2008年02月05日

●企業ブランディングにアートを活かす

 森美術館で開催中の「アートは心のためにある:UBSアートコレクションより」。そのシンポジウム「企業ブランディングにアートを活かす」を聞きました。直島の仕掛人、福武總一郎氏が出席されることに興味が湧きました。
 以下はその聴講メモ(走書き)です。聞き取り、メモの追いつかない箇所が多々あることを御了承下さい。
roppongi_20080204-1.jpg

南條さんのあいさつ:UBSのコレクション1,400点から140点を展示。オフィス空間に画がかかっている様子を再現。Art and Life。日頃からアートを楽しむ、コレクションをしましょうと言っている手前、森美術館のコレクションも一室を設けて展示。中国ブームから、日本、アジアも活性化。美術館の勢いが落ちる一方で、コレクターの時代が来ている?

トーク1:ペトラ・アレンズ(UBSアートコレクション・コレクティブアドバイザー)
ブランディングにアートを活かす。
Brand: Brand is promise. ex.BMW.
Pepsi vs CocaCola.
Zen vs iPod. Zen technically superior. iPod become market leader using brand. emotional relationship.
Brand can change the way how people taste.
UBS Brand:
about "You and Us": Deeper relationship with our clients. Receive high media reputation.
The UBS Art Brand in Action: 展覧会の記録。Moma NY、Latin America, Swizerland,Tate modern London, Singapole, Sydney.
ぼぼUBSの活用内容のサマリー。

トーク2:ジャン=クリストフ・アマン(UBSアートコレクション・アドヴァイザリーボード)
美術館コレクションと企業コレクションの違い。
美術館のコレクションは年代順に構成される。特に古い美術館。それ以上のドラマはない。
美術館はスタイル(様式?)に沿って揃える、企業は作品で選ぶ。
美術館はコレクションを構成する。企業はCollaboratorとEmployeeを向いている。Visitorのためではない。
UBS many of our clients are art collector.
UBS has future. Coming generation is deeply interested in contemporary art.

トーク3:福武総一郎(株式会社ベネッセコーポレーション代表取締役会長兼CEO)。
東京から岡山に戻って何をして良いのか分からなかった。
木村尚三郎「耕す文化の時代」。「どこにでも通用する普遍性を持った、しかも地方的な土地の匂いがする生き方」「鑑賞する中から触発されて行動する」。bene よく/esse 生きる。
企業は社会との関わりの中で生きている。他人の田は青く見える。自分たちの誇るものをどんどん壊してきた。
西田正憲「欧米人による瀬戸内海の風景論」。
地域を良くしていきたい。直島。民家が残っているところに草間さんを持ってくる。
護王神社。日本の神道は素晴らしい。教義がない。なのに自分たちが持っている素晴らしいものを信じていない。潰れかけた神社を建替えるという条件で実現した。
地中美術館のモネ。たまたま手に入った。聖地を作りたい。タレルとダリアも協力。生きていることの祝福。常に変わり続けていく。赤南瓜。はいしゃ。
現代美術。コピーができない。アーティストが願いをこめている(ものしか購入しない)。問題矛盾だらけの大都会よりも大自然の中に置いた方が良い。
良い地域とは、年寄りの笑顔が良い地域。若い人は放っておいても元気。自分の未来に希望が持てる。
東京はあまり良い未来を予測できない。お金を稼ぐには良い。
企業がアートに期待すること。
1.企業の方向性。地域、過疎、年寄りの笑顔。
2.グループの求心力。
3.発信力。Travelersのnext 7 wonders にnaoshimaが選ばれている(会場からオーッと歓声)。ボンド映画のロケ地。
企業のイメージ向上。復元力になる。困ったときは助けてもらえる。良い人材を採るのに良い。
企業価値を上げるのに、現代アートは切っても切り離せない。企業にとってアートは欠くべからずもの。やればやるほで成長していきたい。
日本の経済界はまだまだ経済が目的。経済は文化のしもべ。個性と魅力ある地域の集合体、日本になって欲しい。

ディスカッション:ペトラ・アレンズ、ジャン=クリストフ・アマン、福武總一郎
モデレーター:南條史夫
UBSはアートフェアにも参加。バーゼル、マイアミに顧客用VIPルームを設けている。Always helping client。同時にOpen to Everyone。
UBSは巡回型。福武さんがサイトスペシフィックな訳は?南條さんに相談して進めたので、南條さんに聞いて下さい。良い地域を作るための手法としてアートがある。主役じゃない。年寄りと過疎。世界が一目置くことを目指した。作品も建築も妥協しなかった。時間とともに積み重なっていくことが大事。
越後妻有トリエンナーレ。縁も縁もない。知人の北川フラムさんがやっていて、2回目を見に行った。このままだと上手くいかないと思った。3回目の資金集め等の手伝いをかってでた。4回目は総合プロデューサーとしてお手伝いする予定。
ベネッセとUBSの違い。ベネッセと違って、UBSは一人の決断で進まない。比べるものではない。本を書いて下さい。そして残り59カ国に翻訳して下さい。
変化する姿を見てもらいたい。
UBSのコレクションは欧米中心から非欧米へ。どう価値を判断?Quality is our root.

質疑:
若手アーティストの育成について。UBS Young Artist(支援プログラム?)があります(UBS)。財団を作りました(福武)。
ベネッセの今後の展開。直島、2010年せとうち国際芸祭。資金を出し続ける財団を作った。犬島、手島のプロジェクト。大竹伸朗の美術館。
アートをブランドとして使うさいに気をつけること。ブランドを高めるためのアート。島の味方と分かるまで10年。

南條さんの締め:森美術館も森ビルのブランド戦略の一端。企業だけの話ではない。個人も買う時代。

世界規模の戦略でビジネスの一環としてアートの活用を説くUBSを縦軸に、対照的な展開で現代アートの聖地を発展させ続ける福武さんを横軸に据えてのシンポジウム。全く間をおかずにどんどん話題を振り、進め、切り替えていく南條さんの舵捌きでとても締まった2時間弱でした。何より福武さんのちょっと朴訥な語り口と驚くほどの行動力を備えたキャラクターが強烈。直島に行った直後に、仕掛けた御本人の話を伺えるのはとても幸運でした。腑に落ちるところが山のようにあり、鮮烈な感動を覚えました。

安藤さんも面白いですが、福武さんも同じくらい面白かったです。お二人が話すと凸凹漫才になりそうだ。

Posted by mizdesign at 2008年02月05日 22:00
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コメント

面白いシンポジウムだったようですね。
森美はやっぱり興味深いので、MAMC更新する予定です。

Posted by ogawama at 2008年02月06日 23:34

こんばんは。

結局これ行くことできなかったので
レポートとても助かります。
ありがとうございました。

しかしいつもながら
まとめるの上手いですね!

Posted by Tak at 2008年02月07日 18:42

ogawama様>
こんばんは。
個人的には、森美術館はパブリックプログラムだと思っています。
ミーハー心を見透かされている気もしますが、観たいものを見せてくれる(聞かせてくれる)満足度は高いです。

Tak様>
こんばんは。
面白い話だったので、走書きながらアップしました。
鑑賞の一助になれば。

Posted by mizdesign at 2008年02月07日 21:39
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