2007年06月14日

●肉筆浮世絵のすべて (後期)

 出光美術館で開催中の「肉筆浮世絵のすべて」(後期)を観ました。ここの良いところは、選り抜きの優品だけをゆったりと並べる質の高い構成と、照明。さらに展覧会に合わせて入口出口が入れ替わる会場と、休憩コーナーからの皇居の眺め。そして有楽町すぐの立地と、比較的空いていて落ち着いて観られる環境。茶室に上がれないのだけが残念。

 今回の展示は、浮世絵の歴史をその誕生から末期まで、肉筆浮世絵を用いて見せてゆきます。
 展示室1は浮世絵誕生前夜「寛文美人」から始まります。そして浮世絵師「菱川師宣」率いる菱川派の登場。遊里、美人画と、狭義浮世絵が始まります。趣を異にする伝菱川師宣「浄瑠璃芝居看板絵屏風」も並んで、インパクトあります。続いて「懐月堂安度」率いる懐月堂派。ズラリと並ぶふくよかな美人と、安度を模倣し、安度の流刑と共に衰えたという盛衰が印象深いです。間に鳥居派が少し並びますが、六大絵師に数えられる鳥居清長の作品はなし。千葉市美術館の「江戸のヴィーナス」と合わせてみれば、補完は完璧。時期を合わせた?
 展示室2、そして展示室3へ。勝川春章「美人鑑賞図」は去年の「名品展Ⅱ」でも観ましたが、建物も美人もしっかりと描いてあって観入ってしまいます。「喜多川歌麿」とそのライバル「鳥文斎栄之」の登場。特に栄之の作品が4点並び、今回ばかりは栄之に軍配が上がります。そして「葛飾北斎」率いる葛飾派。「樵夫図」「春秋美人図」を見比べて、本当に何でも描ける人なのだと感嘆。最後は歌川派。広重も属する最大派閥。酒井抱一の浮世絵があるのにはビックリ。
 版画に比べて非常に高価かつ希少であろう、肉筆画だけで浮世絵の歴史を辿るという非常に贅沢な構成です。次々と登場する名手とその一派の栄華盛衰を巡る歴史絵巻と観ることもできます。粒揃いの作品を観ることで、教科書を読むよりもはるかに直感的に、浮世絵の醍醐味に触れられると思います。

 この日は、千葉市美術館で「江戸のヴィーナス誕生」を観た後、総武線快速で東京まで移動しました。夏の若冲イベント、上野の「金刀毘羅宮書院の美」(7/7-9/7)と千葉の「若冲とその時代」(8/7-9/17)をハシゴするつもりなので、その予行です。「意外」と近いです、千葉と東京。
tokyo_20070610-1.jpg

Posted by mizdesign at 2007年06月14日 01:55
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? 肉筆浮世絵のすべて ・出光美術館 from あべまつ行脚
今回は、母が来ていたので、一緒に浮世絵を楽しみに出光まで出かけてきた。 母も美術館が大好きなので、母娘で楽しい時間が持てた。ここのところ、出光の展覧会には、と... [続きを読む]

Tracked on 2007年06月16日 22:50

? 「肉筆浮世絵のすべて(後期展示)」 出光美術館 from はろるど・わーど
出光美術館(千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階) 「肉筆浮世絵のすべて(後期展示)- その誕生から歌麿・北斎・広重まで」 5/30-7/1 約70点に及ぶ... [続きを読む]

Tracked on 2007年06月25日 01:14
コメント

こんにちは
浮世絵の肉筆画は、今年のはじめ(だったかな?)両国の江戸東京博物館で開催
されていたボストン美術館展で目にして、言葉を失うくらいの美しさに感動しました。

なので、出光美術館も行きたい行きたいとおもいつつもう後期も
残すところあと残りわずかの日数となってしまいましたね。急がねば!

私も出光美術館の休憩コーナーからみたこの景色↑が大好きです。
今では東京駅前に高層ビルがいくつもできてしまい、皇居を見下ろすなんてあたりまえ
みたいになってしまいましたが、ちょっとまえまでは、ここくらいだったと思います。
(オフィスビルは一般人、入れませんから・・・笑)

Posted by Emmy at 2007年06月14日 13:19

そうですね。後期の鳥文斎栄之の作品には
私も感激しました。

千葉~東京は、常磐線でいえば、ちょうど柏~東京と
同じくらいの感覚でしょうね。

Posted by 一村雨 at 2007年06月14日 23:18

Emmy様>
こんばんは。
去年のビゲローコレクション展は本当に凄かったですね。
描き上げたばかりのような北斎筆の幟や、妖艶に微笑む鳳凰、師宣の遊里図屏風と、目に焼きつくようなインパクトのある作品が並んでいました。

今回の出光はスケールは比較的小ぢんまりとしていますが、体系立てて並んでいるのが良いです。浮世絵の歴史に直感的に触れられるのは、出光ならではと思います。

一村雨様>
こんばんは。
歌麿のような天才は、ポンと現れるわけでなく、ライバルとの切磋琢磨の末に光輝くわけですね。
清長の八頭身ヴィーナスや栄之の画を観てそう思いました。

千葉-東京は、言われてみれば、柏-東京と同じくらいですね。総武線快速早い!柏から見ると、千葉は遥か遠くという印象があるので意外です。

Posted by mizdesign at 2007年06月15日 00:51

こんばんは。
去年の若冲から、ずっと、江戸の絵師達に引きずられてしまっています。
出光は、私も大好きな場所です。
リニューアルが待ち遠しいです。
TBさせていただきました。

Posted by あべまつ at 2007年06月16日 22:58

あべまつ様>
こんにちは。
TBありがとうございます。

若冲が開いた(辻先生が開いた?)現代と江戸時代との接点を通して、江戸絵画を観る楽しみは格段に増したと思います。中でも出光は出色ですね。元々コレクションは凄かったわけですが、それに加えて観てもらうための努力をきっちりしているので、余韻が違います。

今回のリニューアルも楽しみです。
どんな仙崖展を見せてくれるのでしょうか。

Posted by mizdesign at 2007年06月18日 08:24

こんばんは。

>鳥居清長の作品はなし。千葉市美術館の「江戸のヴィーナス」と合わせてみれば、補完は完璧。

千葉市美でもう目のクラクラするほど拝見できたので、
ここはサラッと流せました。(笑)

>酒井抱一の浮世絵

結局、この作品目当てだったのですが、
もう他の歌川一派の作品が見事過ぎてやはり分が悪かったですね…。

>夏の若冲イベント、上野の「金刀毘羅宮書院の美」(7/7-9/7)と千葉の「若冲とその時代」(8/7-9/17)をハシゴするつもりなので、その予行です。「意外」と近いです、千葉と東京。

早速の予行練習でしたか!
千葉ー上野は京成で一本なのですが、
JRよりも時間がかかってしまうのが難点ですよね。
(なにせ千葉線は各駅停車しかないもので…。)
やはり総武快速ですっ飛ばすのが良さそうです。

Posted by はろるど at 2007年06月25日 01:21

はろるど様>
こんにちは。
抱一と浮世絵というのもプチブームみたいですね。ここらで抱一展が見たいです。畠山も行けなかったし。。。

予行は、ちょっと遠いかなというのが正直なところ(笑)。若冲展共通チケットでも発行して、千葉-東京ツアーに力を入れて欲しいです。

Posted by mizdesign at 2007年06月28日 09:03
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