2011年04月16日

●三沢厚彦 Meet The Animals-ホームルーム@京都芸術センター

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 京都芸術センターで開催中の三沢厚彦「Meet The Animals-ホームルーム」を観ました。
 エントランスホールには、ウサギと小熊が出迎えてくれます。楽しいホームルームの始まり。

 南館1階 ギャラリー南
 白い空間に入ると、右にアリクイ、左にオオカミ、中央にシロクマ。あの焦点が定まらない独特の視線。アリクイは目が横についていて、左右別々に横を観る。シロクマはちょっととぼけながら、こちらを見据えるよう。オオカミは上目づかいでこちらになついてくる感じ。彼らの視線がとても活き活きと感じられて不思議。ひとしきりみて配置シートを見ると、作品は4点、目に入るのは3点。もう一点は。。。

 南館2階 談話室
 黒板を背に教壇に立つシロクマ!反対側にはお馴染みの再現アトリエコーナー。大物では子キリン、クジラ。そしてたくさんのミニミニアニマルズ。展示というより、棲んでます。

 南館4階  和室「明倫」
 タタミの上にスッと立つシカ。広間にうずくまるネコ。隠れるようにブタ。広々とした人工の草原にノビノビと寛ぐアニマルズ。

 北館1階  ギャラリー北
 中央にドーンと聳えるペガサス。平塚市美エントランスホールのユニコーンよりも、ずっと馴染んで見えます。生まれ故郷に帰ってきたよう。角にフクロウ。反対側の壁に白く擬態したヤモリ。そして入口上にコウモリ。アニマルズはここで生まれた!といわれたら信じてしまいます。それくらいに馴染んでます。

 三沢さんの展示は横浜そごう、愛知トリエンナーレ、平塚市美術館エントランスホール、西村画廊等で何度か観ています。その中でも、今回の展示がダントツに楽しいです。アニマルズが棲む小学校で、オリエンテーリング。もう楽しくって仕方ありません。会期中無休で、夜も20:00まで開いています。

 会期:2011年4月10日(日)―5月22日(日) 10:00~20:00 (会期中無休)
 料金:無料

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2011年04月12日

●京都 2011 清水寺-産寧坂-円山公園-祇園

 仕事で関西へ出張した夕方、桜を観に出かけました。

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 京都駅から市バス206系統に乗り、五条坂で下車。まずは清水寺へ。鮮やかな朱の建物と、ライトアップされた桜。

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 斜面を覆う桜と、その上に浮かぶ大舞台。その向こうに京都タワーを中心とした京都市街が広がります。桜色の雲の上を歩くような、フワフワした夢心地。

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 産寧坂を通って四条のほうへ。春の闇に紛れて出歩く人影がロマンチック。

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 八坂の塔と月。ライトアップされてシルエットが夜空に浮かび上がる。神秘的な演出。

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 八坂神社を経て、突如視界が明るく開ける。満開の桜の樹の下で、光に満ちて繰り広げられる宴。心を丸ごと持っていかれるような、魔力と活気に満ちたハレの世界。その熱気が心地いい。

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 円山公園の枝垂桜。あんなに巨大な樹に、よくもこれだけ花が咲くものだ。大きく頭をもたげた龍のように見える。その周囲は記念撮影をする人で一杯。

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 その周辺で炊かれるかがり火が、野趣を盛り上げる。パチパチと燃える火は、暖かさと自然の厳しさの現れ。心の奥底まで響きます。

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 祇園白川の夜景。桜、水面、窓辺に写る人影。辺り一帯は記念撮影会場と化していて、舞妓さんを連れて歩いてる人もいたり。なんか怪しげで良い。

 清水寺から四条まで夜桜巡りをしてみました。歩くにはチョット長いかなーと思いましたが、桜の魅力に夢中になってあっという間でした。中でも円山公園の枝垂桜と花見の光景はひときわ印象的でした。

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2011年04月02日

●江戸の人物画-姿の美、力、奇@府中市美術館 (前期)

 府中市美術館で開催中の「江戸の人物画-姿の美、力、奇」(前期)を観ました。

美の百様
 志村榛斎「見立江口君図」。象の背に波濤が広がり、その中に遊女が腰掛ける。ダイナミックな構成に加えて、頭に挿した簪が放射状に伸び、普賢の化身というヒーロー造形がとてもカッコイイ。

「迫真」のゆくえ
 円山応挙「三美人図」。森美で観て以来の再見。それぞれの特徴を捉えた三人の女性像。「描かれた当人はどう思ったのだろう」という解説に、確かにと思った。自分たちのお得意さんの戯れと、笑って流したのだろうか。

聖の絵姿
 住吉広行「賢聖障子絵」。強弱ある黒い輪郭線が白地と赤地の衣装から浮いて見えて、マンガの輪郭線のようだった。

ポーズ考
 「舞踏図」。緻密に描き込まれた着物柄、扇子を手に動きのあるポーズ。金地を背景に6人の女性が並ぶ。写実的に見えて観念的。そんな世界に引き込まれます。
 円山応挙「鍾馗図」。上半身を少し捻り、左手を前に出して裾をキュッと掴み、右手は画面奥に隠れながら剣を握る。西洋人のような相貌。研究熱心な人だったのだろうなあ。
 谷文晁「法隆寺五重塔塑像図」。涅槃に入る釈迦の周りで従者たちが声の限り歌っているように見えた。
 海の向こうの不思議とロマン
 曾我蕭白「太公望・登竜門図」。府中市美といえば、蕭白。毎回毎回優品が出てきて本当に嬉しい。左手に水辺から跳ねる鯉、右手に大波を縫って姿を現す龍。白と黒の対比も明確。まとまりがとてもいい三幅対。上手いなあ。
 曾我蕭白「蝦蟇仙人図」。極端な縦長構図に薄墨でヘロヘロと、蝦蟇を調教(?)する仙人を描く。上手いなあ。

人という営み
 円山応挙「元旦図」。山裾から頭を出す日の出、伸びる男の影。簡潔に描かれた光と影。そして行間に満ちる余韻。機に敏な人だったのだろうなあ。
 西川祐信「高士と美人図」。雲間から覗き見して神通力を失う仙人。ところがどっこい、その後のエピソードがすごい。
 歌川広重「命図」。「ああ命取り女」。コミカルだけれど深い。
 曾我蕭白「美人図」。モノクロームの世界に彩色された女が立つ。口元にはスルメイカをくわえている。こえー。と思ったら手紙だった。でもやっぱり生々しくて怖い。
 林閬苑「妖怪図」。デフォルメの効いたプロポーションどりと、滑稽な表情とポーズ。何か分からないが面白い。現代の風刺画のよう。
 春叢紹珠「皿回し布袋図」。「水をこぼさなければ、わたしは豆蔵じゃ」。深い。けれどそれは置いておいて、楽しい。
 円山応挙「波上白骨座禅図」。府中の展示は毎回強力なオチで楽しませてくれます。今回は応挙のこれ。衣服も血肉もなくなって、一挙にスーパーヌード。解説文を壁面に大書して、エンディングを盛り上げます。それにしても大乗寺の応挙コレクションはスゴイ。一度出かけなければ。

かわいい
 白骨でキレイに空っぽになった心に、「かわいい」の文字がスコーンと突き抜けます。仙涯、蘆雪、若冲と有名どころを取り揃えて、見事な二段オチ。

 やはり府中市美の企画展は別格。毎回毎回、新しい視点を開いて見せる企画力と、個人蔵を多く集めてそれらを色付ける構成力。そして観客を楽しませる仕掛けをタップリ盛り込む演出力。桜の季節に柔らかく射す光。あたたかい。
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