2009年03月31日

●第28回 佐倉朝日健康マラソン

 3月最後の日曜日、「第28回 佐倉朝日健康マラソン」を走りました。天候は晴れ時々曇り、気温は低めで走りやすいコンディション。2月始めに足の裏を痛めて休養期間をとったので、今回はリハビリ走。完走目指して楽しく走ることが目標です。

 9:30号砲とともにスタート。走ってみるとそこそこ体が動く感じなので、行けるところまで行こうと毎度お馴染みの前半先行型のペース配分。幅が狭く曲がりが多いコースは、前回の勝田マラソンの広く真っ直ぐなコースと対照的。途中「尚子・裕子コース(金メダルジョギングロード)」なる標識があり、こういうところで練習してたんだと思った。16.5kmの関門を過ぎたあたりで失速。前半はペースを維持したかったけれども、体は正直だなあという感じ。

 1時間38分30秒で中間点を通過。後半2時間で走って、3時間40分を切ることを目標に足を前に運ぶ。印旛沼を望みながら、とにかく無理せずゴールまで行こうと、トロトロペース。結局3時間41分50秒でゴール。完走できてホッとしました。やはり5週間のブランクは大きい。マラソンは準備のスポーツなので、来期に向けてしっかりと走りこんでいこうと思いました。

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●3月後半の鑑賞記録

3月後半の鑑賞記録です。

3/18
「東本願寺の至宝」@日本橋高島屋8階ホール
円山応挙筆の襖絵三部作。特に「老梅図」の大きく回りこむように手前に伸びてくる枝が、枯れた筆捌きと相まって空間を感じさせる。
「寛政度用材運搬図屏風」。ビックリするような巨木を滝から落とし、川を下り、大勢で担ぐ。デフォルメの効いた画面構成が楽しい。

「彫刻//新時代 Vol.3 土屋仁応展」@日本橋高島屋美術画廊X
愛らしい子山羊と花のメインビジュアルが美しい。白くコートされたお菓子みたい。

3/20
「現代美術の展望-新しい平面の作家たち VOCA展」@上野の森美術館
高木こずえ「ground」。視覚情報の豊富さで刺激する。
三瀬夏之介「J」。佐藤美術館の異形さからはずいぶんと落ち着いて、普通に「絵」。
麻生知子「家」。素朴画というフレーズが思い浮かぶ、家の断面と平面が融合した画面。谷中で開催中の個展「家に帰る」と合わせてみると面白さ倍増という趣向も楽しい。
名和晃平。平面という前提を軽やかに揺さぶるクレバーな作り。

土古里@上野バンブーガーデン店で焼肉。上野駅を見下ろすカウンター席は狭いながらも気持ち良い。上手い作り。
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3/21
「山水に遊ぶ-江戸絵画の風景250年」(前期)@府中市美術館
視覚的に楽しい。最後の若冲は嬉しいサプライズ。双六付図録を買ってしまった。

「薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美~」@江戸東京博物館
豪華絢爛大好き。

「生誕170年記念 -揚州周延展-」@太田記念美術館
過ぎ去りし時代を懐かしむ絵の数々に、過去のものとなりつつある浮世絵の技法そのものが重なる。江戸から明治へと浮世絵の変遷を辿ることで、浮世絵の歴史に奥行を感じた。

「ミレーとバルビゾン派の画家たち」@青山ユニマット美術館
さよならユニマット。コレクションはどこに行くのだろう。
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「第3回 shiseido art egg 小野耕石展 古き頃、月は水面の色を変えた」@SHIDEIDO GALLERY
インクを重ねることで生み出される1cmほどの柱(?)を無数に並べて生み出すビジュアルワーク。技法の独自性が凄いと思う。遠目にクレーの絵のようだと思った。

3/28
「掌9」@ラディウムーレントゲンヴェルケ
「手のひらに凝縮された世界」を見に行ったら、「お手頃な世界」が広がっていた。

興梠優護個展 「melting point」@CASHI
情欲と生肉。グロイ。

青木野江 「新作展」@ギャラリー・ハシモト
軽やかに天井から垂れ下がる(ように見える)鉄輪のカーテン。鉄が軽やかに変化することで空間が変容する。

山本桂輔 「起立」@小山登美夫ギャラリー
入口の花瓶(?)一つで目が釘付け。奥にチラリとのぞく巨大彫刻に引力の如く吸い寄せられる。毒々しい色彩と造形が異様な精気を放つ。アートの力を感じさせてくれる、パワフルな展示。

Holly Farrell "Home and Sea" @MEGUMI OGITA GALLERY
足ひれの黒が非常に豊かに描かれ、白いテーブルの上の白い陶器が質感豊かに登場する。存在感を大切にし、テカテカした表面処理で封をしたような絵。エルメスから程近い小さなスペースに、完成度の高い作品が並ぶ。場と絵の相性の良さを感じる。

内藤礼 「color beginning」@ギャラリー小柳
展覧会というよりもサロン。

シャネル・ピグマリオン・デイズ クラシックコンサート 「平野玲音」@CHANEL NEXUS HALL
シャネルが運営する無料コンサート。幸せな気分になれます。
「アンリ・シャルパンティエ銀座本店」にて一休み。至福の一時。
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「アーティストファイル2009-現代の作家たち」@国立新美術館
「六本木アートナイト」の一環で、嬉しい無料開放。内容は。。。

「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」@サントリー美術館
スライドレクチャーの後、展覧会へ。細工の細かさと色彩に魅了される。
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しかし、今月最大のイベントはこれでした。
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2009年03月22日

●薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美~@江戸東京博物館

 江戸東京博物館で本日まで開催中の「薩摩焼~パリと篤姫を魅了した伝統の美」を観ました。終了日前日に駆け込み。土曜日の夜は19:30まで開館という配慮が嬉しいです。

 プロローグ
 薩摩焼といいながら、なぜかセーブル焼がドーンと登場して戸惑う。解説パネルに拠ると、日仏交流を記念して2007年にフランスで「薩摩焼パリ伝統美展」が開催され、本展はその出品作を中心に紹介とのこと。

 第1章 豪華絢爛な薩摩焼<世界に雄飛>
 「色絵牡丹籬図花瓶」。花瓶の円筒形下部を籬(まがき)で覆い、その中に牡丹や梅を生けるように描く。豪華絢爛な色絵の美しさと、形態を活かした意匠配置が相まって非常に華やか。個人的に本展イチオシ。
 「色絵龍文唐子三脚香炉」。唐子三人が香炉をかつぎ、その上で一人の唐子が踊る。脚と持ち手を唐子に置き換えた装飾性の高い作品。唐子衣装の細やかな龍文は溜め息が出るほどに精緻。
 「色絵金彩象形香炉」。こちらは象の上に唐子がゾロゾロ。
 「富士・藤・孔雀図大花瓶」。その名の通り、三面に富士山、藤花、孔雀を描いた大花瓶。残念ながら展示で観られるのは孔雀面のみで、あとの二面は小さな写真で紹介。他の面も見たかった。
 悦を尽くした細工の数々は、観る時間がいくらあっても足りないほど。

 第2章 茶道具の薩摩<重厚な味の茶道具>
 厚塗り釉薬の豪快さが印象的。

 第3章 「白薩摩」と「黒薩摩」<殿様と庶民のやきもの>
 白い素地に細かな「貫入」が入る、ガラス質表面の柔らかな美しさ!
 「天璋院御用 薩摩 磯御庭焼 錦手獅子香炉」。きめ細かな貫入とクリーム色の地色が奏でる、柔らかで清楚な味わい。脚の獅子顔、取っ手の白獅子も愛らしい。
 「天璋院御用 薩摩 磯御庭焼 錦手狗」。ガラス質の肌を持つ、可愛らしい子犬。
 「天璋院御用 錦手秋草文竹形文鎮 磯御庭焼」。竹形に秋草文を施した、美しい実用品。
 天璋院御用品の清楚な美しさにウットリしたその横に並ぶのは、島津斉彬の手による和歌、絵画、陶器。その多種多芸さにビックリ。

 第4章、エピローグを経て、現代の薩摩焼の展示へと続きます。

 出品作の質の高さは素晴らしく、見応え十分です。個人的には第1章の豪著な薩摩焼が見られて満足です。その一方で、「フランスとの交流」、「篤姫」、「過去と現在」とテーマが盛り沢山なのは、構成が不明瞭になってむしろマイナスでは?

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2009年03月21日

●「山水に遊ぶ-江戸絵画の風景250年」(前期)@府中市美術館

 府中市美術館で昨日から始まった「山水に遊ぶ-江戸絵画の250年」(前期)展を観ました。好評を博した「動物絵画の100年 1751-1850」から2年。定評ある企画力に加えて充実したイベントプログラム、展覧会チケット半券持参で二回目は半額というリピーターへの配慮。府中市美術館が放つ江戸絵画ワンダーランド!今回のテーマは「山水に遊ぶ」。江戸絵画に描かれた風景を、様々な角度から捉えます。

 『山水に暮らす』
 「自然とともにある」
 熊谷直彦「騰竜隠雲之図」。強風に吹き上げられて宙に舞う傘、壊れ藁葺屋根端部の壊れた細片。前期のみ
 伊藤若冲「石灯籠図屏風」。本展の目玉があっさりと登場。小鳥にかじられたような石灯籠。PCマウスのような葉をつけ、水流のような幹の木々。若冲の視点は楽しい。前期のみ

 「神の国のすがた」
 小泉斐「男山伝説図」。机に伏してうたた寝する男が見る夢。海から山へと竜がのぼる構図が独特。全期間

 『絵をつくること』
 「中世の残像」
 狩野山雪「富士三保松原図屏風」。思いがけず山雪!雪舟に手本をとる、型を継承する美。前期のみ
 原在中「富士三保松原図」。きれいな青いトーンが印象的。前期のみ
 野崎真一「富士・三保松原図」。アイスクリーム・サンデーのような、白地に青がかかった富士山。前期のみ

 「実景と絵すがた」
 高久靄厓「袋田滝真景図」。心に映る真なる景色を描く。淡い色彩と変化に富む水流が美しい。前期のみ
 平井顕斎「白糸瀑布真景図」。瀑布の上に富士山が載るような構図が面白い。全期間

 『奇のかたち』
 曾我蕭白「山水図押絵貼屏風」。ため息が出るほど上手い。切り立つ山、雲海に霞む山姿、荒れ狂う強風、穏やかな夕陽と夜景、幽玄な雪景。モノトーンで季節変化を描き分ける描写力は超絶。前期のみ
 曾我蕭白「松鶴山水図」。波、岩、松の見事な描写、その奥に霞む山々。巧みな線の使い分けは、線のダンスのよう。前期のみ。本展の真打ちともいえる「月夜山水図屏風」「比叡山図」を後期に残しつつも、圧倒的な画力をみせつける蕭白!
 鈴木芙蓉「那智瀑泉真景図」。水流が霧となり、光の粒子と化して山々に溶け込む。
 小野田直武「岩に牡丹図」。超巨大な牡丹が岩山に刺さる。超常な絵。全期間
 墨江武禅「月下山水図」。月光に浮かび上がる、凍える山水図。氷細工のような美しい描画。前期のみ

 『ロマンティシズムの風景』
 「物語る山水」
 山本探川「宇津の山図屏風」。画面を埋め尽くす緑の山、上部に紺地に金の波線の海、山間を縫う金色の道。大胆な構成美。前期のみ

 「体感する自然、見霽かす心地」
 池大雅「山水図屏風」。中央の奇妙な木々がなんとも個性的。前期のみ

 「憧憬」
 伊藤若冲「石峰寺図」。最後を飾るのは、若冲の風景画+人物画(?)!全く予想外のサプライズに、テンション上がりまくり。丸みを帯びた仁王門を潜ると、そこは仏様ワンダーランド。水面に浮かぶ島々で教えを説く仏様とそれを囲む修行者たち。水面を獅子に乗って渡る一行、亀に乗って移動する人もいる。直線的で鋭角に折れ曲がる橋もインパクトある造形。本当に若冲!?ということも含めて、必見の一枚!前期のみ

 とにかく見て楽しい展示です。蕭白と若冲を観るだけでも行く価値は十分にあります。建替中の京博常設展から美味しいところを選り抜いて持って来たような前期、それらがゴッソリ入れ替わる後期。後期はさらにA、Bに分かれているので、最低前期後期で2回、できれば後期A、Bをカバーして3回訪れたい展示です。図録も素晴らしい出来で、迷わず買いな一冊です。

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2009年03月15日

●3月前半の鑑賞記録

 3月前半の鑑賞記録です。

 3/4
 「土門拳の昭和」@日本橋三越本店 新館7階ギャラリー
 表情豊か(に見える)仏様のクローズアップと、古寺巡礼。それと対を成す、「絶対非演出」に基づくドキュメント。自分にとって写真=土門拳であることを再認識。

 「上村 松園・松篁・淳之 三代展」@日本橋高島屋8階ホール
 三代と銘打つも、存在感は圧倒的に松園。素晴らしく線の美しい美人画の数々を堪能。その一方で「花がたみ」や「焔(下絵)」といった狂気への振れ幅も堪能。実質松柏美術館の出開帳に、他所からの出品作が華を添えた形。19:00以降の入館は半額の嬉しい配慮。

 3/6
 「国宝 三井寺展(後期)」@サントリー美術館
 ついに「不動明王像(黄不動尊)」と御対面。保存状態の良さに驚くばかり。その姿を写した「不動明王立像(黄不動尊)」の出来栄えと状態の良さを改めて実感。文字通りの「秘仏開扉」に満足。大幅な展示替えに、見入ることしばしば。

 3/7
 「アジアとヨーロッパの肖像」@神奈川県立近代美術館 葉山
 海へと突き出すレストラン、振り返って山を望む中庭の建物配置が良かった。

 「山口蓬春と花鳥画の世界」@山口蓬春記念館
 吉田五十八設計による新画室が何より素晴らしい。建具枠を斜めに切り落として壁との段差を数ミリに抑える納まり、細枠木建具でフルハイトのガラス引込戸を設計する大胆さ、天井照明を埋め込んで天井と一体化する配慮、収納扉引手を上下左右全通しの目地として壁と一体化するデザイン。配慮の行き届いた設計に応える水澤工務店の技。非常に痛み易いつくりを維持管理する運営側の意欲。庭には梅が咲き、鶯がさえずる。二階の旧画室廊下からは葉山の海が臨める。時の経つのを忘れてしまう、至福のひと時。

 3/8
 「茶の湯の美 出光美術館コレクションの至宝」@栃木県立美術館
 ダイジェスト気味ながら、出光美術館の茶の湯コレクションが時代順に並ぶ。人もけっこう入っていて、固定ファンを持つ展示は強い。

 3/14
 「小杉放菴と大観-響きあう技とこころ」@出光美術館
 酒飲みおじいちゃんが描くほのぼの世界。

 「ポワレとフォルチュニィ」@東京都庭園美術館
 「夜会」というテーマに基ずく、1階の展示が見事。
 「プリーツプリーツ」の祖先のような「デルフォスドレス」を見て、ミヤケは装飾を廃したモダニズム建築のようなドレスだと思った。

 「美人画展」@松岡美術館
 松園の「春宵」が美しい。全体的にあっさりとした展示内容。展示室内も撮影可で、シャッター音があちこちで鳴っている。通路・ホールスペースにはみ出すように置かれる雛人形が、計画性の高い空間に馴染まない。美術館は成長し続けるソフトなので、空間の可変性と完成度の折り合いが難しい。

 3/15
 「伊庭靖子展」@神奈川県立近代美術館 鎌倉
 写真のような精緻な筆致と、超クローズアップ構図。水分が弾けそうなオレンジゼリー(?)の「瑞々しさ」が素晴らしい。クッションの「柔らかさ」も魅力的。名詞がなくなって、形容詞だけが残るような絵。

 「所蔵名品展 -国宝 紅白梅図屏風-」@MOA美術館
 岩佐又兵衛と紅白梅図屏風を目当てに行ったら、濃厚な仏画展示(ほとんどが重文!)に圧倒された。紅白梅図屏風はかなり傷んでいる印象。又兵衛の美麗な絵巻、洒脱な墨絵と、満足度はとても高い。

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2009年03月08日

●「土門拳の昭和」@日本橋三越本店

 日本橋三越本店新館7階ギャラリーで開催された生誕100年記念写真展「土門拳の昭和」を観ました。
 土門拳の写真は、個人的にとても思い入れがあります。まず思い浮かぶのが、女人高野「室生寺」。深山の金堂の大屋根に白雪が積もった、とても美しい画。そして随筆集「死ぬことと生きること(正・続)」。それまで「筑豊のこどもたち」の、痛いほどに現実を直視する視線が辛かったのですが、上記随筆集の柔らかな語り口に触れてからは子供たちの生き生きとした表情に魅力を感じるようになりました。

 展示冒頭に子供たちの写真が一枚、そしてモノクロの室生寺が東京します。十二神将をはじめ、仏様の表情がとても豊かで魅力的。クローズアップとライティングで、一瞬を抉り取るような感じ。

 戦後に至り、「ヒロシマ」、「筑豊のこどもたち」が並ぶ。絶対非演出を唱えるこの頃から、「鬼の目」と称される視線が明確になったと思います。

 「風貌」シリーズ。クローズアップの迫力と、どこか漂うユーモア。後半は舞台的になってゆくが、梅原龍三郎の椅子を叩きつけたというエピソードはとても印象に残ります。

 そして「古寺巡礼」。鉄の質感が生々しい「飛鳥大仏」の杏仁形の眼も良いですが、金色に煌く「救世観音」の妖しさは圧倒的。フラッシュを焚いて撮ったのでしょうが、秘仏に対して不遜と思う一方で、記憶に残る名画だと思います。室生寺の扱いのぞんざいさが不満ですが、それをのぞけばとても良い展示でした。

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