2010年03月28日

●歴史を彩る 教科書に載る名品@藤田美術館

 藤田美術館で開催中の「歴史を彩る 教科書に載る名品」を観ました。春秋の特別展のみを開催、展示室は蔵の中という異色の展示形態ながら、所蔵品は名品揃いの藤田美術館、初訪問。

 展示は2階から。飛鳥から室町時代の名品を中心に並びます。
 「法隆寺金堂天蓋付属飛天像」。間近で観られるのが嬉しい。「法隆寺金堂展」を思い出しながらじっくりと観た。

 「柴門新月図」。室町時代の作とは思えない瑞々しい墨の描写に目が留まる。風になびく竹林は広重の庄野を思わせる。静かな画面に動きが感じられる。

 「平家琵琶 銘 千寿」。演者が背負って諸国を廻ったという、少し小柄な琵琶。とはいえけっこう重そう。これをかき鳴らしながら、「諸行無常の響きあり」と語る様が目に浮かぶ。

 「桜狩蒔絵硯箱」尾形光琳作。和歌と風景が一体化した画面構成はグラフィックデザインのよう。七色に輝く螺鈿の花が美しい。光悦の写し。

 「曜変天目茶碗」。思ったよりもかなり小振り。その内側に、写真で何度も観た青と黒の宇宙が広がる。誰もいない島型展示ケースで独り占め鑑賞する至福のひととき。

 1階は江戸時代の名品を中心に。
 「色絵輪宝羯磨文香炉」野々村仁清。「銹絵絵替角皿(鶴・梅)」尾形乾山(尾形光琳 画)。当然のように並ぶ、仁清と乾山。光琳のゆるい筆遣いも冴えてます。

 「蔦鴨図」円山応挙。波濤の上で姿勢転換する鴨の躍動感。写生の応挙の面目躍如!

 「幽霊・髑髏仔犬・白蔵寸三幅対」長澤芦雪。応挙を写す幽霊、仔犬と髑髏が並ぶ不気味な右幅。画中に枠を描き込むだまし絵的な構成。技と型破りな芦雪らしさが楽しい。

 「織耕図屏風 右隻」英一蝶。一際目を惹く大判屏風は英一蝶。稲作風景の細やかな描写。板橋美術館の英一蝶展に行けなかったのが悔やまれる。

 「紫式部日記絵詞」。藤原道長ってどんな容姿だったのだろう。そのイメージの一端を担うのが、この絵詞中の描写とのこと。歴史を形作るパーツとしての美術品。何場面も展示されているので、絵巻としての美しさと物語性を堪能。

 国宝、重文がズラリ並ぶ展示は濃密で、見応えタップリ。名品をじっくりと観る、至福のひとときです。

Posted by mizdesign at 2010年03月28日 23:06
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