2005年10月12日
●国宝燕子花図 -光琳 元禄の偉才-
今日は夕方遅くから都内で打合せでした。早めに事務所を出て、表参道まで足を延ばしました。行く先は根津美術館、「国宝燕子花図 -光琳 元禄の偉才-」展です。
「光琳の七不思議」で下準備は充分、平日の午後でお客さんは少なめ、展示作品に法橋光琳の落款があるのを見て心の中で歓声を上げてしまいました。展示室内の全体照明は暗く、作品を照らす照明は明るくセットしてあってとても観やすいです。「燕子花図」は第一展示室奥の壁面一杯に並べてあります。六曲一双の大きな屏風絵は、明るめのスポットライトに色彩も鮮やかで、寄ってよし、離れてよしの好配置です。近づいて光琳緑をじっくりと眺め、離れて燕子花の間に橋があるかと想像してみる。ひとまず他の絵を鑑賞し、再び絵の前に立ってみる。他の絵は繊細な描き込みや筆運びの技巧が前面に出ているのに対して、この絵は平坦な面に全てを塗り込めたような大胆な捨象が魅力です。同系の絵がないのは、描かなかったのか、描けなかったのか、失われたのか。興味は尽きません。久しぶりにMOA美術館の紅白梅図屏風も観たくなりました。梅の頃にあわせて公開されるので、光琳屋敷がとても寒かったのを覚えています。
根津美術館は来年の五月から改修工事のため3年半ほど休館になるそうです。今回も絵の保存修理のため4年半ぶりの公開だそうですが、来年春の「館蔵屏風絵」展以降は再度間が空きそうです。それにしても展覧会の副題が変更されたのは何故でしょうか。光琳に「偉才」という言葉はちょっと堅苦しい気がします。