくれると良かったのに。

 下のフロアに下りて、カプセル入り。暗い通路に、ボンヤリとした黄色い光で満ちたカプセルが行燈のよう。必要な明るさは確保しつつ、とても落ち着きます。携帯電話の充電はカプセル内のコンセントで行うので、携帯はカプセル内に持って入ります。ただし通話はラウンジで。カプセル奥上部にある「室内環境システム」に起床時間をセットすると、照明が徐々に暗くなって就寝。空調が効いた室内はとても快適です。

 起床時間が近づくと、照明が徐々に明るくなり目が覚めます。その目覚めの気持ち良いこと!眠りの深さ、目覚めの自然さの賜物でしょう。9階に上がって着替えて朝ランへ。四条河原町から七条通まで南下して、京都駅から烏丸通を御苑まで北上。苑内を一周して、丸太町通から賀茂川へ。川沿いに四条まで南下して、寺町まで戻る。途中、清水寺、大文字、納涼床等が見えて、情緒満点!受付でバスタオルを借りて、再度9階へ。シャワーを浴びて、着替えて、ラウンジで水分補給してチェックアウト。

 「眠りの拠点、スリーピング・ハブ」というコンセプトを練り上げ、具現化した空間は素晴らしい完成度。目覚めたときの気持ち良さは最高!新しい滞在の形に触れたと思える。
 その一方で、デザイン先行で詰め切れなかったところは現在進行で調整中。価格帯は抑えて、コスト節減+サービスの有料化で収益モデルを調整。キャンペーンを打って、ユーザー層の拡大と、存在の周知を図っている感じ。
 是非とも、眠りの質は維持しつつ、新しい都市インフラとして定着して欲しいと思います。

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2011年03月31日

●建築家 白井晟一 精神と空間@パナソニック電工 汐留ミュージアム

 パナソニック電工 汐留ミュージアムで開催された「建築家 白井晟一 精神と空間」を観ました。

 ■
 チケットカウンターとなりに再現された書斎の風景。哲学者のような風貌を前面に出したビジュアルと合わせて、本展への期待が高まる。

 ■虚白庵
 「無塵無窓」のテキスト、ゴロッと置かれた「ヴィーナス」「書 日光」。それらが飾られた内観写真。濃密な思索の小宇宙に引き込まれる。

 ■
 本格的に建築を紹介する前に、書を紹介。人間「白井晟一」に焦点を当てる構成。

 ■
 住宅建築の紹介。洋と和の融合を試みる構成から、和空間の流れるような連続性へ。

 ■
 厳密にボリューム設定された外観、マッスを刳り抜くような内部空間。
 「親和銀行 懐霄館」
 彫塑のような外観が何より印象的。機能を超え、既存環境を超え、白井の内宇宙が形を得て現出する。学生だった頃にこの建物の写真集を観て、いつの時代の建物か、そして何の建物か分からなかったのを思い出した。

 「NOAビル」。黒い円筒形の外観、刳り抜いたようなロビー。都内で体験できる白井建築その1。1階がギャラリーになっているので、内部も観られるのが嬉しい。以前に訪れたときは、傷みもあって神殿と廃墟の間のような感じだった。テナント部は普通のオフィスビル。

 ■原爆堂
 実現を前提としない計画案。シンボリックな形態と祈りを込めたようなドローイング。本で何度も見た透視図の実物を初めて観た。哲学的な思索プロセスを大切にする白井建築における代表作。

 ■
 デッサン、図面、今はなき建物の写真。思索の足跡を辿る展示。

 ■
 「松涛美術館」。都内で体験できる白井建築その2。美術館という機能に加えて、独特な造形性、空間構成をたっぷりと体験できるのが嬉しい。サロン・ミューゼ、再開して欲しい。

 ■
 善照寺本堂。都内で体験できる白井建築その3。未見。今度行ってみよう。

 ■装丁
 白井の想定家としての仕事。

 エントランスホールでの映像。「日本のモダニズム建築 -17作家の作品が描く多様な展開」より、白井晟一の部分を抜粋上映。液晶TV前は立見が出るのほどの盛況。展覧会では乏しかった実空間の情報を補完

 書、建築、装丁。多面的なアプローチで「白井晟一」像を浮かび上がらせる構成。特に冒頭の虚白庵に強く惹かれました。建築でなく、建築家に焦点を当てる見せ方は、展覧会ならでは。そしてその先に、言葉や写真で表しきれない白井建築の深みに触れるひとときがあるように思われました。「何を伝えたいか」を絞り込むことで、世界が広がる。展覧会の可能性を感じました。

 その一方で気になるのは、現存する白井建築の少なさ。建築=長く残るモノと思っているので、この現状は残念。経済面から建て替えた方が効率が良いのか、白井の意図したデザインと実用の間に断層があるのか。NOAビルと松涛美術館を見る限りでは建物の老朽化が感じられるし、メンテナンスもかなり費用がかかりそう。

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2010年11月30日

●横須賀美術館

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 秋の行楽季節4連休の3日目は、横須賀美術館へ。「ラフェエル前派からウィリアム・モリスへ」展と、鉄のガラスの二重膜建築の二本立て。
 「海の広場」の芝生と、観音崎に挟まれたガラスの箱。広場をぐるりと回り、レストランの前を通って入口へ。

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 眼下に吹抜ギャラリーを眺めながらブリッジを渡ってエントランスホールへ。振り返ると、鉄の箱に開いた穴から柔らかな光が注ぐ。
 倉庫のような企画展示室、B1階に降りて回廊型展示室、吹抜のギャラリーを経て、エントランスホールに戻る。

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 右を向くと、観覧席のような閲覧スペース、空へと伸びる螺旋階段。白い箱を欠き込んでガラスを嵌め込んだような空間構成が、透明感があって魅力的。

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 螺旋階段を登ると、目の前に広がるガラスの屋根面。その向こうに海。

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 反対側には観音崎の山。屏風のように連なる地層に囲まれて、グレーチングを敷いた屋上散策路が広がる。

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 山に向けて歩くと、中庭を介して図書室のガラススクリーンが地層のようにのぞく。その上は「山の広場」。

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 「山の広場」側に渡って振り返ると、「ガラスの箱」に入れ子状に納まる「穴あき鉄の箱」の構成が良く分かる。

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 「穴あき鉄の箱」と「ガラスの箱」の間は、「館内の柔らかな光を生み出す緩衝帯」であると同時に「設備スペース」。裏方空間をガラス張りで見せてしまう大胆な構成。

 「海の広場」、「山の広場」、「美術館」という面構成。展示空間+レストラン+海と山という滞在型プログラム。「穴あき鉄の箱」と「ガラスの箱」の二重膜建築。東京湾と観音崎にはさまれた立地をさらに拡張する、立体回遊空間としての建築。

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2010年11月24日

●根津美術館庭園 紅葉之景

 今年の紅葉は色づきが良いともっぱらの評判。紅葉は冷え込みに左右される季節もの。これは名所で紅葉狩りをしなければと思い立ち、根津美術館庭園に出かけました。

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 美術館を通り抜けて、まず目に入る景色。灯篭と、それを覆う見事な紅葉。

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 披錦斎・一樹庵あたり。水平に広がる紅葉は深山の趣。

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 弘仁亭・無事庵あたり。苔と飛び石と紅葉。素材のコンビネーション。

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 披錦斎・一樹庵あたり。大屋根と灯りと紅葉。茶室はどこも使用中で、灯りが入っていた。ライブ感があって伝統が現代に生きてる感じがする。

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 吹上の井筒の近く。紅葉水景。船の屋根、水面に浮かぶ落ち葉。作り物っぽい構図、でも良く似合う。紅葉之景も、四季の変化を楽しむための演出装置。

 都会の真っ只中で紅葉を満喫できる根津美術館の庭園は、いつもながらすごい場所だと思います。

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2010年11月23日

●LLOVE@旧代官山iスタジオ

 旧代官山iスタジオで開催されたホテル型展覧会「LLOVE」を観ました。1968年に奈良県渋谷寮として建設され、2005年10月に奈良県代官山iスタジオ(情報発信+宿泊施設)に改装され、2009年末に閉鎖された建物を活用して、オランダと日本の建築家がホテルに見立てたインスタレーションを展開する企画です。実際に宿泊も可能だそうです。建物は解体して土地を売却する予定だそうなので、見納めと思って最終日に滑り込みました。

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 302号室 永山祐子。床に白砂利を敷き詰め植栽を配するワイルドな発想が、ちゃんとインテリアとして成立している。夜は寒そうだけれども、野性に目覚めるからちょうど良い?

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 304号室 中村竜治。客室の上に池を浮かべる驚きの発想と、それを物質化する半透明ロープ。知的操作のような構成とは裏腹に、池からヌーッと顔を出すように起き上がるシーンが想像できて愉快だった。

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 305号室 ヨープ・ファン・リースハウト。部屋には手を加えず、室内にオブジェを置くことで空間を異質化。ベッドの脚がアートワークであることを主張していた。

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 306号室 ショルテン&バーイングス。障子にパンチングメタルをかぶせ、壁面にピンクの壁画を描き、壁際に桶?を並べたり。展示スペースのような白い空間。

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 307号室 リチャード・ハッテン。ストライプ柄でカラフルに埋め尽くされた壁面。一種のラッピングアートワークのよう。

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 308号室 ピーケ・バーグマンス。床から壁へ、マットが大きく躍動する!色味を抑え、丸窓のある空間は、まるで墨絵のよう。

 日本の建築家が空間を拡張するのに対して、オランダはの建築家は空間に異物化するアプローチに思えた。「泊まりたいか」という視線で観ることが新鮮でした。泊まってみたいと思ったのは302号室と307号室。泊まり方に一番興味が湧いたのが304号室。PVのように、ボールを転がしながら一晩過ごすのだろうか。

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2010年05月06日

●建築はどこにあるの?@東京国立近代美術館

 東京国立近代美術館で開催中の「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」を観ました。

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 中村竜二「とうもろこし畑」。構造体を極細化+集積することで生まれる、霧のような存在感。まだ観ぬ「可能性としての建築」はここにあると思った。

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 中山英之「草原の大きな扉」。大きく開いた扉が、建物の中と外を反転する。草原でのピクニックイメージが気持ち良い。

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 内藤廣「赤縞」。内装工事で活躍するレーザー水平器を活用。レーザーで規定された空間を、人が動くことで柔らかく造形する。建築というより、トロンの世界に迷い込んだ気分。

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 菊池宏「ある部屋の一日」。模型の周りをライトが周回し、その光の変化を原寸模型の壁面に映しだす。その移ろいはBGMと相まって詩的で美しい。

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 伊東豊雄「うちのうちのうち」。実現もしくは実現に向けて進行中のプロジェクトから、そのエッセンスを発展させた形で再構成。現実に軸足を置きながら、詩的な空間を現出させる力量はさすが。

 見せ方の達人たちが様々な手法でもって、建築はどこにあるの?と問いかける。視覚ゲームとして面白い。その一方で、建築家がアートワークを作成する意義って何だろう?という疑問を感じました。

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2009年10月07日

●新・根津美術館

 3年半の休館を経て、新創開館した根津美術館の内覧会に行きました。 

注:画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

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 大きく変わったのはアプローチ。
 以前は蔵だった建物を建て替えて展示棟とし、以前のエントランス兼展示棟は事務棟へと用途変更。表参道からみゆき通りを南東に向かった突き当たりに、黒い二層のボリュームが壁の如く現れます。都市と庭園を隔てる黒い壁。

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 黒壁に突き当たると、90度右に折れて、竹で覆われた外壁と竹林で挟まれた道が伸びます。大きな庇が迫り出して、空を覆います。

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 外壁の端部に至り、左に90度折れると、大庇に嵌めこまれたガラスの箱が現れます。分断、視点変換、素材切替。映画のカット割のようにパッ、パッ、パッと場面が切り替わります。
 「ようこそ、新・根津美術館へ!」

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 エントランスを進むと、2層吹抜けのホールに至ります。その向うには、庭園が透けます。

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 展示室1 [企画展示]「吉野竜田図」の鮮やかな桜と紅葉の共演が、目に沁みます。

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 展示室3 [彫刻]。コンパクトなスペースに仏像彫刻の美品が並びます。驚くべきはガラスの存在感のなさ。かすかに映り込むので存在することは分かりますが、すぐに忘れてぶつかりそうになります。

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 展示室4 [青銅器]。黒壁に嵌めこまれたガラスケース。段々天井の間接照明に、クローバー型展示ケースが映えます。

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 ガラスの箱を抜けて、庭園へ。手入れの行き届いた緑と石畳のコントラストが美しい。

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 道は緩やかに蛇行しながら、NEZU CAFÉへと至ります。和紙を貼ったような質感の天井、その一部から自然光が透け、間接照明の光と相まって黄金色に輝きます。ガラスに囲まれたカウンターは、庭園の緑に取り込まれるよう。

 都市と庭園の境界を劇的にデザインする空間構成。ガラスの美しさを極限まで極めた素材演出。その空間体験は、東京でもっとも新しく、もっとも美しい散歩道のようです。

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2009年07月24日

●建築家坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン@パナソニック電工 汐留ミュージアム

 パナソニック電工 汐留ミュージアムで開催中の「建築家坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン」を観ました。鎌倉展が大規模建築と都市に焦点を当てていたのに対して、こちらは住宅、家具が中心です。

 Section1 東京とパリ、伝統とモダンの間で
 Ta邸。正方形間取り+中庭というプランに、大屋根を乗せる。進取のデザインと、風土・伝統との折り合い。
 lh邸。外と中を一体化する、大扉の原寸模型が目を惹く。コルビュジェの下で学んだ軸吊り扉の応用。扉が歪まないように丸鋼で引っ張っていたり、押縁断面をハの字に加工したりといった工夫が良く分かる。
 Um邸画室。上村松園の画室とあって、興味をひく。しかし廊下と茶室の写真のみ。
 三保建築工芸。坂倉が起こした家具製作会社。領域横断的な活動から、生活全般をデザインするという気概が感じられる。

 Section3 個人住宅の多様な展開
 Ni邸。有名な「正面のない家」シリーズ。「見せる」外観を廃して、内外空間の連続で全体を構成する。1/20スケールの模型があって分かり易い。

 Section4 文化をつくる建築家の仕事
 シャルロット・ペリアンとの協働、ル・コルビュジェの展覧会。デザインという言葉の定着に向けての活動。

 2部構成を通して浮かび上がるのは、建築に対する真摯な姿勢。「社会」をデザインせんとする、活動領域の広さ。課題に対して現実的な解答を模索するスタンス。それらのアウトプットとしてのデザイン。そして、建築家の死後も生き続ける「建築」。とても良く出来た2部構成の展示です。

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2009年07月22日

●建築家坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間@神奈川県立近代美術館

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 神奈川県立近代美術館 鎌倉館で開催中の「建築家坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間」を観ました。

 モダニズムの巨匠「ル・コルビュジェ」の下で学んだ日本人の一人であり、日本の近代建築及びデザインの発展に大きく寄与した建築家「坂倉準三」の回顧展です。彼の代表作である「神奈川県立近代美術館 鎌倉館」と、住空間をテーマにした展示を意欲的に開催する「パナソニック電工 汐留ミュージアム」での2部構成の展示です。

 展示はコルビュジェのアトリエでの修行時代から始まります。当時携わったプロジェクトの図面、スケッチを通して、彼が学んだ素材、技法、考え方を紹介します。後の神奈川近美につながる、鉄骨造にセメント版を貼るアイデア。社会の要請に対する建築的回答としての、工業化住宅の在り方。

 華々しいデビューを飾る、1937年のパリ万博日本館。ゆったりとしたスロープで連結される敷地と建物、傾斜のある敷地を活かした配置計画。1/50模型と原寸木製ルーバーによる、臨場感ある空間の再現。

 帰国後の、物資の乏しい時代の工夫を凝らした設計活動。現実と向かいつつも、モダニズム空間の豊かさを獲得しようとする真摯な姿勢に感銘を受けます。そして日仏会館の設計を皮切りに、塩野義、東レといった企業との信頼関係を築いて次々と関連建築を手がける時代へ。さらに時代の上り調子を背景に役所、美術館、学校などを次々と手がけるようになります。

 もう一つ印象的なことは、出光の給油所に一つ一つ異なったデザインを考えるといった小さな建物にも情熱を注ぐ姿勢や、渋谷駅等の駅前再開発を交通動線を踏まえて検討するといった領域横断的な活動です。展示のクライマックスが新宿駅西口の再開発なことが象徴的です。

 会場から感じられるのは、終生変わらぬコルビュジェへの尊敬の念と、建築に留まらずプロダクトから都市計画まで、時代の要請に真摯に向き合う姿勢。その誠実さゆえに、造形面ではそれほど突出したモノを感じません。建物群の更新期を迎えるに当たり、坂倉建築もまた姿を消すのか、手を入れながら存続するのか。デザインの価値を問われる時代に入ります。

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  代表作である建物を体験しながら観る回顧展は非常に説得力があります。

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2009年05月24日

●20 Klein Dytham Architecture@GALLERY MA

 ギャラリー間で開催中の「20 クライン ダイサム アーキテクツの建築」を観ました。売れっ子建築家ユニットの作品回顧展。

 展示は電飾サインに写真を嵌め込んだ看板が点在する3階と、光を落としたラウンジで黒いソファに身を沈めて二人でiPodを聴く4階の二層構成。看板群にはアスクリッド・クラインのインタビュー音声が流れ、ソファの縁には精巧な透明模型が並びます。「カンバン」と「iPod」だけで構成するところが、建築のライブ化を試み続ける彼等らしい。一番好きなのは「Bloomberg ICE」。

 建築をインテリア化する流れから分岐して、カンバン化を突き進む現在進行形の展示は以外と面白い。中身のなさを逆手にとった爽快感はさすが。時代の変調を受けて、次の20はどう変容するのだろうか。

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2009年02月23日

●都市を仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み@東京オペラシティアートギャラリー

 東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「都市を仕掛ける建築 ディーナー&ディーナーの試み」展を観ました。

 セクション1 模型/写真
 入口でハンドブックを手渡され、展示室へ。木でカッチリと作られた模型が並び、その傍らに配置図。壁面には写真パネルが掛けられています。説明は一切なく、プロジェクトを識別するための数字とアルファベットイニシャルのみが示されます。

 そのサインを手掛りにハンドブックをめくり、プロジェクトの概要を探し当てます。床に置かれた配置図から周辺環境のパターンを読み込み、1/1000スケールで統一された模型から空間を思い浮かべます。そして壁面に掲げられた写真パネルを通して建物に入り込み、中から外を見、外から建物を見返して、内外の関係性を確認します。

 絞り込まれた情報をつなぎ合わせることで全体像を読み解く仕掛けは、知的な宝探しをするようでとてもスリリングです。
 684 VOG。既存の建物と合わさって、中央広場を形作る計画。
 691 CBN。工業地帯の建物ボリュームを尊重することで、その場所の個性と独自性を継承する再開発計画。
 731 FRI。大きな街路ブロックの内側に、小さな、自由に行き来できる複数の中庭。
 その過程を通して、都市と対話を重ねる建築家の真摯な姿勢が浮かび上がります。

 セクション2 コンペティション
 大きな木地のテーブルの上に、白い図面集が並ぶ。それらを開いて、建築家の思想に触れる。密度が薄く感じられてイマイチ。

 セクション3 スライド/フィルム
 上映映像「継承と変容」に登場する「場所と機能の調停」というフレーズが良かった。カーテンで会場を柔らかく分節する操作も心地良い。

 セクション4 実施図面/サンプル
 都市を読み解くことから始まる物語が、図面、サンプルを経て実現する。その終盤のエピソード。オーソドックスな形態、素材を使うせいか、前半のスリルに比べると物足りなく思えました。

 全体を一つの物語として作りこんだ、とても良く出来た展示だと思います。

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2008年12月31日

●石山寺の美@岡崎市美術博物館

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 秋の愛知-京都行きの記録その1。岡崎市美術博物館を訪れたのは11月初旬。建物本体を地下に埋めて、アクセス部分だけを地上に露出させる手法は大山崎山荘美術館新館MIHO MUSEUMと同じ。前者は展示室よりも遥かに大きな通路のアンバランスさに驚き、後者は桃源郷を顕在化させる財力に驚嘆。そして今回は巨大なガラス箱が実質ガランドウなことにビックリ。周辺の自然に対峙する人工の箱としての存在感を確保するためのボリューム、圧迫感を消去するためのガラスの箱という感じ。
 「石山寺の美-観音・紫式部・源氏物語」を観ました。「大日如来坐像 快慶作」。怖い目つき、対決展での快慶とは全然異なる印象。「維摩居士坐像」。髭、首、胴体、見事な造形。「仏涅槃図」。表情豊かな人物、動物。勝川春章筆「見立紫式部図」。透ける着物、ほんのりピンク。土佐光起筆「紫式部図」、土佐光吉筆「源氏物語図色紙」、住吉如慶「源氏物語画帖」も良かった。

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 地下からレストラン「セレーノ」へと通じる階段。白大理石の階段と壁面、スリガラスのトップライトから柔らかい自然光が注ぐ。茶色がかった部分は、大雨のさいに土砂が流入したのだろうか。

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 小高い丘の上の立地なので、眺望は抜群に良いです。見回せば、秋の彩り。
 市立の建物とは思えない意欲的な作り。アクセスがもう少し良ければ、市外からの来客も増えるだろう。

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●福原信三、路草写真展@資生堂アートハウス

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 谷口建築巡礼の記録。資生堂アートハウス。高宮眞介さんとの共同設計で、美術館建築としてはこれが処女作だそうです。建物よりも植栽を施した屋根面が印象に残ります。

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 内部で大きくS字を描くプランは双端が異なり、片方は四角、片方は円。エントランスを入ると小さな円弧状の階段があり、幾何学形態にプランを落とし込むような印象。広大な芝生の中に点在する立地ならではの構成。

 「福原信三、路草写真展」を観ました。資生堂初代社長とその弟が日本の風景写真界に残した足跡を辿る。チラシ表紙の「新年の海」を始め、ゆったりとした時間が流れるような画面が美しい。絵作りが舞台的で、絵画と写真の境界のような感じ。路草は作品自体が少ないが、二人の兄弟、さらに資生堂の底に流れる美意識が感じられる展示にはーっと溜め息がでた。

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 掛川から足を伸ばして、静岡県立美術館初訪問。「国宝 鑑真和上」展を観ました。「鑑真和上坐像」。鼻筋の通った高貴で柔和な表情、がっしりとした体躯、強靭な意志を感じさせる名作。「舎利容器 金亀舎利塔」。緻密な細工、透かし彫りの中の容器、金色の亀。「四天王立像 広目天」。睨み眼、裾を結んでバーン!とした存在感。「四天王立像 多聞天」。小錦!ドーン!とした存在感。「東征伝絵巻」。鮮明で大きい、波乱の旅絵巻物語。「如来形立像」。失うことで引き立つ美しさ。

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 ミュージーアム・レストラン「エスタ」も初訪問。昼下がりでも意外と人が多い。特別展だけでなく、美術館自体が「人の集まる場所」として機能していて良かった。

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●北斎@佐川美術館

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 MIHO MUSEUMに行く途中、佐川美術館に立ち寄りました。水盤をはさんで二棟の巨大なムクリ屋根を載せた展示室棟が立ち、両者をガラス通路で結んで回遊経路を構成します。さらにその先に、新築された樂吉左衛門館が地下通路で繋がります。それぞれの館を、平山郁夫、佐藤忠良、樂吉左衛門の3氏の常設展示に割り当て、佐藤館の一角を特別展スペースとして活用しています。
 他でちょっと見ない巨大なボリューム、杉板型枠を用いたPC版をきれいに割り付けた外観、量塊が水と屹立する構成は簡潔で存在感があります。

 特別展は「冨嶽三十六景と富嶽百景 北斎 富士を描く」。北斎展が始まって入場者が増えたとチケットブースで聞き、さすが北斎と感心。三十六景よりも百景の方が新鮮で面白かったです。

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 コーヒーショップSAMで休憩。パリパリした生地とたっぷりのフルーツが美味しかった。水盤を眺めるロケーションも自然光たっぷりで気持ち良いです。

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 樂吉左衛門館へ降りてゆく階段。重量感あるRC壁を欠き込んで間接照明を仕込む、劇的なつくり。

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 水面越しに光が降る壁面。チラチラと光が変化する様が美しい。左手に展示室。十五代目樂吉左衛門自ら手がけたという空間は、少々演出過多で疲れた。美しいシーンはシーン、鑑賞体験は体験で分離している気がする。予約制の茶室が満員で見られなかったのが残念。

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 消火栓も点検扉もRCの質感で統一した内部空間。枠をなくして線を消し、面へと還元する。機能と意匠の折り合い。

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2008年12月28日

●豊田市美術館 その2

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 豊田市美術館を再訪したのは盛夏の頃。雨が降ったり晴れたりと目まぐるしく天候が変化する慌しい日でした。雨が上がって、濡れた床面に空が映り込む。

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 レストラン横の屋外鏡面インスタレーションに映る景色も、片や雲、片や青空。床面も半鏡面状態。不思議度が増します。

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 水盤に映る空。建築空間そのものがアートワークと思える切れの良さ。

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 「レストラン七州」でお昼。眺望、味、価格のバランスにおいて、ミュージーアム・レストランNo.1ではないでしょうか。

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 今回は茶室も訪問しました。お菓子と抹茶をいただきながら一服。

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 茶室より屋外を望む。足元を眺める伏目な美学

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 獅子おどしと水鉢。美術品や自然と一体化する空間は、一つの究極を観る思いです。

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2008年12月22日

●日本大学カザルスホール@御茶ノ水

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 御茶ノ水にある日本大学カザルスホールで「アーレントオルガン ランチタイムコンサート」を聴きました。カザルスホールは1987年に竣工した、クラシック音楽専用のシューボックスタイプといわれるホールです。設計は磯崎新アトリエ。 所有会社の運営難で継続が危ぶまれる時期もありましたが、新たな所有者及び協賛企業の支援を得て今日に至ります。さすがは文教地区です。

 学生時代に音響重視型ホールの手本例として習ったものの、実際の音響を聴くのは今回が初めて。非常に巨大で装飾性も高いパイプオルガンからどのような音響が響くのか、興味津々。オルガン奏者とその助手(?)の方が右手のブリッジから登場、パイプの裏手から回って鍵盤の前へ。助手の方が鍵盤両脇の音栓を調節して、譜面台に楽譜を置いて演奏開始。時に鍵盤上の扉を開き、時に足で演奏し、その一つ一つがダイナミックでロボットアニメの操作シーンを観ているようです。
 演奏が4曲目にさしかかり、バッハが流れる頃にはすっかり音響に包み込まれ、夢見心地に。ホールを見渡しても、目を閉じて聴き入っている方も多いです。7曲目は大小パイプオルガンとチェンバロによる合奏。1時間ほどの演奏を堪能しました。

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2008年10月17日

●村野藤吾・建築とインテリア ひとをつくる工学の美学@パナソニック電工 汐留ミュージアム

 パナソニック電工 汐留ミュージアムで開催中の「村野藤吾・建築とインテリア ひとをつくる空間の美学」を観ました。

 展示はパネルが中心で、模型が点在し、たまに原寸再現模型がある感じです。再現CGもあります。
 SECTION1 建築家村野藤吾を読み解く15(TOGO)のキーワード。箱根樹木園休息所のシャンデリア詳細図の細かさに驚く。日本興業銀行本店(現・みずほコーポレート銀行)の北側キャンチレバーも迫力あります。実物を観て来よう。新高輪プリンスホテル(現・グランドプリンスホテル新高輪)の解説文に「サムシングニュー」とある。いつも新しくないといけない。大宴会場「飛天」の天井。
 SECTION2 村野藤吾のインテリア。2-2 村野流 ミッドセンチュリーのインテリア。戎橋プランタンのファサードが直線的な構成に少しRを入れていて素敵。2-3 色彩と光の空間 日生劇場。マド貝が散りばめられたホール天井を始め、幻想的な空間は圧巻。花階段の振れ止め、幾何学パターンで構成されたエントランスホールの天井、ホール内壁のうねり。一度実物を観るべき。粘土のスタディモデル、それで検討している村野藤吾の写真はとても興味深い。やはりこの空間の検討は紙やボードでは無理だと納得。2-4 「さわり」のデザイン ホテル空間。スワンチェアのリプロダクション品に実際に腰掛けられるのが良かった。掛け心地良し。ドレッサーも実物展示。ティッシュを納めるサイドコーナーの作りに関心。
 SECTION3 建築家の内的世界。3-1 大地につながる建築 晩年の有機的空間。いつか行きたい美術館の一つ、谷村美術館登場。粘土模型をそのまま実現したような異形の建築。塑像のような空間。図面はもやは抽象絵画のようで、所員の方たちの読解作業の苦労が偲ばれる。

 関連イベントである「グランドプリンスホテル新高輪 茶寮 惠庵 建築見学と茶会」には、50人の定員に300名以上の応募があったそうです。近代建築というとコルビュジェ-前川國男というモダニズム理論の実践者の系譜が思い浮かびますが、そういった流れから距離を置き独自の世界観に生きた感のある村野藤吾の存在が非常に大きく感じられるのは、興味深いです。

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2008年10月01日

●「元倉眞琴・山本圭介展 -GATHERING SPACE-」のご案内

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 私の師である元倉眞琴さんの展覧会及び講演会が開催されますので、紹介させていただきます。
 内容詳細及び申込は、建築家フォーラム(下記リンク)よりどうぞ!

■展覧会
元倉眞琴・山本圭介 -GATHERING SPACE-
2008年10月14日(火)~21日(火)
10:00~18:00(最終日は18:30まで)[予約不要・入場無料]

■講演会
2008年10月21日(火)
受付18:00 開演18:30~20:30[要予約:定員80名]
山本圭介(山本・堀アーキテクツ代表、東京電機大学教授)
元倉眞琴(スタジオ建築計画主宰、東京藝術大学教授)
今川憲英(外科医的建築家、東京電機大学教授):企画・進行
一般ビジター:1,000円 学生・院生ビジター:500円

主催:建築家フォーラム
会場 INAX:GINZA 展覧会:7F 講演会:8F
〒104-0031 東京都中央区京橋3-6-18
Phone:03-5250-6579
http://www.chousadan.jp/kentikuka-club/index.htm

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2008年08月07日

●「觀海庵」落成記念コレクション展-まなざしはときをこえて@ハラミュージアムアーク

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 ハラミュージアムアークで開催中の「「觀海庵」落成記念コレクション展-まなざしはときをこえて」を観ました。ハラミュージアム初訪問。黒いボリュームが放射状に伸び、三角屋根のトップライトが載る外観が、緑のマウンドに映えます。

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 グリーン牧場内にある不思議な立地。対面のレストランで、ミュージアムを眺めながら腹ごしらえ。素晴らしく心地良い。

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 フェデリコ・エレーロのアートワークを横目に眺めながら、一路「觀海庵」へ。そのアプローチ上には横尾忠則さんのアートワークも展示してあって、建築と自然とアートのバランスが素晴らしい。

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 黒い回廊のその先が「觀海庵」。
 入口を潜ると、アニッシュ・カプーアの漆黒に吸い込まれそうなオブジェが迎える。受付には杉本博司の三枚の写真。そして回廊沿い壁側にマークロコスの赤とヤンファーブルの青。反対側には丸山応挙「淀川両岸図巻」。両岸を両側から眺めるように描く独特の構成、豆粒のように細かな人人人。横長のガラスケースを両側(廊下側と展示室側)から眺められるように置く配慮。角を曲がって、森徹山「百鶴図屏風」。トップライトから取り込んだ光を柔らかに拡散させて、壁面を満たします。屏風の間にちょこんと置かれた小さなアクリルのオブジェは倉俣史朗。さらにそこに生けられたオブジェは。。。答えはその対角上にあります。さらに角を曲がって狩野永徳「虎図」。永徳?という気もしますが、目を細めて寝る虎が可愛い。その横の飾り棚には上段に須田悦弘「枇杷」、下段左に浪に「千鳥蒔絵堤重」、下段右にキーンホルツの壊れたレトロテレビ(?)のようなオブジェ。古と今、美と儚さ、技と素材。自在な選択と絶妙の構成。最後の角を曲がって、狩野探幽「龍虎図」。その左につつましく草間彌生「かぼちゃ」。水玉の棚におさまったお馴染みのかぼちゃが可愛らしい。草間さんの強烈な個性を巧みに抑えて可愛らしさを引き出すキュレーションは絶品。右に「軍配に鉄仙蒔絵刀筒」。さりげなく添えられた「鉄線」は須田悦弘。その完璧な調和は一体のものかと思うほど。展示室の中央にはイブクライン「青いスポンジ」。その陰影に富んだ深い青は、空間の要に相応しい。

 本展の監修は設計者でもある磯崎新さん。その古今を自在に渡る構成は素晴らしく心地良いです。肩肘張らず、大げさなポーズもとらず、ただ流れるように美の相乗効果を楽しむ至福のひととき。さすがです。

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 現代美術の三つのギャラリーは、半屋外スペースをコアに三方に伸びます。その間からは、屋外作品が点在する緑の景色。ギャラリー内には名和晃平「PixCell [Zebra]」、「Pixcell-Bambi #2」、奈良美智「Eve of Destruction」、草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」、束芋「真夜中の海」等など、見応えある現代アートがズラズラ並びます。ハラミュージアムとは違った形で展示されている作品も多々あり。心底、アートに溶け込むような気がします。

 「觀海庵」の向こうには更なる増築計画があるそうです。どんな場所へと変化するのか、今から楽しみです。

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2008年07月09日

●金沢21世紀美術館

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 絶対行きたい(というかとっとと行け)美術館ベストスリー最後の一つ、金沢21世紀美術館。開館4年目にして、ようやく訪問。設計はSANAA(妹島和世・西沢立衛)。
 周辺を建物に囲まれた立地、高さを抑えた設計、円形のガラスファサードで囲まれた顔のないつくり。中に入ると「ワッ!」と広がる雑踏のざわめき。屋根とガラス壁で規定された街路=美術館という図式とその体現は衝撃的。4年を経てこれなので、登場時の驚きは想像を絶する。美術館と都市の関係を「拡張する」という点で、歴史に残る名作。

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 美術館の顔、レアンドロ・エルリッヒ「スイミングプール」。ガラスの回廊に囲まれた中庭で演じられる視線の交錯劇。装置を活かしきる舞台設定が何より秀逸。

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 白いハコ=展示室。美術館としてはカナメ、ここでは道端の露店みたいなもの?見た目よりも観客との関係性が大事。村上隆「シーブリーズ」の時間限定イベント、エルネスト・ネト「身体、宇宙船、精神」の弱く美しく繊細な空間体験は、ここで過ごした記憶を脳裏に焼き付ける。

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 ガラスのエレベーター。車椅子用押ボタンの「上」に健常者用ボタンを配するのを嫌い、文字通り支柱の上にボタンを配置。かご内奥手の操作ボタンも、コの字フレームの三方枠に車椅子用と健常者用を同様に納める。ついでにインジケーターパネルも途中で止めて、トーテムポール状に建てる。デザイン領域を押し広げるという点で、とても興味深い。

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 中と外を規定する円弧状ガラス面。中と外は分断され、透明性でもって再接続される。
 建物はけっこう安っぽくて意外でした(安く作ったのではない)。それも含めて実現した「広場のような空間」、人々が行き交う景色。その進化の歴史は、青森県立美術館、十和田市現代美術館へと続きます。それにモエレ沼公園を加えて、新・絶対行きたい美術館ベストスリーです。

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2008年02月02日

●四国の旅 その6 金刀比羅宮 緑黛殿

 金刀比羅宮の魅力は、伝統を尊重しつつ、新しいものを貪欲に取り込んでいくところにあると思います。それが非常に鮮明に現れているのが、「緑黛殿」。絵馬堂、御本宮と並ぶ場所の左側にあります。設計は鈴木了二建築計画事務所。用途は祈祷を上げてもらう方の控え所だそうです。

 内部は非公開ですが、外から眺めるだけでもその魅力(異物感?)は伝わります。屋根は瓦の載った大屋根。ですが、それを支える梁、柱はコールテン鋼(表面に酸化皮膜を形成して腐食を防止する鉄。錆を意匠的に見せることが可能)です。錆の色合いが遠景には伝統建築のように見え、近づくとその素材感から現代的な印象を受けます。柱に挟まった白い箱のバランスはまさに現代建築。中庭に面した地階(?)は更に明確になって、鉄とガラスの箱の中に白いボリュームが納まっています。
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 中庭には2本の木を残して、後は土だけです。それをコールテン鋼でぐるりと囲みます。とても荒々しく大胆。ギョッとしました。でも調和していると感じます。好き嫌い分かれそうですが、長いスパンで考えるとこれくらいが良いと思います。違和感は時が経つにつれて消えるでしょうし、金刀比羅宮はこの先もずっと在り続けるのだし。
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 「幸福の黄色いお守り」。御本宮近くの授与所にて。お守り、小さなお守り、小さな小さなお守りの三点セットを購入しました。2,500円也。
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2008年02月01日

●四国の旅 その4 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

 そして丸亀へ。目的は「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」。設計は谷口建築研究所。「せとうち美術館」からタクシーで2,540円也。JRでも移動できますが、坂出駅まで戻っても2,140円かかることを考えると、待ち時間なしで移動できて良かったです。

 展示は常設展のみ。閉館50分前に滑り込んだので、貸切状態でした。ここで「瀬戸内アートネットワーク・スタンプラリー」のスタンプが三つ(直島、せとうち、丸亀)たまったのでバッチをもらいました。

 3階廊下から展示室Bを見下ろす。上部横長窓から望む丸亀の景色。雑然とした足元を消去して、上部のみ切り取って見せます。それを展示室の面として構成することで、外部が展示室に貫入します。変則的な借景の手法。
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 展示室A。不要な線を消去して、面に純化する美学。左手の扉は高さ3mほどありますが、意外と軽やかに開閉します。
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 建物正面の大階段を上った先にある「カフェレストMIMOCA」。こちらはお客さんが何組か入っていました。見せたくないものは隠す。駅前の雑然とした街並とは階段を経ることで隔絶、ロータリーの喧騒は屋上庭園に滝を流して消去。落ち着いた雰囲気を形成しています。しかし目隠し壁を越えて高層マンションが顔を出しています。環境を制御するのは難しい。
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 丸亀駅から眺める駅前広場。屋外彫刻が配され、美術館と一体の駅前作りを目指したことが伺えます。建物も大きなゲート状の囲いでそれに答えます。しかし、大きな壁画は同時に内外を分断します。駅前の賑わいの演出に寄与するであろう飲食施設やライブラリーは、直接見えないところに隠した格好です。
 雑然とした周辺環境は隠して、上部の眺めのみを切り取る。開いて閉じて開く構成。美術館としてとても美しい反面、広場に面した在り様としてはどうなのかと気になります。
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2008年01月30日

●四国の旅 その3 香川県立東山魁夷せとうち美術館

 次の目的地は「香川県立東山魁夷せとうち美術館」。設計は谷口建築研究所。フェリーが接岸するやいなや、高架歩廊を渡ってJR高松駅へ。最寄の坂出駅まで移動した後、タクシーでGO。バス、乗合タクシーもあるものの、時間が全く合いませんでした。入館料300円(スタンプラリーの割引で240円)、タクシー代2,140円也。

 美術館へと伸びる「道」。それを受け止める自然石貼りの壁、RC箱、控えめに挿入されるガラスの箱。あえて背後の瀬戸内海を見せない配置。
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 展示室を一周して、ラウンジ「なぎさ」から望む瀬戸内海。「白い道」からRC箱の第一展示室「魁夷-四季変化」、自然石貼り壁の第二展示室「森のささやき/白馬幻想」、デジタル展示室を経て、ラウンジへ。東山魁夷の作品を鑑賞しつつ瀬戸内海の大パノラマへと導く動線、演出は完璧。第一展示室の細いRC柱も、浮遊感が感じられてとても美しいです。「建築化された散歩道」の一つの究極に思えます。安藤さんの「建築化されたランドスケープ」と合わせて観ると、建築の可能性の両極が体験できます。
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 ロビー内観。ガラスの箱の中に、木地の衝立。内外の天井高を揃えて一体化。純化された構成。その反面、後付のポスター掛けスペースが浮いて見えます。箱が小さすぎる?
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 木地の衝立の裏側。ミュージアムショップ、ロッカー、傘立等をまとめて配置。案内板も一体化した方がスッキリする気がしますが、そのために純粋な形態を崩すのももったいない。
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 自然石を内部にも連続させて内外を一体化。通路開口は石の割付とぴったりと一致。ガラリ、扉も開口一杯まで立上げて、余計な線を消去。
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 瀬戸内海の「借景」と「線の消去」。そして流麗で繊細な構成。小さいながらも谷口美学が堪能できて満足です。さらに雄大な自然に力負けしない壁としての在り様が見られて、とても良かったです。アクセスが悪いながらも人はけっこう入っていて、東山魁夷と谷口建築の人気の高さを感じました。
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2008年01月29日

●四国の旅 その2 ベネッセアートサイト直島

 直島と言えば「ベネッセアートサイト直島」。あいにく地中美術館が展示替え休館中だったので、今回は偵察のつもりで軽く廻りました。

 フェリーから望む直島。中央の建物が「ベネッセハウス ミュージアム」。重工業が衰退した禿山を、建築とアートの力で世界有数の観光地に飛躍させた立役者。島をぐるりと回って宮浦港へ。
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 フェリーターミナル「海の駅なおしま」。設計がSANAAということでとても有名。薄い屋根と細い柱、ずらしながら挿入されるガラスの箱。船と車とバスの結節点というとてもアクティブなエリアにあって、その存在感は希薄。消したというよりも単に印象に残らない。船のハッチがそのまま桟橋になるダイナミックなギミックの方が面白かったです。前の写真にチラリと写っている緑とオレンジの板がパタンと倒れて橋になっています。
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 「家プロジェクト」を間にはさんで、「ベネッセハウス ミュージアム」へ。設計は安藤忠雄建築研究所。長く伸びたアプローチに沿って海へ向かい、折り返して振り返ると入口が登場します。安藤さんらしい、軸線を大切にした構成。中へ入ると、弧を描く動線が上へ下へと伸びていて迷路のよう。至るところにアートワークがあるものの、建物の印象が強すぎて、さながら安藤建築鑑賞ツアー。「21_21 DESIGN SIGHT」も同じ印象を受けますが、美術館というよりも建築化されたランドスケープに近いと思います。建築としてはとても大味。円形吹抜けにある階段は、トップライトメンテナンス用なのか?この建物の真価は、泊まってみないと分からない。
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 草間彌生「南瓜」。数多く設置された屋外作品の中でも、抜群の存在感を放ちます。本当にすごい存在感。これはきっと、草間さんの分身なのでしょう。フェリーターミナルにある赤南瓜が修復中で観られなかったのが残念。
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 14:20離島。サヨナラ直島、次回は泊まりで来よう。

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2008年01月28日

●四国の旅 その1 家プロジェクト

 「金刀比羅宮 書院の美」の終わりが近い。飛行機のマイルがたまった。そうだ、香川へ行こう!というわけで、1泊2日で香川を旅しました。

 まずは直島「家プロジェクト」へ。朝一番の飛行機で高松空港まで飛んで、タクシーで高松港へ。フェリーで直島に上陸して、町営バスで最寄駅の農協前へ。11:14着。乗換時間数分、驚くほど接続が良いです。

 「本村ラウンジ&アーカイブ」。設計は西沢立衛さん。「TKG Daikanyama」の内装、「Space for your future」の出展と、大活躍な方です。スーパーマーケットを改装した本計画も、剥き出しの構造体にほっそりとした階段を加え、明るく射す光と植物で柔らかな空間を構成しています。こちらでチケットの購入と、「きんざ」の予約確認をして散策へ。
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 須田悦弘「碁会所」。室内に散らばる木製の椿、そして見返す庭。名前から「人が集まる場所」を想像していたら、人の居場所は縁側だけで長居するにはちょっとつらい。アートに家を追い出されるような妙な感覚。
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 宮島達男「角屋」。暗闇の中、水面に揺らめく発光ダイオード。その幻想的な眺めに、扉を開けた瞬間「おおっ」と声が出ました。水戸芸術館の宮島達夫展は絶対行こう。
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 内藤礼「きんざ」。スルスルと潜り戸を引いて中へ。下部の光スリット、存在感のある土壁。静かに充満する音と、次第に浮かび上がる装置。予約制なので、完全に1対1で作品と向かい合う15分。空間とアートが一体化した、もの凄く濃密な時間。時間の断片を引き出す装置に思えました。
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 杉本博司「護王神社」。地中へと続くガラスの階段。案内スタッフの方の解説に拠ると、昔は古墳があった(今もある?)という地の記憶を踏まえた地上(神社)と地下(古墳)をつなぐ作品らしい。アートが神の居場所に侵入して良いのか、引っかかります。石舞台古墳も石室を観光地化している訳だし、既に抜け殻の場合は可?引っかかりも含めて作品?美はそれらを凌駕する?
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 大竹伸朗「はいしゃ」。トタン波板、錆、ガラス、多数のサインやオブジェで内外を覆い尽くした塊。スマートな作りの作品群の中で、そのペラペラで乱雑(に見える)作り、その中に感じるエネルギーは異彩を放つ。古く懐かしい現代アートという感じ。矛盾してますが。
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 個々の作品も魅力的ですが、普通に町を歩いていてアートに出会う(というか、地図がないと家並みに埋没して見逃しそうになる)感覚が「家プロジェクト」の素晴らしさだと思います。さらに、その魅力に触れるには、実際に行くしかないことも大切。シーズンオフにもかかわらず、何組もの方たちが地図片手に歩き回っていました。

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2007年09月19日

●朝倉彫塑館@谷中

 谷中にある朝倉彫塑館は、彫刻家朝倉文夫(1883-1964)のアトリエ兼自邸であると同時に、恐らく現存する日本最古の屋上庭園があります。竣工は1935年。実に築70年を超えます。その現状を観たくて、初秋の晴天の下、出かけました。

 RC造3階建てのアトリエ棟の屋上にある庭園。左手のオリーブの木は戦後すぐに植えられたそうで、見事な枝振り。舗装タイルの上に、コンクリート化粧ブロックを置いただけに見える庭園の状態は極めて良好。濃密な緑の空間で満たされた空間は、これで持っちゃうの!?という驚きと、建築は長く生きてこそ良さが引き立つという思いとが入り混じるワンダーランド。素晴らしい!
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 屋上から見下ろす、住居棟の中庭。夏を彩る百日紅の花もそろそろ終わり。住居棟は現在立入禁止ながら、その中庭の眺めは素晴らしいです。アトリエからの眺めも絶景。
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 庭園の下には、朝陽の間と名付けられた応接用の和室があります。神代杉の天井板、瑪瑙を砕いて塗りこめた壁、松の一枚板の床板。悦を尽くした空間は、蕩けるほどに魅力的。更に降りると、蘭の間。かつては東洋蘭の温室として使われたそうですが、今は朝倉が愛した猫の像で埋め尽くされています。個人的にイチオシの「吊るされた猫」は、宮城県美術館に貸し出し中でした。更に降りると、3層吹抜けのアトリエ。大きな窓から木漏れ日の射す空間は、とても居心地が良いです。そこからの中庭の眺めも素晴らしい。

 作家自らが25年かけて練り上げた空間は、作為が磨きこまれて無為へと突き抜けたような感動を覚えます。一般に広く公開している台東区にも感謝。
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2007年08月31日

●ART PICNIC Vol.13「ル・コルビュジェ展」@森美術館

 「アートをもっと身近に楽しもう」をテーマに、森美術館J-WAVE BOOM TOWN がコラボレーションしているイベント「ART PICNIC Vol.13~Le Corbusier」に行きました。

 参加者は20名ちょっと。ナビゲーターのクリス智子さんと森美術館館長の南條史生さんの案内で、展示を観て回ります。貸切状態の美術館の中を、マイクやカメラ等の機器を抱えたスタッフの方たちが付かず離れず帯同していて、ちょっと変わった大人の遠足です。
 冒頭で「暖炉」、「ロンシャンの模型」、「絵画のような彫刻」の三つを紹介して、「建築家コルビュジェとアートの関係をクローズアップする」本展の趣旨を説明してスタート。コルビュジェのアトリエの再現模型へと進むと、コルビュジェさんが登場!ちょっと一言多いキャラクターも上手く演じていて面白い。
 ユニテ・ダビタシオンの再現模型の前では、南條さんがコルビュジェの理想の身体=モデュロールの身長1,829mmとわずか1mm違いの1,830mmという驚きの事実が!実際に原寸モデュロールの前で手を掲げたポーズをとられると、そのピッタリっぷりに驚きました。中に入ると蝶ネクタイに着替えたコルビュジェさんが!リビングテーブルに三人が座って解説をひとしきり。システムキッチンの発明、子供用シャワー室、オムツ替え台、階段の子供用手摺の工夫等々。リビングの可動照明をキッチン側に動かしてみたりと、普段は触れない部分を実演してもらえたのも良かったです。「マンションの見学に来たよう」というクリスさんの言葉に対して、「コルビュジェはライフスタイルをデザインした」という南條さんの返事は特に良かった。
 シャンディガールの展示では、絵画と建築のモチーフの共通性を語って、再度本展の趣旨をアピール。最後にカップマルタンの小屋でコルビュジェさん(今回はかなりラフな格好!)と記念撮影。実は森美術館の広報の方が扮しておられたと種明かしをして終了。あっという間の2時間弱でした。満足満足。
 
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2007年08月09日

●「ル・コルビュジェと私」 第4回 「ル・コルビュジェの精神と近代」

 森美術館で開催中のレクチャーシリーズ「ル・コルビュジェと私」の第4回「ル・コルビュジェの精神と近代」の聴講メモです。出演は黒川紀章さん。(第1回第2回第3回)
 京都大学を卒業、中央と距離があって良かったが、もっと矛盾の孕んだ活気のあるところへ行きたいと希望。一番尊敬できるところに行こうと考え、丹下健三のいる東京大学へ。丹下研究室に入ると仕事の手伝いで忙しいので、ゼミのみ参加。自分の製図板は研究室でなく廊下にあった。
 世界で大きな変化。バウハウス、グロピウス、ミース等、モダニズムへの道を拓くリーダー達が活躍する時代。研究室で一番汚れた(繰り返し読まれた)本がコルビュジェの作品集。丹下さんのバイブルだった。
 1958年、CIAM (近代建築国際会議)の第10回会議のゲストとして丹下健三とルイス・カーンが招待された後、CIAMが解散。その会議を準備したメンバーがチームX(テン)を結成。第一回目がフランスのロヨモン修道院で開催される。実作はなくとも面白そうなモノを作りそうな面子が招待される。ジェームズ・スターリング、クリストファー・アレキサンダー等と共に参加。近代建築が終わって、何かが始まるらしい。ル・コルビュジェ、インターナショナルスタイルを批判するところから建築家としての活動が始まる。
 ロンシャンは建築ではない。あえていうならバナナか?インターナショナルスタイルが上手くいかないところから逃げ込み、失敗したまま死んだ。哲学を考えたのに、建築が資本家の手に落ちるとアーティストに帰った。ラ・トゥーレットはなんとか建築。丹下先生も死ぬかと思ったら、代々木競技場で生き延びた。本人は最後まで言わなかったが、伝統的な日本の屋根の影響がある。
 丹下の下にきたコルビュジェからの手紙のコピー。大人が子供を肩の上に立たせているスケッチと「次の世代へ」というメッセージ。丹下を通して、コルビュジェの苦難の道を知る。
 独立当初は仕事を頼みに来る人がいなかったから本を書いた。現在143冊。今の人は作品集は作るが本は書かない。1世紀に2人いれば良くて、その1人が自分。日本語の100冊目が「都市革命」。「競争原理=もうかる」だけではダメ。経済と文化の共生が大切。建築の話は今回が最後。衆議院議員になる。
 1960年から時代が変わる。建築のモダニズムが終わって、今起こっているのは新しいモダニズム。新しい言葉を作れない場合にポスト(後)をつけるが、中身がない。1958年に「機械から生命へ」を書いた。今ではあらゆる学問が「生命」を掲げる。二元論で解明してきた世界から複雑系の化学へ。「中間領域論」。化学と芸術、二元論を超える共生の思想。1960年代に「共生」の言葉を作った。
 グローバリズムはスタイル。上手い手だが、本当の新しい時代を生きていない。自作のクアラルンプール新国際空港のHPシェルはローカリズムを表現する。過去を参照していない。人間と自然が共生する上で問題が出てくる。都市はコンパクトに、森を残す。
 マリリン・モンローは嫌い。グレタ・ガルボが好き。人間は肉体だけでなく、心(哲学)も持てる。浮世絵でいえば、鈴木晴信が好きで歌麿が嫌い。グレタ・ガルボのような建築を作りたい。コルビュジェの時代の哲学はヒューマニズム、人間中心。レヴィ・ストロースの構造主義は、未開からフランスを見据えることで、世界を相対化した。森と共生しないといけない。建築は、哲学、数学、量子力学、文化人類学といった学問と手を携えて乗り越えていく。コルビュジェを再評価しながら、その時代と何が違うか考えて行きましょう。

 黒川さんの講演を聞くのは今回が初めて。大遅刻で始まり、コルビュジェを絡めつつ批判と哲学を武器にご自分のサクセスストーリーへとつなげ、政治の話へ脱線。誇張の効いたジョークを交えて会場の笑いをとる話術も含めて、巨匠らしい講演でした。ただ、ル・コルビュジェ展の講演会としては微妙。

 これで全4回のレクチャーシリーズは終了です。ル・コルビュジェをキーワードにして、現代建築の巨匠4人の話を聴けるのはとてもありがたかったです。4人の話を通して、「現代」をフラットに眺められるところが最大の魅力。
 学生の頃に抱いたイメージ、コルビュジェの建物を見て回った時に抱いたイメージ、そして今回の展示と講演。その中で変わらない部分があり、変わる部分もあります。特に今回は、建築設計の実務に携わる中での変化なので、思うところ多々。建築に対する意欲が底上げされました。


 講演会は週末の昼下り。「ラテンアメリカン・ガーデン」開催中。
 でもプレゼン直前だったので、立ち寄る間もなく代官山のプロジェクト室にUターンでした。
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2007年08月01日

●21_21 DESIGN SIGHT@東京ミッドタウン

 東京ミッドタウンの緑地に建つ半地下のデザイン施設「21_21 DESIGN SIGHT」。企画構想は北山創造研究所、設計は安藤忠雄建築研究所+日建設計、施工は竹中工務店+大成建設。2007年2月竣工。安藤さんのコンセプトと、最高水準の設計、施工体制のコラボ。

 大きな鉄板屋根を地面に向けて折り曲げることで、周辺の緑に溶け込むような建物の在り方。水のせせらぎ。思い思いに時間を過ごす人々。全てが人工でありながら、「自然」を感じさせる景色。「人の集まる場」を作るという、明快で力強い意思を感じます。
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 「自然」と対峙する力強さを体現する打放しコンクリート。内部はほぼコンクリート一色。印象もコンクリートのガランドウの箱。環境装置として非常に優れていて、機能を持つ建物としては今一つ。10年くらい経ってから再訪してみたいです。
 ギャラリーでは第1回企画展「Chocolate」が開催中でした。マイク・エーブルソン+清水友里(POSTALCO)「カカオ・トラベル」のコンクリートの壁とパイプの対比、岩井俊雄「モルフォチョコ」の種明しをされても観入ってしまう変幻自在の不思議さに釘付け。釘型チョコの、パウダーをまぶしたチョコと錆釘の質感がそっくりなのも面白かった。ただ、全体的にはかなり希薄な印象。「デザインのためのリサーチセンター」という位置付けも今一つピンときません。
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 端部は結構尖っています。その鋭利さは、「世の中そんなに甘くない」というメッセージにも思えます。
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2007年07月31日

●「ル・コルビュジェと私」 第3回 「ル・コルビュジェとは誰か」

 森美術館で開催中のレクチャーシリーズ「ル・コルビュジェと私」の第3回「ル・コルビュジェとは誰か」の聴講メモです。出演は磯崎新さん。

 コルビュジェはなぜ絵を描くのか?コルビュジェはいつもスケッチブックを持ち歩いていた。スケッチブックから絵画、建築、実生活への影響を追っていくことで、コルビュジェ研究の欠けた部分を語ることを試みる。

□Journey to the East
 イスタンブールでスレイマン期のモスクを観て、ギリシャへ。海からアトス山を眺めるスケッチ。僧院のスケッチ。アテネへ。船の上から眺めるアクロポリスの丘。夕陽のアクロポリスを待ち、そして丘を登る。スケッチブックの記述「alone it is a sovereign cube facing the sea」。アクロポリスを見て、cubeと捉える。最初の建築体験、啓示。

□Album of La Roche
 パリに出る。ピカソがキュビズムを発表した後の時代、ポスト・キュビズムに何をしたら良いか?オザンファンとポスト・キュビズムのマニフェスト、ピュリズムを発表。「暖炉」(白い立方体)を描く。静物画のモチーフとしてガラス器を多用。
 スケッチブック「Album of La Roche」を辿る。延々と絵の下絵、そして絵。透明ガラス器の重なりの表現を探し(スケッチ)、まとめとして絵を描く。空間の重層性の表現、コーリン・ロウの述べるところのambiguity(両義性)。ドミノシステムのスケッチ、重なりあいの表現、レマン湖の景色(「母の家」の土地を探しに行ったときのスケッチ)。重なりあい、ラ・ロッシュ邸の初期スケッチと内観パース。空間の取り出し方、重層させていく過程を建築に置き換えていく。理論、絵画、建築の一貫した仕事。最後に300万人都市のスケッチとマニフェスト。そしてヌードデッサンの模写。原型があって模写、自分のスタイルを作っていった。

□黒い影
 白の時代(1925-35)に3-4のコンペに当選後外される、落選を繰り返す。国連連盟本部、モスクワのセントソロユース、ソビエト・パレス。建築家として一度挫折。1929年、南米旅行へ。南米のスケッチブック。リオの岩山と民家。ヴァナキュラーな物への関心。岩山に長大なピロティのスケッチ、高速道路+建物の構想の始まり。後のアルジェ計画に集約。女性の裸を多く描く、エスニックへの興味。帰りの船でジョセフィン・ベーカーとの出会い。1930年代の変化、「黒い影」。マッシブで透明感のない、肉の塊として対象を捉える。建築でも存在感のある素材を使う。何故?
 (時代を戻して)パリに出た頃の娼館を描いたスケッチは、ピカソの「アビニョンの娘たち」と同じ主題。ドラクロアのアルジェ、モロッコ。ロダンのヌードデッサンの模写。常に「二人の女性」の主題。「黒い影」を持った立体においても相変わらず「二人の女性」の主題。

□アイリーン・グレイとカップマルタン
 アイリーン・グレイの登場。漆工芸家から始まり、先端的なモダンデザインを手がける美女。1929年にカップマルタンの住宅「E. 1027」を完成。コルビュジェよりも出来の良い(?)白い箱。この住宅の背後に、コルビュジェ設計のカップマルタンの小屋と宿泊施設が建つ。コルビュジェはこの住宅に、彼女に無断で壁画を描き、激怒させた。
 なぜ白い壁を汚そうとしたのか?白の時代の自分を汚した?なぜ二人の女のモチーフ?アイリーン・グレイはレズビアン。エスニックな肉体を描きながら、自分自身の中にある透明性、キューブを統括して支配しようとした?男性から見て女性は他者、自分でコントロールできない他者の存在を感じる。建築との関わりを考えるという状態に追い込まれた?この頃に、コントロールの効かない破壊された都市に到達。

□ラ・トゥーレット修道院
 元々はスイスのプロテスタント社会で育った。なぜラ・トゥーレットを設計する?最初期のスケッチはスロープ案。神父よりル・トロネ教会を見るよう勧められる。コルビュジェのノート「10%しか光がない。全部石だけ」。非常に的確な指摘。写真、模型では分からない。体で感知しないと分からないことがある。1963年に訪れた。まだドミニコ会が実際に生活しており、女性は入れなかった。最初の透明から、「E. 1027」の悩みを経て、真っ暗闇に行き着く。

 磯崎さんの講演を聞くのは、第3世代美術館の全盛期以来、14年ぶりくらい。その平明に見えて難解(に感じられる)な論理で、聴く者を惹き込む語り口は健在。今回も繰り返し「なぜか」と明確に問いを発し、それに答えつつ気がつけばコッテリとした深みへと誘います。話を建築に帰結させながら、心に残るのはどんよりとした闇。なんとも言葉にし難い領域へと斬り込む手腕が印象に残りました。

 アカデミーヒルズを出ると、YAYOI KUSAMA presents 「宇宙の中の水玉カフェ」が開催中。「いつも何かが起こっている」イベント性の仕掛けはさすが。
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2007年07月22日

●国立西洋美術館

 上野の国立西洋美術館本館は、ル・コルビュジェが日本で唯一手がけた建物として有名です。設計はル・コルビュジェと彼の弟子である前川國男、坂倉準三、吉坂隆正、竣工は1959年。DETAIL JAPAN 2007年7月号はコルビュジェ特集号ですが、その中でヨコミゾマコトさんがこの建物について書かれています。わずか4ページのテキストですが、トップライトと光の採り入れ方の変遷を主軸に、様々なエピソードを散りばめつつ「不安定な正方形」という言葉で締める構成は詩的かつ論理的で面白いです。

 というわけで西美へ。三角形のトップライトから自然光が注ぐ中央部吹抜。梁や壁面に付いた照明が、コンクリートと自然光の劇的な関係性を妨げて残念。いかにも後付っぽい。
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 ヨコミゾさんが書くところの「6x6スパンの構造と、中2階に浮いたように卍型配置された照明ギャラリーとが相互に貫入することで、内部空間に独特の透明感と流動感がもたらされている」展示空間。中2階は現在立入禁止。美術館の方に聞いたところ、以前は小品の展示に使っていたが、バリアフリーの兼ね合いや光熱の調節の都合上閉鎖とのこと。立体的な動線が使えないのは、空間体験としてはもったいない。美術品の保護、良好な鑑賞条件の必要性は分かるものの残念。
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 ガラスの中の階段。ガラスで竪穴区画しているのでしょうが、階段がガラスの展示ケースに納められているよう。西洋美術館自体がコルビュジェ建築という遺跡の動態使用に見えて、世界文化遺産への登録を先取りしてる?
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 もうじき設備改修に入る新館。設計は前川國男、1979年竣工。天井の特徴的なトップライトは光熱の都合上閉鎖中。今回の改修で改善されるか?
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 新館から中庭越しに本館を望む。基本的に眺めるだけ。機能的には日本庭園に近い?
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●「ル・コルビュジェと私」 第2回 「私とル・コルビュジェと住宅建築」

 森美術館で開催中のレクチャーシリーズ「ル・コルビュジェと私」の第2回「私とル・コルビュジェと住宅建築」の聴講メモです。出演は安藤忠雄さん。

□ル・コルビュジェとの出会い。
 建築を学び始めて初めて買ったのはコルビュジェの本。ロンシャンの教会にたくさんの人が集まっている写真、マルセイユのユニテ・ダビタシオンのピロティと屋上庭園。そこで子供たちが走り回っている写真。建築は個人だけでなく公的な影響も及ぼす。
 1965年にヨーロッパを旅行した。ギリシャ、パルテノン神殿はそれほど凄いとは思わず。フローレンスのドーム、マルセイユ、アフリカ、インドを経て日本へ。マルセイユでは船が3日遅れて、毎日ユニテ・ダビタシオンに行った。
 ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(1923-25年)。銀行家とコルビュジェのお兄さんの家。ジャンヌレ邸は、現在コルビュジェ財団が使用。以前にコルビュジェの全住宅の模型を作って財団に寄贈したが、今度は借りようとしてもなかなか貸してもらえない。コルビュジェは建築好きで、住みやすさ、使いやすさもよく考えられている。サッシュの結露水の処理、スロープの手摺、ガラス戸が開く範囲等。
 マルセイユのユニテ・ダビタシオン(1945-52年)のピロティと屋上庭園。時間が経てば傷むが、考え方はしっかりと残る。残らなければならない。換気扇周りの鍋収納、2階吹抜手摺壁の通風スリット及び本棚等良く考えられている。
 サヴォア邸(1928-31年)。当時の文化相アンドレ・マルローのおかげで保存された。
 リートフェルトのシュレーダー邸。1924年竣工、コルビュジェと同時期。ピート・モンドリアンと友人関係。家具作家が作った家。巨大な家具。良く動く。クライアントの存在が大切。

□自作を語る
 1969年に事務所を開設。10年間は頼まれた仕事は好きにやれば良いと思っていた。楽しかった。建物が大きくなるとそうはいかない。
 富島邸(1973年)。現在はアトリエとして使用。安いのでコンクリート造。型枠を外せば仕上なしで使える。その反面、汚れやすく補修も難しい。型枠を外すときに木片が貼り付くのを、ペンキを塗ることで綺麗に外せるように改良。特許をとっておけば良かった。
 神戸の住吉邸。地場産の御影石を用い、既存のクスノキを残す。風景を残しながら、受け継いできた住まいを具象化。
 大阪の住吉邸(長屋、1976年)。間口3.6m、奥行15m。コルビュジェの建築5原則に沿った建築を作りたいと考えた。三軒続きの長屋の真ん中を切るので、倒れてこないかと心配した。敷地を長手に三分割して、真ん中を中庭に。通風、採光、日照のみ考慮して、冷暖房は不要と考えた。外を通ってトイレへ。雨の日は大変。抽象性、コンセプトをしっかりと作ることが大切。
 ロンシャンの教会の人々を集める力、集まる場所、そして責任。あちこちから光が入り、20世紀を代表する光の空間。地中美術館(2004年)では建物の外形は存在せず、光で建築が成り立つ。
 光の教会(1989年)。予算2,700万で70人入る教会を。屋根はなくて良いか?雨の日は傘を差して集まる、良い教会では?正面十字の光のスリットにはガラスが嵌っているが、とりたいと繰り返し言っている。風を感じられて良いのでは?良い建築とは、空間のボリュームと光。床や家具は工事現場の足場板を使っている。U2のボノが観たいと事務所にやってきた。ボノ美術館が進行中。
 水の教会(1988年)。湖に開いた教会。縁側の教会を作りたい。
 六甲の集合住宅(I期、1983年)。斜面住宅への興味。コルビュジェの斜面住宅のスケッチ(1949年)、その実現といえるアトリエ5のハーレンの集合住宅(1959-61年)。平坦な土地に分譲住宅を建てたいという相談を受け、その背後の斜面(活断層あり)の計画ならやりましょうと返答。ほとんどが地下に埋まるので建蔽率は0%もありかと考えて、役所におこられた。若いことは良いこと、失敗しても良い。コルビュジェもラ・ショード・フォンからパリへと出てきて、悪戦苦闘しつつ、考えを貫き通した。自分の考えを貫けば、光が見えてくる。あまりの急斜面に、雨の日は崩れるかもしれないので敷地に行くなと所員に指示。II期(1993年)、隣の土地の地主から、うちでも出来ないかと相談。16層を階段で上がる計画を提案、それでは売れないといわれ、斜行エレベーターを設置。雛壇の眺望の良い場所に公共スペースを設置。III期(1999年)、神戸製鋼の寮がある土地に勝手に提案。断られるも、1995年の阪神大震災を機に相手方から依頼がくる。考え方を作り、書いておくことは大切。いつチャンスが来るか分からない。IV期、病院の建て替えと集合住宅。これまでの実績を踏まえての依頼かと思ったら、別の理由もあった。前に進めていかないと、話は進まない。
 直島。1988年に美術館にしたいと相談を受けた。亜硫酸ガスと石切場で荒れたはげ山。美術館とホテルを計画。1,000円募金を200万人集めて、はげ山を緑にしようと発案。自然を壊すことも出来る、作ることも出来る。草間弥生のオブジェ。カボチャに見えるというと、おこられた。元気の源は好奇心。古家を改修してアートの場に。運営側が色々と考える。
 オリンピック。設計者に選ばれたことが発表されたときはベニスにいた。話を聞いていなかった。東京都市圏は世界唯一の3,000万人規模。そこを魅力的にすることが、これからの人口増加、環境破壊を考える上で役に立つ。「風の道」、「緑の回廊」、「海の森」を提案。1,000円募金を100万人集めたい。9年経てば、宇宙から見える規模の森になる。人間が壊したものを作る。東京都の全小学校の校庭の芝生化を提案。メンテが大変だが、芝生ならば子供達も駆け回るだろう。電柱を地中に埋めて、地上緑化を提案。屋上庭園、壁面緑化、民間も緑化。
 東急渋谷駅と上野毛駅を設計。渋谷駅の地下30mのホームに自然の光と風を採り入れる。来年6月完成。東急沿線の斜面を緑化。1965年のヨーロッパ旅行の洋上で水平線を見た。地球は一つ。一人ずつが手を差し伸べれば、生き延びられる?現状は絶望的。
 4mx4mの家。4階にロビー、明石大橋と淡路島を一望。これくらいの規模であれば、誰にでも機会がある。チャンスは自分で掴むもの、自分で組み立てられなければいけない。
 建築は自分で可能性を作り、潰していく。コルビュジェは晩年にロンシャンの教会を手がけた。エネルギーを蓄え、常に考え続けることが大切。人生を面白くするのは自分、仕事を面白くするのも自分。考える人が多く要る。コルビュジェはアトリエで多くの後進者を育てた。思いの強い人は最後までいく。

□質疑
Q:これからの目標、ご自分の長所、短所は?
A:地球の役に立ちたい、地球は一つ。色々なことに興味を持って、精一杯やっている。
Q:死後完成したコルビュジェの教会、工事が進むガウディの教会。死んでも建ち続けて欲しい建築はありますか?
A:瀬戸内海の森、海の森、電柱の地中化。ガウディは積石造を前提にその限界に挑戦したが、現在は鉄筋コンクリート造で作っている。ガウディの思いは、コンセプトはなくなるのか?つらいのでは?サン・ピエール教会もコルビュジェでありながら、コルビュジェでない。難しいなあ。
 初めにコルビュジェの本を買い、ヨーロッパを旅行した。フランク・ロイド・ライトの帝国ホテルを見に行った。山邑邸も見に行った。写真とはずいぶんと違う。作りながら考えているので、ディテールに膨らみがある。現代では難しい。コルビュジェは400-500年に一人の人。その前はミケランジェロ。

 安藤さんの講演を聞くのは10年ぶりくらい。以前と比べると、ドローイングや模型はとても少なくなり、地球規模の環境論が主論になりました。建築の抱える抽象性と具象性といった困難な課題をあっさりと述べ、緻密に描き込んだドローイングと模型、美しい写真を映しつつ、河内弁の軽口で観客の心を掴む話術は驚くほど魅力的。明快で力強いテーマを繰り返し話されるので、その意図するところも非常に明快です。そのスケール、行動力に圧倒されました。

 講演会の前に、東京シティビューとコルビュジェ展会場を一周して講演会場へ。気がつけば、一番リピート率の高い場所になりました。ソフトの大切さを実感します。
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2007年07月03日

●藤森建築と路上観察

 東京オペラシティ アートギャラリーで開催された「藤森建築と路上観察」を観ました。手作り感覚で生命感漲る建物の数々を手がける藤森照信さんの「第10回 ヴェネチア・ビエンナーレ建築展帰国展」。建築を捉える視点がユニークで面白いです。

 展示の冒頭は左官仕上げのサンプルが並びます。そして縄文建築団が使う道具の数々。身体感覚の前に触感に訴えてきます。そしてとても楽しげ。
 靴を脱ぎ、焼杉の塀に金箔で縁取ったにじり口を潜ってホールへ。竹で組み、縄で覆われたシアターで腰を降ろし、路上観察団の映像をじっくりと観ます。ゴザで胡坐をかいて観るのが落ち着きます。人の出入りの度にユラユラと揺れる骨組、縄の間から漏れる照明、時々上がる笑い声が良い感じ。塀の裏手に広がるシアターでは、高過庵の製作記の映像が流れています。こちらでもゴザの上に腰を降ろし、じっくりと観ます。パネル展示や模型もありますが、断然こちらの方が面白いです。触覚、身体感覚に訴える藤森ワールドを満喫しました。

 展覧会もあと一日。なかなかの人の入りで、藤森さん大人気。
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 こちらは銀座メゾンエルメスで開催された「メゾン四畳半」藤森照信展。三つの四畳半はそれぞれ居心地良かったですが、撮影OKだったのはなぜかアコヤ貝の貝殻を埋め込んだ大きな貝。この中に立って、ヴィーナスの微笑よろしく記念撮影をどうぞという仕掛け。ギャラリーのお姉さんが写真を撮りましょうかと薦めてくれましたが、固辞しました。そのおやじギャグには染まりきれませんでした。
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2007年07月02日

●ル・コルビュジェ展 建築とアート、その創造の軌跡

 森美術館で開催中の「ル・コルビュジェ展 建築とアート、その創造の軌跡」を観ました。生誕120周年、サン・ピエール教会の完成、作品の数々の世界遺産登録への動き。時宜を得て、彼の建築と絵画・彫刻を同列に並べてその本質に迫ろうという試みです。

 セクション1:「アートを生きる」。コルビュジェの絵画・彫刻を並べ、その奥にパリのアトリエの再現模型が現れます。「暖炉」に見られる「白い箱」から、「白い時代」の住宅シリーズへとつなげる構成。理屈は分かっても、直感的に理解するのはちょっと難しい。再現模型は良く出来ていて、特にアトリエ後方の机周りが良いです。この空間スケールが、コルビュジェの好んだ身体感覚かと追体験に浸れます。ガラスブロック越しに射す自然光の再現もなかなか。アトリエに並ぶ絵画がガラス越しで、雰囲気を削がれるのが残念。
 セクション2:「住むための機械」。シャルロット・ペリアンの参加と共に始まるコルビュジェの黄金期。家具、自動車、住宅。オリジナルのドローイングと模型による展示で、20世紀建築の巨匠「ル・コルビュジェ」の世界を満喫。私の経験と知識が増えたせいか、学生の頃よりも今見る方がずっと魅力的に思えます。
 セクション4(?)の一角にある映像コーナー。「暖炉」から「白い住宅」へと変形し、テーマ毎に内部を見せてゆく構成と、再現CGの素晴らしい映像。それをコルビュジェデザインの椅子コレクションに腰掛けて楽しむ仕掛け。今回はLC2に座ったので、次回はLC4に座ってみよう。
 セクション5:「集まって住む」。ユニテ・ダビタシオンの住戸の再現模型。やはり実寸で空間を体験できることは、とてもありがたいです。いつか実体験をしたい。
 セクション8:「空間の奇跡」。フェルミニのサン・ピエール教会が目新しい。
 セクション9:「多様な世界へ」。カーペンターセンターと西洋美術館は行ったけれども、インドは未訪。とりあえず西美のパルマ展に行こう。
 セクション10:「海の回帰へ」。カップマルタンの小屋の再現模型。これも良い出来。小さいながらとても豊かな空間。壁としての絵画。海を映し込む、鏡貼りの窓。一度の数名しか入れないので行列ができ、ゆっくりと出来ないのが残念。

 再現模型と、ドローイングと模型による建築展として、充実した内容だと思います。絵画・彫刻と建築という点では、その相互関係を直感的に捉えることができず、2つの展示が分断されつつ展示されている印象を受けました。レクチャーシリーズを計4回聴く予定なので、時間をかけて理解しようと思います。

 東京シティビューから見下ろすテレビ朝日。空から見ても端正な顔つき。設計は今回のレクチャーに出演される槇文彦さん。
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2007年07月01日

●「ル・コルビュジェと私」 第1回 「ル・コルビュジェについて語る」

 森美術館で開催中の「ル・コルビュジェ展」。そのパブリックプログラムの一環であるレクチャーシリーズ、「ル・コルビュジェと私」の第1回「ル・コルビュジェについて語る」の聴講メモです。出演は槇文彦さんと富永譲さん。

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 槇さん:インドに旅行した際にアーメダバードを訪れた。ホテルの窓から、水牛が昼寝している向こうにコンクリートのブリーズソレイユが見えた。シャンディガールのアトリエで、コルビュジェと会う機会を得た。当時設計中だった豊田講堂の設計図を持ち歩いていたので見てもらった。柱をつなげているのが気に食わない様子だったが、彼もスイス学生会館ではつなげている。
 コルビュジェにまつわる伝説は多いが、素朴な人という印象。その一方で「人生は残酷」という言葉も残している。
 コルビュジェは1920-30年代に英雄になり、世界大戦期は不遇の時期を過ごすが、ロンシャンで再び英雄になった。人生で2度英雄になることは凄いことだが、常に満たされないところがあり、それをエンジョイしているように思える。

 富永さん:独立して仕事がなかった時期に、コルビュジェの作品集を読んだ。毎日見ていても飽きない。編集が上手い。汲み尽くせない魅力を感じ、彼の作品の模型を作った。結局12個作った。
 白の時代の住宅はピュアに見えるが、グロピウスとは根本的に何がが違う。
 リチャード・マイヤーらFive Architects は、コルビュジェの白の時代のボキャブラリーを用いて、ゲーム感覚でデザインした。
 ロンシャンの教会の創作過程を、スケッチを順番を並べて推理した。抽象的でユニバーサルではない。風景の音響学、大地の空間にどう働きかけるか。1950年のスケッチに見られる広い空間の捉え方は、1911年のパルテノン神殿のスケッチの頃に戻っているのでは。ラ・トゥーレット修道院は大地に突き刺さる感じ。

 槇さん:日本人は「自然」、ヨーロッパ人は「大地」という言葉を使う。ある荒々しい何かに、手を加えて作っている。シャンディガールの建築は、土地をくりぬいて作る感覚。人間と対峙する。ラ・トゥーレットは極限の個人の生活の場。コミューンの理想形?
 サン・ピエール教会のそそり立つ祭壇は感動的。壁に穿たれた開口のアイデアは後付けかもしれないが、とても良い。
 白の時代の住宅の展開と三つの教会は、コルビュジェを良く表している。前者は金持ちの住宅。フランス人は仕事を頼まず、依頼主はアメリカ人とスイス人。後者はドミニコ派の前衛的な司教の依頼。パトロンは大切。教会の三部作は、不定形、直角、垂直がそれぞれのテーマ。

 対談:カップマルタンの小屋。今回の展示の原寸模型は凄く良く出来ている。奥さんへの誕生日プレゼント。内装はベニヤの丸太小屋。白の時代の水平窓と対比的。世界が自分の中に入ってくる。
 母の家。ラ・ロッシュ邸と同時期(1923年頃)。長手11m、奥行4m。ベッドルームの裏手にトイレ、キッチン、ユーティリティがあり、生活しやすい。親に対する愛情が感じられる。設計図を持って、場所を探して作った。70m2ながら広々としており、風景が飛び込んでくる感じがする。ミースの空間に近い。建具に朝陽の通る丸孔を開けたりして、白の時代の住宅とは違った意識で作られている。30年後(ロンシャンの教会を手がけている頃)にこの家が如何に大切かを綴った「小さな家」を出版。
 ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸。白の時代の出世作。ナポリの街区スケッチを思い起こさせる曲面の壁。思ったより広がりがなく、ギュッと締めてまた広げる感じ。建築的プロムナード。
 エスプリ・ヌーボー誌。オザンファンと共同ではじめるも、徐々に排除。コルビュジェの作品ばかりに。
 ポンペイのスケッチ。古いモノと合体して、新しいモノが生まれてくる。
 窓。前期は主体が外を見る。後期は主体に浸透してくる。外を取り込んでいる。
 コルビュジェとミース。コルビュジェはビスタの展開、身体性。ミースは絶対的な空間、ある意味バロックに通じる。
 ロンシャンの教会。中にいる主体に対して、入りこんでくる。色を使うのは、ステンドグラスの変形。歴史の根本に働きかけながら、今の形に変形していく。アルジェリアの村、カニの甲羅。1911年「東方への旅」に出てくるヴィラ・ドリアーナの採光窓から、教会の採光窓へ。自分の目で見たものを参照、表出して世界が広がってゆく。

 槇さん:(ギリシャ、イドラの写真を映しつつ)モノクローロ=シンプル+スペース。レゴを重ねることでできる。住居の一角を切り取って外部を作る=コートハウス。白の時代の原型、ドミノ。空間を如何につなげるか。モノル、白の時代にも現れる。エスプリヌーボー館から300万人都市へ。コートハウスの集積を作り出した背後には、ヴァナキュラーなモノがあったかもしれない。コルビュジェの抱いた文化形態に近いものが、普遍性を掴みだし、現代(高層住宅)まで拡大したのではないか。
 1911年の旅行記。人間の普遍性をスケッチして掘り起こしていく。普遍的なものを見ながら、現代化していった。
 和辻哲郎「風土」。時間をかけて旅をした。
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 気心の知れたお二人による、尽きぬコルビュジェ談義。とても充実したひとときでした。

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2007年03月23日

●上野の杜 韻松亭

 ダ・ヴィンチ展の後は、「上野の杜 韻松亭」へ。公園の桜を借景に花見弁当を楽しもうという計画は、桜の開花が間に合わず少し残念な結果に。でも、季節物はそんなもの。晴天の下、白木蓮と蕾膨らむ桜を見ながら、花見弁当を美味しくいただきました。値段は少々高めですが、3段重ねの重箱に細やかに詰められた料理は、花の季節に相応しい華やかさでした。

 打ち水をした玄関。公園の喧騒に面しつつ、世界を切り替える仕掛け。
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 玄関奥の建具を外して坪庭を見せる、内外連続の演出。板戸の絵が効いてます。実際には庭の上部にガラスが入っています。
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 テーブル席から望む公園。左手にバルコニー、右手に白木蓮、さらに横に桜の木が広がります。これからの季節は絶景でしょう。
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 内装は石積み風タイルの壁、床暖房を仕込んだフローリング床、古材をアクセントに用いた天井で構成され、濃い目の色味で落ち着いた空間に仕上がっています。ウォルナットっぽい無垢材を接いだテーブル、革張りの椅子も馴染んでいます。
 ハリボテを交えつつも、桜の頃はさぞやと思わせる景色の切り取り方といい、とても効果的に和の空間に仕上げています。食事中に二度ほど、「京都に行こう」という会話が聞こえましたが、この空間が和の感性を刺激せずにはおかないのでしょう。今回はテーブル席でしたが、座敷もありました。

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2007年02月25日

●国立新美術館

 晴天に恵まれた週末、国立新美術館に足を伸ばしました。日本で五つ目の国立美術館として、華々しくオープンした建物。連日メディアを賑わす設計者の方。とても旬なスポットです。

 巨大な吹抜空間。スケール的には東京国際フォーラムに匹敵しそうなバブリーな空間。波打つファサード越しに射す光が、逆円錐形の壁面に落とす影が美しい。光熱費が凄まじくかかりそう。
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 行きかう人々、カフェで寛ぐ一時。建築としては非常に大味に思えますが、新しい街路が出来たと思えばなかなか。夜間開館がないのが残念。
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 波打つガラスファサードに嵌め込まれた、円錐形の風除室。ダイナミックな造形は、子供の頃によく行った万博記念公園を思い出します。
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2006年11月12日

●伊東豊雄 建築|新しいリアル

 東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「伊東豊雄 建築|新しいリアル」展を鑑賞しました。いや、体験しましたの方が正しいか。「せんだいメディアテーク」から最新作までの9作品を紹介する企画展示です。

 原寸で再現されたうねる屋根を歩きつつ、原寸に拡大された図面を眺め、所々に設置された模型やCGを眺める。構想の魅力に知覚を刺激され、実現への過程を辿り、実際の空間を身体で以って体験する会場構成はとても巧みです。歩き回るだけでけっこう楽しい。伊東豊雄建築設計事務所35年間の活動の軌跡を当時の雑誌やインタビューで振り返るコーナーも、アイデアがぎゅうぎゅうに詰まっていて見応えあります。良く出来すぎていて、回顧展かと錯覚してしまうくらい。

 ただ、「物質(もの)と人間の関係を問い直す=新しいリアル」という概念は今一つピンときません。立体グリッドやうねる屋根といった大胆な構想が実現することに興奮を覚える一方で、素材感はむしろ希薄に思えます。実際はどんな感じなのでしょうか。とても興味が湧きます。

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2006年11月11日

●ポストバブルの建築シーン

 シンポジウム「ポストバブルの建築シーン」を聴講しました。分野の異なる5人の専門家が、関連性を持たせたテーマ設定の下、バブル後の建築シーンをパラレルに語る試みです。捉えどころのないメインテーマを「パラレル」と開き直ることで、とても面白い内容になっていました。全体のレポートはこちらを御覧下さい。(お誘いいただきありがとうございました。)

 中でも面白かったのが、ヨコミゾマコトさんと藤森照信さんの話。理路整然とした筋立てにサイドエピソードを交えつつ淡々と話すヨコミゾさんと、ただ一人ホワイトボードを使って本当に楽しそうに説明する藤森さん。どちらも分かりやすく面白い。
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 ヨコミゾさんの話は、バブル期の好況時に斜に構えているうちに梯子を外されるところから始まり、指南書としての伊東豊雄「消費の海に浸らずして新しい建築はない」の存在、そして狭小住宅へと向かう流れを軽く既観して、「境界のあり方」の話へ。
 外を塀で囲み内側は緩やかに仕切る形式から、タワーマンションの増加に伴い、外は緩やかに作って内側を硬く固める形式へと変化。そんな時代の中で、建築家は周辺へと触手を伸ばす形式を試みている。例えば隣の庭の借景を楽しむとか。実例3題の紹介。紙を押すとクニャッと曲がるが、丸めた紙は強くなる。そんなつくりを繋げるように作った。狭小の場合、通常のラーメン(柱梁)構造だと住むスペースがなくなるが、鉄板で薄く包む構造だと内部が広くなる。採光に恵まれない敷地で3階建の集合住宅の計画。1階に住むイメージが湧かないので、水平に3分割でなく垂直に3分割の計画とした。屋根はテント貼り。東京ドームで使われている膜の強化版を使用。
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 藤森さんの話は、評価の高い若手建築家の住宅プランの紹介から。中心に小さくホールを設け、全周に諸室を配置する藤本壮介さんのTハウス。一見、荒唐無稽、実は究極の廊下なしプラン。居間、縁側、風呂、トイレといった諸機能を分棟化した西沢立衛さんの森山邸。昔コンペの審査で「分離派」と呼んでいたユニークな考え方(けれども入選には至らない)が現実に出現した。プランが「変」になっている。しかも施主が喜んでいる。住宅が原始化している?
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 不思議なプランと、はっきりとしない外観。その元を辿ると伊東豊雄さんの「せんだいメディアテーク」に行き着く。特徴的な「網の目構造チューブ」の中は、実は外ではないか。中を包むことで外と隔てていた壁が、ここでは反転している。内部の延長としての外部が出現した結果、境界は曖昧に。伊東建築の外観がガラスの箱なのは、境界を捉えきれないため止むを得ず。
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 とても親近感を感じる視点の設定と、要所要所での切れ味鋭い展開がバランス良くて、とても興味深かったです。

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2006年10月20日

●フライ・オットー 建築を語る

 昨日鹿島KIビルで開催された講演会「フライ・オットー 建築を語る」を聞きました。高松宮殿下記念世界文化賞の2006年建築部門を受賞されたドイツの建築家「フライ・オットー」さんと、紙の建築等で有名な建築家「坂茂」さん、構造家であり東大教授でもある「川口健一」さんの三者による鼎談形式の受賞記念講演会です。

 話はオットーさんの協働者として大切な2人、テッド・ハッブル(ホッパー?)さんとそのアシスタントを務めたピーター・ライスさんの名前を挙げるところから始まります。そして丹下健三さんとの出会いとクウェート・スポーツ・シティコンペでの協働作業の紹介へと続きます。ゆっくりと、そして尽きぬ泉のように話し続けるオットーさんと、興味深い点を指摘し掘り下げを図る坂さん、ポイントを踏まえつつ適度に話を切り上げて次のテーマへと誘導する川口さんという感じで進行していきます。シュトゥットガルト大学軽量構造研究所の紹介では、科学と生物の二方向の研究アプローチのユニークさを紹介し、さらに構造形式を検討する上での模型の重要性を説きます。そして坂さんと協働されたハノーヴァ万博日本館の紹介。紙管による折れ曲がり屋根の困難を、オットーさんの発案によるユニークな接合パーツの考案で克服するエピソードが披露されます。最後に最新作としてコンクリートシェル構造の大屋根と、二週間前に行ったばかりという地下空間に関する実験を紹介して終了です。オットーさんの深い哲学と想像力に触れる、2時間オーバーの熱演でした。

 丹下さんとのエピソードのところで代々木体育館(国立屋内総合競技場)が映っていたのですが、私が建築学科に入学して最初にスケッチしたことを覚えています。当時既に近代建築の名作と紹介されていましたが、その計画時から現役の方が今も第一線で活躍されていることはすごいことです。坂さんを始めとする様々な方とのコラボレーションを通して、時代のエッセンスを吸収し続けているところに秘訣があるのではないでしょうか。人とのつながりのエピソードに重きを置く構成から、そんなことを思いました。
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2006年04月18日

●その時代の未来

 建築には「その時代の未来」を体現する巨大なハードウェアという側面があります。30年の時間差を経て対峙する「中銀カプセルタワービル」と「電通本社ビル」の眺めは色々と興味深いです。

 双方とも時代を代表する名建築ですが、その思想は大きく異なります。大地を空へと拡張し、新陳代謝をも具現化しようとする前者と、膨大なボリュームをスマートに消去する後者。そこには成長期から成熟期へと急速に移行する時流が反映されています。

 驚くべきは、前者が既に時代のイコンのような存在になっていること。人間だったらようやく仕事を覚えて、さあこれからというあたり。えっ、建物の寿命ってそんなに短いの?と改めて思います。
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2006年04月16日

●建築家 グンナール・アスプルンド

 松下電工 汐留ミュージアムで開催中の「建築家 グンナール・アスプルンド」展を鑑賞しました。北欧デザインが人気の今、スウェーデンの巨匠を紹介するとても時機を得た企画です。

 展示は二つの大部屋とそれらをつなぐ通路で構成されています。部屋の中心にはランドスケープ模型が置かれ、アスプルンドの特徴である自然と建物との関係性をとても明快に把握できます。それを取り囲むように写真、解説パネル、映像、家具等が並びます。「森の墓地」と「夏の家」、二つの代表作を中心に据えて、広大なランドスケープから家具までスケールを自在に跳躍しながら時間軸に沿ってアスプルンドの建築を紹介する構成は、コンパクトかつ変化に富んで面白いです。さりげなく挿入されるアスプルンドの絵画、アアルトや日本とのエピソードも、想像の余白を広げてくれます。中でも「森の墓地」のランドスケープ模型越しに、壁面いっぱいに大伸ばしされた写真が展示される様は、じっさいに緑の芝生を眺めつつ十字架へと歩いていくようで感動を覚えます。実物を観たい欲求が湧き上がります。

 なのですが。。。実はけっこう鑑賞しづらかったです。会場に対して展示数が多すぎること、写真パネルの高さが統一されてないこと、模型を覗き込むと影が落ちてしまうこと等々。せっかくの構成がかなり損なわれていると感じました。もったいない。

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2006年02月27日

●前川國男建築展

 学生の頃は、日本の戦後建築というと丹下健三さんに目が行きがちでした。最近は世田谷区役所の広場が気になったり、上野の東京文化会館前を通って東京都美術館へ行くことも多いので、それらの設計者であり、丹下さんの師でもある前川國男さんへの興味が膨らんでいます。というわけで東京ステーションギャラリーで開催中の「前川國男建築展」に行ってきました。
 修行時代から、独立後のコンペ連戦、戦後の資材不足の中での住宅との格闘、皇居端の美観論争、そして様々な大規模建築を次々と手がける巨匠の時代へ。50年余に及ぶ設計活動の足跡を図面と写真と模型で辿っていきます。骨太で少々素っ気ないデザインの数々を見ていると、そういう時代を土台として現在の軽やかなデザインの流行があるのかなと思います。そして日常生活の中で出会う機会の多いところに前川建築の力を感じます。
 内容は申し分なしですが、構成は少々散漫な感じでした。「結局美観論争はどうなったんだ?」とか、「最小限住宅の前ふりを晴海高層アパートや阿佐ヶ谷テラスハウスで受けてくれないの?」とか。先日見た「吉村順三建築展」がよく出来ていただけに残念。

 美観論争の地にバンバン超高層が建つ現状は、建築を取り巻く状況が急速に変化している現れだと思います。
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2005年12月24日

●吉村順三建築展

 昨日は午後から上野に出かけました。「北斎展」を鑑賞してから早一ヶ月。葉も落ち、日も低くなってすっかり冬模様です。行く先は東京藝術大学 大学美術館、「吉村順三建築展」です。

 会場に入って、人出の多さに驚きました。会期終了間近の三連休で、しかも午後。当たり前かもしれませんが、建築展が多くの人で賑わっていて嬉しいです。

 会場は広いワンルーム空間で、中央の島に図面や解説を集め、それを囲むように1/50の模型、壁面に沿って写真とスライドが展示してあります。模型を様々な角度から眺めて「流れるような空間構成」を体験しつつ、壁面の写真、島の図面やスケッチを見ていくと、頭の中に吉村さんの考えや空間が流れ込んでくるようでした。トレーシングペーパーに緻密に書き込まれたローコスト化の考え方の変遷等も興味深かったです。後で図録を観たら、模型の写真は一切なく、会場内で感じた空気との落差に愕然としました。実際に観られて本当に良かったです。

 正門前大看板には「軽井沢の山荘」の原寸大の断面図が展示してあります。その大きさを実感しつつ空を見上げて、木立の中の山荘を想像しました。
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2005年11月30日

●つくばカピオ 1996

 つくばカピオは、つくば市の中心に建つ複合文化施設です。アリーナ、ホール、会議室、カフェ等を併設し、前面の公園と一体で文化・レクリエーション拠点として機能します。設計は谷口建築設計研究所、施工は五洋建設、竣工は1996年です。写真は1996年8月に見学会の際に撮ったものです。

 大きな庇で外と中を繋げる構成は前出の法隆寺宝物館と同じです。スラリと伸びる列柱が空間を引き締め、スリット状の開口とトップライトが庇の重みを消去します。右手に公園が広がり、左手ガラス面の奥にロビー、さらに奥にアリーナがあります。
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 アリーナの2階ギャラリーより庇側を見たところです。下部は水平性を強調し、上部は方立てでリズムを取った軽やかなガラススクリーン。その向こうに公園の緑、そしてつくばセンタービルが見えます。アリーナ天井と庇のレベルを揃えて、景色を一枚の絵として切り取りとっています。
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 建物側面に配置されたカフェテラス。大味な空間が多い中心市街地の中で、落ち着きを感じられるスケールを作っています。
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 公園から子供たちが駆けて来て、列柱に抱きついたり鬼ごっこをはじめたりしていました。公園のデザインが古いので、つくばカピオとのチグハグっぷりが目につきますが、遊び場という点から見るとあまり関係ないみたいです。
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2005年11月27日

●法隆寺宝物館

 法隆寺宝物館は、東京国立博物館の敷地の中でも少し奥まったところに建つ、端正な顔立ちと光の宝石箱のような内部空間を持つとても美しい建物です。設計は谷口建築設計研究所、施工は大林組、竣工は1999年です。

 ガラスの箱の中に石貼りの展示室を収め、その外側に大庇を廻して中と外を繋ぎます。その明確でダイナミックな構成は、訪れるものを魅了します。水盤に浮く橋を渡り、澄み渡る青空をスパッと切り取る大庇の下、ガラススクリーンをくぐって内部へと至ります。
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 ガラスの箱と石の展示室の間は「内部化したオープンスペース」となっています。細い方立てが効果的で、柔らかい光に満ちています。左が石貼りの展示室、右がガラススクリーンです。静寂の空間に見えますが、実際には1階レストランのカチャカチャという音が反響して都会の雑踏のような雰囲気です。ここらへんも「オープンスペース」らしくて私は好きです。
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 2階より中2階の資料室を経て1階へと続く階段。方立ての影が館内を柔らかく包み込みます。法隆寺回廊の連子窓の影を連想させます。 
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 資料室の休憩コーナーです。ガラススクリーンの向こうに水盤、そして錦秋の眺め。計算し尽くされた空間構成です。ソファはコルビュジェ、椅子はイームズ。谷口さんの中では今もモダニズムの時代が続いているのだろうなと少しセンチになります。
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2005年10月27日

●六本木ヒルズ(森アーツセンターギャラリー)

 昨日は午後から都内で打合せでした。帰路についたのは午後5時過ぎ、今回は六本木ヒルズにある森アーツセンターギャラリーに寄り道することにしました。夜8時まで開いているのがありがたいです。
 六本木ヒルズは森ビル株式会社が手掛ける大規模再開発プロジェクトで、ブランドイメージの確立という点でとても成功していると思います。「ヒルズ族」と呼ばれる方たちの動向が毎日のようにメディアを賑わすのもその一例でしょう。

 東京メトロの出口を出ると、タワー棟が正面に来ます。タワー自体は寸胴気味なのですが、デザインで上手くカバーしています。ライトアップのイメージは重厚かつ未来的という感じでしょうか。ここの52階が森アーツセンターギャラリーですが、入口は左手に少し歩いたところにあります。ちょっと分かりにくいです。
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 空に聳えるタワーです。森ビルは他との差別化をとても意識しているので、そこを踏まえて観ると興味深いです。
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 歩廊の壁面は広告スペースになっています。第18回東京国際映画祭開催中です。
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 そしてギャラリー入口へ。途中庇が切れて雨に濡れたりする大味な部分があるのも森ビルらしいです。ここからギャラリーへの道のりはけっこう長いです。要所要所に人を配してホテルライクな雰囲気を演出していますが、できればもう少し短い方が良かった。。。
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2005年10月14日

●根津美術館

 根津美術館には、充実したコレクションに加えて、創立者根津青山翁の旧邸であった広大な庭園があります。高低に富み、深緑の中を建物が見え隠れし、時に水辺が広がる園内は、幻想的ですらあります。とても良く造りこんであるのですが、それを全く感じさせない構成が素晴らしいです。東洋美術の至宝と幽玄な庭園の組み合わせが、他に並ぶものない空間体験を創り出しています。

 美術館へのアプローチです。屋根の向こうに建設中の超高層ビルが見えます。もう少し奥に行くと、六本木ヒルズのタワーも頭を出します。右手に庭園が広がります。
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 庭園に降りてゆくと、ビルが見えなくなり鳥のさえずりが聞こえます。深山の中を散策しているような錯覚を覚えます。
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 そして広がる水辺と、浮かぶ木船。造りこまれた「絵」がピタッと決まります。紅葉の頃はさぞ美しいでしょう。
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 道端の石仏。これも「絵」ですが、さり気なく決まっています。
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2005年09月13日

●代々木国立屋内総合競技場

 コンクリートの彫塑的な造形と鋼のケーブルで屋根を吊るダイナミックさで、強烈に記憶に残る近代建築の傑作です。設計は丹下健三・都市・建築設計研究所、竣工は1964年です。先日、渋谷区役所に行く際に久しぶりに通りかかりました。伝統的な形を踏まえつつ、それにうねりを加えたような大屋根の迫力に目を奪われました。駐車場側から見るとそのうねり具合が良く分かります。

 翌朝ニュースをチェックしていると、女子バスケットWリーグ開幕戦の結果が載っていました。柏に本拠を置くJOMOサンフラワーズは昨期優勝のシャンソン化粧品に快勝、会場は代々木第2体育館。写真の建物の隣です。全然気がつきませんでした。
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2005年05月23日

●代官山アパートメント 1996

 同潤会のアパートメントシリーズの中でおそらく1、2を争うほど有名な計画でしょう。竣工は1927年です。銭湯や食堂は地域の名所として外部の人にとっても親しみのある場所でした。写真の日付は1996年8月12日です。当時は代官山にある設計事務所に勤めていたのですが、取り壊されると聞いてあわてて見に行きました。「さよなら同潤会代官山アパート展」というイベントの最終日だったのですが、そこは既に生活の場ではなくアートワークを展示する廃墟でした。生活の場があっさりと消滅することに驚きました。在るうちにもっと観ておかねば。

 大きな木々の中に散在する建物。「古き良き」を画に収めようと思って歩き回りました。今思うと、もっとイベントを楽しめば良かった。
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 建物外観。意匠的にあまり古いとは思わないのは、時代が一回りしたのか、それほど進歩していないからなのか気になります。
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 いくつか公開されていた内部の一つ。緑の近さが印象深いです。住んでみたかった。
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2005年05月22日

●青山アパートメント 1991

 同潤会のアパートメントシリーズ初期に位置する計画です。竣工は1927年です。通りに面した建物とケヤキ並木で形成された「街路空間」は、東京で最も美しい景色の一つでしょう。日付は1991年6月20日です。この景色も既になく、森ビルと安藤忠雄建築研究所による再開発工事が進行中です。学生の頃に見た景色すらどんどん消えてゆく現状に驚きつつも、来年に出現する新しい表参道の顔を楽しみにしています。

 街中で「移ろい」を感じることのできる成熟した街路の風景。この後継として、自然と向かいあう力強さと「こうすればいいやん」を実現するパワーをあわせ持つ安藤建築が出現することはとても楽しみです。
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 雨、花、闇。ここは江戸と地続きだなと実感できる場所でした。
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2005年05月20日

●江戸川アパートメント 1991

 関東大震災後に設立された同潤会によるアパートメントシリーズの一つです。シリーズの最後期に位置し、竣工は1934年です。当時はその規模、設備において東洋一と称されたそうです。学生の頃、お化けアパートがあると聞いたのがきっかけで、興味を持つようになりました。中庭を囲む美しい配置計画に、少し荒れた独特の雰囲気が加わって、時間の流れを止めたような懐かしい風景を作っていました。日付は1991年4月5日です。先日近くまで行った際に見に行ったら、今風のマンションに建て替わっていました。生活の場なので、時代に合わせて形を変えていくことは必然です。しかし、土地の記憶ともいえる「中庭」の引き継ぎ方はもっと工夫して欲しかった。

 左手が6階建ての一号館、右手が4階建ての2号館、全部で260戸の計画でした。現代の中庭型団地、幕張ベイタウンとの比較に興味が湧きます。
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 桜、雑草、水場。どこにでもありそうで、あまりない景色。70年の歴史は長かったのでしょうか短かったのでしょうか。
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2005年05月11日

●旧朝倉邸と庭園 2003

 代官山に残された貴重な文化遺産、旧朝倉邸と庭園(当時は渋谷会議所)が開発の危機にさらされたのは今から3年程前のことです。そこから保存運動が起こり、見学会やシンポジウムを経て、現在は重要文化財指定を受けた上での公開に向けて調整中です。ことの経緯は「旧朝倉邸と庭園の将来を考える会」に詳しく載っています。敷地は目黒川に向けての傾斜地に位置し、邸宅内には三田用水が流れていたそうです。
 写真は保存運動の一環として開催された見学会に参加した際に撮ったものです。日付は2003年1月18日。この後のシンポジウムで槙さんが「ポーランドの街は戦火で焼けてしまったので、チョコレートの箱絵から再生した。日本は山があって川があると安心してしまう。切実さが足りないのではないか。」とおっしゃっていたのがとても印象に残っています。富士山は見えますが年々その場所は減りスカイラインは乱れる一方、目黒川は流れていますがそこへ至る傾斜を感じることはほとんどない。それが2003年の代官山です。それは「こんなに残っている」のか「必死になって守らないと消えてしまう」のかどちらでしょう?
 柏で例えると、花野井の吉田家住宅の建物と庭園にこんぶくろ池の立地を合わせたところに開発計画が持ち上がり、地元有志から始まった保存運動が実を結んだという感じのお話です。今回はひとまずハッピーエンドですが、実際には開発の波に飲まれて消えてしまう例が圧倒的に多いです。そして手賀沼景観は「こんなに残っている」のか「必死になって守らないと消えてしまう」のかどちらでしょう?開発だけでは長く残る街はできませんし、保存だけでは経済は停滞してしまいます。今あるものを活かしつつ街を作っていく方法を根気強く考えていきたいと思います。

 玄関です。右手に塀を隔ててヒルサイドテラス、左手に傾斜した庭園が広がります。
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 建物を通して庭園を見ています。この傾斜が目黒川へと続いていたわけです。
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 中庭です。前の写真の和室に上がって反対を向いています。こちらは生活のための場です。
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 2階より旧山手通り側を見ています。右手にヒルサイドテラスB棟が少し見えます。昨日とは対照的な風景です。
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2005年04月29日

●茨城県営滑川アパート 2000

 傾斜のある敷地形状を活かしつつ、三つの建物で中庭を形成した集合住宅です。中庭に面して縦横無尽に伸びる空中歩廊が圧巻です。設計は長谷川逸子・建築計画工房と横須賀満夫建築設計事務所です。
 こちらの建物の設計が始まった頃に、元倉さん(私が勤めていた設計事務所の所長さん)の発案で見学に行った際に撮った写真です。日付は2000年2月19日です。配置計画を巡って、低層面状配置か、塔状散在配置かで試行錯誤が続いていた時期なので、イメージに近い例を見て考えようという意図があったのだと思います。

 高低差+変形形状を巧みに取り込んで、空中歩廊が軽快にうねります。造形のアクロバットを見ているようです。
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 この計画の大胆なところは、南側玄関の住戸を多用しているところです。中庭に面して共用廊下を廻せば南側に廊下がくる住戸もできてしまいますが、通常は廊下を北側まで伸ばしたりして南側玄関を回避します。プライバシーや防犯面で問題が出やすいからです。ここでは逆に、玄関の横にサンルームを配置して、コミュニケーションを誘発する装置として計画しています。実際にはカーテンで覆われている住戸が多いので、今のところ使い切れていないようです。
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2005年04月20日

●アクティ汐留 (モデルルーム) 2002

ちょっと番外編です。都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)が建物の設計を建築家に依頼した(今回の例では数戸の住戸内装ですが)という点で、東雲キャナルコートの前にくる作品です。設計はシーラカンスアンドアソシエイツ、施工は竹中工務店です。六本木に建設されたモデルルームの見学会に参加した際に撮ったものなので、実際のものとは多少異なるかもしれません。日付は2002年3月8日です。通常1住戸分の平面を、上下2層つなげた上で縦に半分に割ったのがミソです。

コンセプト上、細長いボリュームの空間が連続します。住宅というよりはオシャレな美容室という感じです。
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階段を上がって反対側を向くと、ガラスの洗面、浴室があります。「一人で住んで、たまに友人を呼んでパーティーをする」というライフスタイルなのでしょう。超一流企業が林立する汐留ならではのプランだと思いました。
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2005年04月19日

●東雲キャナルコート 1街区、2街区 2003

都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)が手掛ける大規模集合住宅です。全体を6街区に分けて、各街区を別々の建築家チームが基本設計を担当しています。1街区は山本理顕設計工場、2街区は伊藤豊雄建築設計事務所が担当です。写真は内覧会に参加した際に撮ったものです。日付は2003年7月7日です。冒頭で山本理顕さんが「公団を少しは変えられたんじゃないか」とおっしゃっていたのが印象に残っています。

1街区より2街区を望みます。右手が1街区南棟、奥に見えるのが2街区東棟です。14階分の壁に囲まれて街路と広場が形成されています。左下のR状の部分が他街区へと伸びる街路です。これに面してショップが並びます。その左手に見えるのは保育園です。2階レベルのデッキ広場と街路、保育園が立体的につながるダイナミックな外部空間です。
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2階デッキ広場より保育園を望みます。お互いの視線は通しながら、動線は制限しています。共通のデッキ材と芝生を使うことで全体で1つの景観を作っています。この写真では分かりませんが、上から見下ろしたときの幾何学パターンも美しいです。
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建物には2層吹抜のオープンスペースがいくつもあり、建物の外観を特徴付けています。これは1街区側のものです。共用通路とつながっており、屋外広場的な場所です。ここに面する住戸には大きな開口部が設けてあり、引戸で視線をコントロールするようになっています。上階は良いのですが、下階はちょっと厳しそうです。
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ライフスタイルに合わせて様々な住戸パターンが用意されているのですが、私はここが一番気に入りました。オープンスペースを挟んでフリールーム(趣味とかSOHOとか)とLDK+寝室が向かいあう間取りです。奥に見えるのがフリールーム、手前がLDKです。
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オープンスペースはプライベートな中庭になっています。ほとんどが共用な中で、とても贅沢な空間になっています。2街区側のオープンスペースの1つです。
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2005年04月18日

●パークコート杉並宮前 1996

今では当たり前になりましたが、大手デベロッパーのマンションを建築家がデザインするというスタイルの先がけとなった作品です。デベロッパーは三井不動産、設計は早川邦彦建築研究所です。何より衝撃的だったのが、建築雑誌でなく、新聞の全面広告で初めてこの建物を知ったことでした。隣接する公園の緑と中庭の緑に溶け込むような透明感の高い建物のパースもインパクトがありました。写真は建物が完成したオープンハウスのときに撮ったものです。日付は1996年9月13日となっています。こんな好条件(立地、建物ボリューム)での計画自体が珍しいと思いますが、民間マンションでも美しい広場が作れるという好例だと思います。

ケヤキ並木のある中庭です。大きなバルコニーのフレームと吹抜のLDK開口部によるすっきりとした外観が特徴です。
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吹抜のLDKより中庭を望みます。
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手前の中庭の緑と、奥の公園の緑が、建物を間に挟みつつ連続します。
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2004年05月15日

●倉敷県営中庄団地、市営中庄団地

以前にマスタープランと基本設計を担当した倉敷市営中庄団地第2期工事が竣工したとのことで、見学に行きました。中庄団地は県営が1~4期、市営が1~2期(計画は4期まで)まであるのですが、お互いの歩行者空間が連続していて、ずっと散歩道のように歩いていけるように計画されています。周辺の人達にも使ってもらうことで地域に溶け込むという発想です。残念ながら県営の4期でこの構想は断絶してしまったのですが、その後も市営の1期、2期に引き継がれています。

県営1期。左手に帯状に連続する棟、右手に塔状に散在する棟が並びます。中庄団地建替えのトップバッターです。
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県営2期。プランターボックスと屋根線と壁の出入りで空中歩廊を造形しています。下の階とは開口方向を90°ひねっているので日照的には疑問がありますが、落ち着きの感じられる上手いデザインだと思います。
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県営3期。これまでよりも建物を高層化して、歩行者空間を公園のように拡大しています。ランダムな形態が続いていて、良くまとめられるなと感心します。
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市営1期。宙で留まる歩廊は県営4期から伸びる予定だった歩廊を受けるデザインの名残だと思います。敷地内を大きく回った後に動線は右手にある2期へと伸びます。
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市営1期より2期を望む。手前右手が集会室です。わざと敷地端に持ってきて工区間の住民のつながりを高めるという発想です。奥に見える円形劇場もどきはその対として計画されたスペース。実際には手摺を付けられてしまい広場としては使えません。
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市営2期より1期を望む。1期の集会室が見えます。
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●坂出人工土地

倉敷市営中庄団地を見学した後に足を伸ばして坂出人工土地を見学に行きました。人工地盤の考え方は今では珍しくありませんが、街ごと持ち上げようと発想し、本当に実現してしまった極めて珍しい例だと思います。しかも現役です。
実際に訪れてみると、シンプルな形態とダイナミックな空間構成による非常に良く出来た街路デザインであることがわかります。その一方で、街全体からは荒涼感が漂っているのも事実です。それは設備を更新すれば蘇るといったたやすいものではなく、計画時に描いた世界観が既に崩壊して遺跡になるつつあるかのようです。これほどの計画が40年に満たずに今の状態を迎えている様は、街を造ることの難しさを改めて考えさせられます。

地上面に面した階は商業施設が入っており、成長した並木が美しい景色を形成しています。
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人工土地は平坦なだけではなく、ホールの天井傾斜をそのまま形にした傾斜地もあります。人工的に丘の上の傾斜地型テラスハウスを作り出しています。
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人工土地の上にはモダンな意匠の街が展開されます。デザインという面では本当に今も昔も変わっていないと思わされます。
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立体的に展開される街路。白いドームは地上階の駐車場へのトップライトだと思います。
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