2008年02月02日

●四国の旅 その5 「金刀比羅宮 書院の美」

 丸亀から琴平に移動。金丸座近くの大浴場(露天風呂付)で寛いで1日目は終わり。夜の琴平の閑散さに驚きました。
 そして2日目。宿から見る象頭山と、その中腹に点在する金刀比羅宮芸大美術館での展示から半年。いざ、「金刀比羅宮 書院の美」へ!
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 8:30少し前に書院前に到着。ほどなく開門。貼るカイロを背に、持つカイロをポケットに。防寒対策も万全です。
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 円山応挙「鶴の間」。降り立つ鶴、飛び立つ鶴。ここだけ中に入れず残念。
 円山応挙「虎の間」。畳に上がって正座して一枚一枚観る。これが現地で観る醍醐味。見上げれば高い天井、見返せば大きく張り出した庇、その先に庭園。中の描かれた世界が流れるように、外の自然へと繋がっていきます。「七賢の間」側の欄間が開いて、天井が連続し、左右の部屋の関係性が異なります。「水呑みの虎」を左右に引き分けて使者が入ってくるところを想像してドキドキ。その水は、鶴たちが佇んでいる水な訳です。襖の特性を活かした、一瞬の場面転換。「八方睨みの虎」のズングリとした眼、豹を雌の虎と勘違いしていたという解説もフムフム。部屋の端のネコバスのような虎は相変わらず可愛い。
 円山応挙「七賢の間」。塗りつぶされたという顔周りはやはり痛みが激しい。良くここまで復活させたものだ。
 円山応挙「山水の間」「上段の間」。大名、公家を迎える上段の間、その奥に広がる「瀑布図」は絶景。画面右上から流れ落ちる滝。白糸のように線を引き、荒々しく踊る波頭。そして水流は外へと流れ出て、庭園の池へと至ります。応挙の絵に合わせて作庭したと言う解説におどろきました。去年観た「保津川図屏風」も良かったですが、空間と一体化したこちらもすごい。
 邨田丹陵「富士一の間」「富士二の間」。一の間の裾野を長く取った富士。その景色を仰ぎつつ、二の間で巻狩に興じる武者たち。二部屋使った遠景と近景の演出が決まってます。
 土産物コーナーを経て奥書院へ。
 伊藤若冲「上段の間」。最大の見所「花丸図」は、襖は外して別に展示+解説。その先は作品と直に対面。空間と一体化する描画から一転して、植物の細密画が幾何学的に並びます。一つ一つ異なるオブジェを等質に並べ、壁を埋め尽くす。息が蒸せるような濃密な美。そのセンスはとても現代的。若冲の構成力はすごい。別当の邸宅だそうですが、ここで暮らせる人もすごい。光の加減か、金色に輝く奥面が特に強烈に印象に残ります。部屋の中に立ってみたい。
 岸岱「菖蒲の間」。「群蝶図」のヒラヒラと舞う蝶の描写が可愛らしい。
 岸岱「柳の間」。「水辺柳樹白鷺図」の部屋中に柳が茂る描写は見事。空間が円山派の流儀に戻ります。伝伊藤若冲「飛燕図断片」も展示中。どんな絵が描かれていたのでしょう。
 白書院。未完なので特に何もなし。
 これで朝の散歩は終わり。玄関でTakさん夫妻と合流して、再度書院を観ました。

 御本宮まで御参りした帰り道、話題の新茶所「神椿」で休憩しました。雪が散らつく寒空の日に、オーダーしたのは神椿パフェ。一行のテンションはそんな感じでした。黄色いお盆、カラフルなパフェが、白地に青の陶版に映えます。とても美味しかったです。
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Posted by mizdesign at 2008年02月02日 18:19
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コメント

先日、終わってしまったんですよね〜。
書院の中で直接見られたのはやはりよかったです。
外からの光が障子を通して柔らかく入ってきたりするのって、やっぱり美術館では無理ですもんね〜。

Posted by あおひー at 2008年02月02日 20:52

>「水呑みの虎」を左右に引き分けて使者が入ってくるところを想像してドキドキ。
私はそこまで想像できませんでした。今になってドキドキしてしまいます。
さすがmizdesignさんですねー、感性が鋭いです。

Posted by ogawama at 2008年02月02日 23:04

記事が全然書けません。。。
このまま流してしまうかも。

花椿だけとりあえずTB送りますね。

Posted by Tak at 2008年02月03日 21:19

こんぴらさんで観る
「金刀比羅宮 書院の美」素晴らしいですね。
東京藝術大学もよく努力されていましたが、
やはり襖絵は畳の視線での鑑賞が一番。
書院二度鑑賞は美味でしたか?
神椿も魅力的なんですけど....

Posted by panda at 2008年02月03日 23:29

こんばんは。怒涛の琴平+直島レポート、ありがとうございます。すっかり行った気分なりました!

芸大の展示もあの手狭なスペースを使って良くここまでと感心しましたが、やはり現地で見るのとはまた別物のようですね。瀑布図が本物というだけでも価値がありそうです。

パフェ、ミズさんにぴったりのデザートですね。私も何とか私も近い内に、琴平、直島、猪熊などの四国ツアーをしたいです。

Posted by はろるど at 2008年02月04日 00:19

あおひー様>
こんばんは。
やはり障壁画は実際の場所で観るのが理想だと思います。
建物、庭も含めて一体なものだと感じました。

ogawama様>
こんばんは。
応挙はとても空間を意識しているので、観ていて楽しいです。全く違うアプローチですが、若冲も然り。そこが人気に源だと思います。

Tak様>
こんばんは。
先日はありがとうございました。
それにしても、一泊二日で二度も交差する変わった旅行でしたね。

panda様>
こんばんは。
「書院の美」は満足です。
芸大美術館の顔見世も良かったですが、実際の場は別格でした。
神椿はランチの予約を入れようとしたのですが、既に埋まってました。

はろるど様>
こんばんは。
四国ツアーは思う以上に楽しかったです。
これからは暖かくなって旅行にピッタリですね。

Posted by mizdesign at 2008年02月05日 22:36

やはり、ホンモノの書院の中で眺めると
臨場感がちがいますね。
ようやく、芸大の展示方法が理解できました。
一週間ずれて、雪でなくて良かったですね。

Posted by 一村雨 at 2008年02月06日 18:10

一村雨様>
こんばんは。
雪景色は好きですが、あの階段を上るのは難儀ですね。
そういえば、御本宮へ上る参道が、雪による倒木で閉鎖されていました。

Posted by mizdesign at 2008年02月06日 21:21
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