2011年05月06日
●4月の鑑賞記録
4/2
◎江戸の人物画-姿の美、力、奇@府中市美術館 (前期)
毎回毎回、新しい視点を開いて見せる企画力と、個人蔵を多く集めてそれらを色付ける構成力。そして観客を楽しませる仕掛けをタップリ盛り込む演出力。桜の季節に柔らかく射す光。あたたかい。
◎白洲正子 神と仏、自然への祈り(前期)@世田谷美術館
白洲正子の眼を通して観る仏様たち。好奇心に満ちた平明な文章が、目の前の景色を一変する。展覧会の醍醐味を堪能。
4/7
◎京都 2011 清水寺-産寧坂-円山公園-祇園
清水寺から四条まで夜桜巡り。歩くにはチョット長いかなーと思うも、桜の魅力に夢中になってあっという間。中でも円山公園の枝垂桜と花見の光景はひときわ印象的。
4/8
屏風「親鸞」@東本願寺
眼光鋭く何かを見据える鋭い青年として描かれる親鸞。迷い、期待、憧れ。様々な思いを抱いて繋がる人々。地震と放射能であっけなく崩れる世界に直面して、彼の生きた時代が身近に感じられる。
○法然 生涯と美術@京都国立博物館
人物像を知る資料が全然ないことを逆手にとって、絵伝として再構成された物語を辿る展示。全48巻の法然上人絵伝を主軸に、複数の別バージョン、所縁の仏像や宝物が彩を添える。ビジュアル情報豊富で、マンガを読む感じ。解説が何気に毒舌。
4/9
◎京都2011 醍醐寺-京都御所
醍醐から御所へ、桜巡りその2。三宝院の枝垂れには早かったけれども、境内と宝物館は満開から散り始め。「醍醐の花見」の栄華を今に伝える庭園が素晴らしい。そして京都御所の特別公開に滑り込み。平安時代から続くその空間は、王朝タイムカプセルそのもの。
4/15
◎三沢厚彦 Meet The Animals-ホームルーム@京都芸術センター
ギャラリーの白壁にスッと立つペガサス。教室の教壇に立つ白熊。和室の畳にそびえるように立つ鹿。みんなずっとそこにいたように馴染んでいる。横浜そごう、愛トリ、平塚のエントランス。僕が今まで観た中ではダントツで好きです。
4/16
○もうひとつの京都-モダニズム建築から見えてくるもの-@京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
写真パネルと白模型で辿る、京都モダニズムの足跡。戦前の建物が、用途を替えながら今も現役な例が幾つも紹介されていて嬉しい。戦災を逃れたことも大きいのだろう。後半の主役は京都国際会館。そのあまりに異次元な存在感は、モダニズムという範疇を超越しているように思えた。
4/20
◎長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
水墨画の動物たちが魅力的。師匠譲りのかわいい狗、ボケボケた味わいの蛙、牛、蛸、仕草の細かい雀、マンガな表現で時代を跳躍する猫トラ、スヤスヤと居眠りする虎、前脚で雲海を切り裂く龍。役者は揃った、あとは紅枝垂を待つ。
○親鸞展 生涯とゆかりの名宝@京都市美術館
法然展とうって変わって、こちらは真筆がドンドン登場。仏像に絵巻物に絵画とバラエティも豊か。けれども意外と人物像は浮かび上がらない。「飛雲閣襖絵」と狩野探幽「雲龍図」が観られて嬉しい。
4/23
○内海聖史「さくらのなかりせば」@ギャラリエアンドウ
緻密に描かれたピンクの点描が、桜の屏風絵のようでとても美しい。照明を落とすと夜桜の景に早変わり。「色」と「見え方」を、とても意識して作られた絵画体験。
◎Shuffle | シャッフル@白金アートコンプレックス
1F/コンクリートブロックと「根来」の対比。4F/長谷川等伯「四季柳図屏風」!不動明王半跏像の新旧対比。縦に並んだギャラリー群を横断して、古今アートをシャッフル!質、アイデア、見応え。三拍子揃った傑作。
4/24
東海道 新風景-山口晃と竹﨑和征@ヴァンジ彫刻庭園美術館
ようやくヴァンジ初訪問。アーティスト・トークショー目当てで、初日にGO。山口さんの作品は予想通り(?)白かったけれども、大作「階段遊楽圖」が出ていたのでバランスはとれた感じ。竹﨑さんは初見。通路空間を利用しての展示なので、決して恵まれた条件ではないけれども、それでも巧みな話術と竹崎さんとの掛け合いで場を盛り上げるのは流石。色は着くのだろうか。。。
母たちの神—比嘉康雄展@伊豆フォトミュージアム
こちらも初訪問。シャッフルの感動覚めやらぬ、新素材研究所(杉本博司+榊田倫之)による改装空間。エントランスと展示折り返し点に坪庭を配した構成は、美しく明快。その間に展示パネルを折り畳んで押し込んだ感じ。もうちょっと広さがあれば、より杉本さんらしい空間に仕上がっただろう。
4/25
◎フェルメール 《地理学者》 と オランダ・フランドル絵画展 @Bunkamura ザ・ミュージアム
オランダ・フランドル絵画を五つのテーマから紹介。王侯貴族から富裕市民層へ。注文主の変化に合わせて、画題も変化。貴族を真似た画題あり、職業に因んだ画題あり。その多様性と柔軟性がとてもリアルで興味深い。さらに大航海時代を背景に、フェルメール「地理学者」を特別公開!とびきり美味しいオマケの付いた、一粒で二度美味しい展示。
●3月の鑑賞記録
3/2
◎平等院鳳凰堂、鳳翔館
浄土式庭園唯一の遺構、鳳凰堂。20年ぶりくらいの再訪。折りしも宇治関白頼道の命日だそうな。西方極楽浄土を再現した内部の壁画、運中供養菩薩。土門拳の夕景で有名な鳳凰。本当に奇跡のような建物。
鳳翔館、初訪問。鳳凰堂の再現CG、内部壁画再現コーナー。何より運中供養菩薩様たちが楽しそう!
3/13
○長沢芦雪 奇は新なり(前期)@ミホミュージアム
まだウォーミングアップな感じ。4/19からが本番?「山姥図」は対決展で、「虎図」は名古屋城でそれぞれ観たけれども、ないとやはり寂しい。深山に桜の咲く頃にまた来たい。
○薬師寺東塔
これから解体修理に入る東塔、10年のお別れ。
3/19
◎若冲水墨画の世界@承天閣美術館
館に入ると、立ち込めるお香。その匂いに癒される。鹿苑寺大書院旧障壁画。入口面とその先4部屋の全50面が勢揃い!展示の都合上、部屋順でなけれども、パズルの様に頭の中で空間をイメージしながら観るのは格別の楽しみ。若冲ファン必見!
○生誕100年 岡本太郎展@東京国立近代美術館
対決をテーマにした七番勝負。明快な構成、エネルギッシュな絵画、大きく目を見開いたパフォーマンス。一見エンターテイメントショーのような楽しい展示。個人的には太陽の塔がクライマックス。建築と対決して屋根をぶち破り、万博という場で原始を打ち出す。そして40年。大屋根は遠になく、ジェットコースターも撤去。塔は綺麗に修復されて燦然と輝く。消えたモノと残ったモノの対比が印象深かった。
3/27
◎建築家 白井晟一 精神と空間@パナソニック電工 汐留ミュージアム
虚白庵の濃密な思索空間に引き込まれ、親和銀行、原爆堂。気がつけば松濤美術館。ロビーのDVD映像で実空間体験を補って、とても濃密なひと時でした。
●2月の鑑賞記録
2/5
○琳派芸術 第1部 煌めく金の世界@出光美術館
俵屋工房を中心に、琳派の大家が客演する。伝宗達「月に秋草図屏風」の、月光に満ちて金色に輝く空間にゾクゾクした。「龍虎図」の、ゆるくドラえもん顔の虎に心を掴まれた。始祖宗達の創造性が光った。
生誕250年 酒井抱一 -琳派の華- (前期)@畠山記念館
一面を抱一で固め、対面は琳派大家の顔見せ。間に工芸をはさむ、手堅い構成。「四季花木図屏風」の、地色を活かした桜の幹の描写、「十二ヶ月花鳥図」の、美しい花と鳥の取合せ。抱一、萌え燃え展示。
○「日本画」の前衛 1938-1949@東京国立近代美術館
バウハウスの輸入から始まり、琳派の影響が見え隠れしつつ、様々な試み、時代の変遷を紹介して戦後の新たな出発で〆。個人的には、その因子が感じられる現代アート作品を最後に並べて、現代への継承を見たかったです。
2/6
筆墨精神@京都国立博物館
「今日、キョーハクする!」。典籍、名筆ザックザク。書の知識が皆無でも、意外と見応えあり。さすが京博。「山越阿弥陀図」。山より大きな阿弥陀様。その右手から伸びる五色の糸に導かれて、天国へGO!人生最期のイベントを荘厳する晴れ舞台。
TRANS COMPLEX - 情報技術時代の絵画@京都芸術センター
情報技術とインスタレーションの境界が揺らぐような視点が観られるのでは?と期待して訪問。実際の展示は思ったよりも堅実な印象でした。
2/7
◎立体曼荼羅@東寺講堂
運慶物語序章。本編は金沢文庫で公開中!
2/9
特別展ダ・ヴィンチ~モナリザ25の秘密~@日比谷公園
超細密撮影+解析で浮かび上がる往時のモナリザ像は意外性があって引き込まれた。ダヴィンチ手稿の再現展示はトンデモ内容もあったけれども、以外と充実していて見応えがあった。
2/13
◎酒井抱一生誕250年 琳派芸術 第2部 転生する美の世界@出光美術館
とにかく「八ツ橋図屏風」と「紅白梅図屏風」のダブル大作が圧巻。酒井抱一生誕250年と銘打つだけあって、主役は抱一。抑制の効いた展示空間と相まって、とても魅力的。
◎イメージの手ざわり展@横浜市民ギャラリーあざみ野
「イメージの手ざわり」をキーワードに、6組の作家の作品を展示。アートワークの展示だけでなく、作家とアートサポーターとのワークショップにも力を入れている。さらに展示室だけでなく、建物エントランスや階段にも作品が溢れ出ている。そういった手作り感、共有感、日常感を大切にした展示。
2/20
○TOKYO FRONTLINE@3331 Arts Chiyoda
アーツ千代田、初訪問。日本酒の利き酒コーナーがあるのが素敵。知り合いとバッタリ遭遇して、新聞紙のサイの前で語り合った。
奈良美智プリントワークス@六本木ヒルズ
奈良さんが中田隊長に力説してた。お二人を取り囲む観客で、ギャラリーが埋まってた。
G-tokyo 2011@森アーツセンターギャラリー
G-tokyoも初訪問。「アートを身近に」というフレーズと、差別化を図るような会場設定のギャップに戸惑った。スケジュールを詰め込みすぎて、既にグッタリ。
分岐展@ギャラリーモモ 六本木
「Roppongi α Art Week 2011」と称して、6つのギャラリーを巡るイベントの一環。六本木の回遊性が増えて嬉しい。
Mancy's Art Nights@Mancy's
浴室付き等、セレブ向け(?)カラオケボックスで繰り広げられる、アート展示即売会。奥まった会場設定と閉場間近な時間のせいか、ガラガラ。画廊スタッフの方のヒソヒソ話が反響して、観る気を削ぐ。
Tweet Me Love, Sputniko!@EYE OF GYRE
アーティストご本人も楽しそうにコスプレ?してて、趣味の合う友人達が集まったパーティー会場のよう。活気があって良かった。