2008年02月12日

●「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」@森美術館

 森美術館で開催中の「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」を観ました。

 展示室に入ると左手にシュテファン・バンケンホール「柱像:男」「柱像:女」。素朴な一木造(?)の彫刻にホッとします。右手にトーマス・ルフのポートレイトシリーズ。どこが特別なの?と思いつつじっと見る。チャック・クロース「セルフ・ポートレイト」の大きさに惹かれ、その裏手の荒木経惟「さっちゃん」を観るあたりから違和感を感じます。

 次室に進み、赤い円形カーペットに白い応接セットが置かれているのを観て、なんとなくそのわけが思い浮かびました。展示室の中に、スタイリッシュな応接スペース?まるでセットのよう。その壁面に、時系列やアーティスト名の制約を付けず、アートワークが並んでいる。「アートワークと空間の競演」という視点が好きなので、そのアプローチの違いに戸惑いました。この点については、後で聞いたシンポジウムで、美術館と企業コレクションの違いという話が出てきたので一応納得。

 オフィス(のセット)の中が今一つ落ち着かないので、アートワークそのものを観ることに専念しました。森村泰昌「階段を降りる天使」は画面の中で森山さん大活躍。畠山直哉「ブラスト 5707」の一瞬を捉える迫力。ジャン=ミシェル・バスケス「タバコvsインディアンの酋長」。彼の作品は初めて観たかも知れない。映画はずいぶん前に観ましたが。トーマス・シュルトゥルート「ナショナル・ギャラリー・ロンドン」。絵の前の観客も含めた作品。アンドレアス・グルスキー「99セント」。カラフルで空疎(に思える)風景。他の作品も普通の景色を色彩豊かに捉えていて魅力的。

 同時展示「もうひとつの風景:森アートコレクションより」。展示経路がつながっているので、実質一つの展覧会。オフィス空間が終わって、普通の展示空間へ。山口晃「東京圖 芝の大塔」。これって立体だったんだ。

 10年ほど前、当時勤めていた設計事務所でUBSの内装設計を担当しました。オフィスに当たり前にアートワークがある環境、スタイリッシュで機能的な家具。それらは魅力的であると同時に、激烈な部門間の統廃合と会社間の合併を繰り返す戦場のような場所でした。デザインの消費の早さに驚き、もっと長いスパンでモノ作りできる環境が欲しいと思ったことを覚えています。思うところ多々。

Posted by mizdesign at 2008年02月12日 12:56
コメント

mizdesignさんにとっては
感慨深い展覧会のようですね。

自分はいつ記事書けるか
見当もつきません、、、

Posted by Tak at 2008年02月12日 21:36

Tak様>
こんにちは。
好きとは言い切れない一方で、その価値を認める何かを感じる。
そんなモヤモヤした感想文です。

Posted by mizdesign at 2008年02月13日 08:49