2007年06月28日

●梅雨@芝大門

 どんよりとした梅雨空と増上寺の三解脱門。江戸時代の面影を色濃く残すランドマークの向こうに東京タワー、手前に車の行列。左右に木々に見え隠れしてコンビニと工事中のマンション、ビジネスホテル。江戸の書き割りの中に現代のせわしさをはめ込んだような場所。役所に事前協議に行く途中なので、こちらの心もせわしい。
 でも、江戸も当時としては異様に繁栄した場所だったので、案外こんな感じだったのかと思い返します。美人画、風景画の中にある情緒あるシーンの間には、せわしない日常があったんだろうなあ。
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 和風、洋風、現代風。異なる様式が折り重なる景色。活力溢れると見るか、節操ないと見るか。やはりどこかおかしい。
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2007年06月21日

●夏@代官山

 梅雨入り宣言と共に、快晴の続く今日この頃。
空が綺麗なので、街歩き好きとしては嬉しい日々。
仕事の合間に、何かと理由をつけては歩きます。

 個人的に、代官山といえばこの景色。
「コンクリートとガラスと緑」。
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 盛り上がった敷地をそのまま緑化。
「草原の中の小さな家」を街中に作るシンプルな感覚。
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 「ガラスと緑と青空」。
ちょっと見え難いところにあります。
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2007年06月20日

●131日

 「手賀沼エコマラソン」に今年もエントリーしました。去年は息が切れる前に足が上がらなくなったので、今年は充分な体力づくりが課題です。マラソン当日まで後131日。60km/月を目安に、トータルで300kmくらいは走りこみたいところ。

 もう一つ「東京マラソン2008」にも申し込みました。こちらは抽選があるので、当分は結果待ちです。秋にハーフで体力をつけて、冬にフルを走るのが理想的ですが、どうなるでしょうか。

 去年の完走証。マラソンは過程が面白いです。
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2007年06月18日

●レオナルド・ダ・ヴィンチ -天才の実像 その2

 東京国立博物館で開催された特別展「レオナルド・ダ・ヴィンチ -天才の実像」も今日で終わり。その最後の夜間鑑賞の日に、再度観に行きました。(初日の感想はこちら)

 この展示の特徴は大きく分けて三つ。一つ目は、西洋絵画の代名詞「モナ・リザ」の作者レオナルド・ダ・ヴィンチの真筆がイタリアから日本にやってくること。二つ目は、その画の主題「受胎告知」。三つ目は、レオナルドの多彩な才能を、手稿に基づく模型、映像を用いて掘り下げる展示。
 個人的には、レオナルドの真筆「受胎告知」を観る、その一点に非常に価値のある展示でした。同時に、本展示をコアとして、ルネサンスにまつわる関連企画展やイベント、本の出版が活発に行われ、複数の側面から立体的にレオナルドとその時代に触れることが出来たことがとても素晴らしかったです。
 御縁があって、レオナルド画集の出版記念パーティーシンポジウムに参加させていただいて、想像を遥かに超えて楽しむことができました。これはインターネットやブログのおかげ、そして何より人の縁。御世話になった方々に、改めて御礼申し上げます。

 絵画数の絶対的な不足と、膨大な手稿の量。そして飛び抜けて上手い描画。そのアンバランスが産み出す、レオナルドにまつわる数々のミステリー。限られた素材を、複数の専門家の視点から解体してみたり、深く思索の根を降ろしてその世界を旅してみたり、画題を共有する同時代との関係性から推察したり。時にミクロな世界がクローズアップされ、新たな側面が垣間見られる一方で、レオナルド像はぼんやりと靄の中に。その靄の奥に何を観るかは、多分十人十色。私の場合は、「深淵なる知」というフレーズが心に響きました。
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2007年06月17日

●高橋コレクション@神楽坂

 上野で開催中の「アートで候 会田誠 山口晃展」の出展作品の所蔵元として、そして図録の執筆者のお一人として頻繁に登場する「高橋コレクション」。どんなコレクションか一度観てみたいと思っていたら、こちらで展覧会が開催中と知り、出かけました。

 場所は神楽坂。最寄駅は「神楽坂」もしくは「牛込神楽坂」ですが、思い入れがあるので「飯田橋」から歩いてみました。ペコちゃんがまだあって、ちょっとほっとしました。
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 毘沙門天を横目に更に進みます。飲み会後の休憩スペースとして何度も御世話になりました。
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 赤城神社を横目に、グルグルと輪を描くように歩いていきます。ギャラリーへの案内図必読です。
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 倉庫が並ぶ一角に緑の看板が。階段室を上がって3階が「高橋コレクション」。路地の迷路、神社の杜、その先にある全く入口らしくない入口。ここへと至る道筋そのものが現代アートのようで面白いです。
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 開催中の村上隆「ポリリズム」を観ました。一番奥の「ポリリズム 1991」が抜群に良かったです。無機的な白壁を背景に、黄色味のついたトローッとしたボリュームをキャスターで浮かせ、無数の白塗りの兵士フィギュアが貼り付けてあります。
 同じ作り、同じ大きさのフィギュアが並ぶので、立体ながらとてもノッペリとした平坦面が出現しています。ところが、前向き後ろ向き、配置間隔の差異が不思議な間を生んで、幾つもの平面が立体的に交差しているように見えてきます。ある部隊は足を宙に浮かせて前進し、ある部隊は渡河中の鳥瞰的な眺めに、ある部隊は岩肌に張り付いて崖をよじ登るように見えます。
 上野の展示が終わったら、ここでも2人展を観てみたいです。場の性格が強烈な分、面白い展示が観られると思います。

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2007年06月14日

●肉筆浮世絵のすべて (後期)

 出光美術館で開催中の「肉筆浮世絵のすべて」(後期)を観ました。ここの良いところは、選り抜きの優品だけをゆったりと並べる質の高い構成と、照明。さらに展覧会に合わせて入口出口が入れ替わる会場と、休憩コーナーからの皇居の眺め。そして有楽町すぐの立地と、比較的空いていて落ち着いて観られる環境。茶室に上がれないのだけが残念。

 今回の展示は、浮世絵の歴史をその誕生から末期まで、肉筆浮世絵を用いて見せてゆきます。
 展示室1は浮世絵誕生前夜「寛文美人」から始まります。そして浮世絵師「菱川師宣」率いる菱川派の登場。遊里、美人画と、狭義浮世絵が始まります。趣を異にする伝菱川師宣「浄瑠璃芝居看板絵屏風」も並んで、インパクトあります。続いて「懐月堂安度」率いる懐月堂派。ズラリと並ぶふくよかな美人と、安度を模倣し、安度の流刑と共に衰えたという盛衰が印象深いです。間に鳥居派が少し並びますが、六大絵師に数えられる鳥居清長の作品はなし。千葉市美術館の「江戸のヴィーナス」と合わせてみれば、補完は完璧。時期を合わせた?
 展示室2、そして展示室3へ。勝川春章「美人鑑賞図」は去年の「名品展Ⅱ」でも観ましたが、建物も美人もしっかりと描いてあって観入ってしまいます。「喜多川歌麿」とそのライバル「鳥文斎栄之」の登場。特に栄之の作品が4点並び、今回ばかりは栄之に軍配が上がります。そして「葛飾北斎」率いる葛飾派。「樵夫図」「春秋美人図」を見比べて、本当に何でも描ける人なのだと感嘆。最後は歌川派。広重も属する最大派閥。酒井抱一の浮世絵があるのにはビックリ。
 版画に比べて非常に高価かつ希少であろう、肉筆画だけで浮世絵の歴史を辿るという非常に贅沢な構成です。次々と登場する名手とその一派の栄華盛衰を巡る歴史絵巻と観ることもできます。粒揃いの作品を観ることで、教科書を読むよりもはるかに直感的に、浮世絵の醍醐味に触れられると思います。

 この日は、千葉市美術館で「江戸のヴィーナス誕生」を観た後、総武線快速で東京まで移動しました。夏の若冲イベント、上野の「金刀毘羅宮書院の美」(7/7-9/7)と千葉の「若冲とその時代」(8/7-9/17)をハシゴするつもりなので、その予行です。「意外」と近いです、千葉と東京。
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2007年06月10日

●鳥居清長 江戸のヴィーナス誕生 (後期)

 千葉市美術館で開催している「鳥居清長 江戸のヴィーナス誕生」に、最終日に滑り込みました。
 所蔵品展、企画展ともに定評のある美術館ですが、今回はなんといってもネーミング。美人画とヴィーナスの組合せは観たい!の一言。実は会期を間違えて、この前の展示「浮世絵黄金期への道」も観ました。

 鳥居清長は天明期に活躍した喜多川歌麿と並ぶ美人画の大家でありながら、その作品の多くが海外美術館に所蔵されているために大規模な展覧会が開かれることがなかったそうです。スタイルの良さが仇(?)となり、真っ先に海外に流出したということなのでしょうか。
 見どころは第二章「江戸のヴィーナス誕生」と第三章「ワイド画面の美女群像」。
 前章は清長の代表作である三大揃物を展示し、天明ヴィーナスがズラリと並びます。民営遊女を描く「当世遊里美人合」、武家良家の子女を描く「風俗東之錦」、品川遊郭を描く「美南見十二候」。遊女を描くところから始まる浮世絵美人画でありながら、その内容はバラエティに富みます。また一枚に3-5人の人物を組み合わせる構図にも工夫があります。「当世遊里美人合 多通美」の鏡に向かって片肌を脱いでいる芸者、手紙を渡す朋輩、スケジュールをチェックするもう一人の芸者。「風俗東之錦 居眠り」の居眠り中の下女の髪に御幣を挿して笑う女性。チケットにも使われている「美南見十二候 七月 夜の送り」の黒地に引き立つ美女群像。
 後者は大判化、2枚続、3枚続と大型ワイド化する清長ワールド。8-9頭身はあろうかという天明ヴィーナスもさることながら、各人の仕草の細かさも見どころです。「亀戸の藤見」の急階段のような太鼓橋を登ろうと裾が乱れる女性。「庭の雪見」の軒先の氷柱を煙管で叩こうとする女性。

 作品の質と量からその人気のほどが窺える清長美人画ですが、その活躍期は意外と短く天明期(1781-89)を絶頂期として、以降は鳥居派当主として役者絵を手がけたそうです。スーパーモデルのような頭身の美人画を、当時の女性はどんな視線で観ていたのでしょう。わずか10年足らずの繁栄とはいえ、200年を超えて熱心に愛好されるのですから、永遠の美の一つの形なのでしょう。
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 展示の質に定評がありながら、集客面で苦戦が続く(いつ行っても空いている。。。)千葉市美術館。最寄りの千葉銀座商店街の街灯には、美術館のタペストリーが吊られていました。商店街と美術館の共同戦略で活性化しますように。
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2007年06月08日

●アートで候 会田誠 山口晃展

 上野の森美術館で開催中の「アートで候 会田誠 山口晃展」を観ました。
 現代アートの売れっ子ツートップが上野に進出。フジサンケイグループがガッチリとバックアップして、波が来ている現代アート界をさらに加速せん!という感じ?

 会場に入ると、左に会田さん、右に山口さんの初期の作品が並びます。当初から会田さんは突飛な発想で、山口さんは古典的な題材を現代的な描写で描かれています。その頃の好奇心を抱えたまま大人になったようなお二人の姿に、羨望の思いが湧きます。

 角を曲がると、会田ワールドが全開です。「あぜ道」の髪の毛の分け目が道へと伸びる奇妙な連続性、「大山椒魚」のボコボコした山椒魚の皮膚と女の子の滑らかな肌のエログロの対比、「滝の絵」の水着の女の子わんさかな賑やかさ。どこかヘン、でも目が離せない。大型作品が多いので見応えがあります。

 進むと山口ワールドに。「当世おばか合戦」の骸骨に鎧を被せた巨大兵士は、ナウシカの巨神兵から結界師の黒兜まで歴史モノ漫画に欠かせぬアイテム。「歌謡ショウ図」の鏡を使った奥行きの見せ方は古典的ながら楽しい。「東京図 六本木昼図」はあの六本木ヒルズを精緻に描きながら、ヒルズと昼図を掛けるセンスにニヤリ。年始の「ラグランジュポイント」展で観た作品も並んでいます。「四天王立像」は大分筆が進んでいます。完成して名刹を背景に展示したら、ガラリと雰囲気が変わりそう。「ラグランジュポイント」の見渡す限り武将、武将、武将の眺めは何度観ても面白いです。老若男女問わず魅了する精緻な描画と、とぼけた味わいは、くせになります。

 2階に上がって「山愚痴澱エンナーレ2007」。作家の引出し総ざらえとばかりに、驚異の12分身。さすがにちょっとうす味?
 続いて会田さん。絵画は巨大ながら、かなりうす味。その先のザッピングビデオは一転特濃で、そこそこに退散。
 会場を左に折れて山口さんの「携帯折畳式喫茶室」。この手の作品は数あれど、山口さんの手にかかれば一味違います。上部抜けているのに換気用ガラリを付けたり、茶色の波板の壁に戸だけ紙を貼る作りが味があって好きです。中に上がってお茶を飲んでみたいです。

 1階に下りて、廊下伝いにギャラリーへ。会田さんと山口さんの作品が会場を半分こして並びます。山口さんの「すずしろ日記」の美しい挿絵エッセイと、持ち上げて持ち上げて最後にストンと落とす構成の妙がツボにきました。

 美術に打ち込む真摯な姿勢と確かな技量。そしてどことなくとぼけた味わいの組み合わせが絶妙で、一粒で何度も美味しい展示でした。館内が空いていたこともあり、3周しました。まだガラスケースの中に納まっていないという点でも、非常に旬な感じのする展示でした。

 上野の森美術館という名に合わせて、木立の中から見返してみました。
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2007年06月02日

●若冲 in とりぱん

 週刊モーニングに連載中の「とりぱん」は、庭先にやって来る鳥たちの観察記を中心に描く「身の丈ワイルドライフ」マンガ。ホノボノときにギスギス。その感覚が、鶏を庭先で飼って観察に没頭したという若冲をどことなく思わせて面白いです。

 その今週号はなんと、「若冲展」取材記。去年の「動植綵絵」公開の際は、表紙を若冲仕様にするも会期後でちょっと遅し。でも今回は会期に重なってます。前回の表紙が縁で相国寺から招待されたそうで、縦帯にはしっかりと若冲展の宣伝も!プレビューで舞い上がった身としては、とても嬉しいです。
 内容は思ったよりもアッサリ目。先週号に予告まで載せていたので、もっとドーン!とくるかと期待していました。でも鳥たちの目つきについて共感するくだりは、「とりぱん」ならではの面白さです。

 もう一つ若冲感覚の表現で傑作だと思っているのが、BRUTUS「若冲を見たか」号に載っていた山口晃さんの「斗米庵双六」。特に僧衣を着てべスパに乗った絵は妙に心に残ります。現代的な面白みにマッチして拡大する若冲ワールドは、作り手の元を離れて成長する生物のようです。

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2007年06月01日

●平日の六本木ヒルズ

 打合せの後、六本木ヒルズを通り抜けて地下鉄の駅へ。
 商業コンプレックスというには巨大で、街というには自己完結的な空間は、どんな年のとり方をするのか興味があります。

 毛利庭園のツツジと蓮。三脚を抱えた方がたくさん写真を撮っていたました。
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 地下鉄のホームへと降りる吹抜け「メトロハット」。「ル・コルビュジェ展」の映像が映っていました。
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