2008年09月16日

●ベルギーロイヤルコレクション展(前期)@太田記念美術館

 太田記念美術館で開催中の「ベルギーロイヤルコレクション展(前期)」を観ました。評判が良いので気になっていましたが、なんとか滑り込みました。

 ダントツにインパクトがあったのはチラシ表紙にもなっている歌川国貞「大当狂言之内 菅丞相」。赤い隈取の顔に手を組み、口に梅を咥えながら眼光鋭く睨み付ける道真の躍動感と迫力は、自信と野心に満ち満ちた国貞が重なっているようです。鑑賞の絵というよりも魔除けに近いです。
 色彩の美しさでは鈴木春信「五常 義」が素晴らしいです。格子のピンク、襖の朱、着物の裾からのぞく朱と縞模様の対比。雲母摺りが綺麗に残る作品が多く並び、往時の浮世絵の美を華やかに伝えてくれます。
 ユーモアという点では歌川国芳「金魚づくし」シリーズ。色鮮やかな金魚たちが、ヒレを手足に見立てて擬人化されています。立ち上がり、傘を手に持ち、踊りだす。空からは雨の代わりにアメンボウが降ってくる。舌なめずりしながら様子を伺う猫にハラハラ。色彩豊かで軽やかで楽しい。

 前期後期を通して出展されるのはわずかに8点(太田記念美術館蔵は除く)。それ以外の70点以上が全て入れ替わるという、なんとも悩ましい展覧会です。

Posted by mizdesign at 2008年09月16日 08:27
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