2011年08月01日

●7月の鑑賞記録

7/2
 倉俣史朗とエットレ・ソットサス@21_21デザインサイト
 オリベッティのタイプライター、ミス・ブランチ、ラピュタ。様々な名作プロダクトの実物を観られるのが魅力。同時に、それ以上の何かがあるとは思えない。よく出来た有料ショールームのようだった。

鳳凰と獅子@サントリー美術館
 若冲「旭日鳳凰図」の送別と、永徳「唐獅子図屏風」登場へ向けてのインターミッション。獅子の脇腹と背骨の浮き彫りが気になり、雪花の上品さを再認識、山楽「唐獅子図屏風」に期待感を高め、又兵衛の鳳凰を操る皇女、一蝶の滝に打たれる獅子に首をひねる。面白い。

 7/3
 肥前磁器の華@根津美術館。伊万里、柿右衛門、鍋島
 個々の磁器の美しさと、「並べることに意味がある」と開き直って展示の美を前面に出す構成が意欲的。実用の美をガラスケースに押し込める矛盾に、上手い補助線を引いたと思う。

 7/5
 Summer Show 2011@西村画廊
 三沢厚彦。大きな額装から小さな落書きまでドローイングを多数出展。立体は猫のみ。小林孝亘。大きなマスカットと小さな新作ドローイングが2点。画面に満ちる光がステキ。町田久美。2点。ちょっと画題が変わった?カプーアも一点。

松尾高弘インタラクティブアート展@ポーラミュージアムアネックス
 Aquatic Colors。観客の動作に反応し、無数のクラゲが浮遊する幻想的な空間体験が美しい。
 White Rain。LED光の滴る「雨」の中を散策する。どちらも音楽が効果的で、とても癒される。

 7/9
恐竜展@科博
 親子連れとカップルに大人気。一番人気はもちろんティラノvsトリケラトプス。夏休み前から大入り。

鳳凰と獅子@サントリー美術館
 永徳「唐獅子図屏風」登場!設置位置の低い展示が迫力満点。屏風の巨大さ、二頭の獅子の視線が交差する濃密さ、豪華絢爛な画面作り。永徳展よりも、皇室の名宝展よりも断然良い。若冲「花鳥図押絵貼屏風」。フワフワした鳳凰の尾羽、松の枝などの筆捌きが見事!

 7/11
橋口五葉展@千葉市美術館
 五葉といえば「髪を梳ける女」の緻密な描き込みと、色気ある女性像。でも今回の展示では、意外と硬い人物スケッチが多く並ぶ。その一方で、渓流(耶麻渓)等の美しい色彩と水流描写、スケッチブックの活き活きとしたイメージも点在する。作家像を掘り下げる意欲展。

ワシントンナショナル・ギャラリー展@国立新美術館
 ギャラリーの誇る常設9点の作品は、素晴らしい存在感。中でもマネ「鉄道」はひときわ目を惹く。カサットの表情豊かな子供たちも可愛らしい。ただ全体としてはコマが足りない感じ。去年のオルセー展を期待すると肩透かし感アリ。

 7/16
三鷹天命反転住宅 見学会
 もう一つの住む形を実体験できるパビリオン。強固な立方と球形状。その中に設えられた人工楽園。

 鳳凰と獅子@サントリー美術館
 永徳「唐獅子図屏風」にお別れを。前期に若冲「旭日鳳凰図」、後期に本屏風を配することで、全期を通して楽しませていただきました。

MIDTOWN RAINBOW@ミッドタウン・ガーデン
 夜空に飛び交うレーザー光とミストが、涼を呼ぶ。鳳凰が舞うような演出がサントリーの展示と連動して感じられて好印象。ミストが子供たちに大人気で、イベント後にあちこちでバスタオルを巻いた姿が見られた。ミッドタウンの盆踊り。

 7/18
国芳展(後期)@太田記念美術館
 待ちに待ってた、猫登場。猫文字等の柔軟な発想に驚かされる。スカイツリーも登場して、国芳エンターテイメントを堪能した。

シンセシス@東京都現代美術館
 キャタリスト公開制作!そして驚きのサプライズライブ、ゆず登場!!「栄光の架橋」が響き渡る吹抜けは、現代アートが化学反応する夢空間!満足度200%を振り切る、最高にスタイリッシュ!ほんま、カッコよかった!

 7/22
鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星
 宮崎アニメの中を、エドとアルが駆け抜ける!面白かったです。

 7/23
フェルメールからのラブレター展@京都市美術館
 手紙を中心としたコミュニケーションから読み解くオランダ絵画。とはいえ、やはりホーホの中庭空間とか、ボルの右上から射す光に眼が行く。そして、フェルメール。青、赤、黄の豪華三点揃いを堪能。じっくり見られるのが嬉しい。
 とはいえ、全43点というボリュームは鳴り物入り展示としては物足りない。青衣の女の色飛び気味にも見える画面、手紙を書く女の肌部のみのソフトフォーカスも気になる。修復でバランスを崩すこともあるのだろうか。

百獣の楽園 美術にすむ動物たち@京都国立博物館
 間口を広く、娯楽性強く構成した、夏休み企画。なんだけど、そこは京博。羊は雪舟、牛は宗達、虎に至っては光琳のコミカル虎の横に、芦雪の超本気虎!解説も「生きた虎、芦雪の超絶技巧にしびれたい」とあり、もはやファンレターレベル。心底、楽しい!

 7/25
皇帝の愛したガラス@東京都庭園美術館
 レースのような「フィルグリーナ」の意匠、2Fホールに広がる枝付燭台の非常に豪華なセット。かの「もてなすび」の皇帝版ともいえる内容と、庭園の美しさにうっとり。

 7/30
常設展@東京近代美術館
 原田直次郎「騎龍観音」は東宝怪獣映画のきぐるみのようだと思う。
 石本泰博「桂」の美しさを、近代絵画の中で再発見。畳と欄間が生み出す交差線、素材ごとに面分割したような外観写真、石畳のコラージュのような質感コンポジション。

 7/31
 山口 晃アーティスト・トーク@ヴァンジ彫刻庭園美術館
 美しく着彩された「東海道 新風景」が楽しい。特にムーミン神社がお気に入り。トークは相変わらずの面白さ。画伯の巧みな話術に気持ち良く転がされて満足。

Posted by mizdesign at 2011年08月01日 05:54
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