2017年04月22日

●ファッションとアート 麗しき東西の交流展 ミニ鑑賞会@横浜美術館

 横浜美術館で開催中の「ファッションとアート 麗しき東西の交流」展。そのミニ鑑賞会に参加しました。

 ※画像は主催者の許可を得て撮影したものです。

坂本学芸員のギャラリートーク
 横浜美術館初のファッション展は主に、共催の京都服飾文化研究財団 (KCI) のコレクションをお借りして開催。
 自分にとっては、洋服を選ぶことと絵を観ることの線引きはない。そんなところから、アートをもっと身近に感じてもらえるかも。

展示室での作品解説
第1章 東西文化の交流点 YOKOHAMA
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 人が室内の中に立ち現れる展覧会をしたいと考えていた。
 布は驚くほど繊細で取り扱いが難しいが、KCIの協力を得て、ケースに入れない展示を実現。
 右2点《輸出用ティー・ガウン》はラファエル前派を思わせるハンギングスリーブだけれども、模様は菊。おそらくはリバティ商会の発注で、日本で製作された輸出品。
 桜の木に孔雀が止まる柄の《輸出用室内着》も、ゆったりとした作り。
 《芝山細工飾棚》《粉彩金彩扇面散図 カップ&ソーサ―》。当時の日本の人々の生活が西洋化されて、こういった品々が生まれたわけではない。工芸品も含めて、海外をターゲットに製作された。
 ここが本展のスタート。東西での受容を次の2章、3章で紹介。

第2章 日本 洋装の受容と広がり
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 西洋に追いつくことを国策とした、当時の華族が着用した衣装。

 月岡(大蘇)芳年《見立多似尽 洋行がしたい》。着物とチェック柄マフラー。
 楊州周延《真美人》。着物の下地にチェックシャツ。
 浮世絵ではありえない組合せ。上から入ってきたモノが染みて広がって、文化を作っていく。
 《束髪簪》。安い素材に置き換えて作る。べっ甲からセルロイドへ。カフェの女中さん等が使った。
 《帯留》。着物柄をいきなり西洋化するのはリスクがあるので、帯で西洋化。

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 上記のような「洋装の受容」を踏まえて、当時の絵画を観て欲しい。

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 《昭憲皇太后着用大礼服 (マント―・ド・クール)》
 上からの受容の頂点。ブロケードのドレスはバラ、ベルベットのマントは陰影のある菊。西洋の混合。

第3章 西洋 ジャポニスムの流行
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 ルネ・ラリック《ベッドサイドランプ「日本の林檎の木」》カミーユ・ゴーチェ《椅子セット「散形花序」》マリアノ・フォルチュイ二《室内着》オー・ミカド店《室内着「キモノ・サダヤッコ」》
 着物の後ろにプリーツを入れ、ドレスのように広がっていく形状の室内着「キモノ」が定着。

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 ルネ・ラリック《リュシアン・ルロン社 香水瓶「香水A (または香水N」》ベール《イヴニング・ドレス》
 「コルセットから解放されるべき緩やかに着られるドレス」の試みの中で、ベールのドレスが登場。青海波をモチーフにしている。また、ルネ・ラリックの香水瓶にも青海波モチーフが表れている。
 そしてこれらは現在の日本に影響を及ぼし、文化の融合としてフィードバックされている。

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 美術館前の広場では、《チームラボ「人と木々とクリスタル花火」》も開催中。

感想
 衣装をまとったマネキンが闊歩する展示空間は、「人が室内の中に立ち現れる展覧会」というコンセプトが伝わってきて、観て楽しかったです。特に第3章の大きな写真パネル前でランプ・ソファと組み合わせたセット空間が素敵でした。
 「東西文化の交流点横浜、日本での西洋の受容、西洋での日本の受容」の3章構成も、分かり易かったです。

 毎回感じることですが、1989年の開館から30年近くを経てなお、まったく古さを感じさせない建築空間も素晴らしいです。展示室を小分けして、展示室⇒共用部⇒展示室と移動する独特の空間構成と、その一方で展示室の大きさにメリハリをつけることで様々な企画展に対応するというスケール感覚。これらの設計コンセプトが成功していると感じます。同時に、メンテナンスにとても手間と費用のかかりそうなこの空間を、きっちり維持している横浜市もすごいなと思います。

 そんなに素晴らしい展示、空間ですが、「アピールポイント」が今一つ絞り切れていない感じで、大型展目白押しの今期、うっかりすると埋没しそうな気もちょっとしました。

展覧会概要
「ファッションとアート 麗しき東西交流」
会期:2017年4月15日(土)~6月25日(日)
開館時間:10:00~18:00 (入館は17:30まで)
※夜間開館:5月17日(水)は20:30まで(入館は20:00まで)
休館日:木曜日、5月8日(月)
※ただし5月4日(木・祝)は開館
会場:横浜美術館
主催:横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
    公益財団法人京都服飾文化研究財団
    日本経済新聞社
後援: 横浜市
特別協力:株式会社ワコール、三菱一号館美術館
協力:日本宝飾クラフト学院、公益社団法人服飾文化研究会、みなとみらい線、横浜ケーブルビジョン、FMヨコハマ、首都高速道路株式会社

Posted by mizdesign at 2017年04月22日 23:24
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