2009年06月30日

●6月の鑑賞記録

 6月の鑑賞記録です。
 6/6
 西野達「バレたらどうする」@ARATANIURANO
 街中のパーツが、何食わぬ顔でギャラリーにある面白さ!

 鈴木理策「WHITE」@ギャラリー小柳
 見たことのない「白」。

 日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-@日本橋高島屋
 細見コレクション大盤振る舞い!

 6/7
 日本の美術館名品展(後期)@東京都美術館
 入替が多く、新鮮な気持ちで楽しめた。

 6/14
 草間彌生展@高橋コレクション日比谷
 高橋コレクション、日比谷に進出!

 上村松園/美人画の粋@山種美術館
 松園の美人画で感動のグランドフィナーレ。次は御舟だ!

 6/20
 東京ミッドタウンツアー
 ツアーアテンダントの方が1時間かけてミッドタウンを案内してくれるツアー。料金1,500円とお値段もミッドタウン。特別な場所を観るわけではありませんが、現代アート彫刻や建物配置、モチーフ等の解説が意外と楽しい。旧防衛庁の桜の木の話も、さもありなん。

 天地人-直江兼続とその時代-@サントリー美術館
 一週間間違って、上杉本洛中洛外図屏風を見損ねた。NHK大河ドラマのプロモーションと化した4階展示にビックリ。

 「光と空間」建築の美PARTⅧ@富士フィルムスクエア
 オーソドックスな視点。

 「骨」展@21_21 DESIGN SIGHT
 旅客機のX線写真にビックリ。光るピアノも美しい。

 6/27
 タイの美しい布@千葉市美術館
 古着屋に紛れ込んだような展示。スライドが良かった。

 石井光楓-パリの青春@千葉市美術館
 水彩画のとろけるチーズのようなタッチと色彩が美味しそう。

 こんな作品あったよ@千葉市美術館
 休館前の最後の展示。地域密着な展示が良かった。

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
 ありとあらゆる期待に応える、エンターテイメントな作り。次作が待ち遠しい。

 6/28
 MOTで見る夢@東京都現代美術館
 奈良美智、加藤美佳、名和晃平の作品が作り出す結界。

 L_B_S/名和晃平@メゾンエルメス
 ガラスブロックの幾何模様がアクリルビーズに映り込んで印象的。

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2009年06月29日

●L_B_S/名和晃平@メゾンエルメス

 名和さんのビーズをもう一つ見ようと思い立ち、メゾンエルメスまで足を伸ばしました。日曜日も開いているのが嬉しいです。

 ブランドショップでの展示らしく、スマートな構成で三つの方法論が展示されます。

 <LIQUID>。均一に発生する白いバブル。広い空間に装置が二台のみ。贅沢な空間の使い方。

 <BEADS>。PixCellシリーズ。ビーズの大きさが他作よりも大きい?壁面ガラスブロックの幾何学パターンが映りこんで、ちょっと硬質な感じ。吹き出物な印象は相変わらずなので、個人的には苦手なアプローチ。

 <SCUM>。像に樹脂を吹き付けて、原形を鈍磨した彫刻群。風化と膨張を合わせた感じ。

 造形に対する、シャープな感性が感じられる展示でした。
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 ショーウィンドウはスペースシャトル?エルメスっぽくなくって面白い。

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2009年06月28日

●MOTで見る夢@東京都現代美術館

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 東京都現代美術館で開催された「MOTコレクション−MOTで見る夢/MOT.Field of Dreams」展を観ました。評判を聞いて、最終日に駆け込みました。展示は1階と3階の二層に渡ります。

 1階
 ヤノベケンジ「ジャイアント・トらやん」。巨大なボリュームと、鉄を貼り合せた様なボディに光る眼がいい感じです。パフォーマンスが全くなかったのが残念。

 3階
 内海聖史「三千世界」。3階展示室に入ると、オシャレなモザイクタイル貼りの壁が二面登場します。「おーかっこいい!」と思ったら、内海さんの「三千世界」でした。天井の高い展示室と赤味かかった照明に映えます。
 小林孝亘「Dream, dreaming us」。涅槃のような、ただの昼寝のような。心地いい時間が流れている風景。前もこの位置(ずいぶんと高い位置)に展示していましたが、何か理由があるのでしょうか。
 奈良美智「White Night」。つぶらな瞳で見つめる女の子。可愛い。この絵と向かい合って、加藤美佳「カナリア」。こちらもつぶらな瞳で見つめます。大きな瞳に挟まれて、何か照れくさい。両者の間に名和晃平「PixCell-Deer #17」。キラキラ輝くアクリルビーズが綺麗。

 三者が作り出す空間は、オシャレでとても魅力的です。改装MOTは上々の滑り出しだと思いました。

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●ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観ました。超絶緻密なクライマックスシーンとサービスタップリな次回予告で幕を閉じた「序」から待つこと2年近く。いてもたってもいられず、公開初日のレイトショーに出かけました。

 新旧キャラ大活躍!「旧世紀版」の人気キャラエピソードを軸にしつつも、冒頭やクライマックスでは新キャラも大活躍。美しくリニューアルされた画面を楽しみつつも、徐々に「一巡目」からずれてゆくスリルが「破」の醍醐味です。「ポカポカ」や涙目にはまる人も多いのでは。赤い機体の登場時にウルトラマンの効果音が鳴り、ジェットビートルが飛んだりして「エヴァ以前」のファンにも嬉しい作り。

 大幅にパワーアップしたメカアクション!噂の仮設五号機、飛んで走って空中回転して大活劇を演じる3体のエヴァシリーズ。さらには「裏モード」も登場して、テンション最高潮。

 効果的なBGM!第三新東京市の夜明け。街が目覚める描写が視覚的にも聴覚的にも美しい。ヒロインのクライマックスシーンで流れる挿入歌。シンプルな歌詞が心を打つ。そして「この人だけは守りたい」という想いが起こす奇跡。

 練りに練られたプロット!108分の制約の中で、新しい要素を取り込み、キャラの心情を描き、ありとあらゆる期待に答え、物語をきっちりと次作へつないでスタッフテロップへ。ものすごく面白かったです。

 何よりエンターテイメント!本編の最後に、衝撃的に登場するあの人。劇中でつぶやいた言葉の意味にビックリ。。。更に追い討ちをかける次回予告。腰に腕をあてて立つ隻眼のキャラに重なるように「Q」。1分ほどで美味しいところを全て持っていって幕。本当に面白かったです。Blu-ray出たら買うかも。本体持ってませんが。

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 有楽町ビックカメラで開催された「エヴァ携帯」イベントの様子。10万円近い価格設定ながら、あっという間に予約受付終了だったそうです。もっとも、オークションサイトに大量に並んでいますが。。。

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2009年06月22日

●「骨」展@21_21 DESIGN SIGHT

 21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「骨」展を観ました。字が体を現す簡潔なネーミングが分かりやすいです。

 「標本室」
 今回の動線は普段と逆回りです。なるほどこの空間はこうやって使うのかと感心。
 湯沢英治 写真集「BONES-動物の骨格と機能美」より。「ハブ」の骨の細やかな工芸品のような美しさ。あんなに柔らかく動く体に、こんなに骨があるのかという新鮮な驚きがあります。「ペンギン」の骨は、可愛らしい仕草とプロポーションと大きくイメージが異なってビックリ。隠された秘密をのぞき見るようです。「ダチョウの骨」は、骨の断面が興味深いです。大きな空隙にクモの巣を張ったような内表面。ツルッとした外表面と対照的な質感。
 >ニック・ヴィッシー 写真集「X-RAY」より。冒頭の「iPOD(?)を聴く人」の全身写真。体の重さを支える骨と、熱の流れを可視化するイヤフォンや音楽プレーヤー内部メカとの線の対比が美しいです。骨が踊る感じ。500枚以上の画像をつなぎあわせたという「旅客機」の全身写真は驚きです。こんなに大きなモノをどうやってスキャンするの?という興味と、精緻に写り込む翼断面やコクピットといったディテールに惹きこまれます。本展イチオシ。

 「実験室」
 会場内に木組みの柱が林立して、「骨」をアピール?RC床の強さに対して木が柔らかに感じられて、設備ラックくらいに感じられる。
 前田幸太郎「骨蜘蛛」。架空の蜘蛛の骨組。リアリティ溢れるフィクションが、不思議な存在感を生み出す。スタイリッシュで気持ち悪さは微塵もないところが今風。
 明和電機「WAHHA GO GO」。時々会場に響く笑い声の主。大仰な仕掛けでただ笑うからくり。エヴァの量産型みたいで不気味。
 緒方壽人 + 五十嵐健夫「another shadow」。スクリーンの前に立つと、自動的に骨組が付加され、動き出す。観客の人たちがいかに面白い影を作り出すかに熱中していて面白かった。
 THA/中村勇吾「CRASH」。架空のトラス構造体がゆっくりと落下して壊れてゆく様子を描くコンピュータープログラム。架空なのにリアリティを感じさせる動き、赤い破壊部の描写タイミング。ゲーム映像のよう。
 玉屋庄兵衛 + 山中俊治玉屋庄兵衛 + 山中俊治「骨からくり『弓曵き小早舟』」。矢を取り上げ、弓を曳き、的に向けて放つ。鼻だけを表現した顔を傾け、狙いを絞る様がリアル。動作の様子を液晶スクリーンで見た後に実物を観ると、その小ささと精巧さに驚きます。
 参「失われた弦のためのパヴァーヌ」。発掘されたピアノが未来人(?)の手で、「光を奏でる装置」として復元されたもの。触って楽しいデバイス。そして美しい!

 見て触って楽しんで!というエンターテイメントな展示です。複数で観た方が楽しめると思います。美術展としてみると中途半端な気もしますが、イベントとしてみるととても楽しいです。

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2009年06月19日

●恋する西洋美術史

 池上英洋「恋する西洋美術史」を読みました。扉をめくると、熱烈に口づけを交わす男女の図版が次々と表れます。その官能的な美しさは、絵画というよりもHな本のようで、周囲の視線が気になって本を閉じてしまうほどです。

 強烈なイントロダクションに引き込まれて、描かれた「愛」の世界へ。
 章構成は以下のとおり。
 第一章 恋する画家たち
 第二章 愛の神話
 第三章 愛のかけひき
 第四章 結婚-誓われた愛
 第五章 秘められた愛
 第六章 禁じられた愛
 第七章 愛の終わり

 西洋絵画を題材に、様々な愛の形を紹介します。作者の視線はその甘い誘惑に溺れることなく、残酷な結末にたじろぐことなく、客観的に(少々冷酷に)読み解いてゆきます。絵画が描かれた時代と現代とのモラルのギャップや、神々や画家たちの愛ゆえの盲目を浮き彫りにすることで、絵画を血肉の通った物語へと変換します。

 文庫本なので深みはありませんが、西洋美術史「愛」のカタログとして一読の価値ありな一冊だと思います。

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2009年06月16日

●上村松園/美人画の粋@山種美術館

 山種美術館で開催中の「没後60年記念 上村松園/美人画の粋」を観ました。

 始めに上村松園「つれづれ」。口元に手を当てる仕草が奥ゆかしい美人。しばらく他の作家による舞妓が続き、ハッと目が止まります。上村松園「砧」。ボリュームのある上半身に、円を描くように組まれた両手。スラリとした美人画とは明らかに異なるプロポーション。解説に仏様を意識したとあり、さもありなん。

 部屋を移ると上村松園「牡丹雪」。傘を境にして真っ白な雪の上面と、動きを感じさせる人物描写が冴える下面のコントラストが美しい。整った美人に囲まれて、小倉遊亀「舞う」の少女っぽいプロポーションと生気溢れる表情が引き立つ。伊藤深水「吉野太夫」の美男子っぷりに見蕩れていたら、女性と知ってビックリ。宝塚みたいなモノ?上村松園「桜可里」の解説に「交野の桜」とあり、小中高と12年間住んだ故郷の登場にビックリ。でも桜の名所って記憶にない。部屋中央の展示ケースには浮世絵が並ぶ。鳥居清長の頭身の高い美人を見て、「江戸のヴィーナス」というのは上手いネーミングだと改めて思う。

 さらに奥へ。上村松園「蛍」。完成された美人が多い中で、溌剌とした若さが引き立ちます。本展のマイベスト。

 全59作品のうち松園作品は1/3弱。しかし要所要所で目に止まるのはやはり松園。千鳥ヶ淵の最後の展覧会に相応しい、華やかで美しい展示です。

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2009年06月14日

●草間彌生展@高橋コレクション日比谷

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 高橋コレクション日比谷で開催中の「草間彌生展」を観ました。

 ポイントは何と言っても、「高橋コレクション日比谷進出!」。神楽坂ギャラリーの迷路のような立地白金ギャラリーでの鴻池オオカミとの遭遇。さらに「ネオテニージャパン展」全国巡回。そしてついに、東京ど真ん中の大通りに面し、日曜日も開館する有料ギャラリーとしてオープン。その華麗なる転身は、現代アートの日常化とブランド化の軌跡を観るようです。すごいなあ!

 展示の方は冒頭の「かぼちゃ」の緻密さと、最後の「Star [星]」、「蝶 Butterfly」の勢いが印象的でした。立体の質感はグロテスクな感じを受けますが、そういった受け入れられないところも含めて草間さんらしい内容でした。

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2009年06月13日

●日本の美術館名品展(後期)@東京都美術館

 東京都美術館で開催中の「日本の美術館名品展」(後期)を観ました。前期との入替作も多く、新鮮な気持ちで楽しめます(前期の感想はこちら

 1 西洋絵画、彫刻
 ウンベルト・ボッチョーニ「カフェの男の習作」。前回は見逃していましたが、未来派のボッチョーニと気付いて俄然興味が湧きました。彫刻「空間における壜の展開」における明快な第4次元=時間の表現は今でも衝撃的。分析的手法で描かれたであろう男の姿を追って、画面に釘付け。でも分解されすぎて良く分からない。
 ヴァシリー・カンディンスキー「E.R.キャンベルのための壁画 No.4」の習作(カーニバル・冬)。未来派に続いてバウハウス。空間デザインの夢が渦巻くこの時代はやはり魅力的!今回のマイベスト。
 エゴン・シーレ「カール・グリュンヴァルトの肖像」。闇に浮かび上がる眼、手、体。荒々しいタッチが存在を生み出す。さすが豊田市美!
 パブロ・ピカソ「青い肩かけの女」。静溢の中に悲しみをたたえ、淡々とこちらを見る。
 パブロ・ピカソ「ドラ・マールの肖像」。暖かなトーンの才女。
 五枚の作品が並ぶことで生まれる、時代への野望、挫折、回復のシークエンス。タッチの荒さと平坦さ、色彩の暗さと明るさ。それらから感じられる20世紀初頭の息吹こそが、本展の面目躍如なところだと思います。

 アンディ・ウォーホル「ダイヤモンド・ダスト・シューズ」。巨大化し、無造作に並ぶ靴。きらめくガラスの破片。抽象絵画のような画面から発散される、繊細で暴力的な美。後期のベスト。
 イブ・クライン「人体測定 ANT66」。モデルに直接スプレーで吹き付けて描いたという青。製作現場はさぞ壮絶だったろう。ウォーホルと向かい合う展示は迫力十分。

 2 日本近・現代洋画、日本画、版画、彫刻
 竹内栖鳳「散華」。楽しげに楽器を奏で、空を舞う天女。どうして悲しいタイトルなのかと思ったら、花をまくという意味らしい。
 高島北海「果蔬図」。楽しい絵。
 小茂田青樹「秋意」。月に葡萄。粒の陰影が房の重みを感じさせる。墨画のモノトーンの画面が美しい。
 小松均「雪壁」。確かに雪壁だ。
 岩橋英遠「彩雲」。空飛ぶマンボウ。

 「アーツ&クラフツ展」の時も感じましたが、関連性の薄い西洋と日本の作品を一つの展示を押し込むのは、全体構成として成功しているとは思えません。一度現代まで辿りついた物語を、頭の中で過去へと巻き戻す作業は疲れます。部分部分は素晴らしいのに、全体としての印象が希薄な展示だと思いました。

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●Life with Art

□コンセプト
 発端はこのトーク・イベント
 推進剤はこの展示
 決め手はこのドローイング
 というわけで、「Life with Art」です。

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□場所
 自然光が満ちる静溢な空間:これがないと始まらない。
 適度な利便性:日々の暮らしを楽しく。
 適度な経済性:無理なく継続。

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□プラン
 壁の一部として、家具及びモノを配置。
 素材も形態もシンプルに。
 小さなスペースなので、事前計画が大切。

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□結果
 朝がとても気持ち良い。
 ダイニングテーブルを置こうと思ったけれども、やっぱり止めた。
 大きなワークデスクの半面にカッターマットを敷きこんで、さて何を作ろうか。

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2009年06月08日

●鈴木理策「WHITE」@ギャラリー小柳

 ギャラリー小柳で開催中の鈴木理策「WHITE」を観ました。写真は本来「瞬間」を切り取るモノだと思うのですが、鈴木さんの場合は「現象」を定着させるような印象を受けます。凄く時間をかけて作りこみ、余計なモノを削ぎ落とす感覚。

 左手奥の4枚続きの作品。本来の世界は画面左上にわずかに覗くだけで、ほとんどを近景雪壁が覆う。それは鳥が翼を広げ、その向こうに世界を垣間見るような感覚。左を向くと、一枚の写真。ザラッとした質感が「在る」。画面は大きく、言葉にするととても短い。とても豊穣な時間。

 カウンターに置かれた「熊野、雪、桜」の写真集を見て、桜の花が舞う青空に見蕩れました。

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2009年06月07日

●西野達「バレたらどうする」@ARATANIURANO

 ARATANIURANOで開催中の西野達「バレたらどうする」を観ました。あちらこちらのブログで評判を見かけ、出かけました。

 ギャラリーに入ると「あれ、こんなに狭いの?」と思った。○○が落ちてくるというよりも、吊ってあるように見えます(実際そうですが)。壁面には二枚の写真。さらに進むと、話題の△△。ギャラリーの方が親切に「奥までどうぞ」と声をかけてくれます。結構人が入っていて忙しそう。街中にあったモノが壁をぶち抜いて宙に浮いているのはなかなかのインパクトです。電源がコンセントに挿してあって、ちゃんと光っているところも、日用品のふりをしているようでイイ感じ。「天井のシェリー」が「妄想爆発系」だとすると、こちらは「違和感のある日常系」という感じです。ネタバレを読んでしまったので、違和感に出会ったときの驚きが薄れたのはちょっと失敗。

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 搬入は窓からとのこと。あらかじめ壁に孔を空けておいて、差し込むように搬入したのでしょう。ドキュメント映像も観たかったなと思いました。

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2009年06月06日

●日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-@日本橋高島屋

 日本橋高島屋8階ホールにて開催中の「日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-」を観ました。細見美術館の名品をズラリと60点、18時以降の入館で入館料半額(400円)という驚きの内容と価格設定。ワンフロアにコンパクトに展示されるので、動線が短く観やすいです。さらに夜20時まで開館という嬉しい配慮。夜間は空いていて見やすいです。

 第1章「琳派の花づくし」
 典雅なる京琳派

 渡辺始興「白象図屏風」。養源院の杉戸絵!と思ったけれども、宗達でなく始興。太い輪郭線と皺表現が木彫りのようで印象に残る。
 尾形乾山「銹絵牡丹唐草文向付」。最近乾山好きです。カッチリとした形と、単色彩色。これに料理を盛り付けたら美味しそう。
 中村芳中「月に萩鹿図」。薄墨で描かれた鹿が印象的。色彩や墨のぼかし方は琳派、コミカルな丸目と素朴なフォルムはヘタウマ系。独特の芳中ワールド。
 神坂雪佳「四季草花図屏風」。踊るような流麗なフォームと豊かな色彩。観られることに特化した美の極み。

 江戸琳派の洗練
 酒井抱一「桜に小禽図」。筆捌きが冴える、桜の幹と枝のかすれ具合、写実的で美しい桜の花と葉。チョコンと枝にのる小鳥の青。華麗なる抱一の世界。琳派を歴史に刻んだ功労者。本展のマイベスト。
 酒井抱一「白蓮図」。透けるような白色の花弁。ガラス細工のように美しい。
 鈴木其一「雪中竹梅小禽図」。サラーッと流れ落ちる雪。クローズアップした画面に其一の視線を感じる。
 鈴木守一「雛・牡丹・菊図」。チョコンとした雛人形が可愛い。

 第2章「若冲・北斎と江戸絵画の世界」
 若冲と自然へのまなざし

 伊藤若冲「糸瓜群虫図」。たぶん初見。奇想というよりも、万物に愛情を注ぐ敬虔な仏教徒としての視線を感じる。
 伊藤若冲「花鳥図押絵貼屏風」。力強い描線が素晴らしい。表情豊かな鳥たちは観察の賜物か。鶏だけでなく、鴛鴦、カラスもいて楽しい。

 京と江戸の遊楽
 葛飾北斎「夜鷹図」。後姿が凛とした美人。上手い。

 第3章「数寄の美とかざり」
 黒織部が良かった。

 展示室に流れていたビデオで、館長さんが初代の古美術収集に関して「打率三割」と評しているのが正直だなあと思いました。当たったときだけを取り上げて、伝説化していくのが常だと思います。伝若冲は外れの代表として展示されているのだろうか。平安時代に憧れた初代、江戸絵画等「優しい絵」を収集した先代とコレクションの形成に触れていたのも親切。細見コレクションへの親しみが深まりました。

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