2006年09月24日

●手賀沼試走

 秋晴れの青空が広がった週末、手賀沼エコマラソンのコースを試走しました。今月の走り込みは30kmほどで今一つなのですが、マラソンまで5週間となり見切り発車です。

 スタートとゴールは「柏ふるさと公園」。アクセスは今ひとつですが、親子連れで賑わう良い所です。ハーフマラソンは走ったことがないので、走れるだけ走って、後は歩いたり休憩したりしながらなんとかコース全体を見ようというのが大まかな予定です。コースは手賀大橋を中心に、8の字を描くように手賀沼を一周します。自分がどこらへんを走っているのか把握できるので、走りやすいです。アップを済ませてスタート。前半は我孫子側道路沿いを走ります。古き良き農家から、古びた商店建築、新しいマンション、土建屋の資材置場まで色々な建物が並びます。手賀大橋を渡って対岸へと移り、今度は柏側の親水歩道を走ります。左に水辺、右に農地が広がる静かなコースです。ところどころに基礎工事中または建築工事中の建物が覗き、開発が進んでいることが分かります。足取りが重くなってきた頃に曙橋を渡り、中間点を過ぎます。再び我孫子側道路に出て、復路を走ります。手賀沼が見えない上に高低差が若干あるので、重い足に堪えます。15kmあたりでひとまずダウンして、手賀大橋までの2kmを歩くことにします。道の駅「しょうなん」で水分を補給しつつ時計を見ると1時間45分経過。これなら制限時間2時間30分を切れそうです。柏側親水道路に戻って再度走り出します。足取りは重いながらもなんとかゴール。所要時間2時間20分でした。当日は、完走と2時間ちょっとのタイムを目標にしようと思います。

 マラソンのエントリー数は8,588名。定員7,000名を大幅に上回りかつ、400名ほどの方をお断りをする羽目になったそうです。健康ブームを実感します。でも、明日は筋肉痛で起き上がれるか心配です(笑)。
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2006年09月22日

●とりぱん若冲風

 今週号のモーニングの表紙を見て、「おっ」と思いました。
 以前から若冲っぽいなと思っていた「とりぱん」が表紙を飾っているのですが、その絵柄が本当に若冲風です。
 別に絵柄が似ているとか、仏画を描くというわけでなく、庭先に設けたえさ台にやってくる鳥たちの観察記をありていに描く視線とか、連載が決まる前に仕事を辞めてしまう生き方とかが若冲っぽいと思っていたので、駄洒落を真面目にやられて面食らうという感じです。でもうれしいです。
 先日の山口晃の表紙絵といい、モーニング編集部はツボをくすぐるのが上手いです。内容は結構波があるけど。。。

 とりぱん1巻と記念撮影。本日2巻が発売だそうです。
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2006年09月17日

●国宝風神雷神図屏風

 出光美術館で開催中の「国宝風神雷神図屏風」展を鑑賞しました。テーマは明快、「宗達、光琳、抱一の風神雷神図が66年ぶりに一堂に会する」です。冒頭の解説文も「まずは三つの風神雷神図を、とくとその目でご覧あれ-----。」と結んであり、美術館側の自信が伝わってきます。

 展示は宗達の「風神雷神図屏風」から始まります。美術の教科書等であまりに有名な絵ですが、実物を観るのは今回が初めてです。印刷物で観ると風神雷神のキャラクター性が目立ちますが、実物で観ると全体で一つの絵を形成していることに目が行きます。金地の空を駆ける神々。片や遥か遠くを見据え、片や視線を斜め下に向けています。私たち鑑賞者は、はじめ正面から眺め、左右にずれ、ガラス面に近づいて細部を見入り、また全体を見える位置に戻り、そして少し前に出て腰を下ろし、雷神様を見上げてようやく落ち着きます。そしてこの絵には神が描かれていることを納得します。

 次が光琳の「風神雷神図屏風」です。光琳が宗達の図を忠実にトレースしていることが、パネル展示で解説されています。個人的に気になるのは目です。ここでは風神雷神はお互いを見つめ合っており、神の視点は消えています。光琳にとっては宗達の筆こそが神だったのでしょう。その横に抱一の「風神雷神図屏風」が並びます。こちらは光琳の模写だそうですが、サッパリとした線と擬人化の進んだ描写で、とても現代的なセンスを感じます。風神雷神にまつわる解説や、三枚の絵の比較も充実しているので、何度も何度も見返して興味は尽きません。

 展示は館蔵の琳派絵画による、「梅を愛でる」「秋草図の遺伝子」「燕子花図の変容」と続きます。酒井抱一の「紅白梅図屏風」の鮮烈な銀地、「燕子花図屏風」の詩的な構成、「十二ヵ月花鳥図貼付屏風」の美しい濃淡と色彩。光琳を尊敬し、研究した抱一の足跡が印象に残ります。そして「受け継がれる琳派」。個人蔵の光琳画が5幅展示されています。トロンとした光琳カーブが美しい「梅図」、可愛らしい「大黒天図」と、光琳ファンのツボを押さえています。抱一の査定書や箱書きも展示されており、光琳を捜し求める抱一の姿が浮かびます。併設されている「仙崖展」は、数は少ないながらもインパクトあります。ヘタウマというと怒られそうですが、○△□といった深いテーマ性を持ちつつもユーモラスな絵柄に和みます。

 充実した作品群と解説、優れた照明配置で、とても観やすく見応えのある展示です。平日の夕方に出かけられたので、落ち着いて観られたのは幸運でした。

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2006年09月11日

●広重 二大街道浮世絵展

 千葉市美術館で開催中の「広重 二大街道浮世絵展」を鑑賞しました。ジョー・プライスさんが師と仰ぐ、建築家フランク・ロイド・ライトは広重の浮世絵コレクターとしても有名で、シカゴ美術館で展覧会を開いたほどです。

 二つしか現存しない広重の写生帳の一つ「甲州日記写生帳」を目玉に据え、風景画のベストセラー保栄堂版「東海道五拾三次」と、佳品の多い「木曾街道六十九次」の二大街道物が並ぶ広重の世界にどっぷりとはまる展示だと思ったのですが、実際は少々異なりました。

 展示は「木曾街道六十九次」から始まります。これが意外でした。「東海道五拾三次」の叙情性をさらに洗練させた雨・風の景に名品が多いとはいえ、続き物としては地味に思えて今一つノリません。続く「江戸近郊八景之内」と「近江八景之内」では、完成された詩的な美しさに心を打たれるうれしい誤算。特に「唐崎夜雨」の大胆な構図と静かな雨は良かったです。そして写生帳が登場します。実物は綴じてあるため、ページ毎の見開き写真のパネルが並び、中央に実物が開いて置いてあります。実物は筆のタッチも生々しく、広重が旅先で筆を走らせる様に思いが馳せます。が、その他の写真(カラーコピー?)の色味の再現性が悪くて興醒めます。技術を駆使して、本物と見紛うくらいの再現性が欲しかったです。そしていよいよ保栄堂版「東海道五拾三次」が始まります。時間と空間の変化に富んだ巧みな構成と演出、画面内を縦横に通る道の数々。後の叙情的な成熟も魅力的ですが、この頃の街道を描こうとする広重の意気込みも好きです。ここで8階の展示は終了、7階へと続きます。続き物の最高傑作の流れが切られてびっくり。7階で続きを観て終了です。単品では見所の多い展示だと思いますが、流れとして観ると疑問点が幾つか感じられました。

 余談ですが、私の卒論は広重の浮世絵を題材にしての景観の研究です。こんなのです

 これまたバブリーな千葉市中央区役所。7、8階が美術館です。
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●千葉県既存建築物耐震診断・改修講習会

 「千葉県既存建築物耐震診断・改修講習会(木造住宅)」を受講しました。
 昭和56年(1981年)に耐震基準が強化され、それ以前に竣工した建物の耐震化が大きな課題となっています。さらに平成7年の阪神・淡路大震災を経て、その重要度は増しています。現在、千葉県下では約219万戸の木造住宅が存在し、そのうちおよそ45万戸が昭和56年以前の竣工だそうです。

 耐震診断には3段階あり、一番簡単なものは、建物の居住者や所有者の方でも診断できるように作成されています。さらに調査が必要な場合は、私たち専門家による一般診断と精密診断が用意されています。まずは興味を持ってもらい、必要に応じて専門家を活用いただく仕組です。役所の窓口にパンフレットが用意されていますので、耐震診断及び改修をお考えの方は入手されることをお薦めします。

 会場は千葉市生涯学習センターでした。ガラス屋根の巨大な吹抜け空間を持ち、図書館を併設するなかなかバブリーな建物です。
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2006年09月08日

●花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第5期

 「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第5期」を鑑賞しました。内心、第4期でピークを迎えたかなと思ったのですが、実際に観るとなかなか見応えあります。

 今回の見所は展示室左側に集まっています。前半は孔雀図の競演です。森徹山の少々固い描画、円山応挙のふっくらとした理想像、、そして伊藤若冲の白孔雀。白レースを身にまとい、尾羽をハートマークが滝のように奔流し、色彩豊かな背景に彩られた姿は、鶴から鳳凰へと変化する途上のようです。ここを境に主題は若冲ワールドへ。「老松孔雀図」が変化中なら、続く「芙蓉双鶏図」は鶏達の大道芸です。「薔薇小禽図」では赤薔薇白薔薇に絡みつく黒いウネウネが気になります。「群魚図(蛸)」では親蛸の足を引っぱる子蛸がユーモラス、「群魚図(鯛)」では団扇を両手に持つようなタツノオトシゴのシルエットが格好良いです。「紅葉小禽図」は最後を飾るのに相応しく、季節が一気に流れて紅葉が美しいです。本当はこの前に「菊花流水図」の時間軸を超越したような描写が入るので、空から水中へと舞台を移し、時間を超越して晩秋の静けさの中で幕を引く流れが想像できます。30幅揃えで観ると、また別の見方ができそうです。

 5ヶ月に渡る若冲熱も一段落です。現代的な視点から観ても面白い若冲に触れることで、江戸絵画までも同時代性を感じつつ鑑賞できたことが最大の収穫です。まとまって観る機会がしばらくないかと思うと寂しい限りですが、来年初夏の承天閣美術館行きを練りつつ、静岡県美の「樹下鳥獣図屏風」もそのうち鑑賞したいと思います。

 若冲関連エントリーの一覧です。
「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」 第1期第1期最終日第2期第3期第4期
「若冲と江戸絵画展」 その1その2販売予想 1-2!
若冲を見たか?
伊藤若冲『動植綵絵』人気投票

 会期中7回潜った大手門ともしばらくお別れです。門を出ると、そこには牛がいたのであった。。。
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2006年09月05日

●ピカソとモディリアーニの時代

 都内で時間が空いたので、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「ピカソとモディリアーニの時代」展を鑑賞しました。対象を解体、再構築しつつも、画面からはメルヘンチックな味わいが感じられる不思議な時代です。

 展示はブラックから始まります。幾何学形態に還元、再構築された画面が、美味しそうな梨に見えてきます。さらに断片化し切り刻まれた光のプリズムのような画面が続きます。ピカソ、レジェと続いてモディリアーニの部屋へ。この部屋は良いです。今回の展示の顔である「母と子」を中心に、赤と青の競演を背景の青ストライプが引き立てます。中央のソファに腰掛けて部屋を見回すと、満たされた気分になります。次の部屋に進むと、ミロとクレーの不思議な世界に幻惑され、カンディンスキー「コンポジション」のルールあるメルヘンに目が釘付けになります。最後に第二次大戦後の絵画が並んで終了です。近代絵画を散歩するように観て廻れる、バラエティ豊かな展示だと思います。

 美術館、書店、レストランに囲まれた密度の高い中庭。実に9年ぶりに来ました。
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