2005年09月07日
●北斎はブームかジャンルか?
太田記念美術館で9/1-9/25まで「全揃い冨嶽三十六景展」が開催されています。東京国立博物館平成館では10/25-12/4まで「北斎展」が開催予定です。前者は浮世絵専門館ならではの落着きの中、細部までじっくりと鑑賞できるのが魅力です。後者は北斎作品500点を一堂に会する決定版を謳っています。北斎人気、ひいては浮世絵人気の高さが伺えます。
浮世絵、特に北斎と広重に関して面白いと思うのは、絵を鑑賞することが過去を回顧することにとどまらず、現代につながる何かを感じさせてくれるところです。広重を題材に景観を考えることもその一例でしょう。絵の構図、色彩等が魅力の大元であることに変わりはないのですが、時間の経過とともに様々な視点が付与され、それらが絵の世界を広げていると思います。だからこそ、こんなにも根強い人気があるのでしょう。
1995年10月10日-11月12日まで開催された「葛飾北斎展」の図録表紙です。「江戸のメディア」という切り口が新鮮で面白かったです。江戸時代にあって絵手本(その名も「北斎漫画」)に精力的に取り組んだ北斎です。現代のCGによる素材のデータ-ベース化とマンガブームを目にすれば「俺の時代がやってきた」と狂喜するのではないでしょうか。


