2008年04月27日

●「国宝 法隆寺金堂展」前日招待 by asPara

 奈良国立博物館で6/14から7/21まで「国宝 法隆寺金堂展」が開催されます。その前日招待申込がasParaで5/7まで受付中です(募集人数200組400人、応募多数の場合は抽選)。asParaは朝日新聞の無料会員サービスですが、購読、未購読に関わらず、誰でも会員登録をすれば申し込めるようです。当選する確立は宝くじみたいなものだと思いますが、個人的には絶対行くつもりの展示なので、申し込んでみました。

 本展の見所は、普段は暗くて観えない金堂内部の仏像、天蓋、台座や、周囲を取り巻く再現壁画などが展示されることです。飛鳥時代の遺構が現存すること自体が奇跡ですが、その白眉たる法隆寺金堂の内陣の多くの部分をじっくりと観られるまたとない機会です。東では「国宝 薬師寺展」、それが終わるや否や西で「国宝 法隆寺展」。そして来年は阿修羅像を始め八部衆像が東に来られるとのことで、仏様もお忙しそうです。

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●GW後半備忘録

 GW後半の備忘録。

1.水戸芸術館を中心とした「茨城アート」めぐり。
 はろるどさんの「笠間、水戸アートミニ紀行」をベースに、とらさん絶賛の「近代日本画にみる麗しき女性たち@茨城県天心記念五浦美術館」を組み合わせれば完璧。ただし大津港はかなり遠いので、取捨選択が必要そう。

 大津港:茨城県天心記念五浦美術館
 (去年行ったので、六角堂や日本美術院跡地はパス。駅から離れているのでタクシー必須。バスもあるが、本数が少ない)
 笠間:日動美術館、茨城県陶芸美術館
 (レンタサイクルのクーポンはGW中は使えない)
 水戸:茨城県立近代美術館、水戸芸術館「宮島達男展」
 (両館の距離は2km以上)
 移動は取手から「ときわ路パス」。大津港までの片道よりも安い。

2.川村記念美術館を起点とした「千葉-東京アート」めぐり
 川村記念美術館をスタートに、千葉市美術館を経由しての大丸ミュージアム東京へ。千葉と東京を組み合わせるのは、総武線快速一本で移動できるという理由。千葉だけにして、早めに切り上げるかも。
 佐倉:川村記念美術館「マティスとボナール ―地中海の光の中へ―」
 (Takさんとらさん絶賛)
 千葉:千葉市美術館「池田満寿夫 知られざる全貌」
 東京:大丸ミュージアム東京「四大浮世絵師展」
 (一村雨さん絶賛)

3.「東京アート」めぐり
 最近取りこぼしの多い、東京アートめぐり。見られるものからコツコツと。
 六本木:森美術館「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」
      (パブリックプログラムに参加できず残念。会員登録を更新してこよう)
      サントリー美術館「ガレとジャポニズム」展
      (Takさん一村雨さん絶賛。)
 新木場:東京現代美術館「屋上庭園」
      (須田悦弘、内海聖史。タイトルからして、ビジュアル面は充実してそう)
 銀座:エルメス「サラ・ジー展」
     (観るラストチャンス)
 上野:藝大美術館「バウハウス・デッサウ展」
     (テーマ的に必見。出来はどうなのだろう。。。)

 休日なので、現代アート系が弱いのが残念。

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2008年04月25日

●ウルビーノのヴィーナス@国立西洋美術館

 上野の国立西洋美術館で開催中の「ウルビーノのヴィーナス」展を観ました。副題は「古代からルネサンス、美の女神の系譜」です。

 展示は5章からなりますが、大きくは3段階で構成されていると思います。古代ギリシアから始まる彫刻美の世界から、ルネサンスへと至って官能美溢れる像へと変化し、さらに時代が下って物語の中の登場人物としてより普遍化されてゆく。その変遷を絵で辿ってゆきます。
 展示のハイライトは、やはり「III 《ウルビーノのヴィーナス》と"横たわる裸婦"の図像」。ティツィアーノ「ウルビーノのヴィーナス」。暗めの背景にくっきりと浮かび上がるヴィーナスの体、彼女を包む白いシーツの確かな質感、手からこぼれるに真紅の薔薇。その存在は溜息が出るほど美しいです。ミケランジェロの下絵にもとづくポンモルト「ヴィーナスとキューピッド」。ミケランジェロが描く男のようなヴィーナス。でも人気があったそうな。この部屋で満足してしまって、他の部屋の印象は薄くなってしまいました。
 ウルビーノは学生の頃に6日間滞在しました。それだけに楽しみにしていたのですが、今回の展示はどこかとっつき難く気がしました。予習不足もありますが、彫刻が並ぶ前半がそう思わせるのか、もう少し興味を惹く解説があった方が良かったのか。いっそのこと第3章だけに絞って、観覧料を抑えてもらった方が良かったかもと思いました。

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 国立西洋美術館の地下にある免震装置。ゴムダンパーで建物を浮かせています。既存の建物の下を掘って、後付で取り付けてあります。ここにくる前に免震構造の話をしていたので、興味深く見ました。

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 その後は、なぜか「薬師寺展オフ」へ。展示を見たのは1週間前ですが、ちゃっかりと2次会から参加させてもらいました。色々な話が出来て、とても楽しかったです。どうもありがとうございました。

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●長谷川高「家を買いたくなったら」

 長谷川高「家を買いたくなったら」を読みました。最近の読書を通して「自分だけの場所」が必要だと思うようになったのですが、さてどうやって手に入れようかと思ったところで目に入った本です。多くの人が気になるテーマに対して、漠然と「家を手に入れたくなったら」と囁きかけるタイトルが上手いです。冒頭にはキレイな写真に少しキャプションを添えて、タイプ別の理想の家の例が数ページ並びます。帯には「がんばらないで「理想の家」を手に入れる」。「はじめに」は、「ちゃんと答えが書いてあります」という力強い言葉で締めくくられています。

 本編はまだ購入は先という方に向けて、焦らずがんばらず「理想の家」のイメージを固めることを薦め、その探し方、お金の話、タイプ別の物件の注意点、購入時及びその後の注意点を順に述べてゆきます。広く浅くタイプ別に網羅する視点は、入門のための概論という感じです。冒頭の写真をケーススタディとして、それぞれの事例を掘り下げるのかと思ったのですが、そういった部分はありません。

 内容がおかしいわけではありませんが、「買わせる」ポイントをしっかりと押さえた本の作りの方が遥かに印象に残りました。考えてみれば、不動産を扱う方は「売る」プロです。この分野は手強そうです。

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2008年04月24日

●Nike+ Coach

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 Nike+のホームページが少しリニューアルされました。
 どこかというと、My Runs タブにTraning の項目が追加されました。
 これが噂のNike+Coach かと、早速メニューを作成してみました。
 タイトルは「目指せ「東京マラソン2009」!」として、初心者用マラソンプログラムを選択しました。1年以上のランニング経験と、週19-24km走っている人が対象とのことです。そのうち週65km走ることを求められるらしいです。どこまでいけるでしょうか。

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 My Goal 「4週間に100kmのRun」の途中経過です。なんとか目標を少し上回って、現在58.1kmです。当面はこのGoalのクリアが目標です。

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2008年04月22日

●梅田望夫「ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学ぶか」

 梅田望夫「ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学ぶか」を読みました。「世界中の情報すべてを整理し尽くす」という壮大なビジョンを掲げるグーグルを核に、ゾクゾクするようなビジョンを示した「ウェブ進化論」の続編ということで楽しみにしていた本です。

 オプティミズムを貫くわけ、前作とのつながりを説明して、いざ本編へ。前作で示した「学習の高速道路の先の大渋滞」のサバイバルとして「高く険しい道」と「けものみち」の二つの選択肢を示します。「好きを貫いて生涯を送ること」を人生の幸福と定義し、高速道路を疾走する若いネット・アスリートに贈る三つの言葉が素晴らしいです。「Only the Paranoid Survive. (病的なまでに心配性な人だけが生き残る)」、「Entrepreneurship (アントレプレナーシップ)」、「Vantage Point (見晴らしの良い場所)」。

 後半は、作者のこれまでを振り返りつつ生き方を探ります。「けものみち」を歩く処方箋としての「五百枚入る名刺ホルダー」を始め、かなりビジネス書方面へ舵を切ります。「正しいときに正しい場所にいる」は全くおっしゃるとおり。「好き」の強度を手がかりに生き方を開拓する「ロールモデル思考法」は梅田流サバイバル術の要。終盤は若い人へ贈る言葉を細やかに述べて完結です。

 前作のゾクゾクするような高揚感に比べると、本書はやや細切れな感じがあります。どうしてかと考えてみると、これからの時代を生きる処方箋を、過去の作者の行動に求めるところがズレの原因かと思います。その一方で、ないモノを語るのだから過去を参照しつつ話を組み立てるのは当然です。そうすると、本書は続編でなく、短編を集めた外伝と捉えるのが適当かと思います。
 もう一つ。本書を作者の成功体験を綴るビジネス書と捉えると、成功部分の煽りが弱い分中途半端に思えます。反対から考えると、中途半端でも論旨が完結するところが本書の特徴と思えてきます。型にはまったビジネス書でなく、今まさに生成せんとする事象を捉える徒手空拳の記。わずか240ページほどでこれだけ思索を喚起するところが、この本の最大の魅力です。

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●応挙旅に出る。-波乗り篇

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 今朝の羽田空港にて。
 そういえば、あの看板どうなったんだろうと思ってのぞいてみたら、こんなになっていました。

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 金刀比羅印の宝船に、花卉図を盛り付け、猫バス虎に、こんぴら狗に、若冲燕。その他大勢大集合。目指すは三重、そしてパリ。

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 空飛ぶ魚に驚くサーファー貴族。

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 そして宮司さんと田窪さん?もはやなんでもありです。
 面白さでは一番。でも、「書院の美」からずいぶんと遠い所まで来た気もします。

 これまでの看板:
 「応挙旅に出る。-望郷篇
 「ワンワン!かわいいワン!こんぴら狗代参。

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2008年04月16日

●国宝 薬師寺展@東京国立博物館

 東京国立博物館で開催中の「国宝 薬師寺展」を観ました。学生の頃に西塔、さらに金堂の再建が段階的に進む様を見たので、薬師寺伽藍はとても思い出深い場所です。その白鳳の再現たる鮮やかな色彩と装飾は、とても印象に残っています。

 展示は薬師寺の伽藍の紹介から始まります。休ヶ岡八幡宮を再現したセットを背景に八幡三神坐像を配置し、聖観音菩薩立像を眺めながらスロープを登り、日光菩薩立像と月光菩薩立像の並ぶ会場へと降りていきます。全角度から観られるという謳い文句どおり、立体的に仏様を眺められます。仏様を幾重にも囲む観衆の輪は、少々異様な眺めです。展示室を移動して、草創期の薬師寺の出土品を経て、薬師寺と関わりの深い三蔵玄奘のコーナー。最後に国宝吉祥天像と対面します。

 仏様に東京まで御足労願い、普段は見られない国宝を公開する文字通りの薬師寺展です。確かに前評判どおりの内容なのですが、あの荘厳にして妙に活気のある伽藍の印象があまりに強烈で、どこか物足りない気がします。仏様を様々な角度から観て思うのは、やはり御堂で光背を背負っておられる御姿が一番だということです。上から見るとお顔が大きすぎてアンバランスに見えますが、それは本来下から見上げる前提で作られた造形だからでしょう。水煙に彫られた天女様を間近で見られたことと、吉祥天像が見られたとことが収穫でした。個人的には、ちょっと大味に思える展示でした。
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 上野公園の八重桜。盛期は逃しましたが、桜を観られて良かったです。

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2008年04月15日

●TNM&TOPPANミュージアムシアター「マヤ文明 コパン遺跡」

 上野の東京国立博物館で上映中のTNM&TOPPANミュージアムシアター「マヤ文明 コパン遺跡」を観ました。「薬師寺展」を観に行ったのですが、「DNPの次はTOPPANだ!」と思いたって寄り道しました。

 ここの特徴は、超高精細映像の中をナビゲーターのおねえさんがPS2のようなコントローラーを操作しつつ案内してくれるところです。鑑賞者は映画を観るように情報を受け取るだけですが、良く練られた構成と、リアルタイムなコントローラー操作と、圧倒的な映像美が観る者を惹き込みます。今回案内してくださったのは、前回と同じくこうのさんでした。

 今回のテーマはマヤ文明コパン遺跡。コパン遺跡と聞いて、ああ、あれか!と思う人はあまりいないと思いますが、そんなことは心配御無用。空から見下ろし、俯瞰しつつ地上に降り立つ導入部から映像の世界に没入できます。適度に写実的で、適度に漫画チックな絵作りも、とても分かり易いです。現在の状態もわざわざCGで再現しているので、往時の再現映像への切り替えも非常にスムーズです。石剥き出しの現状から赤く彩色された往時の姿へと切り替わったときは驚きました。そして神殿の中に過去の王の神殿が埋まっているという驚きの事実。もはや実写かCGかわからないその映像。あっという間の20分でした。終了後のアンケートには、「安土桃山時代の建物を、永徳、等伯の絵と絡めて再現して下さい!」と熱烈希望しました。

 人とアートのインターフェースの実験としてはDNPの方が可能性を秘めていて、エンターテイメントの完成度ではTOPPANの方が断然上という感じです。何はともあれどちらも無料(博物館の入館料は別途かかります)なので、体験する価値は大いにあります。

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●ルーブル・DNPミュージアムラボ 第4回展「都市スーサとその陶器イスラム時代の創成期」

 五反田のDNP五反田ビルで開催中のルーブル・DNPミュージアムラボ 第4回展「都市スーサとその陶器 イスラム時代の創成期」を体験しました。ラボという響きに惹かれて行こう行こうと思いつつ、予約制という壁に二の足を踏んでいましたが、ようやく腰を上げました。大日本印刷(DNP)とルーブルがタッグを組んで、どんな映像体験を見せてくれるか興味津々です。

 観覧スタイルは3種類あります。音声ガイダンス端末を利用する方法、ARガイダンス端末を利用する方法、ガイダンス端末を利用しない方法です。今回から導入されるAR(オーグメンテッド・リアリティ=拡張現実)ガイダンス端末を使ってみたかったのですが予約が取れず、音声ガイダンス端末を使用するコースを申し込みました。骨伝導ヘッドフォンも初体験です。

 カウンターで受付を済ませると、端末についての簡単な説明を受けて、ルーブル美術館のプロモーション映像を見て、観覧へGO。会場は「ホワイエ」、「シアター」、「展示室」の三つからなります。「ホワイエ」ではパネル展示で「イスラム帝国の誕生」と「様々な視点から見る都市スーサ」を解説します。端末が近づくと自動検知し、解説が始まります。パネルには液晶が仕込まれており、音声解説と連動して映像が切り替わります。次に「シアター」へ。大画面にルーブルの所蔵絵画を交えつつ、スーサ発掘の歴史が語られます。そして「展示室」へ。大きな自動扉を通り、廊下を抜けてようやく展示室へ。室内には5つのルーブルの美術品が並び、3つの陶器製作の技法が解説されています。中でもAR技術を搭載した携帯インターフェースを通して、展示作品に重ねて映像の解説が映し出される展示が興味深かったです。端末を動かすと、それに合わせて映像も角度を変えて投影されるあたり、3D感覚で面白いです。やはりARガイダンス端末を使ってみたかったです。

 展示作品が小品5点という構成は、ルーブルのコレクションを「観る」という気持ちで行くとやや拍子抜けでした。解説に使う技術はどれも興味深いものの、展示と上手く噛み合っていない印象を受けます。それらはソフト面の練り込み不足が大きいと感じるので、ノウハウを蓄積することで良くなっていくと思います。これだけの内容を無料で鑑賞できることに感謝します。

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 目黒川沿いの桜。初夏を思わせる、少し暑い日でした。

 追記:こちらのページに拠ると、ARガイダンス端末は準備が間に合わなかったそうです。

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2008年04月14日

●小山登美夫「現代アートビジネス」

 小山登美夫「現代アートビジネス」を読みました。著者は現代アートの有力ギャラリーのギャラリストであり、アートフェア等でも精力的に活動されている方です。去年オープンしたガラス張りのTKG Daikanyamaは、一般層にも積極的にアピールしようという姿勢と、うねるアクリル面の視覚的な面白さがバランス良く機能していて印象的です。売り文句は「奈良美智、村上隆を世に出した仕掛け人が語る、アートとお金の関係とは?」。アートイベントラッシュに沸いたこの時期に、タイミング良いなと購入しました。

 内容は、誤解されがちなアート業界の仕組みを、平明な構成、表現で語ってゆきます。去年のアートフェア東京のラウンジトークでは三潴さんが、森美術館のウェルカムパーティーでは南條さんが語っておられましたが、アートファン層拡大の好機という認識は共通のようです。小山版の特徴は、奈良、村上の2大キラーコンテンツを擁するところでしょう。以下、印象に残ったフレーズの抜粋です。

 第1章「誰も見たことのないものに価値を見出す ギャラリストの仕事」。著者の自己紹介とギャラリストの仕事について。ギャラリストは広義で画商に含まれるが、「展示空間=ギャラリーを持ち、みずから企画展示する点が、大きな違い」。
 第2章「村上さんと奈良さん アーティストはどこにいるの?」。アーティストはどのように育っていくかを、村上隆、奈良美智の軌跡を辿りつつ紹介。「奈良さんの絵はイラストとどう違うの?」「僕は描きたいものしか描かないよ」。「「これでもいいんだ!いいはずだ!オレたちの文化も捨てたもんじゃない」」。「自分にとってよい作品をつくることが大前提」。「自分の描きたいものや表現したい世界を、客観的に見ることが必要」。
 第3章「アートの価値はどう決まる 投資を考えている方へ」。アートとお金の話その1。「現代アートは産地直送、適正価格で売ってます」。「プライマリー・プライスとセカンダリー・プライス」。「世界基準でない、「アジア限定マーケット」」。「1980年代、アートバブル狂走曲」。
 第4章「マーケットを動かすのはコレクター アートを買ってみる」。アートとお金の話その2。「潜在的なマーケットを発掘するために」。「現代アートは団体戦で勝負をかける」。「日本アートフェア興亡記、NICAFの顛末」。「アートを楽しめる人がコレクター」。
 第5章「日本をアート大国へ アートビジネスの展望」。「例えば、アートバーゼルはスイス最王手の銀行UBSが、アートバーゼル・マイアミ・ビーチはゴールドマン・サックス社が、ロンドンのフリーズはドイツ銀行が、大スポンサーとしてフェアを支えています」。「日本の美術館に、奈良、村上がない理由」。

 ギャラリストって何する人?という疑問から、村上、奈良作品の価値、アーティストに必要な素養、現代アートとお金を巡る事情、世界のアート事情、そして日本の課題まで、とても良くまとまっています。森美術館「UBSアートコレクション展」の話とリンクしたり、去年の「アートフェアTOKYO」が現代アートのみでなかった訳等々、色々となるほど!と思いました。アートファンの方には興味深い一冊だと思います。

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2008年04月13日

●本田直之「レバレッジ・リーディング」

 本田直之「レバレッジ・リーディング」を読みました。副題は「100倍の利益を稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめ」。勝間和代さんの著書に名前が出ていたのと、書店に平積みだったので自ずと目に入り、購入しました。
 内容はタイトル通り、本によるインプットから、100倍の利益というアウトプットへと至る流れを、レバレッジ(梃子)をキーワードに解説します。「読書」は投資という視点から多読を薦め、本の探し方、読み方、フィードバックの仕方まで。このサイクルの繰り返しをレバレッジ(梃子)と呼ぶところが秀逸です。ビジネス書の単価を1,500円と設定し、その100倍(150,000円)の利益を得るという風呂敷の畳み方も上手。
 逆に、タイトルと「はじめに」でほぼ内容を語り尽くしているので、残りの160ページほどは、その補足説明と化しています。作者の述べる「八十対二十の法則」を地でいっていてなるほどと思いました。「そもそもレバレッジ・リーディングは読書ではありません。投資活動です。」とあり、再度なるほど。

 余談。本書と勝間和代「効率が10倍アップする 新・知的生産術」には、投資としての読書法が登場しますが、その手法は大きく共通し、ディテールが少し違います。前者は文庫本をページを折り、書き込みをし、要点はメモに書き起こして常時携帯せよと説きます。後者はパーッと読んで必要なときに引き出せれば良いと、速度最優先です。投資額も前書は年間100万円、後者は月10~15万円とボリュームアップ。両書の間には1年のタイムラグがあり、その間のグーグルの席捲、前書を踏まえつつ貪欲に吸収、カスタマイズしてゆく後者の学習意欲といったものが感じられました。

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2008年04月11日

●第一目標クリアー

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 Nike+iPodを購入して早3週間。「平均5'00"のペースで1ヶ月間に10回のRun」というゴールをクリアしました。距離が短いほど楽になるので、1回5km以上というルールを加えました。このトレーナーとは上手く付き合っていけそうです。累計走行距離50kmを超えると、次は250kmを目指せとメッセージをくれる、スパルタな面もありますが。

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 これが今回のベストラップです。平均4'36"/km。次のゴールは「4週間に100kmのRun」と設定しました。スピードよりも無理なく続けることが大切なので、距離を目標にしました。

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2008年04月10日

●原田ゆふ子・黒田祐子「沖縄に住む」

 原田ゆふ子・黒田祐子「沖縄に住む 理想のセカンドライフの過ごし方」を読みました。沖縄に通い始めて早半年。そのわりに、沖縄に関する本を読んでないなと思ったときに目に入りました。
 内容は明快、簡潔。沖縄での生活に関する基礎知識、移住に関するイントロ、そして体験談。対象はシニア層ですが、沖縄生活入門書としてコンパクトにまとまっています。私自身が観光以上、居住未満な滞在状態なので、ミニ知識としてちょっと面白いです。

 沖縄最大の魅力は「暖かさ」。確かに。冬もランニングに励んで、ずいぶん健康になりました。
 沖縄の夏が、「暑いというより痛い」という記述はなるほど。その例証として「真夏でも、沖縄の最高気温は32~34度程度である」という数字は分かり易いです。そして「沖縄の日照時間は日本一少ない」というのも納得。本当に良く雨が降ります。
 沖縄の物価は、「モノによっては意外に高い」。その通り。食べ物も日用品も東京と同じ感じです。家賃も決して安くないです。島外への移動が基本的に飛行機なのが、かなりこたえます。

 後半は移住体験談です。思いの強さと行動力が大切。資金計画も大切。

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2008年04月08日

●島田裕巳「日本の10大新宗教」

 島田裕巳「日本の10大新宗教」を読みました。帯には「新宗教には、なぜ巨大なカネが集まるのか?」。寺院、神社の宝物は言うに及ばず、尾形光琳「紅白梅図屏風」を擁するMOA美術館、先日の運慶作仏像の落札など、美術と宗教は関係が深いです。その気になるところを剛速球で突く帯に惹かれて購入しました。
 内容は、著者がピックアップした10の新宗教について、その成り立ち、歴史、特徴について簡潔に述べてゆきます。一通り説明が終わって、それで。。。と思ったところで終わりです。帯に偽りあり。出版社の作戦がち。一人の視点で並列に述べていくところがウリといえばウリ。一つの章に、単一の宗教だけでなく、その本家筋、分家筋といった周辺も交えて述べていくところもウリといえばウリ。時系列を意識して、旧来からの布教方法を用いるところから、非日常性を意識しない現代的なところへと並べるところもウリといえばウリ。でも、帯のインパクトには敵わないです。
 気になったフレーズ。「芸術や自己表現の強調は、教団のイメージアップには大いに役立つが、信者を集める武器になるものではない。」なるほど。

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2008年04月07日

●上野千鶴子「おひとりさまの老後」

 上野千鶴子「おひとりさまの老後」読了。今年で40歳。人生のフレームワークを組む必要があるなあと思いつつ本屋を見ていたら、目に入った本。パラパラとめくって女性向けと気づいたものの、まあいっかと購入。
 「ひとりでおさみしいでしょう」といった他者の思い込みを大きなお世話と切り捨て、ようこそシングルライフへ!と勢い良く語りだします。最低限必要なのは「自分だけの住まい」という論点から建築へも話が膨らみ、建築家山本理顕さん設計の東雲の公団住宅も登場します。「女の持ち家率は高い」、「身を守るルールは自分で決める」とポンポン論が進みます。そして後半。人付き合い、お金の話とより身近な話題になり、介護の話を経て、死に方の話で終わり。ものすごくポジティブに、時に倣岸、時にシニカルに語り尽くすあっという間の260ページ。すごいエネルギー。
 「自分だけの住まい」を手に入れることと、老後の資金を蓄えることが、おひとりさまの必須項目。それにしても、どうして男の扱いがこんなにゾンザイなのだろう。。。

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2008年04月02日

●梅田望夫「ウェブ進化論」

 梅田望夫「ウェブ進化論-本当の大変化はこれから始まる」読了。時代の寵児グーグルを中心に、ウェブ社会の「次の10年の三大潮流」を分かり易く解説。「三大潮流」とは「インターネット」、「チープ革命」、「オープンソース」。よく耳にするけれども聞き流し気味な言葉をちょっと理解。

 ゾクゾクするのは、やはりグーグルの在り様。「世界の情報を整理し尽くす」という構想の下、インターネットの「あちら側」に情報発電所を構築、「こちら側」と全く異なるプラットフォームの下、チープ革命を推し進める。無料サービス「グーグルマップ」の登場は記憶に新しい。現代ではほぼ不可能と思われた「全体を俯瞰する視点」を、ものすごいスピードとテクノロジーで手に入れる。漫画のようだ。いや、現実がフィクションを追い越している。

 後半は、ウェブ社会と既存価値観の衝突、その課題点も浮かび上がらせた上で、作者の信じる進むべき方向性=「不特定多数無限大への信頼」へと進む。実際に生活の大変換につながるかは置いておいて、好奇心はものすごくそそられる。

 ブログも登場します。ツールの使い方として、バーチャル研究室は楽しげだ。

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