2009年09月12日

●特別展「黄金の都シカン」@国立科学博物館

 上野の国立科学博物館で開催中の特別展「黄金の都シカン」を観ました。今回はこちらの告知で知った「一日ブログ記者」に応募して鑑賞しました。「取材(鑑賞)日は自由に設定可!会場内撮影OK!特典多数!」のとてもありがたい企画です。

 題材は科学博物館お得意の「南米ペルー文明の遺産」。今回は「インカ」、「ナスカ」といったメジャーどころに比べると知名度が低い「シカン」を取り上げます。日本人の研究者が30年かけて発掘調査を続け、その全貌を解き明かしてきたという解説と、夏休みの季節特有の探究心の高まりがあわさって、古代へのロマンが掻き立てられます。

注:画像は主催者の許可を得て撮影したものです。


 プロローグ 考古学の世界へようこそ!
 考古学の先達の紹介から、本展の主役の1人である島田教授の紹介。そして最後に発掘道具と発掘品の綿密なスケッチ。壁面には大量の発掘現場写真パネル。この地道な努力の積み重ねが、土に埋もれた古代文明を蘇らせる。ようこそ、シカンの世界へ!
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 ロロ神殿を中心とする発掘現場周辺の模型。往時のピラミッド(透明プラスチックで造形された部分)は朽ち果てつつも、何度もの調査(小さな紙片が置かれた窪み部分)の繰り返しと、その出土品の解析を経て、失われた文明が姿を現します。何台もの液晶モニターから映像が流れ、立体的にその過程が再現されています。
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 第1部 シカンを掘る!考古学者の挑戦
 そして本編。修復を施した出土品による、「黄金文明の遺産」。本展のキービジュアルに用いられている「シカン黄金大仮面」がドーンと登場します。「月の宮殿」を意味する「シカン」に因んで、黒地に白い三日月をモチーフにした展示スペースもスマート。女性埋葬者も登場して、シカン文明を巡る謎解きが続きます。
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 第2部 シカン文化の世界とインカ帝国の源流
 大物出土品のデモンストレーションの次は、「宗教、交易、卓越した技術、人々の生活、環境条件、社会構造」の6つの側面から、文化を読み解いてゆきます。赤い布地を背景に煌く黄金が、とても魅惑的です。その美しさに魅せられ、自ずからその文明について、もっと知りたい!という欲求が湧いてきます。
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 刺繍の出土品。キャラの可愛さになんとも惹かれます。たとえ往時とは意味合いが全く違うとしても、現代の文脈で魅力を持つことは素晴らしいことだと思います。
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 「黄金の御輿」。階層構造の頂点に立つであろう人物に相応しい、豪華で精緻な造形。
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 「魅力的な黄金文明の遺産」+「日本人研究者の研究の軌跡」という二本立ての構成は、親近感と古代への憧れが重なって、とても魅力的です。また、「一日記者」という企画も展示を観る視点が変わって面白いです。このような機会を設けて下さった関係者の方々に深く感謝いたします。

Posted by mizdesign at 2009年09月12日 23:54
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Tracked on 2009年12月03日 22:56
コメント

こんにちは。

行って来られましたね!
1日記者!!

展示ケースに模様を施したりすること
多分これまでここの展示ではなかったこと。
意欲的な取り組みですよね。

Posted by Tak at 2009年09月14日 10:28

Tak様>
こんにちは。
照明と展示ケース凝ってましたね。
赤地に黄金の煌きが映えていました。
「月の宮殿」をイメージした、黒地に三日月も良かったです。

Posted by mizdesign at 2009年09月15日 19:54

こんばんは。
残されたものから想像する楽しみ。
遺跡系の展示は「想い」というものが強く働くような気がしました。

Posted by あおひー at 2009年09月15日 22:28

あおひー様>
こんにちは。
30年かけて古代史を掘り起こすのは、強い思いの為せる技ですね。
錆だらけの遺物が煌めきを取り戻す様は、「蘇る」という表現がピッタリでした。

Posted by mizdesign at 2009年09月18日 08:19

こんばんは。展示がまた器用でしたね。黄金の仮面が暗がりに浮かび上がる様は圧巻でした。(写真は大変でしたが…。)

島田教授の存在も大きかったと思います。
次回展もきっとあるでしょうね。

Posted by はろるど at 2009年09月19日 21:16

こんばんは。
初めてコメントさせて頂きます。

私達もTakさんにご紹介を頂き
母子で本日行って参りました。
黄金もとても美しかったのですが
土器の表現力に母子ではまってしまいました。
とても楽しかったです。

写真OKと言われても撮影はとても大変でした。
手ぶれはするし人は多いし本当に難しかったです。。。

また訪問させて頂きます。

Posted by せいな at 2009年09月25日 22:17

はろるど様>
こんばんは。
定点観測的な視点と、黄金文明のロマンが融合して、奥行のある展示になっていました。
展示ケース等、お金もかかってましたね。

せいな様>
初めまして!
会場暗いし、人多いわで、写真はあきらめようかと思いました。
でも写真を撮ることで展覧会の印象が一層深まって、良い機会になりました。

Posted by mizdesign at 2009年09月28日 20:30
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