2006年10月01日

●佐竹本三十六歌仙絵巻断簡(小野小町)

 あちらこちらで評判の、「佐竹本三十六歌仙絵巻断簡」の小野小町を鑑賞しました。その流麗な後ろ姿は百人一首等であまりに有名、その名は美人の代名詞として定着しています。文字通り、絶世の美女です。その最古にして最高の優品がさりげなく展示される東博もすごいところです。
 実物を観ると、その水のように流れる黒髪と、横に流れる六層の衣装に目が行きます。現実にそんなに長い黒髪を手入れできるものか、そんなに重い衣装を着て動き回れるものか。現実に理想を重ねて描かれたであろうそのシルエットは、とても美しいです。髪の流れるような曲線と、衣装の直線で鋭角的な描写の対比、数メートルの及ぶ衣装の大胆なデフォルメ表現はとても現代的。鎌倉時代に描かれた平安美人と現代の接点が伺える、魅力的な一時でした。

 傍らには江戸時代の模本も展示され、絵巻物としての連続性と余白の美しさも味わえるよう配慮されています。原本では剥落している衣装の模様や色彩も鮮やかで、こちらも見応えあります。
ueno_20060930-1.jpg

Posted by mizdesign at 2006年10月01日 20:34
トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mizdesign.com/mt/mt-tb.cgi/354

トラックバック

? 佐竹本三十六歌仙絵(小野小町) 東京国立博物館(特集陳列) from はろるど・わーど
東京国立博物館 特集陳列(本館特別1室) 9/5-10/1 「佐竹本三十六歌仙絵(小野小町)」(13世紀) この小野小町には惚れました。今、東京国立博物館... [続きを読む]

Tracked on 2006年10月01日 22:57

? 佐竹本三十六歌仙絵巻断簡ー小野小町 from Art & Bell by Tora
なんと幻の佐竹本三十六歌仙絵の住吉明神、小野小町、壬生忠峯、藤原興風の4断簡が東京国立博物館で特集展示中です。わたしは偶然にこの特集展示に遭遇した。 とく... [続きを読む]

Tracked on 2006年10月02日 07:11
コメント

こんばんは。コメントとTBをありがとうございました。

>最古にして最高の優品がさりげなく展示される東博もすごい

そうなのですよね。
こればかりはもっと宣伝していただいても良いかと…。
うっかりすると見落としてしまいます…。

>数メートルの及ぶ衣装の大胆なデフォルメ表現

絶世の美女とされる小町にこの衣装では、
もう文句のつけようもありません。
それにしてもいつも後ろ姿ばかりで…。

>江戸時代の模本も展示

歌仙絵の仕組みが良く分かるような展示でした。
模本と見比べるのもまた一興です。

Posted by はろるど at 2006年10月01日 23:11

T/B、C/Mありがとうございました。
昨日、お別れに行ってきました。
あの模本の色合いはいつまでも脳裏に残ります。これこそ永遠の美女!

Posted by とら at 2006年10月02日 07:07

はろるど様>
こんばんは。
華やかな衣装が横になびく様がたいそう格好良いですよね。
他の三点が地味に見えてしまいます。
後ろ姿なのは、やはり絵にも描けない美しさということなのでしょうか。

関係ありませんが、若冲の章の「絵にしか描けない美しさ」というタイトルはなかなか上手いと思いました。

とら様>
こんばんは。
本当に永遠の美女ですよね。
とらさんとはろるどさんの記事を読んでこれは見ねばと出かけましたが、本当に良かったです。
どうもありがとうございます。

Posted by mizdesign at 2006年10月05日 01:24
コメントしてください




保存しますか?