2005年11月22日

●北斎展 (前編?)

 今日は午後から都内で打合せでした。行きがけに「北斎展」を鑑賞しようと早めに事務所を出ていざ上野へ。

 会場到着は10:30、すでに展示室内はかなりの人出でした。まずは会場を一巡りして全体の把握です。壁掛けの小さな絵(これが圧倒的に多い)は人波の切れ間から覗き込む感じで流し見して、空いている大判の肉筆絵や島状に展示してある絵をじっくりと観ました。二順目は壁沿いに観ようと思ったものの人波は増す一方で、近づくこともできなくなってきます。案内の方に聞いたところ「平日は開館前に来ないとちゃんと観られない。日中は人が増える一方。閉館前は空くが全体を見る時間がない。土日は人が多すぎて観られない。金曜の夜間鑑賞が比較的空いている。」とのことでした。既に絵を鑑賞する状態とは思えなかったので、早々に切り上げて法隆寺宝物館へと向かいました。会期は残り10日ほどですが、なんとか再訪したいです。

 展示は北斎の活動期を六つに分け、各期を分かりやすく特徴づけています。世界中の美術館から作品を集めて全期を網羅した構成は、まさに「北斎展」です。次々と改名し常に新しい題材に取り組む活動の中では「冨嶽三十六景」でさえも一時期の作風に過ぎません。お化けをユーモラスに描く「百物語」、精緻に描き込まれた「軍鶏図」といった好奇心を剥き出しにして少々グロテスクな印象を受ける作品の方が北斎らしいと思いました。その一方でとても綺麗な「扇面散図」、コマ送りを一枚絵にしたような「柳に烏図」といった見惚れてしまう作品が最晩期に並んでいます。年を経てなお新しいものに取り組む「貪欲さ」こそが北斎なのでしょう。肉筆画中心に観たので偏った感想になってしまいました。
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Posted by mizdesign at 2005年11月22日 21:34
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? 128 東京国立博物館 from たまゆらデザイン日記
11月某日。 はずせない用事で半日は仕事を休まなくてはいけない事情があったのですが、おもいきってもう半日、自分のための時間を取る…つまり仕事は休むことにして、... [続きを読む]

Tracked on 2005年11月26日 21:19
コメント

小布施の北斎館は肉筆画ばかりです。浮世絵の北斎とは異なる、生々しさを感じました。

ぼくは、浮世絵の北斎よりも、肉筆画の北斎のほうが北斎本人らしいのだろうと感じました。
 ただし、浮世絵というテクノロジーが北斎を世に知らしめたのだと思うと、「ポピュラーであることと狂気であること」というテーマで考えてしまいます。

建築は性格上、狂気にはなりにくいのでしょうね。

Posted by 佐藤K(KAZZ Satoh) at 2005年11月23日 09:19

佐藤K様>
 小布施は行ってみたいところです。町興しもがんばっているし、お酒も美味しいらしいし。

 おそろしく幅広い北斎の活動を一堂に集めた今回の展示は、「自分なりの北斎」を考える上でまたとない機会ですが、なにせ人が多すぎです。

 建築と狂気はけっこう相性良いと思いますよ。雑誌等でも狂想建築の特集が定期的にありますから。流行が少し移れば、「狂気」というトレンドがメディアを席巻すると思います。

Posted by mizdesign at 2005年11月23日 16:30

私は10時前の到着でしたが、すでに人が壁に貼り付いた状態…慌ただしい展覧会でした。
同じように流した後(笑)、本館を周りました。後編(?)も楽しみにしております。

Posted by tsukinoha at 2005年11月23日 16:51

tsukinoha様>
 北斎人気すごいですね。話では聞いていても実際に行ってみてびっくりです。後編が書けるようがんばります。

Posted by mizdesign at 2005年11月24日 06:13
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