2009年08月02日

●サマーウォーズ

 毎月1日は映画の日、しかも今月は土曜日!というわけで8/1封切りの映画「サマーウォーズ」を観ました。「時をかける少女 2006」の目に沁みる青空が記憶に鮮明な細田守監督の3年ぶりの新作です。

 今回のテーマは「大家族」。主人公は数学がとりえの内気な男子高校生。ひょんなことから憧れの先輩といっしょに、彼女の実家に旅行することになります。そこは田舎の旧家。家長である祖母の誕生日を祝うために、27人もの大家族が帰省してきます。

 もう一つの舞台は、現在よりも一歩進んだ仮想世界。ルイ・ヴィトンのプロモーション映像「SUPERFLAT MONOGRAM」で見せた世界観に磨きがかかり、利便性に富んだ世界をクールに描写します。

 画面狭しと動き回る、子供たち、大人たち。そして発生する「世界の危機」。田舎のノンビリした風景と、仮想世界の硬質な世界が交錯しながら進行する画面が美しいです。「世界の危機」に立ち向かう主人公の武器は、なんと紙と鉛筆。クライマックスではヒロインも凛々しく立ち回ります。仮想世界の格闘王や、天才技術者、パワフルなおじさんたちといった副主人公たちも画面を盛り上げます。

 平行進行で語る人間関係と、現実と仮想世界。それらをスピーディーでキレのある演出で見せきる手腕は、さすが。リメイクと原作つきが流行りの当世で、あえてオリジナルで勝負するところがとても意欲的。あっという間の114分です。

Posted by mizdesign at 23:25 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年07月05日

●辻惟雄「岩佐又兵衛 浮世絵を作った男の謎」

 辻惟雄「岩佐又兵衛 浮世絵を作った男の謎」を読みました。「奇想の系譜」を読んで以来待ち望んだ、「岩佐又兵衛」総決算本です。

 又兵衛が複雑なのは、勝以として落款を残した画家「岩佐又兵衛」と、浮世絵の創始者として数多くの絵巻群を残した「浮世又兵衛」とのダブルイメージの重なりと混乱。両者の乖離が大きくなるほどに現実味を失い、特定人物を意味しない「又兵衛風」という言葉だけが広がってゆきます。

 その伝説の中から事実を引き出し、「岩佐又兵衛」という個人に話を集約していくところが本書の真骨頂です。その「豊頬長頤(ほうきょうちょうい)」な顔つき、絢爛豪華な又兵衛風絵巻物。本書では、彼の放浪の人生、死後の伝説の誕生、近代の又兵衛論争、絵巻物作者についての最新の見解が語られます。学生時代から彼を研究対象とし、50年近くも又兵衛絵画を見続けてきた辻氏の眼を通して語られる又兵衛像はとても説得力があります。時系列上のものさしを得たことで、彼の作品を観る楽しみが俄然増しました。

 本書のラストには、「デロリ」ということばとともに岸田劉生の名が登場します。絵巻物群作者について一応の決着をつけたところで、さらなるテーマを提示して本書は終わります。又兵衛を巡る物語は続きます。

Posted by mizdesign at 08:46 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年07月01日

●近藤史人「歌麿 抵抗の美人画」

 近藤史人「歌麿 抵抗の美人画」を読みました。絶対非公開の名宝「スポルディング・コレクション」の調査を通して浮かび上がる歌麿画の変遷を縦糸に、当時の時代背景を横糸にして紡ぎだされる、謎多き絵師の像。筆者はTV局のディレクターだそうで、その手腕を活かした「見せる」素材の集め方と料理の仕方はさすが。

 プロデュース力に長けた版元、蔦屋重三郎。狂歌サロンの中核、太田南畝。サロンに出入りする酒井抱一を初めとする錚々たるメンバー。絵から文へと流れる時代の体現者、曲亭馬琴と十返舎一九。時代背景としての「賄賂政治」田沼意次と「寛政の改革」松平定信。これらの世界の中を、歌麿が颯爽と登場し、稀代の人気者に上り詰め、消えてゆく様を、視覚に訴えるドキュメンタリータッチで描きます。脇役にフランク・ロイド・ライトらを配して、間口の広さは万全。スタイリッシュに造形された歌麿像と美麗な挿絵群とのコラボレーションは、トレンドドラマを観るようです。

 考証部分は専門家の先生方に丸投げして、美味しいところだけを俎板にのせる手法はズルイ気もします。また、改革を期に転身する南畝をさりげなく取り上げて、対比的に歌麿の一途さを浮かび上がらせる手法もあざとい。そんなところも含めて、今風な浮世絵参考図書です。

Posted by mizdesign at 21:45 | Comments [0] | Trackbacks [1]

2009年06月28日

●ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観ました。超絶緻密なクライマックスシーンとサービスタップリな次回予告で幕を閉じた「序」から待つこと2年近く。いてもたってもいられず、公開初日のレイトショーに出かけました。

 新旧キャラ大活躍!「旧世紀版」の人気キャラエピソードを軸にしつつも、冒頭やクライマックスでは新キャラも大活躍。美しくリニューアルされた画面を楽しみつつも、徐々に「一巡目」からずれてゆくスリルが「破」の醍醐味です。「ポカポカ」や涙目にはまる人も多いのでは。赤い機体の登場時にウルトラマンの効果音が鳴り、ジェットビートルが飛んだりして「エヴァ以前」のファンにも嬉しい作り。

 大幅にパワーアップしたメカアクション!噂の仮設五号機、飛んで走って空中回転して大活劇を演じる3体のエヴァシリーズ。さらには「裏モード」も登場して、テンション最高潮。

 効果的なBGM!第三新東京市の夜明け。街が目覚める描写が視覚的にも聴覚的にも美しい。ヒロインのクライマックスシーンで流れる挿入歌。シンプルな歌詞が心を打つ。そして「この人だけは守りたい」という想いが起こす奇跡。

 練りに練られたプロット!108分の制約の中で、新しい要素を取り込み、キャラの心情を描き、ありとあらゆる期待に答え、物語をきっちりと次作へつないでスタッフテロップへ。ものすごく面白かったです。

 何よりエンターテイメント!本編の最後に、衝撃的に登場するあの人。劇中でつぶやいた言葉の意味にビックリ。。。更に追い討ちをかける次回予告。腰に腕をあてて立つ隻眼のキャラに重なるように「Q」。1分ほどで美味しいところを全て持っていって幕。本当に面白かったです。Blu-ray出たら買うかも。本体持ってませんが。

eva_20090628-1.jpg
 有楽町ビックカメラで開催された「エヴァ携帯」イベントの様子。10万円近い価格設定ながら、あっという間に予約受付終了だったそうです。もっとも、オークションサイトに大量に並んでいますが。。。

Posted by mizdesign at 00:17 | Comments [3] | Trackbacks [1]

2009年06月19日

●恋する西洋美術史

 池上英洋「恋する西洋美術史」を読みました。扉をめくると、熱烈に口づけを交わす男女の図版が次々と表れます。その官能的な美しさは、絵画というよりもHな本のようで、周囲の視線が気になって本を閉じてしまうほどです。

 強烈なイントロダクションに引き込まれて、描かれた「愛」の世界へ。
 章構成は以下のとおり。
 第一章 恋する画家たち
 第二章 愛の神話
 第三章 愛のかけひき
 第四章 結婚-誓われた愛
 第五章 秘められた愛
 第六章 禁じられた愛
 第七章 愛の終わり

 西洋絵画を題材に、様々な愛の形を紹介します。作者の視線はその甘い誘惑に溺れることなく、残酷な結末にたじろぐことなく、客観的に(少々冷酷に)読み解いてゆきます。絵画が描かれた時代と現代とのモラルのギャップや、神々や画家たちの愛ゆえの盲目を浮き彫りにすることで、絵画を血肉の通った物語へと変換します。

 文庫本なので深みはありませんが、西洋美術史「愛」のカタログとして一読の価値ありな一冊だと思います。

Posted by mizdesign at 21:49 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2009年05月31日

●スター・トレック

劇場公開中の「スター・トレック」を観ました。スタイリッシュな予告編がとにかくカッコイイです。建造中のエンタープライズ号の雄姿、青春ドラマのようなエネルギー溢れる画面。これは大画面で観たい!と久々にシネコンへ。

 前半は青春映画。一方の主役はカーク。運命の誕生から、荒れた少年時代を経て「愛と青春の旅立ち」を突っ走る。もう一方の主役はスポック。優れた論理的思考力と自己の存在矛盾の間で揺れながら、幼年期から青年期まで一気にジャンプ。二人のエピソードが交差し、合間にクルー達との出会いを挟みながら、気がつけばピカピカのUSSエンタープライズ号が宇宙へ舞う。その美しさは、もう感涙モノ。

 中盤はスペースオペラ。スペースバトル、砂漠の浮きステージでの剣戟格闘戦、雪の惑星での怪物との追いかけっこ、星を破壊する超兵器。「スターウォーズ」を髣髴させながらも、怪物は「遊星からの怪物X」のようでもあり、本当にサービス精神旺盛な作り。ヨーダばりの登場をしたのは。。。

 そして二人がお互いを認め合うところから、物語が大きく転換します。ワープ中の宇宙船へ飛び乗るのは朝飯前で、不死身のカークが敵を討ち(主役は死なない)、美味しいところを一人占めのスポックがピュンピュンと空を翔る(その宇宙船って元はといえば。。。)。そして一斉射撃で大団円(ひでえ。。。)。かくしてUSSエンタープライズ号の冒険の旅が始まったのであった。

 新生「スタートレック」の最大の見所は、練りに練られたプロットでしょう。ものすごい勢いで名場面を矢継早に展開しつつも、ストーリーラインは常に明快。バラエティー豊かな画面作りで、新しい観客へのサービスたっぷり。マニアックな言い回しで、年季の入ったファンへの思いやりもたっぷり。劇中の伏線もキレイに回収して、後に残るのは爽快感と、次回作への期待感。最高にエンターテイメントな快作です。

Posted by mizdesign at 21:19 | Comments [3] | Trackbacks [0]

2008年08月10日

●いとうせいこう・みうらじゅん「見仏記」

 文:いとうせいこう、絵:みうらじゅん「見仏記」を読みました。冒頭、みうらじゅんが小学生の頃に作ったという”仏像スクラップブック”の異様な濃さで掴みは充分。紙面いっぱいに貼られた白黒コピーの仏像と、びっしりと書き込まれた手書きのイラスト+解説感想文+俳句(季語なし)。稚拙さは熱さの裏返し。夏休みの自由研究でこれのお寺版を作った(未完成。。。)身としては、もう恐れ入ってしまいます。

 奈良 興福寺・東大寺。メジャーどころからスタート。仏様を「ブツ」と呼び捨て、信仰心をばっさりカット。後に残るのは、純粋に仏像が好きなマニア心。お宝ゴロゴロの興福寺宝物館で邪鬼に愛情を注ぎ、仏をミュージシャンに見立て、塗装のはげをワビサビと見立てることに怒りを感じる。東大寺三月堂に至って、畳に寝転がって不空羂索観音を見上げる。仏様を観る目が変わってしまいそうなスタートダッシュ。

 奈良 法隆寺・中宮寺・法輪寺・法起時・松尾寺。メジャーシリーズその2。法隆寺金堂で「住みたいよねえ、ここに」とつぶやくみうらさんはホンモノだと思った。百済観音から法輪寺へと至るあたりから、ちょっと冗長に感じ出す。何故かというと、僕は建物ばかり観ながらこの辺りを歩いたから。建物マニアにこの部分はちょっと退屈。

 京都 六波羅蜜寺・三十三間堂・東寺。「多数」のパワーで圧倒的な千体仏は、杉本博司さんの写真をハラミュージアムアークで観たばかりでタイムリー。

 東北 慈恩寺・立石寺、立花毘沙門堂・万蔵寺・成島毘沙門堂、毛越寺・中尊寺・黒石寺。伝来ミスで頭の小さな仏様が誕生した?全般的に不発気味。

 奈良 新薬師寺・五劫院・東大寺戒壇院・浄瑠璃寺。奈良第3弾、小粒でピリリシリーズ。個人的に評価の高い(土門拳の写真が好き)、新薬師寺十二神将登場!仏像メリーゴーランドにはまいった。やたら俗っぽい宣伝と、観光コースから外れる悲哀。そして浄瑠璃寺。「ロイヤルストレートフラッシュ持ってても負ける」九体阿弥陀の”揃っている強さ”を、「見たいリスト」に追加する。行くなら吉祥天開扉日がベスト。

 奈良 室生寺・当麻寺・聖林寺。女人高野は建物は何度も観ましたが、仏像は金堂しか覚えていません。もったいないことをしたものだと反省。当麻寺も水琴窟は聞いたのに。。。

 奈良 薬師寺・唐招提寺・西大寺。メジャーシリーズその3。余談の「仏像を美術として見る旅は、ガイジンの真似として始まったと言えそう」という指摘になるほどと思った。「我々にとっての観光は、元来ガイジンの目で日本を見るべく出来ていた」から「鑑真を招来した天平の頃から変わっていない。」と結びつける飛躍がステキ。

 九州 東長寺・大宰府・観世音寺・天満宮・大興善寺。九州遠征。観世音寺の馬頭観音を見たいリストに追加する。「なぜ仏(ブツ)は(九州に)根付かなかったんだ」?

 九州 龍岩寺・真木大堂・富貴寺・神宮寺。九州遠征その2。龍岩寺は岩に張り付いたお堂らしい。そういえば、三仏寺投入堂も未踏だった。真木大堂の大威徳明王はすごいらしい。観世音寺の馬頭、不空羂索とトリオを組んで、是非東博へお越し願いたい。無理なら九博あたりでも。。。

 京都 神護寺・清涼寺・広隆寺。クライマックスで登場するのは広隆寺弥勒菩薩半跏思惟像。でもその前の十二神将のところの「やっぱ、藤原時代から劇画感覚入るね」という言葉から、俄然見たい気が上昇する。

 京都 大報恩寺・泉涌寺・平等院鳳凰堂。クライマックスその2。建物と一体で観る仏像。鳳凰堂の窓から覗く阿弥陀様の顔、小学校の遠足で行ったなあ。極楽浄土の再現を今観たら、どんなことを思うだろう。

 抜群のスタートダッシュで観る者を引き付け、あっという間にゴール!かと思ったら、意外と時間がかかりました。仏(ブツ)と呼び捨てる言い回しや、ミュージシャンへの例えが今一つしっくり来なかったのが原因でしょうか。「ガイジンの目で見る日本」というフレーズを始め、読みどころも多数あり。著者のノリが好きな方と、カジュアルに仏様に接したい方におすすめします。

Posted by mizdesign at 16:46 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年06月24日

●勝間和代「お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践」

 勝間和代「お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践」を読みました。これまでの二冊に比べると、実践書としての色合いが非常に濃いです。
 「振込手数料無料」の売り文句に惹かれて、S銀行にお金を預けている身としては気になるタイトル。ついでに利率優遇という特典に惹かれて、そのほとんどは定期。ただし、振込手数料無料は回数制限があり、定期は1年で自動解約されて普通口座に移されます。口座を開設して、資金を移動して。囲い込み戦略にスッポリとはまっております。購入の決め手は、前書でのさりげない宣伝。

 リスク(risk)と危険(danger)。リスクは計量可能で、コントロール可能なもの。コントロールできないリスクは、単なる危険(ギャンブルなど)。
 迷う前に、株式や債券などのリスク資産の購入を決意することと、各資産をどのくらいの割合で持つかという判断になる。なるほどなるほど。
 「There is no such thing as a free lunch.」 (タダ飯なんてものはない)。金言。
 銀行は主に定期預金と住宅ローンで儲けていて、手間暇のかかる普通預金や決済サービスではさほど儲かっていない。定期預金の方が国債より利率が低いことを意外と知らない。おおーっ、そうなのか!
 不動産で特に問題となるのが、住宅ローンは銀行を始めとする数多くの企業の大きな儲け口になっているという点。金融資産という考え方からいうと、土地の値段が値上がりしにくいときは住宅ローンを組むべきでない。金融資産としてみた場合の、住宅ローンの位置付け。とても刺激的。自分にとっての「安全地帯」の考え方を練り直そう。
 「じゃんけん理論」。確かにあるが、現実的かは推して知るべし。
 各種金融商品を簡単に解説して、実践へ。分散投資、分散投資、分散投資。
 「金融リテラシーを身につけるための10のステップ」。ゴール設定が具体的で、読者の顔が見えてるなと思った。

 「金融を通じた社会責任の遂行」。前章でひとまず完結。最後は金融と世界の結びつき。確かに、生きて行く上で避けては通れない。
 そして、書を閉じたら始める第一歩。「タダ飯はない」を肝に銘じて踏み出しましょう。「おいしい家庭料理」を目指して頑張る日々。

Posted by mizdesign at 20:44 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年06月21日

●勝間和代「勝間式「利益の方程式」」

 勝間和代「勝間式「利益の方程式」」を読みました。明快かつ丁寧に、「今」求められる課題への取り組み方を説く、勝間シリーズ二冊目。

 年をとるにつれて健康のありがたさを実感し、健康について急に管理をするようになるのと同じように、日本経済の中年期にさしかかり、予防対策と生活習慣の引き締めを説く。一冊目を読んでNike+iPODを購入し、ランニングの管理を始めた身としては、勝間ビジョンに興味津々。

 日本人が意外と利益を上げていないことを例証する項で、生産性がアメリカの半分以下しかない産業として「小売、建設、食品加工業など」とあるのを見て、ああやっぱりねと納得。朝から深夜まで仕事してるもんなあ。。。
 適切なワークライフバランスを説く際に、「儲からない仕事を辞めること」といわれるとドキッとする。そのあとで利益の作り方を料理に例えて、「これらの基礎知識と手法を学べば、プロ級の料理とはいかなくても、おいしい家庭料理であれば、誰でも作れるようになります。」と本書の位置付けをするバランス感覚が旬だなあと思う。
 そして本題「勝間式「万能利益の方程式」」。「利益=(顧客当たり単価-顧客当たり獲得コスト-顧客当たり原価)x顧客数」。以下、懇切丁寧に変数の一つ一つを解説してゆきます。
 一円単位の単価を上げる工夫、コストを下げる大切さ。「良い商品・サービスなら売れる」という思い込みの指摘。ブランド=体験の大切さ。顧客が魅力を感じる部分を、細かに抽出する必要性。ミシュランの本が売れる理由を、「これまでミシュランに載ったレストランに行けなかった人が、その憧れから眺めて、レストランに行った気になるために買う」というのは、なるほどと思う。BRUTUSもそうだもんなあ。顧客単価に応じて、マーケットの大きさは決まっていると説き、「Willful Thinking (こうなったらいいな)」を戒める。顧客単価と顧客数は相反する。この視点はシビアに持つ必要あり。
 顧客に気持ちよくお金を払ってもらう仕組「松・竹・梅」のプライシング。そういうことね。「ヒューリスティック」判断プロセス。未知のものに触れた時、詳細な比較検討はごくまれにしか行なわない。経験則や学習内容に応じて、瞬時に決断してしまう。この視点はプレゼン時に大切。
 「粉モノ屋は儲かる」。なぜなら「小麦粉は世界中の中で、カロリー単価が最も安い商品の一つだから」。2008年に入っての小麦粉の30%値上げも盛り込んで、それでもまたまだ米に比べるとカロリー単価が安いとフォロー。他の例として新書ブームを取り上げる。さりげなく自著「お金は銀行に預けるな-金融リテラシーの基本と実践」を紹介。気になって買ってしまった。
 結局は地道なベンチマーク。コピー用紙の裏を使うより、人をなるべく少なくする。つまり本当に鍵となる原価要素だけを管理する。オーバースペックはコツコツ退治。肝に銘じよう。
 「S字カーブの法則」。イノベーター2.5%、オピニオンリーダー(13.5%)、アーリーマジョリティ(34%)、レイトマジョリティ(34%)、ラガード(16%)。オピニオンリーダーとアーリーマジョリティの間にキャズム(溝)がある。ブログはキャズムを超えたとして、その細分化の一つである美術ブログはキャズムを超えられるか?

Posted by mizdesign at 09:10 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年06月05日

●羽生善治「決断力」

 羽生善治「決断力」を読みました。現代最強棋士のお一人、梅田さんの本に登場する「高速道路」論、コンピューターを駆使した分析を行なう柔軟な姿勢。というわけで購入。

 KISSアプローチ。"Keep it simple, stupid."。ごちゃごちゃ考えない。
 早い段階で定跡や前例から離れて、相手も自分もまったくわからない世界で、自分の頭で考えて決断してゆく局面にしたい思いがある。
 「仕事にゆき詰まったときは整理整頓」。
 直感の七割は正しい。
 リスクの大きさはその価値を表しているのだと思えば、それだけやりがいが大きい。
 これまで、誰もが怖くて「できなかった」分野で画期的な何かが起こる可能性がある。
 自分の形に逃げない。
 「道」や「芸」の世界に走ると言い逃れができる。だが、それは甘えだ。
 コンピューターの強さはどういうものか。おそらく人間の強さとは異質なものだろう。
 さほどシャープに感じられないが同じスタンスで将棋に取り組んでいる確実にステップを上げていく若い人のほうが、結果として上に来ている印象がある。
 自分の将棋が目の前の一勝を追う将棋になってしまう。今はいいが、将来を考えると「良くないな」と気づいた。

 印象に残るフレーズをメモすると上記な感じ。謙虚に他人の声に耳を傾け、己に厳しく勝負に向かい合い、リスクを恐れず新しいことに取り組んでゆく。切れ味鋭い刀のごとき内容。

 だけれども、書物としては物足りない。ビジネス書を意識したのか、各章ごとにビジネスにも通じる一言で締めるのがいかにも蛇足。高い山の頂からわざわざ降りてきて、いっしょに見上げて一言述べる感じ。編集の人が欲張って焦点を絞り込めなかったのだろうか。「高速道路」だけを繰り返し述べる梅田さんは、そこがしっかりしているなと思いました。

Posted by mizdesign at 20:47 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年05月29日

●梅田望夫「グーグルに淘汰されない知的生産術」

 梅田望夫「グーグルに淘汰されない知的生産術」を読みました。以下メモです。

 「本の俯瞰性」。複数の情報を一目で視認できる特性を一言で表す上手い言い回し。羽生名人の名言「学習の高速道路」を完全に使いこなす手腕を見ても、梅田さんの言葉の選び方、文脈への組み込み方は上手い。
 「グーグルが担わない技術を確立している人こそが」。スタンスの明示。勝間さんと対照的な物言い。

 梅田望夫、「『ウェブ時代をゆく』を語る」。前出コラムの掲載号。
 「fix it (直せ)」が口癖の上司との対決。志向性重視vsオールラウンダー。この対立項は興味深い。梅田さんvs勝間さんもこの軸線に乗りそう。
 茂木さんはアインシュタインよりもダーウィンだそうだ。お二人の対談集も読みたくなった。
 まつもとゆきひろさん「嫌いなことを仕事にしてはいけませんね。病気になります」。シンプルで強い一言。強烈な特性がそれを支える。

Posted by mizdesign at 12:48 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年05月21日

●福田一郎「ドバイはなぜお金持ちが集まるのか」

 福田一郎「ドバイはなぜお金持ちが集まるのか」を読みました。アート、建築で何度も名が出てくる「ドバイ」、「なぜお金持ちが集まるのか」という直球なタイトル。鮮度が命の時事モノなので、購入、即読了。

 ドバイに豪華な建物が建つのはオイルマネーの恩恵と勝手に思い込んでいたら、実はドバイは石油が出ないとのこと。そんなことも知らない自分に愕然としつつ、コンパクトにギッシリと旬なドバイを詰め込んだ本書に惹き込まれます。「ドバイの観光、投資、生活の3つのテーマについて解説」というプロローグの言葉どおり、テンポ良く、簡潔にミーハーな「ドバイのこともっと知りたい」という欲求に答えてゆきます。

 石油も観光資源も乏しい砂漠に築かれた、スーパーラグジュリアス人工都市「ドバイ」。それを支える計画的な航路、街区、投資環境の整備。ナンバーワン戦略に基づく、7つ星ホテル「バージュ・アル・アラブ」、椰子の木形人工島「ザ・パーム」。果てしなき発展を突き進むが如くの「ドバイ・スピード」。読むだけでもドバイを満喫した気分になるくらいの、密度とスピード感に満足。これが本当にある世界なのだから、スゴイの一言。

Posted by mizdesign at 12:53 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年05月20日

●D.カーネギー「人を動かす」

 D.カーネギー「人を動かす」を読みました。
 簡潔で力強いタイトル、「レバレッジ・リーディング」での絶賛、春になると書店に平積みになる本。大仰な書名からして手強そうと敬遠していましたが、ちらりと立ち読みしてみて、思いのほか平易で読み易い文体だったので興味が湧きました。「動かす」より「動かされる」立場ではありますが、反対の視点も知っておこうと購入。

 構成は「人を動かす三原則」、「人に好かれる六原則」、「人を説得する十二原則」、「人を変える九原則」の四部。それに加えて、付録として「幸福な家庭をつくる七原則」が納められています。一原則ごとに一章が割り振られて、非常に平明かつ簡潔に、数多くの例を交えつつ原則を確認してゆきます。三、六、十二、九の非常に簡潔で揺るぎない構成、豊富な例を登場させつつも常に話の中心に相手の自尊心を尊重する姿勢を貫くスタンス、長丁場を全く飽きさせることなく語りきる密度。1936年初版の本を1981年に改訂、引用例を新しいものに入替、現代の読者にも親しみ易い本にしたそうですが、70年を経て古さを感じさせない作りは、不朽の名著と呼ぶに相応しい出来。技術的用語に頼らず、あくまで人を中心に据える姿勢と、絶え間なく手を入れて鮮度を保つ努力の賜物なのでしょう。この本の影響が、最近読んだ多くの本に見られることを考えると、原則モノのテンプレートと言えそうです。

 それにしても、付録の「幸福な家庭をつくる七原則」はちょっと異質。それまでアイデア豊富に人を動かしていた達人たちが、一転家庭では酷い目にあう。もうちょっと気をつけないとダメよといわんばかりのエピソード集。家庭はそれほどに手強いということ?

Posted by mizdesign at 21:41 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年05月09日

●茂木健一郎「欲望する脳」

 茂木健一郎「欲望する脳」を読みました。「欲望」と「脳」という相反しそうなイメージを結びつけるネーミング。快楽の中を漂いつつ現実と切り結ぶ茂木論理の飛躍と展開を期待して購入しました。本書は、集英社のPR誌「青春と読書」に連載された「欲望する脳」に一部加筆、修正を加えた、全24章からなるショートエッセイ集です。

 冒頭に孔子「七十従心」が登場し、その境地とはいかなるものかと謎賭けします。それが全編を通してのキーテーマとなります。
 「己を律した聖人の人生訓を底本にした、茂木流時事説話」と思えた前半は、かなりテンションが下がりました。章が短いので、快楽に浸る間もなく、あっという間にまとめ。字数の制限か、キーワードの羅列はツライ。茂木節とショートエッセイは相性が悪いのでは?と思ってしまいました。

 しかし、それだけではない。読むにつれて、そんな思いが募ります。
 「14 欲望の終わりなき旅」。荻尾望都さんとの対決。それまで仙人の如く淡々と達観してきた茂木節が少し変調します。「人間、追い詰められるとなんとかなるものである」。傍観から舞台へ上り、「終末開放性」を足がかりに既定論を踏み越えて行きます。
 「15 容易には自分を開かず」。若冲登場。「鳥獣花木図屏風」、「動植綵絵」、ついでにフェルメールの名も。一気に興味が高まり、BRUTUS「若冲を見たか」が思い浮かびます。そして「糸瓜群虫図」を材にとって、「「自分」という宇宙に立て篭もることで、開かれた地を獲得してきた」と結びます。ゾクッ、ゾクッと茂木ワールドが広がってゆきます。
 「18 アクション映画とサンゴの卵」。「ヒーローが必ず勝つアクション映画とサンゴの卵が海に放出されて、淘汰されていくプロセス」。その対比と、同一性の指摘。
 「19 欲望と社会」。「偶有性」登場。「私たち人間は、自分の脳の「使用説明書」を知らずに日々生きている」。
 「20 一回性を巡る倫理問題」。秘仏拝観を通して、「一回性」の論理に辿りつく。それは万能の理論ではなく、諸刃の剣。「うさんくささを甘んじて受け入れなければならない」。
 「21 魂の錬金術」。シャチは溺れて死ぬ。その凄惨なる末路。そして話は冒頭に回帰します。「否定的な感情を消し去りさえすれば良いというのは、精神における行き過ぎた「衛生思想」ではないのか?」。「「負」から「正」への転換の技法」。「七十従心」はもの凄い勢いで解体され、再構築されて、まるで何事もなかったかのごとく現実との折り合いを説く。このスピードとメリハリと接点の持ち方が飛び抜けています。
 「22 生を知らずして死を予感する」。「七十従心」解題その2。それは、死後に完成する理想像。えーっ!
 「23 学習依存症」。エピローグ。学習の悦楽と「七十従心」。
 「24 一つの生命哲学をこそ」。グランドフィナーレ。「可能無限」が溢れる現代。「欲望」が「利己的」のニュアンスを失って、その先は。。。

 時間をかけて書き綴られたせいか、それとも意図的なのか。論調が少しづつ変化してゆき、テーマが当初のイメージから大きく変容してゆく過程はスリリング。聖人を固定化せず、変化し続ける存在として捉えて、強さも弱さも合わせて論じるスタンスも独特。大上段に構えず、小論の積み重ねと飛躍で話を引っ張る大技は、読んでいてドーパミンが分泌されます。

Posted by mizdesign at 20:51 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年04月25日

●長谷川高「家を買いたくなったら」

 長谷川高「家を買いたくなったら」を読みました。最近の読書を通して「自分だけの場所」が必要だと思うようになったのですが、さてどうやって手に入れようかと思ったところで目に入った本です。多くの人が気になるテーマに対して、漠然と「家を手に入れたくなったら」と囁きかけるタイトルが上手いです。冒頭にはキレイな写真に少しキャプションを添えて、タイプ別の理想の家の例が数ページ並びます。帯には「がんばらないで「理想の家」を手に入れる」。「はじめに」は、「ちゃんと答えが書いてあります」という力強い言葉で締めくくられています。

 本編はまだ購入は先という方に向けて、焦らずがんばらず「理想の家」のイメージを固めることを薦め、その探し方、お金の話、タイプ別の物件の注意点、購入時及びその後の注意点を順に述べてゆきます。広く浅くタイプ別に網羅する視点は、入門のための概論という感じです。冒頭の写真をケーススタディとして、それぞれの事例を掘り下げるのかと思ったのですが、そういった部分はありません。

 内容がおかしいわけではありませんが、「買わせる」ポイントをしっかりと押さえた本の作りの方が遥かに印象に残りました。考えてみれば、不動産を扱う方は「売る」プロです。この分野は手強そうです。

Posted by mizdesign at 18:18 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年04月22日

●梅田望夫「ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学ぶか」

 梅田望夫「ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学ぶか」を読みました。「世界中の情報すべてを整理し尽くす」という壮大なビジョンを掲げるグーグルを核に、ゾクゾクするようなビジョンを示した「ウェブ進化論」の続編ということで楽しみにしていた本です。

 オプティミズムを貫くわけ、前作とのつながりを説明して、いざ本編へ。前作で示した「学習の高速道路の先の大渋滞」のサバイバルとして「高く険しい道」と「けものみち」の二つの選択肢を示します。「好きを貫いて生涯を送ること」を人生の幸福と定義し、高速道路を疾走する若いネット・アスリートに贈る三つの言葉が素晴らしいです。「Only the Paranoid Survive. (病的なまでに心配性な人だけが生き残る)」、「Entrepreneurship (アントレプレナーシップ)」、「Vantage Point (見晴らしの良い場所)」。

 後半は、作者のこれまでを振り返りつつ生き方を探ります。「けものみち」を歩く処方箋としての「五百枚入る名刺ホルダー」を始め、かなりビジネス書方面へ舵を切ります。「正しいときに正しい場所にいる」は全くおっしゃるとおり。「好き」の強度を手がかりに生き方を開拓する「ロールモデル思考法」は梅田流サバイバル術の要。終盤は若い人へ贈る言葉を細やかに述べて完結です。

 前作のゾクゾクするような高揚感に比べると、本書はやや細切れな感じがあります。どうしてかと考えてみると、これからの時代を生きる処方箋を、過去の作者の行動に求めるところがズレの原因かと思います。その一方で、ないモノを語るのだから過去を参照しつつ話を組み立てるのは当然です。そうすると、本書は続編でなく、短編を集めた外伝と捉えるのが適当かと思います。
 もう一つ。本書を作者の成功体験を綴るビジネス書と捉えると、成功部分の煽りが弱い分中途半端に思えます。反対から考えると、中途半端でも論旨が完結するところが本書の特徴と思えてきます。型にはまったビジネス書でなく、今まさに生成せんとする事象を捉える徒手空拳の記。わずか240ページほどでこれだけ思索を喚起するところが、この本の最大の魅力です。

Posted by mizdesign at 22:34 | Comments [0] | Trackbacks [1]

2008年04月14日

●小山登美夫「現代アートビジネス」

 小山登美夫「現代アートビジネス」を読みました。著者は現代アートの有力ギャラリーのギャラリストであり、アートフェア等でも精力的に活動されている方です。去年オープンしたガラス張りのTKG Daikanyamaは、一般層にも積極的にアピールしようという姿勢と、うねるアクリル面の視覚的な面白さがバランス良く機能していて印象的です。売り文句は「奈良美智、村上隆を世に出した仕掛け人が語る、アートとお金の関係とは?」。アートイベントラッシュに沸いたこの時期に、タイミング良いなと購入しました。

 内容は、誤解されがちなアート業界の仕組みを、平明な構成、表現で語ってゆきます。去年のアートフェア東京のラウンジトークでは三潴さんが、森美術館のウェルカムパーティーでは南條さんが語っておられましたが、アートファン層拡大の好機という認識は共通のようです。小山版の特徴は、奈良、村上の2大キラーコンテンツを擁するところでしょう。以下、印象に残ったフレーズの抜粋です。

 第1章「誰も見たことのないものに価値を見出す ギャラリストの仕事」。著者の自己紹介とギャラリストの仕事について。ギャラリストは広義で画商に含まれるが、「展示空間=ギャラリーを持ち、みずから企画展示する点が、大きな違い」。
 第2章「村上さんと奈良さん アーティストはどこにいるの?」。アーティストはどのように育っていくかを、村上隆、奈良美智の軌跡を辿りつつ紹介。「奈良さんの絵はイラストとどう違うの?」「僕は描きたいものしか描かないよ」。「「これでもいいんだ!いいはずだ!オレたちの文化も捨てたもんじゃない」」。「自分にとってよい作品をつくることが大前提」。「自分の描きたいものや表現したい世界を、客観的に見ることが必要」。
 第3章「アートの価値はどう決まる 投資を考えている方へ」。アートとお金の話その1。「現代アートは産地直送、適正価格で売ってます」。「プライマリー・プライスとセカンダリー・プライス」。「世界基準でない、「アジア限定マーケット」」。「1980年代、アートバブル狂走曲」。
 第4章「マーケットを動かすのはコレクター アートを買ってみる」。アートとお金の話その2。「潜在的なマーケットを発掘するために」。「現代アートは団体戦で勝負をかける」。「日本アートフェア興亡記、NICAFの顛末」。「アートを楽しめる人がコレクター」。
 第5章「日本をアート大国へ アートビジネスの展望」。「例えば、アートバーゼルはスイス最王手の銀行UBSが、アートバーゼル・マイアミ・ビーチはゴールドマン・サックス社が、ロンドンのフリーズはドイツ銀行が、大スポンサーとしてフェアを支えています」。「日本の美術館に、奈良、村上がない理由」。

 ギャラリストって何する人?という疑問から、村上、奈良作品の価値、アーティストに必要な素養、現代アートとお金を巡る事情、世界のアート事情、そして日本の課題まで、とても良くまとまっています。森美術館「UBSアートコレクション展」の話とリンクしたり、去年の「アートフェアTOKYO」が現代アートのみでなかった訳等々、色々となるほど!と思いました。アートファンの方には興味深い一冊だと思います。

Posted by mizdesign at 08:53 | Comments [4] | Trackbacks [0]

2008年04月13日

●本田直之「レバレッジ・リーディング」

 本田直之「レバレッジ・リーディング」を読みました。副題は「100倍の利益を稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめ」。勝間和代さんの著書に名前が出ていたのと、書店に平積みだったので自ずと目に入り、購入しました。
 内容はタイトル通り、本によるインプットから、100倍の利益というアウトプットへと至る流れを、レバレッジ(梃子)をキーワードに解説します。「読書」は投資という視点から多読を薦め、本の探し方、読み方、フィードバックの仕方まで。このサイクルの繰り返しをレバレッジ(梃子)と呼ぶところが秀逸です。ビジネス書の単価を1,500円と設定し、その100倍(150,000円)の利益を得るという風呂敷の畳み方も上手。
 逆に、タイトルと「はじめに」でほぼ内容を語り尽くしているので、残りの160ページほどは、その補足説明と化しています。作者の述べる「八十対二十の法則」を地でいっていてなるほどと思いました。「そもそもレバレッジ・リーディングは読書ではありません。投資活動です。」とあり、再度なるほど。

 余談。本書と勝間和代「効率が10倍アップする 新・知的生産術」には、投資としての読書法が登場しますが、その手法は大きく共通し、ディテールが少し違います。前者は文庫本をページを折り、書き込みをし、要点はメモに書き起こして常時携帯せよと説きます。後者はパーッと読んで必要なときに引き出せれば良いと、速度最優先です。投資額も前書は年間100万円、後者は月10~15万円とボリュームアップ。両書の間には1年のタイムラグがあり、その間のグーグルの席捲、前書を踏まえつつ貪欲に吸収、カスタマイズしてゆく後者の学習意欲といったものが感じられました。

Posted by mizdesign at 10:50 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年04月10日

●原田ゆふ子・黒田祐子「沖縄に住む」

 原田ゆふ子・黒田祐子「沖縄に住む 理想のセカンドライフの過ごし方」を読みました。沖縄に通い始めて早半年。そのわりに、沖縄に関する本を読んでないなと思ったときに目に入りました。
 内容は明快、簡潔。沖縄での生活に関する基礎知識、移住に関するイントロ、そして体験談。対象はシニア層ですが、沖縄生活入門書としてコンパクトにまとまっています。私自身が観光以上、居住未満な滞在状態なので、ミニ知識としてちょっと面白いです。

 沖縄最大の魅力は「暖かさ」。確かに。冬もランニングに励んで、ずいぶん健康になりました。
 沖縄の夏が、「暑いというより痛い」という記述はなるほど。その例証として「真夏でも、沖縄の最高気温は32~34度程度である」という数字は分かり易いです。そして「沖縄の日照時間は日本一少ない」というのも納得。本当に良く雨が降ります。
 沖縄の物価は、「モノによっては意外に高い」。その通り。食べ物も日用品も東京と同じ感じです。家賃も決して安くないです。島外への移動が基本的に飛行機なのが、かなりこたえます。

 後半は移住体験談です。思いの強さと行動力が大切。資金計画も大切。

Posted by mizdesign at 23:52 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年04月08日

●島田裕巳「日本の10大新宗教」

 島田裕巳「日本の10大新宗教」を読みました。帯には「新宗教には、なぜ巨大なカネが集まるのか?」。寺院、神社の宝物は言うに及ばず、尾形光琳「紅白梅図屏風」を擁するMOA美術館、先日の運慶作仏像の落札など、美術と宗教は関係が深いです。その気になるところを剛速球で突く帯に惹かれて購入しました。
 内容は、著者がピックアップした10の新宗教について、その成り立ち、歴史、特徴について簡潔に述べてゆきます。一通り説明が終わって、それで。。。と思ったところで終わりです。帯に偽りあり。出版社の作戦がち。一人の視点で並列に述べていくところがウリといえばウリ。一つの章に、単一の宗教だけでなく、その本家筋、分家筋といった周辺も交えて述べていくところもウリといえばウリ。時系列を意識して、旧来からの布教方法を用いるところから、非日常性を意識しない現代的なところへと並べるところもウリといえばウリ。でも、帯のインパクトには敵わないです。
 気になったフレーズ。「芸術や自己表現の強調は、教団のイメージアップには大いに役立つが、信者を集める武器になるものではない。」なるほど。

Posted by mizdesign at 12:48 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年04月07日

●上野千鶴子「おひとりさまの老後」

 上野千鶴子「おひとりさまの老後」読了。今年で40歳。人生のフレームワークを組む必要があるなあと思いつつ本屋を見ていたら、目に入った本。パラパラとめくって女性向けと気づいたものの、まあいっかと購入。
 「ひとりでおさみしいでしょう」といった他者の思い込みを大きなお世話と切り捨て、ようこそシングルライフへ!と勢い良く語りだします。最低限必要なのは「自分だけの住まい」という論点から建築へも話が膨らみ、建築家山本理顕さん設計の東雲の公団住宅も登場します。「女の持ち家率は高い」、「身を守るルールは自分で決める」とポンポン論が進みます。そして後半。人付き合い、お金の話とより身近な話題になり、介護の話を経て、死に方の話で終わり。ものすごくポジティブに、時に倣岸、時にシニカルに語り尽くすあっという間の260ページ。すごいエネルギー。
 「自分だけの住まい」を手に入れることと、老後の資金を蓄えることが、おひとりさまの必須項目。それにしても、どうして男の扱いがこんなにゾンザイなのだろう。。。

Posted by mizdesign at 12:46 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年04月02日

●梅田望夫「ウェブ進化論」

 梅田望夫「ウェブ進化論-本当の大変化はこれから始まる」読了。時代の寵児グーグルを中心に、ウェブ社会の「次の10年の三大潮流」を分かり易く解説。「三大潮流」とは「インターネット」、「チープ革命」、「オープンソース」。よく耳にするけれども聞き流し気味な言葉をちょっと理解。

 ゾクゾクするのは、やはりグーグルの在り様。「世界の情報を整理し尽くす」という構想の下、インターネットの「あちら側」に情報発電所を構築、「こちら側」と全く異なるプラットフォームの下、チープ革命を推し進める。無料サービス「グーグルマップ」の登場は記憶に新しい。現代ではほぼ不可能と思われた「全体を俯瞰する視点」を、ものすごいスピードとテクノロジーで手に入れる。漫画のようだ。いや、現実がフィクションを追い越している。

 後半は、ウェブ社会と既存価値観の衝突、その課題点も浮かび上がらせた上で、作者の信じる進むべき方向性=「不特定多数無限大への信頼」へと進む。実際に生活の大変換につながるかは置いておいて、好奇心はものすごくそそられる。

 ブログも登場します。ツールの使い方として、バーチャル研究室は楽しげだ。

Posted by mizdesign at 21:10 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年03月22日

●佐藤可士和の超整理術

 「佐藤可士和の超整理術」読了。表紙をめくると木地の大机の奥に小さく腰かける著者の写真。白い空間に黒い服。それが本書の内容を雄弁に物語る。本の装丁も著者。白い表紙に文字だけのタイトル。ストレートに本書の内容を示し、「超」をつけて特別に。気がつけば手にとってレジに持っていってしまった。

 内容は整理術=快適に生きるための方法論を、「状況把握」「視点導入」「課題設定」の三段階に分けて解説。実際の仕事を交えつつ話を進めていくのでとても分かりやすいです。ファーストリテイリングのCIの清新さに流石と唸りました。

Posted by mizdesign at 01:17 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年03月21日

●勝間和代「効率が10倍アップする新・知的生産術」

 勝間和代「効率が10倍アップする新・知的生産術 -自分をグーグル化する方法-」読了。
 NIKE+iPODを導入することを決意。ランニングの習慣化と耳からのインプットの有効化の一石二鳥の効果をあげるぞ!

Posted by mizdesign at 08:56 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年03月18日

●山田真哉「さおだけ屋はなぜつぶれないか?」

 山田真哉「さおだけ屋はなぜつぶれないか? 身近な疑問からはじめる会計学」を読みました。確定申告の季節、やさしい会計モノ、少し前のベストセラーの三点がポイント。

 さおだけ屋、フランス料理店等などの舞台設定が功を奏して、好奇心がスムーズに会計学へ向かいます。一章ワンセンテンスに絞り込まれた明快な論点のおかげで、あっという間に読了。確定申告の決算書を眺めて、数字のセンスを磨かないとなあと反省。要約すればA4用紙一枚におさまりそうな内容で、ちょっとためになる、前評判通りの内容でした。

Posted by mizdesign at 13:35 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2008年03月17日

●海堂尊「チーム・バチスタの栄光」

 海堂尊「チーム・バチスタの栄光」を読みました。第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作、医師であり作家である多才な作者、映画化の勢い。相変わらずミーハーな選択です。

 青天の霹靂のごとく、栄光のバチスタ・チームに潜む謎の解明を命じられる昼行灯の主人公。前半は、その目を通して登場人物個々の輪郭を浮かび上がらせます。そして後半。もう一人の主人公が登場して、ものすごいスピードでその輪郭を突き崩し、天才外科医の秘密を明るみに出し、そして事件の核心へと突き進みます。主人公と一体になって、ジェットコースターに乗りながら解説を聞いているようなスピード感。続編への布石もしっかりとうって幕。

 印象に残るのは、精緻に練られたプロット。無駄を削ぎ落とした構成と、そこから生まれる情報の飢えと疾走感。その一方で登場人物の造形をきっちりこなすそつなさ。何より緊迫感ある手術シーンの描写。文句なく面白いです。続編も2編あるので、そのうち読んでみたいです。

 ついでに映画の予告編。緊迫感に満ちたシーンの数々が、平坦な台詞のやり取りとして並ぶ。活字のトリックであるミステリーと映像は別物に思えました。

Posted by mizdesign at 21:18 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2008年03月04日

●五十嵐太郎「現代建築に関する16章 空間、時間そして世界」

 五十嵐太郎「現代建築に関する16章 空間、時間そして世界」を読みました。現代建築の研究者として広く活躍中の著者が、16のテーマに沿って現代建築を読み解きます。

 スーパーフラット、モビルスーツといった現代のキーワードを豊富に盛り込み、現代のスター建築家の作品を次々に登場させ、過去から現代へと連続した時系列の中で論が進みます。昔読んだ本が登場したと思ったら、その次に最新の建築が登場して、昔習った建築史が現代まで拡張するようです。ちょっと現代建築通になった気分。個人的には「第十五章」、「第十六章」が特に興味深かったです。

 「第十五章 メディア-雑誌、写真、模型」
 書物、雑誌、新聞の登場が建築デザインを広く伝播した。メディアが時間を加速させる。製版精度が荒い頃は建築ディテールも荒く、製版精度が上がると建築ディテールも繊細になった。メディアが建築に影響を与える。写真の登場が建築家による透視図に頼る必要をなくし、建築家と編集者の力関係を逆転させた。モダニズム建築の時代の建築雑誌は白黒写真がメイン。細かい装飾やディテールよりも、はっきりした、抽象的な構成を強調するようなデザインが白黒写真に合っていたはず。
 20世紀後半に入って視覚中心主義に対する批判。手触り、写真でない感覚への傾倒。プレイステーションなどのゲーム機でも、目と指から体そのものを動かすゲームの登場。CGから模型による差異の検討へ。

 「第十六章 透明性と映像-モニタとしての建築」
 リテラル-文字通りの透明性、フェノメナル-現象としての透明性。後者は古典主義建築にも遡って見出すことが出来る。近代になってガラスを使うようになって登場した透明性の概念が、過去の建築にも適用できる。現代は半透明性に焦点。
 映像への応用。リテラルな映像性、QFRONT等。ブレードランナーの世界の現実化。フェノメナルな映像性、銀座ルイ・ヴィトン等。ダン・グレアムのアート。
 谷口吉生の建築に多くみられる映像的な仕掛け。法隆寺宝物館の水盤。同じ概念が平等院鳳凰堂の池にも見出せる。過去に遡る映像性の概念。MoMAは映画のワンシーンのようにマンハッタンをフレーミング。とても映像的。

 メディア、透明性、映像性といった現代建築のキーワードを、とてもスムーズに建築史に織り込んでいて感心しました。マイベストブック、ジークフリート・ギーディオン「空間・時間・建築」に登場したリテラルな透明性が拡張されて映像性へと至りMoMAへと着地する構成は、イメージ的にもダイナミックで美しい。

 東京都庭園美術館で開催中の「建築の記憶-写真と建築の近現代-」展は、この視点を踏まえて観ると奥行きが俄然増しそうです。行くのが楽しみです。

Posted by mizdesign at 21:52 | Comments [0] | Trackbacks [2]

2008年02月21日

●茂木健一郎「脳を活かす勉強法」

 出張で増えた細切れ時間を使って、本を読むことにしました。その一冊目。
 茂木健一郎「脳を活かす勉強法」。購入の動機は「脳」。最先端の科学な匂いと、未知の領域のミステリー感、そしてベストセラーという煽り。

 「困った子」がトップへと昇り詰める筆者の体験談からスタート。その秘訣は「自分の脳をいかに喜ばせるか」。以降、一貫して「学習の快楽」をキーワードに話が進みます。他者を意識せず、ひたすら快楽を追及する清々しいまでの没入感。「タイムプレッシャー」、「瞬間集中法」ととてもタフな行動を、短いフレーズでテンポ良く解説して行きます。天才を「強化回路」が暴走した普通の人と述べるくだりは独特。ただし、暴走のきっかけがいつ来るかは誰にも分からない。単なる勉強法でなく、幅広く応用できる(気にさせる)ところが良いと思います。

 特に印象に残ったフレーズ。「1分、2分という時間でも集中してやる」。それはけっこう有効。「人とのかかわりの中で「知」ははぐくまれる」。ごもっとも。「脳のゴールデンタイムを積極的に活用する」。朝型になろう。

Posted by mizdesign at 22:56 | Comments [2] | Trackbacks [0]

2006年12月13日

●BRUTUS Casa 「いま、ミュージアムから目が離せない」

 BRUTUS Casa がミュージアム特集だったので購入しました。圧巻はダニエル・リベスキンド最新作、デンバー美術館増築棟の見開き写真。空を切り裂くように鋭角に伸びる切っ先、花のように爆発のように波打つ複数のボリューム。建築である前に、美術館である前に、その存在は圧倒的に美しい。論理ある透明性、軽さ、シンプルな建築がデザイントレンドの主流にある中で、この建物の存在感は突き抜けています。脱構築主義の流れに位置するアンビルトの建築家の実作が、こんなにも力強く美しいことも衝撃的。実際に観てみたいです。

Posted by mizdesign at 19:16 | Comments [3] | Trackbacks [2]

2006年09月22日

●とりぱん若冲風

 今週号のモーニングの表紙を見て、「おっ」と思いました。
 以前から若冲っぽいなと思っていた「とりぱん」が表紙を飾っているのですが、その絵柄が本当に若冲風です。
 別に絵柄が似ているとか、仏画を描くというわけでなく、庭先に設けたえさ台にやってくる鳥たちの観察記をありていに描く視線とか、連載が決まる前に仕事を辞めてしまう生き方とかが若冲っぽいと思っていたので、駄洒落を真面目にやられて面食らうという感じです。でもうれしいです。
 先日の山口晃の表紙絵といい、モーニング編集部はツボをくすぐるのが上手いです。内容は結構波があるけど。。。

 とりぱん1巻と記念撮影。本日2巻が発売だそうです。
zakki_20060922-1.jpg

Posted by mizdesign at 01:20 | Comments [5] | Trackbacks [0]

2006年08月11日

●時をかける少女 2006

 昨日はコンペ案を提出に新宿に出かけました。無事提出を済ませると、既に夕方。徹夜明けと暑さで仕事は切り上げて、「時をかける少女」を観ることにしました。評判は上々なのになぜか都内ではテアトル新宿でしか上映していない(8/10現在)不思議な映画です。ちなみに公開当初は2館上映していた千葉県内では現在0です。

 この映画は予告編も魅力的ですが、本編はさらにその上を行っています。目に沁みるような青空の下、直球だけで駆け抜けるあっという間の98分。調子に乗って馬鹿笑いし、お節介に東奔西走し、後悔の念に顔をくしゃくしゃにして泣きつつクライマックスへ。奥華子さんの透明感ある歌声が本当にぴったりで美しい。映画を観たという満足感でいっぱいになります。上映館が少ないことがなんとももったいない。

 アート好きな人には、宮島達男を思わせるデジタルカウンターや、劇中東博展覧会といったところも楽しいです。どういった場面かは観てのお楽しみ。

 久しぶりにサントラとパンフレットを買いました。
movie_20060811-1.jpg

Posted by mizdesign at 12:20 | Comments [3] | Trackbacks [0]

2006年07月02日

●もやしもん

 「もやしもん」が面白いです。菌を見る力のある大学生の主人公が、強烈な個性を持つ教授や院生や学部生たちに囲まれて展開する某農大を舞台にしたキャンパス漫画です。が、本当の主役はかわいく擬人化?された菌たち。ピンポン玉のような菌たちが「かもすぞ」とワラワラと画面を漂う絵を本屋さんで見た人も多いのでは。

 副題は農大物語、英名は「Tales of Agriculture」。作者の石川雅之さんの緻密な話作りと細かく描き込まれた絵柄と相まって、何度も読み返してしまいます。コメディ調の展開を追ううちに、人間と菌の切っても切れない関係、切れないなら仲良く付き合おう、堪らなく美味しそうな日本酒というふうに興味が広がります。菌が跋扈する世界を描くことでこんなに面白い世界が開けることをイメージできた作者の構想力と、それを伝えようとする努力が凄いなあと思います。

 建築好きとしては、校舎を改装して発酵蔵を作るくだりが好きです。湿気への配慮からコンクリートと木の壁材としての適不適を盛り込んだり、密閉度の高い住宅の欠点に触れたり。巨大ステンレス流しに水勾配を付け忘れる部分は、さすがにそれはないだろうと思いましたが。せっかくの一枚モノのステンレス鏡面仕上を、わけあってスチールたわし磨き仕上に変更するエピソードは笑えます。

 もやしもんの欄外には、菌一つ一つのプロフィールが掲載されています。単体だと読み飛ばすだけですが、本編中の彼らの活躍?と合わせて読むと面白さが倍増します。モノの性質や仕組から話を組み立てることは、結果重視の今日では軽視されがちな部分ですが、切り方と見せ方でいくらでも上手く伝えられるという好例だと思います。農業が一区切りついたら、建築の世界も切ってもらいたいものです。

Posted by mizdesign at 09:31 | Comments [0] | Trackbacks [0]

2006年02月16日

●日本美術の歴史 (購入編)

 こちらのレビューを読んで、とても面白そうなので買ってきました。「日本美術の歴史」(辻惟雄著、東京大学出版会)。図版たっぷりの軽めの本と思っていたら、実際にはけっこう厚みのある通史本だったのでちょっと怯みました。こういうときに背中を押してくれるのが口コミの力ですね。現場通いのお供に少しづつ読みます。読了編は桜の散る頃の予定。

 レジに積んであったバーク・コレクション展の栞ももらってきました。あっという間に会期も後半。終了間際は混むので、そろそろ行きたいところです。
book_20060216-1.jpg

Posted by mizdesign at 09:11 | Comments [4] | Trackbacks [2]