2013年01月06日

●はつ春 山愚痴屋感謝祭@代官山ヒルサイドプラザ

 代官山ヒルサイドプラザ/地下ホールで開催された、「はつ春 山愚痴屋感謝祭」を観ました。昨年後半に、平等院養林庵書院襖絵奉納画集「山口晃 大画面作品集」及び画論「ヘンな日本美術史」刊行と活躍が続く画家 山口晃さんによる新春トークライブです。トークの上手さに定評のある氏のトークイベントは毎回満員御礼。今回も和やかにスタート。

 一、新春 絵解き
 後ろの白壁に墨が滲まないか冷や冷やしながら、絵解きクイズ。正解者には画伯直筆のイラスト入りお年玉がもらえるとあって、みな真剣。でも画伯の駄洒落センスはけっこう難しい。

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 まずはウォーミングアップ。口をすぼめて「すっ」、イカが逆立ちして「カイ」、釣りで閲覧者数グングンの「釣り」。

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 小説の大家が書けなかった「あの二マス」を振り返る。

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 「書」、背中にコンニャクを当てられて「うひっ」、水木兄貴がマジンガーZを熱唱「ゼッー!」。

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 キスがひっくり返った「スキ」、乳母車に乗っている大五郎が「チャン」。

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 仮面ライダーがキック「トウッ!」、怪人がのけぞって「キョエー!」、悪の首領がまたやられおってと「キッ!」。

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 大差のついた試合「点差」、イデのゲージが輝く「イデ」、驚異の五面筆箱「五面」、スペースシャトルはNASA「ナサ」、胃袋「イ」。

 一、刊行記念トーク
 ユーモア(少々ブラックテイスト)たっぷりに画集と画論執筆時のエピソードを披露。
 画論は話をいただいて4~5年かかった。担当の方は怒りもせず、待って下さった。そういうのが一番怖い。
 催促の電話に3回に2回は居留守を使って、残り1回は心の準備をしてなるべく重苦しい口調で対応した。
 若冲で有名な佐藤先生は、絵描きの画論は良くないとおっしゃる。身近にひきつけすぎるので。
 画論で紹介した絵を全点掲載して欲しいと読者アンケートにあったが、けっこう絵の使用料が高い。一番高かったのが伊勢物語で、10万円近い。定価が上がってしまうので代わりに書いてくださいと言われて、挿し絵を描いた。
 画論はおかげさまで売れ行き好調で、はや4刷。今回のトークイベントのチラシに画集、画論どちらのビジュアルを先に載せるかは、担当の方がジャンケンして決めた。
 画集の帯に「寄稿 ジョン・カーペンター」とあるが、「遊星からの物体X」の監督の方ではなく、メトロポリタン美術館キュレーターの方。米国アマースト大学で作品が展示された際に渡米して会った。ついでにトークショーもやったけれども、観客のリアクションに励まされた。
 トークで何を話しているかリサーチしてみた。鴻池朋子は質問に答える形式で単元を区切っている、青山悟はスライドを上手く使っている。みんな自分の作品のことを話す。自分は作品のことを話すのが苦手。自分語りが苦手で、バカ話しにシフトした初心を思い出した。

 一、お客様からの質問コーナー
Q.エルメスの東京俯瞰図は長い宿題でしょうか?
A.になっちゃいました。火が灯っているうちに描かないと描けないタイプ。サイズは又兵衛の洛中洛外図屏風と同じ大きさ。
Q.肖像画美人画等人物画を手がけることはお考えですか?
A.描いてみたい。現代美術、洋画、デザインどこからも孤児な感じ。美人画をどう理屈をつけて展示するか。描いたときに初めて見た気がする。鼻の美しさ、嫌らしさとか。
Q.会田誠さんとけんかしたことはありますか?
A.特になし。そもそもそんなに会う機会がない。社会に事件が起こったときに、あの人はどう思うか、意見を聞きたいと思う。見立ての正確さ。
Q.新年の抱負を。
A.桐生の芭蕉に行ってきました。目標は目の前いにいただいた宿題をこなしていく。未だに絵を描いている気がしない。日本でのうのうと絵を描けるよう地ならしをしていきたい。語りえないところを語っていきたい。西洋と戦っていきたい。
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Posted by mizdesign at 23:14 | Comments [0] | Trackbacks [1]