2008年04月15日

●TNM&TOPPANミュージアムシアター「マヤ文明 コパン遺跡」

 上野の東京国立博物館で上映中のTNM&TOPPANミュージアムシアター「マヤ文明 コパン遺跡」を観ました。「薬師寺展」を観に行ったのですが、「DNPの次はTOPPANだ!」と思いたって寄り道しました。

 ここの特徴は、超高精細映像の中をナビゲーターのおねえさんがPS2のようなコントローラーを操作しつつ案内してくれるところです。鑑賞者は映画を観るように情報を受け取るだけですが、良く練られた構成と、リアルタイムなコントローラー操作と、圧倒的な映像美が観る者を惹き込みます。今回案内してくださったのは、前回と同じくこうのさんでした。

 今回のテーマはマヤ文明コパン遺跡。コパン遺跡と聞いて、ああ、あれか!と思う人はあまりいないと思いますが、そんなことは心配御無用。空から見下ろし、俯瞰しつつ地上に降り立つ導入部から映像の世界に没入できます。適度に写実的で、適度に漫画チックな絵作りも、とても分かり易いです。現在の状態もわざわざCGで再現しているので、往時の再現映像への切り替えも非常にスムーズです。石剥き出しの現状から赤く彩色された往時の姿へと切り替わったときは驚きました。そして神殿の中に過去の王の神殿が埋まっているという驚きの事実。もはや実写かCGかわからないその映像。あっという間の20分でした。終了後のアンケートには、「安土桃山時代の建物を、永徳、等伯の絵と絡めて再現して下さい!」と熱烈希望しました。

 人とアートのインターフェースの実験としてはDNPの方が可能性を秘めていて、エンターテイメントの完成度ではTOPPANの方が断然上という感じです。何はともあれどちらも無料(博物館の入館料は別途かかります)なので、体験する価値は大いにあります。

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●ルーブル・DNPミュージアムラボ 第4回展「都市スーサとその陶器イスラム時代の創成期」

 五反田のDNP五反田ビルで開催中のルーブル・DNPミュージアムラボ 第4回展「都市スーサとその陶器 イスラム時代の創成期」を体験しました。ラボという響きに惹かれて行こう行こうと思いつつ、予約制という壁に二の足を踏んでいましたが、ようやく腰を上げました。大日本印刷(DNP)とルーブルがタッグを組んで、どんな映像体験を見せてくれるか興味津々です。

 観覧スタイルは3種類あります。音声ガイダンス端末を利用する方法、ARガイダンス端末を利用する方法、ガイダンス端末を利用しない方法です。今回から導入されるAR(オーグメンテッド・リアリティ=拡張現実)ガイダンス端末を使ってみたかったのですが予約が取れず、音声ガイダンス端末を使用するコースを申し込みました。骨伝導ヘッドフォンも初体験です。

 カウンターで受付を済ませると、端末についての簡単な説明を受けて、ルーブル美術館のプロモーション映像を見て、観覧へGO。会場は「ホワイエ」、「シアター」、「展示室」の三つからなります。「ホワイエ」ではパネル展示で「イスラム帝国の誕生」と「様々な視点から見る都市スーサ」を解説します。端末が近づくと自動検知し、解説が始まります。パネルには液晶が仕込まれており、音声解説と連動して映像が切り替わります。次に「シアター」へ。大画面にルーブルの所蔵絵画を交えつつ、スーサ発掘の歴史が語られます。そして「展示室」へ。大きな自動扉を通り、廊下を抜けてようやく展示室へ。室内には5つのルーブルの美術品が並び、3つの陶器製作の技法が解説されています。中でもAR技術を搭載した携帯インターフェースを通して、展示作品に重ねて映像の解説が映し出される展示が興味深かったです。端末を動かすと、それに合わせて映像も角度を変えて投影されるあたり、3D感覚で面白いです。やはりARガイダンス端末を使ってみたかったです。

 展示作品が小品5点という構成は、ルーブルのコレクションを「観る」という気持ちで行くとやや拍子抜けでした。解説に使う技術はどれも興味深いものの、展示と上手く噛み合っていない印象を受けます。それらはソフト面の練り込み不足が大きいと感じるので、ノウハウを蓄積することで良くなっていくと思います。これだけの内容を無料で鑑賞できることに感謝します。

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 目黒川沿いの桜。初夏を思わせる、少し暑い日でした。

 追記:こちらのページに拠ると、ARガイダンス端末は準備が間に合わなかったそうです。

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