2013年10月05日

●「横山大観展」夜間特別鑑賞会@横浜美術館

 横浜美術館で開催中の「横山大観展 良き師、良き友」。その夜間特別鑑賞会に参加しました。

 ※夜間特別鑑賞会の為、特別に撮影許可がおりました。

□ミニレクチャー +夜間特別鑑賞会
 講師:横浜美術館主任学芸員 八柳サエ
 大観=「近代日本画の巨匠」イメージだけれども、それは昭和以降の話。
 今回は大正期の大観に焦点を当てる。若い画家たちとの交流はユーモラスですらある。

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 会場入口の写真は41歳頃。いい男説を唱えたい。お孫さんに伺ったところ、「大観より春草がもてたんだよ。」とおっしゃっていた。

第一章 良き師との出会い:大観と天心
 明治期と大正期の大観の比較。あえて春草、寒山をクローズアップせず。

1-1 天心との出会い
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 大観が画家を目指すのは遅い。東大の受験が重願で失格になって東京英語学校に入学。卒業後に東京美術院に入学して天心と出会う。英語が堪能。
 「猿廻」。白背景に聖母子像の構図。お勉強の成果。
 「写生(風呂敷包み)」。図学をやっていたような絵。
 「村童観猿翁」。東京美術学校の卒業制作。教師橋本雅邦とクラスメートを描いた。

1-2 日本美術の理想に向けて
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 「屈原」。師天心とともに野に下る。なかなか貸してもらえない作品。いかに大正期の作品と違うか、よく観て下さい。
 「菜の花歌意」。朦朧体と揶揄される。

 第二章 良き友-紫紅、未醒、芋銭、渓仙:大正期のさらなる挑戦
 4人との比較をどうするか悩んだ。恣意的にカテゴライズした。

 2-1 水墨と色彩
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 「長江の巻」、「雲去来」。ほんわりした量感。
 「秋色」

 2-2 構図の革新とデフォルメ
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 「老子」。鼻がほんわか。色々な試みのあらわれ。
 「潮見坂」今村紫紅「汐見坂」横山大観。紫紅へのオマージュ?

 2―3 主題の新たな探求
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 「瀟湘八景」
 「千ノ與四郎」

 第三章 円熟期に至る
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 「夜桜」(後期展示)。大正期の集大成。「祇園夜桜」冨田渓仙がヒントになっている。

□感想
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 「東海道五十三次絵巻」横山大観・下村寒山・今村紫紅・小杉未醒合作
 個人的に一番面白かったのは、大観と友人が資金稼ぎに作成したという「東海道五十三次」です。酒好きな4人が夜な夜な宴会をしている紀行文が当時の新聞に掲載され、「大観と愉快な仲間たち」の趣きです。添えられたイラストも良い味出しています。当人たちは楽しそう~。その一方で担当編集者はタイヘンだったろうな。

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 画家山口晃さんが本展の主役6人の肖像画を描いているのも、見所の一つです。会場には原画展示の他に、記念撮影コーナーも設けられています。冒頭の若き大観に負けず劣らず髭の似合う山口さんの風貌も、「現代の愉快な仲間たち」を連想させます。作品がなかなか仕上がらずに苦労したという担当者の方のコメントに、時代を超えた共通性を感じます。

 明快な章構成と人物像に焦点を当てる狙いがピタリとあって、若き日の大観と愉快な仲間たちとの日々が浮かび上がります。とても興味深い展示に仕上がっています。

□展覧会概要
岡倉天心生誕150年・没後100年/『國華』創刊125周年記念/朝日新聞創刊135周年記念
「横山大観展 良き師、良き友」

会期:2013(平成25)年10月5日(土)~ 11月24日(日)
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:木曜日
会場:横浜美術館
http://www.yaf.or.jp/

主催:横浜美術館、朝日新聞社、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
後援:横浜市、NHK横浜放送局
協賛:大伸社、あいおいニッセイ同和損害保険
協力:公益財団法人 横山大観記念館、國華社、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社
公式サイト:http://www.taikan2013.jp/

Posted by mizdesign at 2013年10月05日 23:39
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