2018年02月13日

●Dubai, Abu Dhabi 旅行記 その1 概要編

 2018/02/14(水)~02/20(火)まで、Dubai - Abu Dhabi と旅行してきました。その覚書です。
■きっかけ:
 「そうだ、建築を観よう」と思い立ちました。期間は1ヶ月。1週目は中国で王澍建築、2週目は京都で普段は観られない要予約建築、4週目は記録整理等に。残る3週目は、「今一番訪れたい建築」を観に行こうと考えた。思い浮かんだのは、「Louvre Abu Dhabi」。8重の網目構造の屋根から光の降り注ぐ半屋外空間を中心とする空間経験、同一テーマ×異文化の遺物を並列展示する展示構成も観てみたい。レオナルド・ダ・ヴィンチ「サルバドール・ムンディ」の展示が発表される等、話題性も抜群。
 Abu Dhabiに行くのであれば、その隣国Dubaiにある世界で一番高い建物「Burj Khalifa」とその周辺ダウンタウンも体験したい。2008年のファンドバブル時はその発展スピードと規模から「世界最先端の都市」と思えたけれども、リーマン・ショックを経てどうなっているのだろう。
 日本からは飛行機で半日ほど、両国間の移動はバスで2時間程度らしいので、両国とも2泊の4泊+飛行機往復の旅程で計画することに。
 まずは飛行機。DubaiのEmiratesとAbu DhabiのEtihad Airwaysの直行便を比較すると、Emiratesの方が数万円安いので、Emiratesに決定。行きは21:20成田発、帰りは02:55Dubai発の深夜便を利用、出発10日前の予約で\94,250円(運賃、サーチャージ、税金等込)。JALとのコードシェア便だけれども、JALだと3万円位高い感じ。

■旅程:
 2/14(水) 21:20 成田⇒2/15(木) 04:25 Dubai (2泊)⇒2/17(土) Abu Dhabi (2泊)⇒Dubai 2/20(火) 02:55⇒成田 17:20 計6泊7日 (往復とも深夜便なので、空港・機中泊×2の実質4泊5日)の旅でした。

■お金:
 前回中国元を良レートで両替してくれた両替屋さんではUAEディルハムの取り扱いがなかったことと、他の両替屋さんではレートがかなり悪い(Dh1=34円くらい)こと、現地ではクレジットカードが問題なく使えそうなこととから、両替は最小限にしてホテル代等はカードで支払うことに。成田空港で2万円弱をDh600に両替。円はDhに対してレートが悪い印象。
 傷害保険は何かあった時の対応力に期待して、今回もAIUのゴールドコース(8,740円)を申込みました。

■インターネット:
 WiFiは前回同様Global WiFiを申込み。UAEは旅行者が少ないせいか、価格コム経由で申し込んでも特に割引なしかつ空港・機中泊×2の分、前回に比べてやや割高な感じ。しかも大容量プランがないので、GPS代わりに使うと通信料制限をすぐに超えそう。とはいえ現地受取・返却で手間取ると時間がもったいないので、14,070円(7日間レンタル、補償付)で決定。

■交通:
 Dubaiはメトロを主手段にして、必要に応じてトラム、モノレール、渡し船を利用。
 Abu Dhabiはタクシー。
 真冬でも平均気温は25℃くらいあるので、日中は暑く、徒歩での移動は基本的に避けます。

■宿:
 今回は宿選びが一番迷った。今回の目的は、「砂漠の中に突然現れた超近代都市を楽しもう!お金をかければこんな楽しい時空間体験が作れちゃうんだ、すごいなー」という実体験をすることです。「でもそれって、カップルや親子連れが最大限楽しめる、ディズニーリゾートのような場所だよね?お一人様で出かけてどうするの?」という根本的な疑問があります。また、歴史ある都市であれば散策する楽しみもあるだろうけれども、急造都市にそれはなさそう。砂漠でウロウロ歩いてたら熱射病で倒れそうだし。自分がどう時間を過ごしたいのか、イメージが湧かない。
 実際の予約は毎度おなじみbooking.comを使うことに。Dubai、Abu Dhabiで検索するとズラリとホテルが出てくるけれども、なんかピンと来ない。生活的にも気候的にもあまりに馴染みがないので、今回は観光と割り切って、「五つ星」かつ「口コミ評価8以上」という条件で絞り込むことに。下は1.5万円/泊くらいから、上は100万円/泊に迫るところまで、相当な幅あり。(金額は部屋単位。基本的に一人用の部屋はない)
 DubaiはBurj Kharifa中心に回りたいので、Downtownエリアかつメトロ駅近くという立地で絞り込み。ちょっと高めだけれども駅隣接のSofitel Dubai Downtownを約Dh1,000/泊(朝食込)で予約。税等を含めると1.25倍くらいになるので、2泊でDh2,500=7万5千円くらい?朝4:25空港着なので、「できれば朝に荷物を預けて、午後なるべく早い時間にチェックインしたい」旨をリクエストしておく。定時だとチェックインは15時から。
 Abu DhabiはDubaiに比べると安め。Sheikh Zayed Bin Sultan Al Nahyan Mosque近くのThe Ritz-Carlton Abu Dhabi, Grand Canalが約Dh750/泊であったので、予約してみる。税等を含めると2泊でDh2,000=6万円くらい?こちらも「お昼に荷物を預けて、一度出かけて、夕方に戻ってチェックインしたい」旨をリクエスト。

■建築:
 Dubai Mall, Burj Khalifa, Dubai Fountain が作り出す都市体験は、そのスケール、設備、デザインともとても水準が高く、世界一を標榜するだけのことはある素晴らしいモノでした。
 Dubai Downtownに立つと、まずBurj Kharifaを探す。天を突く剣のような外観は、「世界で一番高い建築」というイメージととてもマッチする。
 Dubai Mallは巨大なショッピングモール。内部は空調が効いて快適で、広い広い館内も、いくつかある「広場」と「通り」の組合せが構成されていて、意外と歩きやすい。歩いていると水族館の巨大な水槽、氷を張ったスケートリンク等が現れて楽しい。日本の店だと紀ノ国屋書店、ダイソー、無印良品等が出店。価格的にはどの店も日本の二倍くらいの感じで高級路線。Dubai Fountainに面した立地にApple Store。テラスはDubai FountainとBurj Kharifaを眺める特等席。夕暮れ時からはテラスに出る人が規制される。
 Dubai Fountainの噴水ショーは13:00、13:30、18:00以降30分毎。1回3分くらい。音楽に合わせた水の動きが楽しい。Souk Al Baharへと渡る橋の上は凄い人出になるけれども、観る分には困らない。
 クライマックスはBurj Kharifa。124、125階の展望台、At The Topは必見。夕暮れ時はDh215(その他はDh135)とお値段もすごい。設計コンセプトでは「砂漠の花:スパイダー・リリーに基づく設計」を謳ってはいるものの、実際には地域性を全く感じさせない作りは、「それが都市と言えるのか?むしろテーマパークに近いのではないか」という疑問が浮かぶけれども、時間消費型アミューズメント空間として快適で楽しいことは間違いない。
 中でも、中国の旧正月を祝うプロジェクションマッピングがすごかった。塔が光り輝き、黄金の龍が天へと昇り、再び地へと降り、水中に潜ると同時に噴水の水が立ち上がり、最後は赤い幕が天より降りて旧正月を祝う。まさに圧巻。わざわざ旧正月を避けて上海旅行に行ったのに、まさか中東で旧正月の盛大なお祝いに遭遇するとは。世界どこでも中国。

 Louvre Abu Dhabi。アプローチから期待は高まり、GrandVestibuteの整形の外形に、各国都市名を線で結ぶ謎めいた床パターンを敷き、鋭角的な展示ケースを並べる。ケースの中には同一テーマで三つの文明の遺品を展示。静的な箱の中に動的なピースを配するとてもダイナミックな鑑賞体験。展示への期待を高めます。その先に展示室。整形の外形、床外周を石張り、その内は幅広フローリング。壁は白基調の塗り壁、天井は壁と連続する塗り壁に細い波状パターンのある板ガラスを吊ったシステム照明。白基調の主室に対して、所々不整形かつ黒基調の附室を設ける。展示室と展示室の移動の際に中庭等の景色が垣間見つつ、12の展示室を移動する。室自体は整形で非常にオーソドックスかつ展示が非常に映える。建築と展示が創り出すシークエンスは千変万化でとても見応えがある。そして中庭へ。8層ネットの屋根から降る光が本当に美しい。四方を海に囲まれ、建築と水との織り合いも見どころ。水面の上のステージでモデルのようにポーズを決めて記念撮影する人、水辺へと降りる大階段で寛ぐ人々。太陽の動きに合わせて降る光の向き、床に映る光のパターンも変化するので、いつまで経っても飽きない。展示と中庭で4時間過ごした。本当に観に来て良かった。引き続き2つの美術館とアートセンターも計画中(建設中?)らしいので、また完成したら観に行きたい。

■観光:
 Downtownを一回りしたら、メトロでマリーナ地区へ。超高層ビルを眺めつつ、20分ちょっとでJumeirah Lakes Towers Station着。トラム、モノレールと乗り継いで、Palm Jumeirahを横断し、沿道の高級住宅街を眺めつつ、Atlantis, The Palmへ。カフェで一休みしようとロビーを一周するも、どこも結構な混雑で結局元来た道を戻る。モノレールからの眺めがまさにディズニーリゾートで面白い。
 Old Dubaiでは渡し舟(Abra)が面白かった。運賃Dh1で乗船人数が揃ったら出発して、対岸まで数分。本当に地元の人たちの足という感じ。3つあるSouk(Gold, Textile, Old)は観光記念という感じ。Dubai Museumは昔のDubaiの暮らしを知ることができる。風の塔はその涼しさを感じることができて良かった。でも、ひっきりなしに観光バスで押し掛ける観光客の大群に辟易。地下の展示も照明が変に色が付いていて見難い。最後に地上へと戻る螺旋状スロープを上手く活かしたギフトショップの作りが良かった。Bastaikiya歴史保存地区は歴史的建築物を保存しつつカフェやギャラリーに改装していて散策して楽しい。でも金曜日(Dubaiの休日)だったのでほとんど閉まっていて残念。Old Dubaiはどこもゴミゴミした日常感があり、観光としては今一つ楽しめない。
 Abu DhabiではEmirates Palace Hotelで金粉カプチーノとブルーベリーケーキをオーダー。2日前にLe Cafeを予約しようとメールしたら、満席との返事だったけれども、代わりに噴水そばで屋外カフェを営業しているとのこと。ゲートを入る際に予約の有無をチェックされると聞いていたけれども、実際にはタクシーで素通り。旧正月で中国人の人たちが大量に訪れているので特にチェックもしなかったのだろうか。まずは建物ロビー階を歩き回って、噂の金ピカ内装を観て回る。大きな吹抜け部には旧正月を祝うパビリオンが設けてある。本当に中国の存在感はすごい。噴水のそばは意外と涼しくて気持ち良かった。
 Sheikh Zayed Grand Mosque。一番美しいと言われる、日没の頃に合わせて訪問。外観はとても大きく、白く、美しい。そして山ほどの観光客。荷物検査でWiFiは持ち込み不可と言われて預ける。尖塔シルエットが図として地としてとても美しい。大撮影会場と化している長い回廊をノンビリと進む。柱の植物パターンも全て石の組合せで表現してあって、その手間に気が遠くなる。途中で通路がお祈り用と観光用に分かれる。信仰の施設であり、観光地でもある。その寛大さに感謝。内部に入ると、噂のスワロフスキー製のシャンデリアが吊り下がり、世界一大きなペルシャ絨毯が敷いてある。その美しいこと!イスラム建築独特の面と光の美しさに見惚れる。堂内の人々はみんな上を見上げて写真を撮るのに大忙し。外に出るとちょうど夕暮れ時で、白い外観がオレンジ色に包まれて、柔らか味を感じさせる美しさ。これも絶景。

■まとめ
 観たいと思ったものは観ることができました。それを自分の持つ「建築・都市」という尺度で捉えることが適切なのか、それともアミューズメント空間的な捉え方をする方が実態に沿うのか、整理しきれていません。一人で体験する場合と、複数で体験する場合も異なってくるのでしょう。
 Abu Dhabiは全てタクシーでの移動だったので、どれも点としての捉え方しかできず、線的・面的には体験できませんでした。メトロがあり、景色を自分のペースで眺めることができるDubaiの方が都市的と言えるかもしれません。
 ここで観た現在進行形未来と、自分が携わる現実とその延長が、どこかで交差することがあるのだろうか。全く別モノだろうか。建築・都市をつくる際に使う技術系は接点があるはずですが、求めるビジョン、アウトプットは全然違うのかもしれません。とりあえず記録を残して、自分なりの理解は後の課題に先送りします。

Posted by mizdesign at 2018年02月13日 23:17
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