2008年03月17日

●海堂尊「チーム・バチスタの栄光」

 海堂尊「チーム・バチスタの栄光」を読みました。第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作、医師であり作家である多才な作者、映画化の勢い。相変わらずミーハーな選択です。

 青天の霹靂のごとく、栄光のバチスタ・チームに潜む謎の解明を命じられる昼行灯の主人公。前半は、その目を通して登場人物個々の輪郭を浮かび上がらせます。そして後半。もう一人の主人公が登場して、ものすごいスピードでその輪郭を突き崩し、天才外科医の秘密を明るみに出し、そして事件の核心へと突き進みます。主人公と一体になって、ジェットコースターに乗りながら解説を聞いているようなスピード感。続編への布石もしっかりとうって幕。

 印象に残るのは、精緻に練られたプロット。無駄を削ぎ落とした構成と、そこから生まれる情報の飢えと疾走感。その一方で登場人物の造形をきっちりこなすそつなさ。何より緊迫感ある手術シーンの描写。文句なく面白いです。続編も2編あるので、そのうち読んでみたいです。

 ついでに映画の予告編。緊迫感に満ちたシーンの数々が、平坦な台詞のやり取りとして並ぶ。活字のトリックであるミステリーと映像は別物に思えました。

Posted by mizdesign at 2008年03月17日 21:18
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