2006年11月22日

●江戸東京博物館 常設展

 毎週楽しみにしているNHK教育テレビ「ギョッとする江戸の絵画」。今週は「天才は爆発する」と題して葛飾北斎の登場でした。小布施に残した天井絵の紹介から始まり、「椿説弓張月」の元ネタを紹介しつつの獰猛なまでの吸収欲の解説、百歳まで生きて神妙の域に達さんと願う日本人離れした人生観の紹介。天井にうずくまり妖艶に笑う鳳凰の姿は美しくも不気味で、そこに北斎自身がだぶって見えてきます。江戸東京博物館で開催中の「江戸の誘惑」展との相乗効果で、もう一つの現代と思えるくらいに感情移入して楽しみました。

 そしてもう一つの相乗効果の元が、江戸東京博物館の常設展。単独でも良く出来た展示ですが、江戸に誘惑された状態で観ると良い感じに酔います。

 貧乏長屋に住む、北斎と娘の応為。頭に刻まれた皺が年齢を物語りますが、そこから生まれる作品は凄みを増す一方。その冴えは「李白観爆図」から推して知るべし。
ryougoku_20061105-2.jpg

 絵草紙問屋「泉屋市兵衛」。当時のTSUTAYAみたいな存在?「富嶽三十六景大好評につき重版決定!」といったポップとともに北斎の絵も並んだのでしょう。
ryougoku_20061105-3.jpg

 三井越後屋の内部。「店先売り」、「現金掛け値なし」で大繁盛。明治初期に柏の開墾を手がけたのも三井、現在柏の葉の開発を手がけているのも三井。縁がある?
ryougoku_20061105-4.jpg

 幕府公認の芝居小屋の一つ、中村座。菱川師宣「芝居町・遊里図屏風」にも登場するので、見比べると面白い。
ryougoku_20061105-5.jpg

 素材と工法の進歩で建物の印象は随分と異なりますが、中身に関しては現代と同じ感覚で楽しめるところが面白いです。

Posted by mizdesign at 22:06 | Comments [6] | Trackbacks [0]