2018年05月06日

●読書メモ 「ハイ・コンセプト」 ダニエル・ピンク 大前研一訳 三笠書房

 副題は「「新しいこと」を考え出す人の時代 富を約束する「6つの感性」の磨き方」。2006年5月20日初版。原題は「A Whole New Mind」。2006年5月20日初版。

内容メモ
 <第1部>「ハイ・コンセプト(新しいことを考え出す人)」の時代
 1 なぜ、「右脳」が成功を約束されるのか
 「二つの脳」の驚くべき役割分担
 バランスのとれた「右脳プラス左脳思考」とは

 2 これからのビジネスマンを脅かす「3つの危機」
 原因は「豊かさ、アジア、オートメーション」
 第一の危機――「過剰な豊かさ」がもたらす新しい価値観
 第二の危機――次から次へと湧き出す「競争相手」
 第三の危機――そんな脳では、すべて「代行」されてしまう!

 3 右脳が主役の「ハイ・コンセプト/ハイ・タッチ」時代へ
 過去150年間を「三幕仕立てのドラマ」にたとえてみる。第一幕は「工業の時代」。第二幕は「情報の時代」。第三幕は「コンセプトの時代」。 「体力頼み」から「左脳の勝負」へ、そしてこれからは「右脳の時代」へ。
 3つのチェックポイント。
 ①他の国なら、これをもっと安くやれるだろうか
 ②コンピュータなら、これをもっとうまく、早くやれるだろうか
 ③自分が提供しているものは、この豊かな時代の中でも需要があるだろうか
 大いに発展したハイテク力を、「ハイ・コンセプト」と「ハイ・タッチ」で補完する必要がある。
 ハイ・コンセプトとは、芸術的・感情的な美を創造する能力、パターンやチャンスを見出す能力、相手を満足させる話ができる能力、見たところ関連性のないアイデアを組み合わせて斬新な新しいものを生み出す能力など。
 ハイ・タッチとは、他人と共感する能力、人間関係の機微を感じとれる能力、自分自身の中に喜びを見出し、他人にもその手助けをしてやれる能力、ありふれた日常生活の向こうに目的と意義を追求できる能力、など。

 <第2部>この「六つの感性」があなたの道をひらく
 1 「機能」だけでなく「デザイン」
 商品やサービス、あるいは、体験やライフスタイルにおいても、もはや単に機能的なだけでは不十分だ。外観が美しく、感情に訴えかけるものを創ることは、今日、経済面において不可欠なことであり、個人のためにもなることである。

 2 「議論」よりは「物語」
 情報とデータがありふれた今日の生活では、効果的な議論を戦わせるだけでは十分ではない。必ず、誰かがどこかであなたの議論の盲点を突き、反論してくるからだ。説得やコミュニケーション、自己理解に肝心なのは、「相手を納得させる話ができる能力」なのである。

 3 「個別」よりも「全体の調和」
 「産業の時代」と「情報化時代」の大半を通じて、何かに焦点を絞ったり、特化したりすることが重視されてきた。だが、ホワイトカラーの仕事がアジアへ流出し、ソフトウェアに取って代わられるようになるにつれ、その対極にある資質に新たな価値が見出されるようになった。それはバラバラなものをひとまとめにする能力で、私が「調和」と呼んでいるものだ。今日、最も重視されるのは、分析力ではなく総括力、つまり全体像を描き、バラバラなものをつなぎ合わせて印象的で新しい全体観を築き上げる能力である。

 4 「論理」ではなく「共感」
 論理的思考力は、人間に備わった特徴の一つである。だが、情報があふれ、高度な分析ツールのある世の中では、論理だけでは立ち行かない。成功する人というのは、何が人々を動かしているかを理解し、人間関係を築き、他人を思いやる能力のある人である。

 5 「まじめ」だけではなく「遊び心」
 笑い、快活さ、娯楽、ユーモアが、健康面でも仕事面でも大きな恩恵をもたらすということは、数多くの例により証明されている。もちろん、まじめにならなければならない時もある。だが、あまり深刻になりすぎるのは、仕事にとっても、満足の行く人生を送るためにも、悪い影響を及ぼすことがある。「コンセプトの時代」では、仕事にも人生にも遊びが必要なのだ。

 6 「モノ」よりも「生きがい」
 私たちは、驚くほど物質的に豊かな世界に住んでいる。それによって、何億もの人が日々の生活に苦しむことから解放され、より有意義な生きがい、すなわち目的、超越、精神の充足を追い求められるようになった。

感想
 本書の趣旨・構成は明瞭。新しい時代を動かしていく力の重要な要素として「ハイ・コンセプト」と「ハイ・タッチ」を紹介する。次にそして新しい時代を生きていくために必要となる「六つの感性」について具体例を大量に挙げて解説する。冒頭で著者自身が最新のMRIスキャンによる研究の被験者として右脳左脳の役割の違いを説明する導入部から一気に本論へ。
 2006年初版の本を2018年に読んで、内容の部分部分に最近聞いた気がするフレーズが表れることから、本書の指摘は私たちの日常生活においてもある程度的を得ているのだろう。また、「六つの感性」は基本的に人間に備わった資質であり、「産業の時代」に衰えた能力は、ツールや演習、参考文献によって身に着けることができるとしていることから、自身の能力のバランスをとる際の参考になるだろう。その一方で、自身の生活において何をどう変えていくかは良く分からないけれども、「学ぶ」ことで生活を向上していくモチベーションが上がった気がする。
 言葉の定義が普段日本語として使う意味と少し違うので、言葉の定義をしっかりと頭に入れておいた方が良い。

Posted by mizdesign at 2018年05月06日 23:45
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