2005年06月05日

●表参道周辺

 先週の金曜日は朝から打合せ、夜も打合せでした。その間に時間が空いたので、表参道周辺を散策しました。このあたりは有名建築家の建物が建ち並んでいるので、設計に携わる者にとってはディズニーランドよりも面白いところです。街路空間に嵌め込まれた豪華な壁面群を紹介します。

 青山通りにある「spiral」です。洗練されたバランス感覚で諸機能を積み上げて形成される表層、アトリウム内周に沿って弧を描くスロープ、街に対して開いた大階段。街と建物の関係性をとても上手くデザインした傑作だと思います。設計は槙文彦+槙総合計画事務所、竣工は1985年です。写真で段状に宙に浮くガラス面が大階段ですが、これに相対する街は未だに出現していません。
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 青山通りを左に折れて表参道へ。その角にニョッキリと出現するのが「ONE 表参道」です。エッジをきっちりと造形することで街路空間を明確に規定、ケヤキ並木に配慮した木ルーバーの表層。なんでしょうが、明快すぎて本気なのか冗談なのか迷います。設計は隈研吾/隈研吾建築都市設計事務所、竣工は2003年です。
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 少し歩くと「TOD'S 表参道」が見えます。ケヤキをイメージしたコンクリートの外壁は、想像以上に綺麗で、ケヤキ並木と調和していました。その反面、内部は採光面の制約が厳しそうです。設計は伊東豊雄建築設計事務所、竣工は2004年です。
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 更に先に行くと、「Dior 表参道」が見えます。白いシンプルなボリュームの全面に、レースのカーテンを掛けたような美しい影が映ります。ガラスとアクリルの合わせ技だそうですが、硬質な影ばかりの街に異彩を放っています。設計は妹島和世+西沢立衛/SANAA、竣工は 2003年です。
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 そのお向かいさんで工事が進むのが、「表参道ヒルズ」です。以前に取り上げた青山アパートメント周辺の再開発です。どんな街が出現するのでしょうか。設計は安藤忠雄建築研究所、竣工は2006年の予定です。
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Posted by mizdesign at 2005年06月05日 16:03
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コメント

面白いですね。こうやって並べてくると、スパイルがいかに秀逸かと思っています。槇事務所系列の末席にいたからでしょうか。
 強引に考えを進めると、槇事務所の呪縛がありやしないか。。。。スパイラルが出来て20年ですか。街と真面目に格闘しているのは、どの建築なのでしょうね。
 隈さんは、冗談だと割り切って見たほうが、楽しいです。でも、隈さんの「ようこそ先輩」は、あまり面白くなかった。建築を子供と考えるときの難しさ、と易しさを考えさせられました。
 さて、6月17日は、どうなることやら。。。

Posted by 佐藤K(KAZZ Satoh) at 2005年06月06日 11:52

佐藤K様>
 表参道は色々な話題を喚起してくれるので面白いです。でも参道でこんな開発合戦していたら神様も落ち着いていられませんね。
 呪縛はないでしょう。実務に携わる人はそんなにヤワではありません。街との格闘は安藤さんの仕事ではないでしょうか。他の建物はその用途上、存在を主張することにポイントを絞らざるを得なかったでしょうから。

Posted by mizdesign at 2005年06月07日 08:10

お疲れ様です。
私の職場も表参道だったので、非常に馴染みがあります。うちの会社のあったビルも昔は表参道のランドマーク的なビル(ただ高かっただけ)だったようです。ビートルズ来日時に購入しているので、築40年。毎週水曜はエレベーター定期検査の為、一時停止します。以前は西東京を一望出来るナイス眺望だったそうですが、パラシオタワー(グッチとか入ってるビル)とONE表参道で新宿方面の眺望は遮られてしまいました。今でも富士山や秩父連山を望みながらの夕日がすごく綺麗なんですよ。
 昭和の名建築好きです。よく「東京人」の特集で組まれますよね。目黒区庁舎も良く出てきますね。今月号の昭和40年代街角写真館なる特集も面白かったですが。。。
 各年代の地図や写真を見ながら街の変遷を見るのが好きです。
 柏の今後の発展拡大はどうなっていくのでしょうか? 最近どうも柏に集まる人々のタイプが変わったような気がします。しかも妙に混んでますよね。(セールの効果があったにしろ、どこか変わった気がします)

Posted by ライン at 2005年08月01日 14:27

ライン様>
 キョー〇ーでしたっけ。表参道から富士山を見てみたいですね。一般人も入れる展望ロビーがあったりはしないですか。
 柏は時代を象徴する名建築がもっと必要だと思います。アミュゼは今風の箱として良く出来ていますが、柏である必要を全く感じないのがたまに傷です。ダブルデッカーはもっと手間暇かけて活用されるべきだと思う。建築計画が地域に影響を及ぼすという好例がないから、建物の価値を不動産としてしか見れないのかな。
 柏まつりで延べ60万人と聞くと、柏のイベントスポットとしての人気は当面上昇が続くと思います。つくばエクスプレス開通も追い風になるだろうし。西口再開発もそう。でもスポットは移っていきますからね。。。住民としてはブームが過ぎたら住み良い街が残って欲しいです。

Posted by mizdesign at 2005年08月02日 08:47

『建物の価値を不動産としてしか見れないのかな』

mizdesignさんの言葉を、最近、今まで以上に痛感しています。
 不動産業界では、建物も土地も「物件」です。住宅メーカーが使用する「商品」とも異なる言葉です。建築を「作品」というのも、一考の余地があると思いますが、片や「商品」であり、見もフタもない「物件」です。
 不動産屋と建築設計者を心地よく繋げる言葉はないものでしょうか。。。。

建物を建てたい人(つまり施主)は、どう呼ぶのでしょう。不動産業者でないのに、「物件」という人もいるのでしょうね。

Posted by 佐藤K(KAZZ Satoh) at 2005年08月09日 11:22

佐藤K様>
 建て主さんと打合せをしているときは、「生活の場」という言葉が一番しっくりきます。「作品」は、ある程度距離を置いた呼び方に感じます。「物件」「商品」といわれると抵抗があります。設計の依頼をした次の瞬間に建物が完成すると誤解されてないかと、ちょっと身構えてしまいます。小さいようでけっこう大きなポイントです。

Posted by mizdesign at 2005年08月09日 17:49
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