2009年06月06日

●日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-@日本橋高島屋

 日本橋高島屋8階ホールにて開催中の「日本の美と出会う-琳派・若冲・数寄の心-」を観ました。細見美術館の名品をズラリと60点、18時以降の入館で入館料半額(400円)という驚きの内容と価格設定。ワンフロアにコンパクトに展示されるので、動線が短く観やすいです。さらに夜20時まで開館という嬉しい配慮。夜間は空いていて見やすいです。

 第1章「琳派の花づくし」
 典雅なる京琳派

 渡辺始興「白象図屏風」。養源院の杉戸絵!と思ったけれども、宗達でなく始興。太い輪郭線と皺表現が木彫りのようで印象に残る。
 尾形乾山「銹絵牡丹唐草文向付」。最近乾山好きです。カッチリとした形と、単色彩色。これに料理を盛り付けたら美味しそう。
 中村芳中「月に萩鹿図」。薄墨で描かれた鹿が印象的。色彩や墨のぼかし方は琳派、コミカルな丸目と素朴なフォルムはヘタウマ系。独特の芳中ワールド。
 神坂雪佳「四季草花図屏風」。踊るような流麗なフォームと豊かな色彩。観られることに特化した美の極み。

 江戸琳派の洗練
 酒井抱一「桜に小禽図」。筆捌きが冴える、桜の幹と枝のかすれ具合、写実的で美しい桜の花と葉。チョコンと枝にのる小鳥の青。華麗なる抱一の世界。琳派を歴史に刻んだ功労者。本展のマイベスト。
 酒井抱一「白蓮図」。透けるような白色の花弁。ガラス細工のように美しい。
 鈴木其一「雪中竹梅小禽図」。サラーッと流れ落ちる雪。クローズアップした画面に其一の視線を感じる。
 鈴木守一「雛・牡丹・菊図」。チョコンとした雛人形が可愛い。

 第2章「若冲・北斎と江戸絵画の世界」
 若冲と自然へのまなざし

 伊藤若冲「糸瓜群虫図」。たぶん初見。奇想というよりも、万物に愛情を注ぐ敬虔な仏教徒としての視線を感じる。
 伊藤若冲「花鳥図押絵貼屏風」。力強い描線が素晴らしい。表情豊かな鳥たちは観察の賜物か。鶏だけでなく、鴛鴦、カラスもいて楽しい。

 京と江戸の遊楽
 葛飾北斎「夜鷹図」。後姿が凛とした美人。上手い。

 第3章「数寄の美とかざり」
 黒織部が良かった。

 展示室に流れていたビデオで、館長さんが初代の古美術収集に関して「打率三割」と評しているのが正直だなあと思いました。当たったときだけを取り上げて、伝説化していくのが常だと思います。伝若冲は外れの代表として展示されているのだろうか。平安時代に憧れた初代、江戸絵画等「優しい絵」を収集した先代とコレクションの形成に触れていたのも親切。細見コレクションへの親しみが深まりました。

Posted by mizdesign at 2009年06月06日 22:59
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Tracked on 2009年06月11日 21:26
コメント

中村芳中、神坂雪佳が多く京都ならではの琳派のラインアップでしたね。

Posted by 一村雨 at 2009年06月08日 05:33

一村雨様>
こんにちは。
京、江戸琳派、そして若冲。
京都へ行ってもこれほど観られないと思える内容でした。
カード作りますか!

Posted by mizdesign at 2009年06月09日 23:03

若冲をこんなに持ってるのですね。
近代琳派の神坂雪佳には感服。
それから根来の瓶子にも感心しました。

Posted by とら at 2009年06月10日 08:32

こんばんは。このラインナップで夜間ワンコイン以下とは凄いですよね。琳派ファン感涙ものの展示でした。

>本展のマイベスト。

抱一がベストとはご慧眼です!あのシリーズは他の月が全部揃っていないのですが、いつかコンプリートされて、一つの「十二ヶ月花鳥図」として見られればと思いました。

Posted by はろるど at 2009年06月11日 21:32

とら様>
こんにちは。
細見美術館の美味しいところをギュッと凝縮したような展示でした。会場もコンパクトで観やすく、言うことなしです。

はろるど様>
こんにちは。
ワンコイン以下でこんな展示が観られるなんて、驚きですね。
作家それぞれに特徴が感じられる点も良かったです。

Posted by mizdesign at 2009年06月13日 15:17
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