2009年08月31日

●大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009 (松之山編)

 「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009」松之山編。

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 宿泊は松之山温泉郷。地底海水が噴き出す薬効あらかたな温泉と美味しい料理で、体の芯から癒されます。

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 234 クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン「最後の教室」。敷き詰められた藁の触感、ランダムに並ぶベンチに置かれた無数の扇風機の風、闇に浮かぶ灯火。荘厳さと土の感じが交錯する体育館。

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 灯火に導かれて教室を巡り、鼓動を聞き、記憶に触れて、白布に透明な箱の並ぶ3階へと至る。美しく演出された、学校の「お葬式」。

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 232 塩田千春「家の記憶」。張り巡らされた黒い毛糸の向こうに、思い出の品々が並ぶ。見えるけれども触れない距離感が、建物に流れた時間を視覚化するよう。

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 229 東京都市大学手塚貴晴研究室+彦坂尚嘉「黎の家」。レストランその2。磨きぬかれた黒い空間、大袈裟に吊るされた鍋。都会的なセンスが流れ込んだ田舎。

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 223 手塚貴晴+由比「越後松之山「森の学校」キョロロ」。雪に埋もれても大丈夫な、モノコックボディ+ダブルスキン。蛇のような一筆書きプランに、展望台が大きく立ち上がるユニークな外観。大きな図式が得意な手塚さんの意欲作。

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 223 逢坂卓郎「大地、水、宇宙」、223庄野泰子「キョロロのTin-Kin-Pin-音の泉」。展望台へと至る階段も、アートワークの一部。足元が暗くて歩き難い。

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 219 ジョン・クルメリング/テキストデザイン・浅葉克己「ステップ イン プラン」。溶融亜鉛メッキのフレームは錆もなくキレイ。看板としては、緑に埋もれて意外と目立たない。サヨナラ松之山、また来る日まで。

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2009年08月30日

●大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009 (十日町編)

 夏もあっという間に過ぎて、最後の週末。念願の「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009」へ行きました。まずは十日町から。

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 上越新幹線「越後湯沢駅」からレンタカーで十日町へ。十日町市博物館で「国宝 火焔型土器」を見て、「小嶋屋」でへぎそば+野菜&マイタケてんぷらを食べて、アート巡りの旅へ。

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 3 ドミニクペロー「バタフライパビリオン」。フランス国会図書館のガラスタワーで有名な建築家の能舞台。様々な角度で大地を映し出す天井鏡が、風景を鋭角に切り取る。

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 7 「うぶすなの家」。古民家再生プロジェクトその1。焼物博物館+レストラン。古民家の光の中に焼物が引き立つ。ガイドの方の説明が、あまりに良く出来ていてビックリ。

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 8 古郡弘「胞衣 みしゃぐち」。階段を下りて行き、大地に埋め込まれた土の柱と空を見上げる。神殿?住居跡?その圧倒的な存在感にしばし言葉を失う。

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 土の構造体の上には、木の屋根架構。勢い良く芽吹く緑と、土へと還るかのように朽ちてゆく屋根。「大地の芸術祭」に相応しい聖なる空間。

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 21 ビリ・ビジョカ「田麦の本」。小さな部屋に大きな本がたくさん。本を開くと様々な記憶。思わずペンを手に取り記憶を綴ると、詩的で美しい作品の一部になった気がする。

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 23 アントニー・ゴームリー「もうひとつの特異点」。ほの暗い空間に張り巡らされたワイヤー。その先に浮かぶ人形を求めて、床に寝転ぶ人たち。鑑賞者も巻き込んで、不思議な風景が出現する。

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 28 ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー「ストームルーム」。古い歯科医の2階に上がると、膝を抱えて座る一団が。窓の外は曇天に雨。ただ、その自然現象を体験する。10分後には、自分もその1人となってじっと座っていた。自然は最高のエンターテイメント。

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2009年08月23日

●内海聖史個展「ボイジャー」@eN arts

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 eN arts で開催中の内海聖史個展「ボイジャー」を観ました。こちらで大いに刺激を受けて、京都遠征を決意しました。

 八坂神社脇の日本家屋が続く通りを歩いていくと、大きなガラス面を組み込んだモダンなファサードが現れます。画面の中には「色彩の下」。ちょっと入り方が分かり難い、大きな開き戸を引いて(ステンレス金物にグレーでPULLと書いてある)中へ。

 入口周辺には、小品を並べたシリーズが幾つか並びます。特に丸い球体にドット彩色を施した「コロナ」シリーズに目が行きます。アイスクリームに色とりどりのチップスをまぶしたようで、とても美味しそう。

 左手奥に和室。床の間には、小さな点をラフな線でつないだ掛軸と、器の中をドットで埋めた茶器「魚眼」が置かれています。平面と立体の組み合わせで見せる構成が新鮮。

 入口に戻って奥に進むと、大作「背景の象徴」が左手から大きくカーブを描いて奥へと続きます。天井高のない空間一杯に広がる色彩の点描は、壁と一体となって空間を圧迫するほどの迫力。画面に沿って歩くと階段に至り、地階へと続きます。

 暗幕の奥は闇。徐々に目が慣れてくると、赤い画面に一部緑が載った「吽」が浮かび上がってきます。徐々に空間の輪郭と色彩が浮かび上がってくる時間がとても印象的です。さらに目を凝らしても細部をうかがえないライティングが絶妙。ディテールが消失することで、面としての存在感が浮かび上がります。

 折り返して、再度「背景の象徴」の前に。以前にも増して、溢れんばかりに精気づく色彩の点描が迫ってきます。緑に青に紫。マスカットに巨峰にデラウェア。R状にカーブした画面にも慣れてきて、壁面から跳ねだしてきそうな葡萄の大群をじっと眺めます。とても横長な画面は、上下の余白をトリミングされたこともあって、時間軸上を変化する3次元的な経験に思えてます。

 非常に特徴のあるギャラリー空間を活かした展示は、2次元絵画と3次元空間との関わりを意欲的に掘り下げていて見応えがあります。スパイラルの「色彩の下」が「完成形」とすれば、こちらは「新たな実験」。特にR形状画面を取り入れることで、展示全体を一つの時間軸に取り込むような経験を感じさせたところが印象に残りました。

 ギャラリーには内海さんがおられて、色々とお聞きできたことも良かった。R形状画面を取り入れたいきさつ、地下展示についての話、画面を通して見えるイメージ、「確信」を持った展示と「解体中」の今回などなど。なぜかはろるどさんと間違われて可笑しかった。

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2009年08月15日

●アイ・ウェイウェイ展「何に因って?」@森美術館

 森美術館で開催中のアイ・ウェイウェイ展「何に因って?」を観ました。「現代中国で最も刺激的なクリエイターの挑戦」という副題にあるとおり、明快な形態と、挑発的なコンセプトが同居します。さらに企画展でありながら写真撮影可という、意欲的な取り組みが魅力です。カメラ片手に、会場は一気に遊園地気分。

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 作家:アイ・ウェイウェイ  
 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示・非営利・改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。

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 圧縮した茶の葉で作られた家。シンプルな形態、茶の葉の圧縮という技術、茶にまつわる歴史。3者が絡み合って、想像の枝葉が伸びる。

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 寄木細工で作られたストライプ柄の立体。上から覗くと。。。工芸技術と政治的視点が同居すると、モノの見え方が複層的になる。

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 月の満ち欠けを写す木箱。箱の存在感と、覗いたときに見える詩的な景色のコントラストが美しい。

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 古い壷に描かれた、Cocacola。古いモノを破壊する行為がひっかかる。

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 古材をつなぎ合わせて作られたオブジェ。工芸技術、破壊と再生、中国の形状(見えないけど)。

 明快な形態、高い伝統技術、強固なコンセプト。観て楽しい展示です。視覚的なインパクトに丸め込まれている気も少々しますが。

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2009年08月10日

●暑気払い

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 夏の夜の暑気払い。豪華ゲスト(?)が登場してテンション高め。あっという間の3時間でした。どうもありがとうございました。

 やっぱり京都に行かないと!と思い立ち、「日帰り1day京都スペシャル」を申し込みました。

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2009年08月02日

●サマーウォーズ

 毎月1日は映画の日、しかも今月は土曜日!というわけで8/1封切りの映画「サマーウォーズ」を観ました。「時をかける少女 2006」の目に沁みる青空が記憶に鮮明な細田守監督の3年ぶりの新作です。

 今回のテーマは「大家族」。主人公は数学がとりえの内気な男子高校生。ひょんなことから憧れの先輩といっしょに、彼女の実家に旅行することになります。そこは田舎の旧家。家長である祖母の誕生日を祝うために、27人もの大家族が帰省してきます。

 もう一つの舞台は、現在よりも一歩進んだ仮想世界。ルイ・ヴィトンのプロモーション映像「SUPERFLAT MONOGRAM」で見せた世界観に磨きがかかり、利便性に富んだ世界をクールに描写します。

 画面狭しと動き回る、子供たち、大人たち。そして発生する「世界の危機」。田舎のノンビリした風景と、仮想世界の硬質な世界が交錯しながら進行する画面が美しいです。「世界の危機」に立ち向かう主人公の武器は、なんと紙と鉛筆。クライマックスではヒロインも凛々しく立ち回ります。仮想世界の格闘王や、天才技術者、パワフルなおじさんたちといった副主人公たちも画面を盛り上げます。

 平行進行で語る人間関係と、現実と仮想世界。それらをスピーディーでキレのある演出で見せきる手腕は、さすが。リメイクと原作つきが流行りの当世で、あえてオリジナルで勝負するところがとても意欲的。あっという間の114分です。

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2009年08月01日

●大河原邦夫のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム@八王子夢美術館

 八王子夢美術館で開催中の「大河原邦男のメカデザイン ガンダム、ボトムズ、ダグラム」を観ました。メカデザイナーの草分けであり、現在も精力的に仕事をこなす大河原邦夫氏の、37年に及ぶデザインワークの回顧展です。千葉から八王子は遠いですが、お台場で原寸ガンダムと対面するプレイベントとして足を伸ばしました。

 会場は壁面にデザイン原画等を展示し、島状ガラスケースに関連玩具等を並べます。始まりは「ガッチャマン」。そして「タイムボカン」。デザイン原画も興味深いですが、脇に置かれたビデオから流れるTVオープニング集が魅力的。別室展示にして、音声付で見たかった。やはり絵が動き、音が付いてこそ、デザインの魅力が引き立ちます。ヤッターワンの鼻(!)が原寸展示されていてチャーミング。鐘を鳴らせるのが楽しい。

 サンライズの巨大ロボットモノ。ハードなストーリー展開が印象的な「ザンボット3」、007を意識したエンターテイメント路線の「ダイターン3」、主人公を小学生に設定したお気楽路線の「トライダーG7」と続きます。そして出世作「機動戦士ガンダム」へ。劇場版公開の頃からのファンなので、見覚えのあるポスター原画がズラズラと並びます。当時は、アニメデザインを踏襲しつつ軍用を意識したカラーリングとマーキングを施したリアルロボット描写が流行っておりました。「赤い彗星」、「青い巨星」、「黒い三連星」とジオン軍のメカが魅力的でした。どの機体も初登場時は名言を残すのですが、鬼のように強いガンダムの前に次々と敗退。あんなトリコロールの儀典彩色の機体にねえ。。。続編ではメカデザインが若手デザイナーへ発注された時期もありましたが、時代が一巡して「ガンダムF91」から再び大河原デザインへ回帰。超絶技巧を持つ若手をも押しのける、プロとして揺るがぬ成果の積み重ねこそが、大河原デザインの真骨頂。

 そして、大河原リアルロボットデザインの精華、「装甲騎兵ボトムズ」。全高4m、3連レンズの大胆な頭部、ローラーダッシュ+パイルアンカーによるスピード感あるアクション。このデザインは本当に良く出来てます。4年前に見た、1/1スコープドッグの鉄塊としての圧倒的な存在感は本当に凄かった。

 最後に登場する、関係者のコメントが良かった。ガンダムの世界観を構築した富野由悠季監督、無骨なメカデザインに柔らかなタッチで命を吹き込んだ天才アニメーター安彦良和氏、アムロ最後の乗機「νガンダム」をデザインし、「ラーゼフォン」で監督も務めた出渕裕氏、超絶ディテールでガンダムワールドをスタイリッシュに再構築したカトキハジメ氏、エヴァンゲリオンのビジュアル構築で有名な樋口真嗣氏。大河原デザインの特徴は、職人的な真摯な姿勢と、協働者の想像力を刺激する道具立てにあると思いました。

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●機動戦士ガンダム30周年プロジェクト「ガンダム 緑の大地に立つ!」@お台場潮風公園

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 機動戦士ガンダム30周年プロジェクトガンダム 緑の大地に立つ!」を観ました。

 アニメ第二の波といわれる「機動戦士ガンダム」。玩具販売促進ツールにすぎなかったロボットアニメに、リアルな人間ドラマとメカ描写を持ち込んだエポックメイキングな作品です。継続的に新シリーズを展開してファン層の拡大に努めており、「ガンプラ」と呼ばれるプラモデルを中心に好調なセールスを記録し続けています。その30周年を記念して、遂に1/1原寸モデルがお台場潮風公園に出現しました!
 全高18mの巨体を下から見上げることに配慮した、下半身ボリューム増量のプロポーション調整は完璧。ひたすら格好いいです。

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 「ガンダム 緑の大地に立つ!」。30年間、磨きに磨かれた造形は完璧。2次元コンテンツの立体化として、究極の出来栄えです。眼窩奥深く光るカメラアイの格好良さは感涙モノ。頭部バルカン撃ったらアンテナ焼けそうとか、原寸ならではのツッコミも楽しい。

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 複雑な形状のふくらはぎも、見事に立体化。原寸で間延びしないよう加えられたディテールが、空間を引き締めます。

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 ポスターにも使われている側面ビューと、建物との絡み。埋立地の非日常性が、良い塩梅に融合します。

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 巨大化されたバーニアが特徴的な、背面ビュー。観れば観るほど惹きこまれます。ガンダムファンは、万難を排して見に行く価値があります。

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