2012年08月19日

●館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技@東京都現代美術館

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 東京都現代美術館で開催中の「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」を観ました。強烈な「巨神兵東京に現わる」のヴィジュアルインパクトと、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」公開に向けて高まる期待。待ちに待った企画展です。

 1F
 原点I 人造
 冒頭に東京タワー。そして壁面上部に大きく掲げられた東宝特撮映画ポスター群。その下に並ぶ、超兵器ミニチュアの数々。艦首にドリルを装備した轟天号のシンプルで美しいフォルム。「モスラーやモスラーや♪」と小美人が歌い、幼虫が繭を作る東京タワー。リアルタイム世代ではありませんが、TV放送や模型雑誌で見た超兵器や怪獣のミニチュアがズラリと並ぶ様は壮観です。「ああ、これ映画で観た!」という思いが身体の中から湧き出てくる感じ。特に「メカゴジラ」は劇場で観たことを覚えています。その着ぐるみスーツと対面できるなんて、感無量です。劇中ではあんなに怖かったのに、ボロボロになっちゃって。。。
 次のコーナーには万能戦艦マイティジャックの巨大な模型が鎮座。スラリとした艦体に、大きく広がるデルタ翼がカッコイイ。でも実は一度も映像を観たことがありません。

 原点II 超人
 「ウルトラマン」登場。本放送時は生まれていませんでしたが、再放送は何度観たか分かりません。銀と赤に彩られた光の巨人。ここぞというときに輝く電飾。改めてその造形美に見蕩れます。成田亨さんの描くカラータイマーのないウルトラマンもカッコイイ。科学特捜隊基地まで手がけられたと知って、ウルトラマン世界の構築に本当に大きな足跡を残されたのだと知りました。
 続いて防衛軍のメカニックス。「ウルトラマン」のビートル、「ウルトラセブン」のウルトラホークも良いですが、リアル志向に寄った「帰ってきたウルトラマン」のマットアローがカッコイイ。明確にコンセプトの異なる「ウルトラマンタロウ」のスカイホエールも立体映えして迫力十分。

 
 時代は平成に。「ガメラ3」に登場した渋谷パンテオンの精巧さと、それに並ぶガメラスーツの迫力!ミニチュアワークの精緻のような、民家に電柱。「電信柱が好きだ」という館長のコメントに、某画伯が思い浮かびます。

 「巨神兵東京に現れる」
 「特撮技術」という本来脇役の技術をいかに見せるか?現在考えられる最高のスタッフによって製作された完全新作特撮巨編!林原めぐみによる淡々としたモノローグ、突如空より舞い降りる巨神兵、パウッ!と放たれるレーザービーム、崩壊する都市、そしてナウシカ冒頭の「火の七日間」へ。わずか9分3秒の映像が、観る者を圧倒します。

 軌跡
 最新の特撮技術を注ぎ込んだ、前章映像のメイキング。巨神兵のイメージ画の数々も見事ですが、副館長のビジュアルイメージ豊かな絵コンテと、いくつもの創意工夫を重ねたメイキング映像の数々に見入ります。巨神兵の二人羽織式操演(実際には3人で操作)の見事さ、犬すらミニチュアで再現するこだわり、レーザーで液化した建物内部が飛び出す表現やテンパーガラスと細かに張り巡らせたワイヤーの2方式による建物倒壊シーンの撮影といった飽くなき探求心、キノコ雲すら綿と電飾による特撮で撮る執念。リアルタイムで紡ぐ、「特撮」物語最新章!

 見入りすぎて、残りの展示を駆け足で観る憂き目に。

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 B2F
 特撮美術倉庫
 1Fの展示が観られることを意識して化粧直しをした展示とすれば、こちらは使用済みのミニチュアたちがボロボロになって保存されている倉庫そのもの。所狭しとミニチュアが積み上げられ、あちらこちらで様々な技術の解説がされています。再訪を期しつつ、サクサク進みます。

 特撮の父
 特撮の父、円谷英二の大きなパネルと、当時撮影に使用されたカメラ「NCミッチェル」が並びます。

 
 井上泰幸さんの手によるスケッチ、デザイン画、図面の数々。特撮映画の設計図。人の想像力が紙の上に影を落とし、多くの人の手を経て、フィルムへと定着する。まさにそのイメージの源泉。想像できるものは実現できる。イメージする力が大切と改めて思います。

 研究
 遠近を極端に強調した模型群、綿製の雲、合成用セット。特撮テクニックのネタ解説。

 スタジオ再現
 現美の大きな吹抜け空間に組まれた巨大なミニチュアセット。撮影可の配慮が嬉しい!折れ曲がった東京タワー、倒壊したビル群、道路に展開する防衛軍。怪獣になった気分でノシノシ歩き、カメラマンになった気分でアングル探してパシャパシャ撮影。楽しい~!

 物販
 物販も充実。巨神兵に揺さぶられて、財布の紐も緩みっぱなしになりそうです。今回は残念ながら閉館間際の大行列で、図録のみ購入。機を改めて、巨神兵のヴィネットに挑戦せねば。それともfigmaを予約するべきか。迷います。

 真正面から「特撮」と向かい合った渾身の企画展。「過去」の回顧だけでなく、「現在」できることに全力を注ぎ、「未来」へのアーカイブとする。見応え十分、今夏必見の展示だと思います。

Posted by mizdesign at 2012年08月19日 22:37
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