2005年10月29日

●つくばエクスプレス@秋葉原

 昨日都内での用事が済んだのは午後5時過ぎでした。美術館に行くには遅すぎるので、秋葉原に寄りました。そろそろパソコンの買い替え時期なので、色々と情報収集です。
 JR秋葉原駅東口広場の眺めです。写真右手がJR秋葉原駅、右下がつくばエクスプレス秋葉原駅出口、正面が「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」。これまで秋葉原といえば西口中央通り沿いのことでしたが、このボリュームと派手さは主役の座を乗っ取りかねません。さすがはつくばエクスプレスの玄関口です。
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 「こんなに大きな店舗に入るなら、腹ごしらえが必要だな」と思っていたら、建物の1階は、通りに面して「軽食も取れるカフェ」が入店しています。しかも無料インタネット使用可能。さすが、ぬかりはありません。写真左がそのカフェですが、この通りは昭和口への通路でもあります。上手いこと「カフェのある風景」を作っています。カフェの値段は少し高めですが、広々としているのでけっこう落ち着きます。結局この日は東口だけで用が済んでしまいました。
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●奈良県代官山iスタジオ

 昨日、代官山駅から八幡通りへと歩いていたら、いつもと少し違う街角が見えました。なんだろうと思ったら、通りの角にある奈良県渋谷寮が改装されて奈良県代官山iスタジオとしてオープンしていました。首都圏における奈良県の情報発信拠点として活用されていくようです。古代史好きな私としては大歓迎です。
 敷地角がオープンスペースとして開放され、それに面して多目的スペースやイベントスペースが設けられています。建物はほとんどいじらないで、ペンキを塗って建具を交換した程度ですが、歩行者空間が広くなることで通りがとても魅力的になりました。10年ほどこの場所を見てきましたが、こんなに変わるものかとビックリです。

 左手が多目的スペース、右手奥を左に曲がると玄関、イベントスペースへと続きます。街へ開いた情報発信スペースとして、基本に忠実かつとても効果的な間取りです。内装は地元にあるブースをそのまま持ってきた感じで垢抜けないですが、徐々に洗練されていくと良いなと思います。職員の方が「意外と人が入るねー」といった感じで会話をされていましたが、「この場所とつくりならそりゃそうだろう」と内心ツッコミを入れてしまいました。
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 イベントスペースから庭園に出られます。今は少し荒れていますが、せせらぎもあるので、抹茶でも飲めればけっこう人気が出そうです。
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2005年10月28日

●レオナルド・ダ・ヴィンチ展

 万物の天才と称され、世界でもっとも有名な肖像画であろう「モナ・リザ」の作者であるレオナルド・ダ・ヴィンチの展覧会が森アーツセンターギャラリーで開催されています。副題は「直筆ノート「レスター手稿」日本初公開」です。レオナルド関連の書籍は山のように出版されていますが、オリジナルが観られることはとても嬉しいです。現在の所有者はマイクロソフト社のビル・ゲイツ会長だそうで、「富めるところに美術品は集まる」を実感します。
 展示は大きく分けて三段構成で、中心にレスター手稿を置き、その前後に手稿に登場するレオナルドの考察を模型やCGを使って解説するブースがあり、最後に他の手稿をファクシミリ版(復刻版)で紹介したり、デジタルアーカイブを鑑賞したりするブースがあります。手稿は保存のために照明を落とした部屋に展示され、時間差でスポットライトが当たるようになっています。ガラスケースの中の手稿は思ったよりも小さく、びっしりと書き込まれた文字と、ときおり挿入される図版を通して彼の世界がうかがえます。その観察眼と考察力、描画力は天才の名に相応しいと思います。ガラスケースの前に二人並ぶといっぱいなので、スポットライトの移動に合わせて移動しながら鑑賞するのは意外と手間です。
 他のブースに関しては特に目新しい発見があるわけでなく、手稿とレオナルドの解説という感じです。手稿の内容が視覚的には地味目なので、意外と地味な展覧会でした。

 興味深いのは先日の「プーシキン美術館展」との客層の違いです。こちらの方が若い人たちがずっと多いです。あとカップルで来ている人たちも。あちらは展覧会を観にきた中年層が中心、こちらは六本木ヒルズにデートにきた青年層が中心ということなのでしょうか。
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2005年10月27日

●六本木ヒルズ(森アーツセンターギャラリー)

 昨日は午後から都内で打合せでした。帰路についたのは午後5時過ぎ、今回は六本木ヒルズにある森アーツセンターギャラリーに寄り道することにしました。夜8時まで開いているのがありがたいです。
 六本木ヒルズは森ビル株式会社が手掛ける大規模再開発プロジェクトで、ブランドイメージの確立という点でとても成功していると思います。「ヒルズ族」と呼ばれる方たちの動向が毎日のようにメディアを賑わすのもその一例でしょう。

 東京メトロの出口を出ると、タワー棟が正面に来ます。タワー自体は寸胴気味なのですが、デザインで上手くカバーしています。ライトアップのイメージは重厚かつ未来的という感じでしょうか。ここの52階が森アーツセンターギャラリーですが、入口は左手に少し歩いたところにあります。ちょっと分かりにくいです。
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 空に聳えるタワーです。森ビルは他との差別化をとても意識しているので、そこを踏まえて観ると興味深いです。
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 歩廊の壁面は広告スペースになっています。第18回東京国際映画祭開催中です。
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 そしてギャラリー入口へ。途中庇が切れて雨に濡れたりする大味な部分があるのも森ビルらしいです。ここからギャラリーへの道のりはけっこう長いです。要所要所に人を配してホテルライクな雰囲気を演出していますが、できればもう少し短い方が良かった。。。
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2005年10月26日

●プーシキン美術館展

 芸術の秋にあわせたのでしょうか、あちらこちらで魅力的な企画展が開催されています。昨日は今期の目玉の一つ、「プーシキン美術館展」を鑑賞しました。慌しい日々も、帰りに上野に寄れると思うとメリハリがつきます。

 今回はプーシキン美術館が所蔵する膨大な美術品の中から、「シチューキン・モロゾフ・コレクション」と呼ばれるフランス近代絵画のコレクションが展示されています。選りすぐり名画を揃え、体系的に並べた構成は圧巻です。「印象派」や「フォービズム」といった言葉でなく、まず「絵」があり、それを位置づけるための言葉が補足される感じです。「絵」から当時の画家達が何と向かいあい、何を求めて描いているか、そしてどう変化していくかが漠然と伝わって来きます。通常の教科書(〇〇派といった名称やその特徴等)を読んでから絵を観るような感覚とは全然違います。本展の顔であるマティスの「金魚」の存在感もすごいですが、ルノワールから始まり、ドガ、モネ、ゴーギャン、マティス、ピカソへと続く名画の数々はどれも見応えがあります。展示室の絵と反対側の壁面にはソファが置かれ、絵の前に立つだけでなく休憩しながらでも鑑賞できるようになっています。じっくりと時間をかけて鑑賞できる、とても気の利いた配慮だと思います。

 会場内には、コレクターであるシチューキン氏がマティスを飾った部屋とピカソを飾った部屋の写真も展示されているのですが、それが対照的なのも興味深かったです。マティス・ルームは装飾的で、ピカソ・ルームは装飾を排した簡素な感じです。

 惜しむらくは会場が東京都美術館であることでしょうか。各階の展示室が小さく、階段を昇り降りする度に雰囲気が削がれます。せめて階段をもう少し綺麗にして展示空間との連続性を高めて欲しいと思います。
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2005年10月15日

●表参道周辺 その2

 東京メトロ表参道駅A5出口から根津美術館へと至る道は、現代建築の宝庫です。街路空間としての豊かさは以前に紹介したケヤキ並木に譲りますが、建築の集積度はこちらの方が上でしょう。現代建築を経て「燕子花図」へと至る道は、さしずめ「アートの表参道」とでも言うのでしょうか。

 建ち並ぶ名建築の中でも、ひときわ異彩を放つのがプラダ ブティック青山店です。設計はヘルツォーク&ド・ムーロン+竹中工務店、竣工は2003年5月です。菱形ガラスブロックによる規格化と透明性のコントロール、細心の注意を払って処理された外装の連続性、大胆に設けた屋外広場によって構成された空間は、全体が一つのアートワークのようです。中と外を隔てる「壁」が消えて両者は皮膜を通して繋がり、さらに「街」と「建物」も広場を通して繋がっています。その結果建物として必要な機能を満たした上で、「中」と「街」が一体化したとても不思議な空間が出現しています。コンセプトとしてはあり得ても、それをここまで高いレベルで実現したことは驚きです。
 あまりの完成度の高さに、本来ブティックの顔たるエントランスが一番貧相に見えたり、外構の緑が貧弱で紙のようといった比較的些細なことが気になってしまいます。
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 広場奥から見上げたところです。面と面のぶつかり部分の目地を全て通し均等に割り付けることで、外壁を皮膜へと昇華しています。
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 根津美術館側に少し歩くと安藤忠雄建築研究所設計による「コレッツィオーネ」があります。長らく東京における安藤建築のフラッグシップでしたが、「表参道ヒルズ」の出現でその役目を終えるのでしょうか。
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 表参道駅側に少し戻ると、コム デ ギャルソン青山店があります。設計は川久保伶+フューチャーシステムズ、竣工は1999年です。基本的にはテナントビル1階の内装デザインなのですが、外装建具を撤去して斜めにうねるガラスを建て、網目パターンのフィルムを貼ることで外と中の関係性を変化させています。竣工から6年を経て全く色褪せない、とても質の高いデザインだと思います。
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2005年10月14日

●根津美術館

 根津美術館には、充実したコレクションに加えて、創立者根津青山翁の旧邸であった広大な庭園があります。高低に富み、深緑の中を建物が見え隠れし、時に水辺が広がる園内は、幻想的ですらあります。とても良く造りこんであるのですが、それを全く感じさせない構成が素晴らしいです。東洋美術の至宝と幽玄な庭園の組み合わせが、他に並ぶものない空間体験を創り出しています。

 美術館へのアプローチです。屋根の向こうに建設中の超高層ビルが見えます。もう少し奥に行くと、六本木ヒルズのタワーも頭を出します。右手に庭園が広がります。
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 庭園に降りてゆくと、ビルが見えなくなり鳥のさえずりが聞こえます。深山の中を散策しているような錯覚を覚えます。
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 そして広がる水辺と、浮かぶ木船。造りこまれた「絵」がピタッと決まります。紅葉の頃はさぞ美しいでしょう。
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 道端の石仏。これも「絵」ですが、さり気なく決まっています。
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2005年10月12日

●国宝燕子花図 -光琳 元禄の偉才-

 今日は夕方遅くから都内で打合せでした。早めに事務所を出て、表参道まで足を延ばしました。行く先は根津美術館、「国宝燕子花図 -光琳 元禄の偉才-」展です。

 「光琳の七不思議」で下準備は充分、平日の午後でお客さんは少なめ、展示作品に法橋光琳の落款があるのを見て心の中で歓声を上げてしまいました。展示室内の全体照明は暗く、作品を照らす照明は明るくセットしてあってとても観やすいです。「燕子花図」は第一展示室奥の壁面一杯に並べてあります。六曲一双の大きな屏風絵は、明るめのスポットライトに色彩も鮮やかで、寄ってよし、離れてよしの好配置です。近づいて光琳緑をじっくりと眺め、離れて燕子花の間に橋があるかと想像してみる。ひとまず他の絵を鑑賞し、再び絵の前に立ってみる。他の絵は繊細な描き込みや筆運びの技巧が前面に出ているのに対して、この絵は平坦な面に全てを塗り込めたような大胆な捨象が魅力です。同系の絵がないのは、描かなかったのか、描けなかったのか、失われたのか。興味は尽きません。久しぶりにMOA美術館の紅白梅図屏風も観たくなりました。梅の頃にあわせて公開されるので、光琳屋敷がとても寒かったのを覚えています。

 根津美術館は来年の五月から改修工事のため3年半ほど休館になるそうです。今回も絵の保存修理のため4年半ぶりの公開だそうですが、来年春の「館蔵屏風絵」展以降は再度間が空きそうです。それにしても展覧会の副題が変更されたのは何故でしょうか。光琳に「偉才」という言葉はちょっと堅苦しい気がします。
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2005年10月07日

●変わりゆく街

 先月はビルの改装案の打合せで新橋に何度か行きました。帰りに駅に向かうと、線路の向こうに汐留が見えました。向こうはガラスの摩天楼が林立し、手前は空きビルが目につきます。再開発に向けての準備なのでしょうか。古い街から新しい街を見上げる構図はバブルの頃によく見ましたが、今の状況はその頃にとても似ています。何かに突き動かされるように変わりゆく街。その今と未来をしっかりと見ていこうと思います。
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2005年10月04日

●光琳の七不思議

 芸術新潮10月号の特集は「光琳の七不思議」です。表紙は「燕子花図屏風」のクローズアップ、金地に群青と緑が異様に映えます。その引力に即買いでした。
 「七不思議」の中身は、物知りなおじさんたちが最新の研究成果を踏まえつつ展開する七つの対談(ひとつ鼎談)なのですが、バラエティに富んでいて面白いです。冒頭と締めで光琳ワールドの虜になり、「燕子花よおまえもか」で笑い、「「とろーん」と「てろり」」でなごませてもらいました。間にはさんだ年譜もユーモラスな言い回しで馴染んでいます。対照的に図版は綺麗で迫力があり、その落差が内容を一層深めています。絵画、デザイン、工芸を自在に横断する光琳だからこそできる、とても真面目に遊んだ一冊だと思います。
 10/8-11/6まで根津美術館で「国宝 燕子花図-光琳 草花の意匠」展が開催だそうです。こんなに力の入った前段を見せられて、期待は高まる一方です。

 八橋に出てくる燕子花と橋の取り合わせってこんな感じかなというわけで、手持ちの写真をトリミングしてみました。もっとも花は花菖蒲、場所は明治神宮外苑ですが(笑)。この写真を撮った頃は広重を意識していました。14年経って光琳に思いを馳せるとは夢にも思いませんでした。
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