2007年05月20日

●そうだ京都に行こう-奈良、大阪

 翌日は奈良へ。近鉄特急が見慣れたオレンジ地にブルーのラインでないのにビックリ。伊勢志摩ライナーというらしいです。運良くサロンカーという豪華車両に乗れたので、ゆったり気分で奈良へ。
nara_20070513-01.jpg

 国宝、重文ゴロゴロの奈良博神仏習合」を観た後、学園前に移動して大和文華館へ。オシャレな学園都市の趣のある駅前、門から建物が見えない広大な敷地、木々の向こうに見えてくる建物。展示館の竣工は1960年、設計は吉田五十八。源氏物語絵巻で有名な五島美術館と、同い年、同じ設計者、私鉄の社長さんが作った美術館という点でも同じ。
 「松浦屏風と桃山・江戸の美術」を観ました。入ってすぐの尾形光琳筆「扇面貼混手筥」の六面に渡る光琳尽くし、人が円を描く「輪舞図屏風」の構図も面白いですが、やはり目玉は「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」。ほぼ等身大に描かれた遊女達が、着物の意匠を凝らし、遊興に興ずる様はとても魅力的です。彼女達の表情だけを見ればマネキン的な無表情にも見え、遊郭の大部屋の壁面を飾っていた顔見世図にも思えます。その絵を気に入った数寄者の旦那が買い受けて、屏風仕立てたのかと空想が広がります。名作というよりも怪作の類だと思うのですが、悔しいくらいに目が離せません。芸術新潮でのビックリな裏話が記憶に新しい尾形光琳筆「中村内蔵助像」も観られて良かったです。
 建物は竹の生えた中庭を囲む一室のみの展示ですが、そのあっけらかんとした作りと、中ほどで海のように池を見せるバルコニーの演出が、見応えある展示と相まってとても素敵な空間になっています。期待を遥かに上回る一時でした。
nara_20070513-02.jpg

 近鉄電車で生駒の山を越えて、大阪へ。山を下る際の、超高層が林立する眺めがけっこう衝撃的でした。肥後橋駅から土佐堀を渡って国立国際美術館へ。川の上を高速道路が走り、その脇にニョキニョキと超高層ビルが建つ景色は西も東も同じですが、こちらの方が節操がないように思います。
 国際美術館の、地上にモニュメントのみを露出させて、建物を地下に埋める構成は理に適っていると思いますが、実際の空間としては今一つ。周囲の再開発ビル群の中に埋没しています。
 「様々な祖形 杉本博司 新収蔵作品展」を観ました。作家自身による会場構成は、写真を飾るパネルの並びが列柱のようです。吹抜け部に人物写真を掲げ、列柱の片面は建築シリーズ、反対面は観念の形シリーズが並びます。道具立ても作品も魅力的ですが、会場が広いわりに数が少ないせいか、薄味な展示に思えました。
osaka_20070513-01.jpg

 最後はJRが誇る新快速でビューッと京都へ。駅の横に出現した都市型広場は健在です。色々と物議を醸しましたが、この建物は空間としては正解だと思います。
 ものすごく充実した二日間でした。
kyoyo_20070513-01.jpg

Posted by mizdesign at 2007年05月20日 02:03
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mizdesign.com/mt/mt-tb.cgi/449

コメント

こんばんは。

ミズさんが撮ると何気ない風景も
こうして絵になるから不思議です。

奈良から大阪への移動
「時代」も移動したかと思ったほどでした。

Posted by Tak at 2007年05月23日 23:21

Tak様>
こんばんは。
奈良の緩さと、大阪の節操のなさは好対照でしたね。間の学園前の品の良さも効いていました。

相対的に東京の超一極集中を実感する一方で、京都、奈良、大阪とそこに行かなければ観られないモノがあると実感できたのは良かったです。

Posted by mizdesign at 2007年05月24日 02:04
コメントしてください




保存しますか?