2006年07月09日

●花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第4期

 「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第4期」を鑑賞しました。上野で開催中のプライス展に合わせるかのように、今期は非常に華やかです。続けて観れば、面白さが倍増します。

 入口を入って右手には、酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」がズラリと並びます。巧みな濃淡と優美な描線にうっとりと魅入ります。上野では同じく抱一の「十二か月花鳥図」が自然光を再現した照明の下、ガラスなしで公開されており、抱一ファンには堪らない揃い踏みとなっています。

 左手には若冲ワールドが広がります。まずは「旭日鳳凰図」。朝日の下、極彩色の鳳凰が、大きく翼を広げています。第3期「百鳥図」の鳳凰の姿をベースに、鶏、鶴、孔雀等の観察を通して学んだ精気漲るディテール。精密で華麗な世界は、若冲ワールドの看板作に相応しいです。上野で展示中の「旭日雄鶏図」と見比べると、観察から始まり、独自の世界へと昇華する過程が想像できて興味深いです。続いて「動植綵絵」の「老松白凰図」が登場します。暗めの老松を背景に、白い鳳凰が大きく翼を広げています。レース地のように精緻な羽毛の描画が美しいです。尾羽は華麗に宙を舞い、その先の赤いハートマークがとても愛らしいです。華麗な花鳥画の頂点に立つ一枚だと思います。続く「向日葵雄鶏図」、「大鶏雌雄図」、「群鶏図」の三枚は、若冲の代名詞とも言うべき鶏描写のオンパレードです。特に騙し絵的な「群鶏図」が面白いです。最後は「池辺郡中図」、「貝甲図」と小さな生物の集合絵が続きます。写実的な描画が冴える図鑑的な面白さで幕です。

 奇想の画家若冲の中でも、美麗な部分を全面に押し出した回です。全5回の中で1回だけ挙げるとすれば、この回を推します。
tokyo_20060708-1.jpg

Posted by mizdesign at 2006年07月09日 23:28
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mizdesign.com/mt/mt-tb.cgi/318

トラックバック

? 花鳥−愛でる心、彩る技<若冲を中心に> 第4期(宮内庁三の丸尚蔵館) from あお!ひー
花鳥−愛でる心、彩る技<若冲を中心に>もついに第4期です。 さっそく初日の今日、宮内庁三の丸尚蔵館に行ってきました。 いかんです、もう、待ち切れないのです。... [続きを読む]

Tracked on 2006年07月10日 23:58

? 花鳥−愛でる心、彩る技−4 from 青色通信
花鳥−愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉(第4期) 7月8日 宮内庁三の丸尚蔵館(〜8月6日)  まだまだ本格的にアート記事復帰とは言えませんが(ある締切... [続きを読む]

Tracked on 2006年07月15日 17:57

? 「花鳥ー愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉展」第4期 from 弐代目・青い日記帳
宮内庁三の丸尚蔵館で開催されている 「花鳥ー愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉」展に行ってきました。 (第1期の感想はこちらです) (第2期の感想はこちらで... [続きを読む]

Tracked on 2006年07月18日 23:50

? 238 花鳥 愛でる心、彩る技〈若冲を中心に〉第4期 from たまゆらデザイン日記
宮内庁三の丸尚蔵館での展覧会。早いもので、もう4期に入りました。 上野のプライスコレクションとのかけもちはさすがにこたえるので、日を改めて出かけました。しかし... [続きを読む]

Tracked on 2006年07月22日 06:41

? 「花鳥 - 愛でる心、彩る技<若冲を中心に> 第4期」 三の丸尚蔵館 7/16 from はろるど・わーど
宮内庁三の丸尚蔵館(千代田区千代田1-1 皇居東御苑内 大手門側) 「花鳥 - 愛でる心、彩る技<若冲を中心に> 第4期」 7/8-8/6 第3期では伝銭選の... [続きを読む]

Tracked on 2006年07月24日 20:23

? ●花鳥-愛でる心、彩る技@宮内庁三の丸尚蔵館 AND 品川駅エキナカのスイーツ:8/16(水) from 映画とアートで☆ひとやすみひと休み
やっと行ってきた…。三の丸尚蔵館。多忙と夏バテでなかなか腰が重かったのだが、気が [続きを読む]

Tracked on 2006年08月20日 20:41
コメント

こんばんわ、mizdesignさん。
TBさせていただきました。
プライスコレクションで頭がいっぱいでした〜。たしかに、この4期と併せて見てもらいたいですよね。

Posted by あおひー at 2006年07月11日 00:02

あおひー様>

 こんにちは。
 併せて見るのが東京展の醍醐味ですよね。4期だけでなく5期も面白いですよ。

Posted by mizdesign at 2006年07月11日 13:11

mizdesignさま、はじめまして
プライスコレクション展と一緒に見てきました。
東京だけですが、若冲、酒井抱一ら江戸中期の名品を堪能できて本当に楽しかったです。
願わくば、また足を運びたいなと思っています。TBさせていただきました。

Posted by アイレ at 2006年07月15日 18:33

アイレ様>
 初めまして。コメントとTBありがとうございます。

 プライス・コレクションと動植綵絵を梯子できるのは東京圏の特権ですね。あちらで驚異の特別展示、こちらでハートマークが舞う鳳凰で、もう大興奮でした。江戸絵画がもの凄く身近に感じられます。

Posted by mizdesign at 2006年07月16日 17:29

こんばんは。

だんだんと、ネタ探しをしているように
鑑賞している自分がこわいです。
観れば観るほど楽しいですね。

TB送らせていただきました。

Posted by Tak at 2006年07月18日 23:51

Tak様>
 こんばんは。コメントとTBありがとうございます。

 若冲の絵には、リアルな細密さと、様式化された美しさが絶妙のバランスで共存してますよね。行き過ぎなんだけれども何故か美しいという。そのありえなさに観れば観るほどはまりますね。

Posted by mizdesign at 2006年07月19日 01:25

こんにちは。
プライス展とのかけもちは体力いるので出直しました(笑)。
今回はずいぶんと華やいだ展示でしたね。
極彩色でギンギンで、でもえぐいところのギリギリ・・・。
若冲って改めてすごいなと思いました。
また、対照的な抱一とのバランスが絶妙でした。
TBさせてくださいね。

Posted by tsukinoha at 2006年07月22日 06:40

tsukinoha様>
 こんにちは。TBとコメントありがとうございます。

 今期は見所多いですね。細密で華麗な描画と工夫のある構図に加えて、クルクルフワフワした感性と法則を超えた空間構成が登場して、若冲ワールド全開です。これに加えて抱一も並ぶ「濃さ」は必見というしかないですね。

 「池辺群虫図」で夏休みの自由研究もバッチリですね(笑)。

Posted by mizdesign at 2006年07月23日 08:08

こんばんは。コメントとTBをありがとうございました。

>酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」がズラリと並びます。抱一ファンには堪らない揃い踏みとなっています。

はい!その堪らなかった者の一人です。
尚蔵館の花鳥図は特に見事でしたよね。

>図鑑的な面白さ

同感です。
どこで調べて描いたのでしょうね。調べるだけでも相当時間がかかるかと…。

ところで最後のお写真は、
mizdesignさんがお撮りになられたものでしょうか。
門のどっしりとした雰囲気がとてもよく伝わってきました。素敵なお写真をありがとうございます!

Posted by はろるど at 2006年07月24日 21:04

はろるど様>
 こんにちは。
 今回は守備範囲広いですよね。抱一ファン、若冲ファン、そして夏休みの宿題組まで(笑)。

 写真までコメントありがとうございます!

Posted by mizdesign at 2006年07月25日 08:29
コメントしてください




保存しますか?