2017年11月30日

●2017年11月の鑑賞記録

 11/3
上原コレクション名品選@上原美術館
 上原仏教美術館と上原近代美術館。二つの美術館が一つになり、上原美術館が誕生。最大の見どころは、柔らかな光の膜に包まれたホワイエを過ぎて、展示室に至る一連の空間体験。正面に露出展示、その両翼に二重に拡散された光が満ちる展示ケース。
 
 仏教館
 空間リニューアルを手がけた尾崎氏が描いたホワイエと展示室のスケッチ。ホワイエの光天井、展示室の正面露出展示と両翼の二重光拡散展示ケースのイメージ。運営側が用意した必要空間条件に空間イメージが重なり、今回の空間づくりが始まった。
 ホワイエ。いくら目を凝らしても判別することができない、完璧な拡散光で満ちる巨大な折上天井。その光で満たされた室内は、どこまでも光が回り込み、明るい。人工の光環境とは信じられない。
 回廊。目的地へと空間をつなぐ通路は、構成はシンプルに、床面は大胆に。アカシア材の木目が大きくうねり、浸透性ワックスを塗った仕上げが、柔らかな静謐性をもたらす。空間演出として、とても成功している。
 そして、展示室へと至る。正面の露出展示と相対し、左右に目を向けると、明るいベージュで背面と下面を、濃いダークグレーで両側面を抑えた展示ケース。二重に拡散されたLED照明光が回り込み、明確な影のない空間。仏像照明の一つの回答と思える。

 近代館
 こちらは西洋絵画の個人コレクション。邸宅で寛ぎながら、絵画を鑑賞する醍醐味。ゴッホ、ピカソ、マティス、モネ。どれもこれもがマスターワーク。シンプルに素材を選択し、最善の構成を導き出す設計アプローチが素晴らしい。
 近代館ラウンジ。個人邸宅のリビングをイメージしたであろう空間の右手には伊豆の絶景が広がる。まさに完璧な設計。唯一の欠点は、最寄りの鉄道駅から車で15分離れた立地で、来客が寛ぐカフェが全くないこと。これは空間の成り立ちにも関係がある。

 右手が仏教館増築部、真ん中が仏教館既設部、左手が近代館。これらに相対して寺があり、節分時に豆まきイベントを行う広場的スペースを囲む立地。なんと、これまで仏教館と近代館は別法人運営だったため、相互間に柵とゲートで仕切られていた。それが今回のリニューアルを機に一つに統一され、入館料も一本化。副題の通り、ー印象派の絵画から平安の仏像、写経までーを鑑賞できる空間が誕生した。滞在時間が伸びることで、鑑賞者のお腹のケアをどうするか?次の課題はこの点に尽きる。

 11/4
ブレードランナー2049
 巨大なゲイシャ映像の前を飛ぶスピナー、エッチングワークの極致のようなタイレル社本社、フレアの炎上、酸の雨。強烈な退廃未来像を提示した前作から35年経って、続編が公開されるとは嬉しい驚き。前作はリアルタイムでは観ていない。劇場で観たのはディレクターズカット版が初めて。インターナショナル版のTV放送はその前に観ていたけれども、特撮面の強烈なビジュアルインパクトばかりが印象に残って、ストーリーは地味だし、結末はよく分からなかった。
 今回はストーリーが分かり易く、デッカードの物語を完結させつつ、ブレードランナー自体の世界観を拡張する構成も上手くできていた。ストーリーの地味さも違和感ない。前作と今作をつなぐ3本の短編もとてもよく出来ていて、前作ファンへのサービスは満点。
 集客は残念ながら噂通りの大苦戦。渋味を増した世界観と、地味かつ続編ストーリーで、新規層を呼び込むのは難しそう。前作リスペクトが強く、前作から35年経った実世界変化の反映が弱いため、現代の延長上(に思える)未来というインパクトが弱いと感じました。

 11/5
古代アンデス文明展@国立科学博物館
 5回に渡って開催されてきた古代アンデス文明展の集大成、9文明をダイジェストで紹介する。ユーモアたっぷりに見える造形から感じられる、生と死の境界の曖昧さ。黄金伝説に満ちた文明でありながら、略奪し尽くされて黄金の出土品はほとんどない現実。親子連れやカップルでにぎわう館内自体が人類史の展示に思える。

 11/7
長沢芦雪展@愛知県美術館
 無量寺仏間から飛び出し来てくる猫トラと龍のど迫力!照明も素晴らしく、再現展示を極めた感あり。各章満遍なく佳作が揃い、全編が見どころ。愛県美25周年かつ、1年半の休館前最終展として、掉尾を飾るにふさわしい展示。平日開館前から行列ができて、入りも上々。

国宝展@京都国立博物館
 70minutes Waiting Line for National Treasure Exhibition at Kyoto National Museum on Weekday Afternoon.

末法/APOCALYPSE@細見美術館

HIRAKATA T-SITE
 designed as the Cafe and Bookstore Complex, i.e., Latest Urban Living. I grew up around this area, especially my kindergarden is a minute walk from here. This change is really Unbelievable !

 11/8
 House of Nihonbashi by Tadao Ando.

 11/23
Leandro Erlich Seeing and Believing@Mori Art Museum
 Jumping from Window! Exhibit is filled with Wonder!

 White KITTE, Beautiful Color Changes of Christmas Tree !

 Peninsula Tokyo "The Lobby". Not wide enough, but comfortable enough way as the space use.

 11/25
Atsuhiko Misawa's Animal House@The Shoto Museum of Art.
 Five artist's collaboration is too much dense as the exhibition, but really attractive as the live art space. I love it !

 葛飾八幡宮 千本公孫樹 ライトアップ&ジャズ・ライブ

Posted by mizdesign at 2017年11月30日 23:35
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