2011年08月31日

●8月の鑑賞記録

 8/13
あこがれのヴェネチアン・グラス@サントリー美術館
 華麗なガラス細工の美しさを横糸に、その興隆、伝播、衰退、再生、現代へと時間軸の縦糸をつなぐ構成。技術書物、精巧な模倣作群、古典複製による復興、現代アートとしての表現。起伏のあるストーリーにぐいぐい引き込まれる。

 8/15
 立体曼荼羅展@東京国立博物館
 20分待ちで入館。6層を超える人垣にじっと並びながら、空海筆「聾瞽指帰」で自分の名前探し。立体曼荼羅は違和感を感じつつヒーローアトラクションを楽しむ。4番打者を並べた重量打線はかなり大味。人人人な印象が残りました。

 古代ギリシャ展@国立西洋美術館
 円盤投げを始めとする、究極の肉体。丁寧かつドロドロとした風俗解説。神話と俗世が混交する力の入った構成。なんかすごかった。

コクリコ坂から
 空から男の子が降って来て始まるラブストーリー。瑞々しい生活描写の中、真っ直ぐに現実を見つめる二人の視線が駆け抜ける。観たあとの清涼感が素晴らしい!ストーリーは背景に押しやって、とにかくその一点集中が潔い!

 8/21
 もてなす悦び展@三菱一号館美術館
 もてなすび再訪。ステキなポスターデザインや、cafe1894と合わせて、三菱一号館を楽しんだ。

 8/27
 GOOD DESIGN EXPO 2011
 グッドデザインアワードの二次審査会を兼ねた展覧会。意外なほどに建築関係の出品が多いが、どれもこれも同じような文章と図版が並んで、何がグッドデザインなのかピンと来ない。

第三四回 隅田川花火大会
 轟音、爆音。そして夜空に咲く大輪の華。身体全体で感じる、圧倒的な迫力。火に魅せられた。

 8/28
 東京の交通100年博@江戸東京博物館
 屋外展示された路面電車が「三丁目の夕日」そのままで、記念写真を沢山撮った。

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2011年08月04日

●山口 晃アーティスト・トーク@ヴァンジ彫刻庭園美術館

 ヴァンジ彫刻庭園美術館で開催中の「東海道 新風景 ― 山口晃と竹崎和征」
 そのイベントである「山口 晃アーティスト・トーク」に参加しました。以下メモです。

 前説
 司会の方から東大出身と紹介されたことを受けて。「東大ではなく東京芸大です。学芸大とよく間違われます。」
 エヴァンゲリオン。「Air/まごころを君に」。わけ分かんないを分かりやすく。「甘き死よ、来たれ」、「アリア」。つぼにはまった。気持ち良い。
 トークに期待されること。熱いトーク、軽妙なトーク。朴訥とした良さ。お色気はダメ。
 最近のエピソード。ズボンのチャックで新体験。。。
 東大建築学科3年の造形基礎を教えています。アルゴ探検隊の話題を振ったらスルー。

 作品について
 「サイトスペシフィック」から距離を置きたい。
 日常化力すごい。アートごときが何かやろうなんておかしい。
 ダッシュ村。縮まらない距離。
 「三島名所図会」。タクシーで三島を半日回った。運転手さんは修善寺の人で、一刻も早く通り抜けたい土地だった。
 図中の「緑の家」を、三島の人はみんな知っている。
 気楽な旅行者が立ち寄って描く。
 広重も部分しか行ってない。
 絵を見てから実景を見て、その落差と楽しさを味わって欲しい。
 「富士見の椅子」。見下ろしの富士。修正液の雪がなくなってきた。夏ですから!こういうインスタレーションが好き。

 三島の町
 良いところ。サイズがちょうど良い。人と地続き。日本の絵巻で怪物のサイズがちょうど良いのと同じ意味で。
 又兵衛のカラス天狗。国芳の為朝を救う讃岐院眷属。
 暴れ馬。ラオウの乗ってた馬。
 東京は人と切れた感じがする。

 その他の東海道
 「妖怪道五十三次」。天才。
 広重。中庸。国芳に通じる、いいところでほったらかす感じ。
 棟方志功。在り方に憧れる。自己催眠。
 竹崎和征。ナイスガイ。前回の対談にて「作品の意味は?」「別に」。カポンとしてやろうかと思った。「ぶっきらぼう」をやってみたい。

 質問
 Q.「たけしアート☆ビート」で彼氏が画家という相談の際に、山口さんが微妙な表情をされていましたが。
 A.たけしと芸大学長に挟まれて、学長がひもじゃないかとおっしゃって。まあ。。。
 「基礎は大切か?」という問いに関しては、応用が出来ればOK。基礎は現実に触れてその先へ行くための一つのパターン。
 聞いておいて時間がきたらプッツリ切る。テレビの病理の一つ。

 Q.制作時間はどれくらいですか?
 A.「階段遊楽図」で一月。最も長いのは「六本木ヒルズ」で二ヵ月半くらい。
 納期がきつい場合は水彩になって2日。線描と彩色。(+考える時間)

 交通アクセスが決してよくないこの立地に、150名ほどの人が押し寄せる光景はなかなか壮観。今回も巧みな話術で楽しませていただきました。エヴァネタ、しかも音楽を絡めたネタが出たのがちょっと以外でした。

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2011年08月01日

●7月の鑑賞記録

7/2
 倉俣史朗とエットレ・ソットサス@21_21デザインサイト
 オリベッティのタイプライター、ミス・ブランチ、ラピュタ。様々な名作プロダクトの実物を観られるのが魅力。同時に、それ以上の何かがあるとは思えない。よく出来た有料ショールームのようだった。

鳳凰と獅子@サントリー美術館
 若冲「旭日鳳凰図」の送別と、永徳「唐獅子図屏風」登場へ向けてのインターミッション。獅子の脇腹と背骨の浮き彫りが気になり、雪花の上品さを再認識、山楽「唐獅子図屏風」に期待感を高め、又兵衛の鳳凰を操る皇女、一蝶の滝に打たれる獅子に首をひねる。面白い。

 7/3
 肥前磁器の華@根津美術館。伊万里、柿右衛門、鍋島
 個々の磁器の美しさと、「並べることに意味がある」と開き直って展示の美を前面に出す構成が意欲的。実用の美をガラスケースに押し込める矛盾に、上手い補助線を引いたと思う。

 7/5
 Summer Show 2011@西村画廊
 三沢厚彦。大きな額装から小さな落書きまでドローイングを多数出展。立体は猫のみ。小林孝亘。大きなマスカットと小さな新作ドローイングが2点。画面に満ちる光がステキ。町田久美。2点。ちょっと画題が変わった?カプーアも一点。

松尾高弘インタラクティブアート展@ポーラミュージアムアネックス
 Aquatic Colors。観客の動作に反応し、無数のクラゲが浮遊する幻想的な空間体験が美しい。
 White Rain。LED光の滴る「雨」の中を散策する。どちらも音楽が効果的で、とても癒される。

 7/9
恐竜展@科博
 親子連れとカップルに大人気。一番人気はもちろんティラノvsトリケラトプス。夏休み前から大入り。

鳳凰と獅子@サントリー美術館
 永徳「唐獅子図屏風」登場!設置位置の低い展示が迫力満点。屏風の巨大さ、二頭の獅子の視線が交差する濃密さ、豪華絢爛な画面作り。永徳展よりも、皇室の名宝展よりも断然良い。若冲「花鳥図押絵貼屏風」。フワフワした鳳凰の尾羽、松の枝などの筆捌きが見事!

 7/11
橋口五葉展@千葉市美術館
 五葉といえば「髪を梳ける女」の緻密な描き込みと、色気ある女性像。でも今回の展示では、意外と硬い人物スケッチが多く並ぶ。その一方で、渓流(耶麻渓)等の美しい色彩と水流描写、スケッチブックの活き活きとしたイメージも点在する。作家像を掘り下げる意欲展。

ワシントンナショナル・ギャラリー展@国立新美術館
 ギャラリーの誇る常設9点の作品は、素晴らしい存在感。中でもマネ「鉄道」はひときわ目を惹く。カサットの表情豊かな子供たちも可愛らしい。ただ全体としてはコマが足りない感じ。去年のオルセー展を期待すると肩透かし感アリ。

 7/16
三鷹天命反転住宅 見学会
 もう一つの住む形を実体験できるパビリオン。強固な立方と球形状。その中に設えられた人工楽園。

 鳳凰と獅子@サントリー美術館
 永徳「唐獅子図屏風」にお別れを。前期に若冲「旭日鳳凰図」、後期に本屏風を配することで、全期を通して楽しませていただきました。

MIDTOWN RAINBOW@ミッドタウン・ガーデン
 夜空に飛び交うレーザー光とミストが、涼を呼ぶ。鳳凰が舞うような演出がサントリーの展示と連動して感じられて好印象。ミストが子供たちに大人気で、イベント後にあちこちでバスタオルを巻いた姿が見られた。ミッドタウンの盆踊り。

 7/18
国芳展(後期)@太田記念美術館
 待ちに待ってた、猫登場。猫文字等の柔軟な発想に驚かされる。スカイツリーも登場して、国芳エンターテイメントを堪能した。

シンセシス@東京都現代美術館
 キャタリスト公開制作!そして驚きのサプライズライブ、ゆず登場!!「栄光の架橋」が響き渡る吹抜けは、現代アートが化学反応する夢空間!満足度200%を振り切る、最高にスタイリッシュ!ほんま、カッコよかった!

 7/22
鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星
 宮崎アニメの中を、エドとアルが駆け抜ける!面白かったです。

 7/23
フェルメールからのラブレター展@京都市美術館
 手紙を中心としたコミュニケーションから読み解くオランダ絵画。とはいえ、やはりホーホの中庭空間とか、ボルの右上から射す光に眼が行く。そして、フェルメール。青、赤、黄の豪華三点揃いを堪能。じっくり見られるのが嬉しい。
 とはいえ、全43点というボリュームは鳴り物入り展示としては物足りない。青衣の女の色飛び気味にも見える画面、手紙を書く女の肌部のみのソフトフォーカスも気になる。修復でバランスを崩すこともあるのだろうか。

百獣の楽園 美術にすむ動物たち@京都国立博物館
 間口を広く、娯楽性強く構成した、夏休み企画。なんだけど、そこは京博。羊は雪舟、牛は宗達、虎に至っては光琳のコミカル虎の横に、芦雪の超本気虎!解説も「生きた虎、芦雪の超絶技巧にしびれたい」とあり、もはやファンレターレベル。心底、楽しい!

 7/25
皇帝の愛したガラス@東京都庭園美術館
 レースのような「フィルグリーナ」の意匠、2Fホールに広がる枝付燭台の非常に豪華なセット。かの「もてなすび」の皇帝版ともいえる内容と、庭園の美しさにうっとり。

 7/30
常設展@東京近代美術館
 原田直次郎「騎龍観音」は東宝怪獣映画のきぐるみのようだと思う。
 石本泰博「桂」の美しさを、近代絵画の中で再発見。畳と欄間が生み出す交差線、素材ごとに面分割したような外観写真、石畳のコラージュのような質感コンポジション。

 7/31
 山口 晃アーティスト・トーク@ヴァンジ彫刻庭園美術館
 美しく着彩された「東海道 新風景」が楽しい。特にムーミン神社がお気に入り。トークは相変わらずの面白さ。画伯の巧みな話術に気持ち良く転がされて満足。

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