2006年06月06日

●花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に> 第3期

 「花鳥-愛でる心、彩る技 第3期」を鑑賞しました。今回は、若冲が熱心に模写して学んだという中国絵画が並んでいます。中でも目を引くのが「百鳥図」です。鳳凰を中心に、「動植綵絵」でおなじみの鳥たちが大集合しています。鳳凰の特徴ある容姿と色彩の類似性は、若冲のネタ帳か?と思うほどです。これらを下敷きにして、あの豊かな表情と見栄きりポーズの若冲ワールドが出現するのかと想像がめぐります。

 「動植綵絵」は比較的おとなしめな作品が並びます。その中で異彩を放つのが「紫陽花双鶏図」。緻密な描画と華麗な色彩、凄みのあるポーズとりと三拍子揃った若冲ワールドの決定版のような一枚です。紫陽花が空を覆っていたり、羽に水滴のような模様があったり、鶏が頭を掻いていたりと不思議要素もテンコ盛りです。何度も見返してしまいます。

 見比べという点では「竹粟に鶉雀図」と若冲「秋塘群雀図」も興味深いです。題材に共通点が多いですが、絵の印象は全く違います。スタンプ押しのような飛行形の雀、塘の穂に群がる様々な姿勢をとる雀。一羽混じる白雀。やはり若冲のアレンジは面白いです。

 湿度低めで過ごしやすい日でした。展示もおとなしめに思えました。
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●アート・スタディーズ 第6回

 建て替えが進む東京を歩いていると、建物の寿命って意外と短いのではと思うときがあります。そんなときに目にとまったのが「アート・スタディーズ/20世紀日本建築・美術の名品はどこにある?」。全20回かけて、20世紀建築・美術を通史的に検証、発掘を試みるレクチャー+討議イベントです。いろいろと興味深い話が聞けそうだと直感したので、遅ればせながら第6回から参加することにしました。

 今回は1930年代を題材に、「和洋統合の精華」というテーマで進みます。建築は吉田五十八を取り上げ、堀口捨巳との違い、ミースとの比較を通して考察します。美術は須田国太郎を取り上げ、黒田・安田・梅原との違いを踏まえて彼の取り組みを紹介します。「DNAレベルの再構築」というキーワードでもって両者はつながります。吉田は「古典」をミースに通じる近代の「合理性」でもって再構築し、須田は油彩絵画を材料、性質に立ち返りヴェネツィア派を参照して再構築します。同時代の建築と美術に共通項を設定して、専門の方に語ってもらう試みはとても興味深いです。相乗効果を生むところまでは行きませんが、一粒で二度美味しいに近い感じ。先日ハウス オブ シセイドウのミニシアターで須田国太郎の初個展(1932年)の再現CGムービーを観たのが良い参考資料になりました。

 会場は東博資料館でした。窓から平成館が見えます。もうすぐ「プライス展」です。
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