2008年06月21日

●勝間和代「勝間式「利益の方程式」」

 勝間和代「勝間式「利益の方程式」」を読みました。明快かつ丁寧に、「今」求められる課題への取り組み方を説く、勝間シリーズ二冊目。

 年をとるにつれて健康のありがたさを実感し、健康について急に管理をするようになるのと同じように、日本経済の中年期にさしかかり、予防対策と生活習慣の引き締めを説く。一冊目を読んでNike+iPODを購入し、ランニングの管理を始めた身としては、勝間ビジョンに興味津々。

 日本人が意外と利益を上げていないことを例証する項で、生産性がアメリカの半分以下しかない産業として「小売、建設、食品加工業など」とあるのを見て、ああやっぱりねと納得。朝から深夜まで仕事してるもんなあ。。。
 適切なワークライフバランスを説く際に、「儲からない仕事を辞めること」といわれるとドキッとする。そのあとで利益の作り方を料理に例えて、「これらの基礎知識と手法を学べば、プロ級の料理とはいかなくても、おいしい家庭料理であれば、誰でも作れるようになります。」と本書の位置付けをするバランス感覚が旬だなあと思う。
 そして本題「勝間式「万能利益の方程式」」。「利益=(顧客当たり単価-顧客当たり獲得コスト-顧客当たり原価)x顧客数」。以下、懇切丁寧に変数の一つ一つを解説してゆきます。
 一円単位の単価を上げる工夫、コストを下げる大切さ。「良い商品・サービスなら売れる」という思い込みの指摘。ブランド=体験の大切さ。顧客が魅力を感じる部分を、細かに抽出する必要性。ミシュランの本が売れる理由を、「これまでミシュランに載ったレストランに行けなかった人が、その憧れから眺めて、レストランに行った気になるために買う」というのは、なるほどと思う。BRUTUSもそうだもんなあ。顧客単価に応じて、マーケットの大きさは決まっていると説き、「Willful Thinking (こうなったらいいな)」を戒める。顧客単価と顧客数は相反する。この視点はシビアに持つ必要あり。
 顧客に気持ちよくお金を払ってもらう仕組「松・竹・梅」のプライシング。そういうことね。「ヒューリスティック」判断プロセス。未知のものに触れた時、詳細な比較検討はごくまれにしか行なわない。経験則や学習内容に応じて、瞬時に決断してしまう。この視点はプレゼン時に大切。
 「粉モノ屋は儲かる」。なぜなら「小麦粉は世界中の中で、カロリー単価が最も安い商品の一つだから」。2008年に入っての小麦粉の30%値上げも盛り込んで、それでもまたまだ米に比べるとカロリー単価が安いとフォロー。他の例として新書ブームを取り上げる。さりげなく自著「お金は銀行に預けるな-金融リテラシーの基本と実践」を紹介。気になって買ってしまった。
 結局は地道なベンチマーク。コピー用紙の裏を使うより、人をなるべく少なくする。つまり本当に鍵となる原価要素だけを管理する。オーバースペックはコツコツ退治。肝に銘じよう。
 「S字カーブの法則」。イノベーター2.5%、オピニオンリーダー(13.5%)、アーリーマジョリティ(34%)、レイトマジョリティ(34%)、ラガード(16%)。オピニオンリーダーとアーリーマジョリティの間にキャズム(溝)がある。ブログはキャズムを超えたとして、その細分化の一つである美術ブログはキャズムを超えられるか?

Posted by mizdesign at 2008年06月21日 09:10
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コメント

こんにちは。
勝間さんの著書は枠組みやポイントが的確なのでとても分かりやすいですが、mizdesingさんの記事もリズミカルでぽんぽん頭に入ります。「利益の方程式」手にとることとします♪

それにしても、これだけのスピードで著書を出しているにもかかわらず、ハズレがないって凄いことだと感心します。

Posted by きのこ at 2008年06月21日 20:23

きのこ様>
こんにちは。
勝間さんは本を書く際に「設計する」という表現をしますね。
ビジネス書でありながら「家庭料理を目指す」という視点設定と、徹底的に作り込む姿勢が、今求められているモノに合致するのでしょう。

Posted by mizdesign at 2008年06月22日 18:16
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