2007年01月28日

●第16回 まちづくり会議

 東京建築士会で開催された、「第16回 まちづくり会議 建築士は景観まちづくりにどう取り組むのか」に参加しました。主催は日本建築士連合会まちづくり委員会です。

 会議は1/26、27に渡って開催されました。一日目は「景観まちづくり」に関する基調講演、事例報告、ワークショップ、懇親会。二日目は「景観整備機構」に関する事例報告とワークショップでした。

 アルセッド建築研究所代表取締役の三井所清典さんによる基調講演。「景観」と「建築」の話を、豊富な経験と愛情を交えて話されました。段差、素材を切り替えつつ外と中をつなげ、自然と会話が発生する仕掛けづくり、雪降ろし不要の屋根勾配を検討する実験等興味深かったです。「景観」の視点から現況分析を始めて、「建築」による試行と実現を経て、「景観」へと結ぶ構成は教科書のようでした。
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 続いて6例の事例報告と、それを踏まえてのワークショップ。テーマは「景観まちづくり活動をどう育てていくか」。テーブル毎に分かれて、成功のポイントと課題を上げあい、グループ化していきました。スピード感があって、面白かったです。個人的には、事例が古いモノの修景と再生に寄っていて、新しいモノを評価するという話がなかったのが気になりました。
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 二日目は「建築士会が景観整備機構の指定を受け、活動することを目指す」ことを骨子に、事例報告とワークショップ。事例報告をされる方たちの明快で行動力に富む話は興味深かったです。ただ個人的には骨子自体が「?」で、自分の立場に置き換えては考えられない部分が多いです。

 二日目のワークショップの様子です。北海道から鹿児島まで、100名ほどの建築士の方が参加されました。
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2007年01月25日

●20年検査

 両親の家の20年検査に立ち会いました。私の大学入学と同時に竣工した家も早20年。月日が経つのは本当に早いです。

 シュミットハンマー検査。バネの力で金属棒が飛び出す器具を使って、基礎の反発力を測定し、基礎の強度を確認しています。
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 中性化検査。ドリルで基礎を掘削して、フェノールフタレイン液の反応で、基礎の中性化度を確認しています。当初はアルカリ性ですが、徐々に中性化、酸化が進みます。酸化が進むと内部の鉄筋の腐食による膨張が発生し、コンクリートのひび割れの原因になります。
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 屋根の登っての防水の確認。防水シートの収縮に伴い、シートを固定する金具が浮いて切れそうになっている部分があります。さらにその反動で凹部が出来て、水が溜まっている部分もあります。こちらは防水が切れる前に、早急に手を打つ必要があり。屋根工事の見積りをお願いしました。
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 基礎は強度、中性度ともに問題なしでした。最近は地震も多いので、基礎がしっかりしていることが確認できて一安心です。防水は20年でやりかえるのが目安なので、寿命どおりの働きといったところ。施工がちゃんとしていたことが確認できたのが収穫でした。

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2007年01月20日

●山口晃 「ラグランジュポイント」

 ミヅマアートギャラリーで開催されている山口晃「ラグランジュポイント」を観ました。

 5階展示室を入ってすぐに「六武人圖」が並びます。太い枠取りに薄い枠線を沿わせた柔らかな描画と、皮膚のような甲冑とマシンガンや刀の組み合わせが漫画チック。彫りの深い顔立ちの美男美女に見惚れます。天野喜孝さんがファイナルファンタジーを生み出したように、山口さんのキャラクターもそのうち絵から飛び出して活躍しそうです。
 その奥には、「四天王立像」が2x4材を組んだ枠に納められています。和風真壁造の柱間に嵌め込まれた漆喰壁のようで、道具立ても現代和風味。炎が奔り、水が迸る甲冑を纏い、軽やかに筆を捌く「廣目天」を始め、機械仕掛けや百鬼夜行が駆け巡るような甲冑に包まれた四天王の姿は観れば観るほど惹き込まれます。

 縦長窓が印象的な階段室を降りて、5階から2階へ
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 2階に降りて、通路の奥の白いカーテンを開くと、そこには武将達のパノラマが広がります。ヒョッコリ顔を出した観客を見つめる顔、顔、顔。君主気分で閲兵か、覗き見がばれてスゴスゴと引っ込むか。道具立てが面白いです。
 最後はオフィスの手前の部屋に、制作中の絵画や小品が並んでいます。精緻で温かみのある描画は、びっくりするくらい美しいです。

 出口は非常階段から。絵のある日常は楽しいなとホコホコ気分でギャラリーを後にしました。
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2007年01月14日

●アーキテクトカフェ 汐留

 マイミクさんの誕生日会で「アーキテクトカフェ 汐留」に行きました。去年の暮れにオープンしたばかりの、カフェとショールームをセンス良く一体化した空間です。

 カフェ中央の「FoodCourt」から、今回使わせてもらった「Meetingroom」を見たところです。「FoodCourt」を囲むように10の個室とトイレ、ショーケースを配し、計13のシーンを作り出しています。
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 「Kitchen」や「Study room」は当然として、「Footbath」まであるのが面白いところ。機器のお値段もすごいので、豪邸に遊びに来た気分です。
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 飲みました、食べました。なぜかワインベースのレモネードを頼む人が多くてレモンが切れたりしましたが、色々なカクテルを作ってもらえて楽しかったです。
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 店を出たところです。イタリア街の中央広場に面しています。週末の夜は閑散としていてちょっと寂しいです。名前に汐留とついていますが、ゆりかもめ「汐留駅」とはJRをはさんで反対側にあります。「汐留駅」徒歩3分、「新橋駅」徒歩5分のはずが、迷うと思わぬ時間がかかりますので、方向に御注意下さい。
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●新年の寿ぎ

 新年気分の締めに、三井記念美術館で開催中の「新年の寿ぎ」展を鑑賞しました。副題は「国宝 雪松図・卯花墻を中心に」。再開発の進む日本橋にある重要文化財「三井本館」で、新年に因んだ名品を観る、歴史的な厚みが感じられる機会です。

 展示は茶道具の展示から始まります。茶の知識がないので、「へうげもの」に登場する古田織部を始めとする名物に魅せられた人々の様を思い浮かべながら、歪みや色味を観ていきます。次室が「志野茶碗 銘卯花墻」。日本で焼かれた茶碗としては二つしかない、国宝指定を受けた茶碗だそうです。明るい地に灰色の線描と縁にほんのり茶色。歪みが作る形を追って、展示ケースの四周をグルグル廻ります。機会があれば、きちんと解説を伺いながら観たいと思います。
 如庵を過ぎると絵画の部屋へ。入って右手に鳥居清長「駿河町越後屋正月風景図」。先日東博で観た「日本橋雪晴」に続いて日本橋界隈から富士山。やはり江戸といえばこうなわけですね。そして正面奥に円山応挙「雪松図屏風」。金地に白黒で表現された松と雪は、静かで軽やかで「新年の寿ぎ」にピッタリ。品良く美しい円山一門の重用は、新興勢力三井家のイメージアップにも大きな役割を果たしたことでしょう。
 最後は新指定重要文化財「東福門院入内図屏風」。二条城前から内裏へと続く大行列。昔、祖父母の家に遊びに行く度に通っていた道には、こんなシーンがあったんだなあと、とても興味深く観ました。

 去年末に続いて日本橋に行きました。日本橋再生の要は、やはりプラネタリウム跡地のアミューズメント機能付加だと思います。

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2007年01月08日

●AOKIT 絵画の世界に迷い込む不思議

 セザンヌやゴッホの名画を立体化する「AOKIT」で有名なアーティスト「青木世一さんと語る会」が去年の12月に開催されました。名画の中に迷い込むような世界は直感的に「面白い!」と思わずにはいられませんが、ご本人の話はそれに輪をかけて面白い。その際にいただいたペーパーモデル版AOKITを、お正月気分の区切りに作りました。

 いただいたのは「GOGH-KIT」。オルセ-美術館展で実物がもうじき東京都美術館にやってくるのを見越した(?)タイムリーな選択です。パーツを切り離して、折り目がキチンと出るように軽くカッターでなぞって、接着して。数時間で完成です。作ると分かりますが、このキットはパーツを配置する段になってからが、俄然面白いです。紙細工が一気に名画の世界を構築し始めます。絵画の世界へと迷い込む不思議。機会があれば、是非体験してみて下さい。

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 額縁越しにコンニチハ。

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 そして絵画の世界にダイブ!覗き込むほどに平面に見えてくる不思議。

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 全景です。必要な部分だけテクスチャを貼って質感を再現するCGに似ています。でも大切なのは、作品を通して伝わってくるユーモアのセンス。ペーパーモデルのチープな質感と、そこに再現される名画。そのギャップから来る胡散臭さと妙な説得力が楽しいです。

 「青木世一さんと語る会」のレポートを書いておられるプログリンクです。
弐代目・青い日記帳青木世一さんと語る会
あお!ひー青木世一さんと語る会に行ってきました
徒然と(美術と本と映画好き...)青木所長と歓談
Art & Bell by Tora青木世一氏と語る会

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2007年01月03日

●博物館に初もうで

 東京国立博物館で開催中の「博物館に初もうで」に出かけました。年間パスポートがあるので、本館も特別展もフリーパス。ちょっと足を伸ばした散歩気分です。丁度和太鼓が演奏中で、ドーンドーンという音がお腹に響いて正月気分を盛り上げます。

 まずは平成館で始まった「中国国家博物館名品展 悠久の美」へ。タイトルは重々しいですが、2室しか使わないコンパクトで観やすい展示です。幻の夏王朝や殷(商)時代の遺物もあって、考古学ファンの血が騒ぎます。犀尊(犀の形の酒樽)や貯貝器(宝物(貝殻)入)等、日用品に動物や人々をかたどった意匠を組み合わせるセンスは、用と美とユーモアを求める現代デザインに通じるモノがあります。面を文様で覆い、オブジェ的に動物の頭を取り付ける構成が多い中で、三星堆の縦目仮面の3次元的な空間の広がりは異彩を放っています。タイトルの割に小粒な気もしますが、素人視点でも充分楽しめました。

 そして本館へ。新春特別展示「亥と一富士二鷹三茄子」。これは今一つな感じ。絵画表現の対象として猪は人気がない?
 次いで「浮世絵と衣装」。ここが今回のベスト。画帖形式の歌川広重「東海道五十三次」は必見です。画をつなぎ合わせて1本の巻物のようにしてあるのですが、本来続きモノの風景画を一続きに観られるのは目から鱗の驚き。バラで買い揃える庶民には難しいでしょうが、裕福な商人が大人買いして装丁させたのでしょうか。同じく広重の「日本橋雪晴」も展示されていて、去年末に見た「年の瀬日本橋2006」との対比も興味深いです。今は昔、でも今も日本橋。
 いよいよ「松林図屏風」へ。照明が明るくなったのと混雑気味なせいか興趣が削がれている気がしますが、二年続けて観られて嬉しい限りです。

 このあと新年会にも参加して、年始らしい賑やかな一日でした。

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ミュージーアムショップのショーウィンドウも正月仕様。光琳「八橋蒔絵螺鈿硯箱」の模造品は300万円にて販売中!だったはず。

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画帖「東海道五十三次」。必見!1/14までの公開です。こちらでも取り上げられています。

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歌川広重「日本橋雪晴」。どうなる日本橋!

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