2013年10月31日

●10月の鑑賞記録

 10/5
 日産アートアワード2013 ファイナリスト展覧会@BankART Studio NYK
 宮永愛子の詩情豊かなナフタリン作品、西野達の大仕掛けかつ洒落っ気あるインスタレーション等、現代アートの力作が並ぶ。ただ、唐突の始まった感のある日産アートアワード自体の位置付けが良く分からない。今年は現代アートとあるので、来年は別のジャンルを取り上げるのか?

 「横山大観展」夜間特別鑑賞会@横浜美術館
 明快な章構成と人物像に焦点を当てる狙いがピタリとあって、若き日の大観と愉快な仲間たちとの日々が浮かび上がる。画家山口晃さんが本展の主役6人の肖像画を描いているのも、見所の一つ。

 10/20
 京都 洛中洛外図と障壁画の美@東京国立博物館 平成館
 「京都でも見ることのできない京都」をキャッチフレーズに、「洛中洛外図屏風」勢揃い&VR画像+「竜安寺障壁画」&石庭4K映像+「二条城障壁画」で構成されたお宝&ハイテク展示。展示数が少ないせいか、意外とガランと感じられる場内。街の喧騒や熱気をどう伝えるか、もう一工夫欲しかった。

 10/27
国宝 興福寺仏頭展@東京藝術大学大学美術館
 第3展示室のズラリと並ぶ表情豊かな十二神将像、その奥に鎮座する興福寺仏頭。その展示は迫力十分。第2展示室の板彫十二神将像も全面を一度に観られて嬉しい。

 10/30
劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語
 まさかの公開第一週興行収入1位という報を見て、ネタバレ前に観ねばと急遽劇場へ。ファンが見たかった、魔法少女戦隊が活躍する前半と、世界の秘密を解き明かす後半。そして物語構造を大きく開くクライマックス。「完全新作」の謳い文句どおりの充実した内容でした。

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2013年10月05日

●「横山大観展」夜間特別鑑賞会@横浜美術館

 横浜美術館で開催中の「横山大観展 良き師、良き友」。その夜間特別鑑賞会に参加しました。

 ※夜間特別鑑賞会の為、特別に撮影許可がおりました。

□ミニレクチャー +夜間特別鑑賞会
 講師:横浜美術館主任学芸員 八柳サエ
 大観=「近代日本画の巨匠」イメージだけれども、それは昭和以降の話。
 今回は大正期の大観に焦点を当てる。若い画家たちとの交流はユーモラスですらある。

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 会場入口の写真は41歳頃。いい男説を唱えたい。お孫さんに伺ったところ、「大観より春草がもてたんだよ。」とおっしゃっていた。

第一章 良き師との出会い:大観と天心
 明治期と大正期の大観の比較。あえて春草、寒山をクローズアップせず。

1-1 天心との出会い
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 大観が画家を目指すのは遅い。東大の受験が重願で失格になって東京英語学校に入学。卒業後に東京美術院に入学して天心と出会う。英語が堪能。
 「猿廻」。白背景に聖母子像の構図。お勉強の成果。
 「写生(風呂敷包み)」。図学をやっていたような絵。
 「村童観猿翁」。東京美術学校の卒業制作。教師橋本雅邦とクラスメートを描いた。

1-2 日本美術の理想に向けて
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 「屈原」。師天心とともに野に下る。なかなか貸してもらえない作品。いかに大正期の作品と違うか、よく観て下さい。
 「菜の花歌意」。朦朧体と揶揄される。

 第二章 良き友-紫紅、未醒、芋銭、渓仙:大正期のさらなる挑戦
 4人との比較をどうするか悩んだ。恣意的にカテゴライズした。

 2-1 水墨と色彩
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 「長江の巻」、「雲去来」。ほんわりした量感。
 「秋色」

 2-2 構図の革新とデフォルメ
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 「老子」。鼻がほんわか。色々な試みのあらわれ。
 「潮見坂」今村紫紅「汐見坂」横山大観。紫紅へのオマージュ?

 2―3 主題の新たな探求
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 「瀟湘八景」
 「千ノ與四郎」

 第三章 円熟期に至る
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 「夜桜」(後期展示)。大正期の集大成。「祇園夜桜」冨田渓仙がヒントになっている。

□感想
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 「東海道五十三次絵巻」横山大観・下村寒山・今村紫紅・小杉未醒合作
 個人的に一番面白かったのは、大観と友人が資金稼ぎに作成したという「東海道五十三次」です。酒好きな4人が夜な夜な宴会をしている紀行文が当時の新聞に掲載され、「大観と愉快な仲間たち」の趣きです。添えられたイラストも良い味出しています。当人たちは楽しそう~。その一方で担当編集者はタイヘンだったろうな。

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 画家山口晃さんが本展の主役6人の肖像画を描いているのも、見所の一つです。会場には原画展示の他に、記念撮影コーナーも設けられています。冒頭の若き大観に負けず劣らず髭の似合う山口さんの風貌も、「現代の愉快な仲間たち」を連想させます。作品がなかなか仕上がらずに苦労したという担当者の方のコメントに、時代を超えた共通性を感じます。

 明快な章構成と人物像に焦点を当てる狙いがピタリとあって、若き日の大観と愉快な仲間たちとの日々が浮かび上がります。とても興味深い展示に仕上がっています。

□展覧会概要
岡倉天心生誕150年・没後100年/『國華』創刊125周年記念/朝日新聞創刊135周年記念
「横山大観展 良き師、良き友」

会期:2013(平成25)年10月5日(土)~ 11月24日(日)
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜日
会場:横浜美術館
http://www.yaf.or.jp/

主催:横浜美術館、朝日新聞社、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
後援:横浜市、NHK横浜放送局
協賛:大伸社、あいおいニッセイ同和損害保険
協力:公益財団法人 横山大観記念館、國華社、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社
公式サイト:http://www.taikan2013.jp/

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